異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十五話 決裂

 

「ムウ、ジュケンジゴクとはよほど恐るべきもののヨウネ・・・」

 

 深く溜息をつくダー氏、もといダー・シ。

 あれ、声に出てた? まあいいけどさ! 実際恐ろしいし! 大事なのは分かるし将来を決めるのも分かるけど、それはそれとして二度と経験したくはない!

 

「・・・」

 

 そこ、ウムウムって感じで頷くのやめてくれないかなあ! 俺が振った話だけどさ!

 

「マア、とにかくワタシの話に乗る気はナイってことネ」

 

 残念ながら。

 別に神様になろうがどうだろうが、人に迷惑をかけないなら協力もアリだったんだけどな。

 そういうと肉達磨はボハボハと笑った。

 

「面白い子ネッ! 普段はいかにも『そこそこ利己的な凡人です』ッテ顔してるクセに、いざというときの判断はキッチリしてるんダカラッ!」

 

 やたらおかしそうに笑い続けてるが、褒められてんのかね、これ。

 そう頭の中で考えると、バチコン、とウィンク。

 

「褒めてるワヨ? そう言う割り切りもス・テ・キ!

 普段ハ綺麗どころに囲まれて、誰にも手を出さないチキンちゃんなのにネッ!」

 

 うるせえよ!? そりゃまあ恋人みたいな関係になってあんな事やこんな事もしてみたいが、そのたびに他の子と距離が開きそうで怖いんだよ!

 約一名、手を出したら命に関わる子もいるしっ!

 

「キャハハハハハハ! ジュンジョーネェ! 全部食べチャエバいいジャナイッ!

 ニホンはそう言うの厳しいらしいケド、この世界なら女を囲い込むのは男の甲斐性ヨッ!

 ソコで隠れてコチラの様子を窺ってる彼女トカもネ?」

 

 ?!

 俺が驚愕の表情を浮かべるのと、肉達磨がパチンと指を鳴らすのが同時。

 

「きゃうっ?!」

 

 直後、天井の隅から落ちてきたのは褐色黒髪三つ編みお下げのロリアサシン。

 彼女の《加護》なら下手な術師には見抜けないし、こっそりついてきて貰っていたのだが・・・

 

「アーナ、大丈夫か?」

「だ、大丈夫・・・ひうっ?!」

 

 アーナが硬直する。ダー・シと目が合ったからだ。

 

「し、神師様・・・」

「お久しぶりネ、アーナちゃん。こっちへイラッシャイ。ジュース御馳走してあげるワ」

 

 にこやかに差し招くダー・シ。

 アーナが怯えた表情で視線をこちらに飛ばす。

 ・・・ここは乗るしかないだろうな。幸いすぐにどうこうされそうな雰囲気じゃない。

 俺が頷くと、アーナは緊張しきった面持ちで俺の隣に座った。

 

 

 

「おいしーっ!」

 

 一分後、そこには満面の笑みを浮かべるアーナの姿が!

 

「ドウ? おいしいデショウ。とっておきなんだからネ?」

「うん! 神師様ありがとう!」

「ソウ、良かった。お代わりもあるカラ、沢山飲みなサイ」

「はーい!」

 

 輝く笑顔でダー・シに礼を言うアーナ。

 お前さっきまでの怯えようは何だったんだよ!

 畜生、俺なんてまともに会話するだけでも一月近くかかったのに・・・この差は何だ。

 

「人徳ジャナイ?」

 

 オーケー、お前は必ずブチ殺す。これは契約だっ!

 しかしこいつ、どうやってアーナの《加護》を見破ったんだ。

 ミストヴォルグセンサーですらろくに感知できんのに。

 

「アーナの《加護》ハ『自分を世界と混ぜる事』ナノネ。

 もっと言ウなら『自分を分解して世界に溶け込み、存在を希釈する』と言うところカシラ。

 吸血鬼が霧になるみたいだから『ダールミーク』では《朝霧の加護》なんて言ってたワネ。

 マアそういう理屈を知っていれば対応するのも簡単と言うことヨ」

 

 そう言えば元々こいつの部下だったわけだし、そりゃ能力の情報は知っているか・・・。

 しかしダールミークか。

 こいつはアーナみたいな子供を訓練して暗殺者として使ってたんだよな。

 自然と険しくなる視線に、ボハボハという笑い声。

 

「サテ、そろそろお開きかしらネ? お互い言いたいことも言い尽くしたんジャナイ?

 他に聞きたい事があれば答えるケド」

 

 それで思い出す。

 一つ訊かなきゃならないことがあった。

 

「今回の暗殺未遂・・・もしかしてあんたの仕業か?」

「アラマ。どうしてソウ思ったノ?」

 

 目を丸くして、それでも興味深げに問いかけを返すダー・シ。

 根拠はないさ。

 ただ、タイミングが良すぎる。どういう結果になるとしてもな。

 そう言った途端、今までで最大の爆音が発せられた。

 

「きゃふっ!?」

 

 と、アーナが飲んでたジュースを吹き出したくらい。

 オーボエというか、でかいアメ車の排気音みたいