異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十四話 ロード・トゥ・ヘヴン

 神になる。

 その言葉は圧倒的なリアリティで俺を圧倒した。

 リアルで聞けば陳腐極まりないその言葉が、明らかに本気として、現実として響く。

 目の前の巨大な肉塊の内包する魔力、千年を生きたというその風格、そしてその表情が恐ろしいほどの説得力として迫ってきていた。

 

「~~っ」

 

 咄嗟に返す言葉が見つからず、俺はその場逃れで話題を変える。

 

「そ、それと俺達を監視したり、試練とやらを与えたりすることに何の関係があるんだ」

「アラアラ、アントンが喋ったのカシラ? 彼、あなたの事気に入ってたものネ」

 

 笑みを浮かべるダー・シ。俺の内心なんかお見通しなんだろうなあ。

 ばちん、と音が出そうなウインクをして彼は話し始めた。

 

「まあイイワ。今更隠すようなことでもないシ。単純にあなたたちに強くなって欲しかったノ。《加護》は使わなくチャ強くならないものネ。

 しばらくは様子見するつもりだったケド、どうも積極的にトラブルに首を突っ込みそうな感じはしなかったからネ。

 アントンに命じて色々させてたのヨ」

 

 ・・・俺達の何がそんなに欲しかったんだ?

 

「アナタは正直未知数だったから置いておくわネ。

 鉄の巨人同士が戦う物語が一つのジャンルになってるとか、ニホンのエンターテインメントは正直ワケわかんないワ。

 確かにこの世界でも昔はそうして魔獣に対抗してた事もあったケド、最終的に戦うのは『最初のサムライ』やその他の武芸や《加護》や術を極めた人間たちだったシ」

 

 うんまあ、この世界の人ならそうやろな。

 スーパーマンが現実にいる世界なんだし。

 ミサイルより爆発力のある俺のパンチを食らえ!(名言を汚していくスタイル)

 でもそうするとカオルくんが本命だった?

 

「エエ。失われた神代の魔剣に『壁を切り裂くもの(クレイヴ・バーラ)』というのがアッテネ。

 空間を切り裂いて妖精境の扉を開くことが出来るのヨ。

 つまりそれを使えば・・・」

 

 幻夢界だか天界だかにも到達できる?

 

「そういうコト。カオルちゃんが力をつけて『壁を切り裂くもの(クレイヴ・バーラ)』を召喚して、それをワタシの魔術で強化すれば天界にも届くカモってネ」

 

 まあ妥当な線だな。んで俺は?

 

「正直、鉄巨人に変わったのは見てて思わずお茶吹いたンだけど、単に『凄く強い《加護》』でしかなかったワ、その時ハ。あれくらいなら今までもそれなりにはいたシ」

 

 この人間やめてる肉達磨でも驚いて茶を吹くのか。

 そしてデモゴディとやり合える人がそれなりにいたのか・・・やっぱり魔境だなこの世界。

 ボハボハボハ、という笑い声。

 

「言っておくケド、大半はアナタと同じオリジナル冒険者族だからネ?

 マアこの世界生まれでそこまで行く子もいないではないケド」

 

 でも、それなら何故俺に注目を? 本命カオルくんだったんだろ?

 

「そりゃもうアナタが腐れ銀の妖魔(コボル)の眷族相手に瞬間転移して見せた時ヨ。

 マサカまたお茶吹く事になるとは思わなかったワッ!」

 

 ああ、あの隠れ里の時の・・・それそんなに驚くようなこと?

 調子よくても数百メートル、しかも視界内しか移動出来ないような代物だぞ。

 あんた世界一の魔術師なんだろ? 驚くにしてもお茶を吹くほどのものか?

 そう言うと肉達磨が物凄い真顔になった。

 

「アノネ、いいカシラ?」

「アッハイ」

 

 あ、これ何か地雷踏んじゃった奴だ。

 そしてその予想は全く間違っていなかった。

 

「アノネッ!? 《瞬間転移(テレポート)》なんて、正真正銘の大魔術師しか使えない術ナノヨッ!?

 魔術に対シテ深い造詣があって、誰もが大魔術師と認めるくらいの技量がアッテ!

 その上で特殊な素質ヲ持ってないと使えナイ、まさしく魔術の秘奥中の秘奥ナノヨ!?

 神代の術師はトモカク、古代魔法文明の真なる魔術師(トゥルー・ウィザード)でサエ、使い手はかなり限定されてたんダカラッ!」

 

 あー、そう言えば何かの遺跡を探索してるときに、瞬間転移使える術師が少ないから、古代文明でさえ大規模な転移ネットワークは作れなかったみたいな事師匠が言ってたな・・・

 

「話をチャンと聞きなサイッ! イイコト、そもそも魔術とイウのは・・・」

 

 があっ! と口を大きく開いて俺を威嚇する魔導君主にして世界最高の魔術師である肉塊。

 下手すると俺くらい丸呑み出来そうなくらい口と頭がでかい。

 はいすいませんちゃんと聞きます!

 でもつばを飛ばすのと話が長いのは勘弁して下さい!

 

 

 

「マアそうネ。今日はこのくらいで勘弁して上げマショウ。

 素人に毛の生えたような見習い術師に余り高度な事を言っても理解出来ないだろうカラ」

 

 はい、見習いですいません。

 むしろ術の一つも未だに使えないので見習いですらありません。

 テーブルに突っ伏して力尽きた俺を見て、肉達磨も多少は頭が冷えたらしく、ブホンブホンとわざとらしく咳払いをする。

 

「まあトニカク、《瞬間転移(テレポート)》ッテのはそれだけ凄い術ナノヨ。

 術師として術力と魔力量を鍛えていけバ、到達距離ナンテあっという間に青天井。

 事実上距離という概念の無いアストラル空間を移動する術である以上、原理的に距離の制限はないのダシネ。

 ソモソモ・・・」

 

 ステイ、ちょっとステイ。

 これ以上の魔術講義はやめて。頭がスポンジになっちゃう。

 そう言うと肉塊は腹を抱えてゲラゲラと笑った。

 

「ソウネ、ソレはやめときマショウカ。

 それにしても『頭が海綿体(スポンジ)』デスッテ? 面白い表現ネ! ソレもニホンの言い回し?」

 

 えーまー。

 何かのマンガで読んだんだったかな。まあそれはいいんだ。それで、テレポートで俺に注目したって?

 

「エエ。今言ったように瞬間転移というのは別の世界に移動することが前提の術ヨ。

 もちろんこの物質界の副世界であるアストラル界と、完全に高次の空間である天界とでは難易度が桁違いダケド、鍛えれば可能性は大いにあるワ。特にアナタの力は底なしの上にワタシの知る魔術の限界を完全に越えているヨウダシ」

 

 まあ、確かに。

 ロボットアニメでも異世界転移をするロボやギミックってそこそこあるし、何なら時間跳躍とか、文字通り天界に行っちゃう作品だってある。

 二次創作で時間転移逆行とか大流行してた時期もあるしな・・・

 

「ナルホド、可能性はあるって顔ネ? 改めてお願いなんだケド、ワタシに協力してくれないカシラ? 腐ってもゲマイの魔導君主だし、大抵の願いは叶えられるワ。元の世界に戻る事だって・・・」

 

 なるほど、魅力的な提案だな。

 だが断る。

 

「アラ。理由を聞いテモ?」

 

 あいにくだけど、この世界で出会ったみんなを見捨ててまで帰る気はないよ。

 それに、あなたが実験と称してさんざん迷惑をかけた人達の事を考えれば、ここで頷くことは出来ない。

 

「フゥン、カッコイイジャナイ。ちょっと見直したワヨ」

 

 満更お世辞でもない笑みを浮かべるダー・シ。

 ふふ、今俺輝いてる!

 それにあれだ、帰ったらまた受験地獄だしなっ! それだけは勘弁!

 

(ハヤトくん、台無しだよ・・・)

 

 俺の脳内のカオルくんが額に手を当てて嘆いていた。

 




>ミサイルより爆発力のある俺の歌を聞け
マクロス7のバサラ。
本来戦闘なんかするな!って平和ソングが前提のセリフなので、二重の意味で名言汚しであるw

>頭がスポンジ
ゆうきまさみ「機動警察パトレイバー」より。
その後本当に脳がスポンジになる病気(BSE、狂牛病)が流行して一時期口に出来なくなってしまった。

>異世界転移
ダンバインとかレイアースとかファンタジーものに多いが、オーガスみたいな科学パターンもある。

>時間移動
ナデシコのボゾンジャンプとか、タイムボカンシリーズのイッパツマン・ヤットデタマンとか。ゴウザウラーやガオガイガーも実は時間移動してる。

>天界
魔神英雄伝ワタル。大体魔王に占領された天界まで行くのが基本。

>時間転移逆行とか大流行
エヴァとかほんと流行った。
ナデシコはまだ原作でも時間移動してたからわかるけどw

>だが断る
この弾隼人が最も好きな事のひとつはっ!
(自分が)強いと思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ!
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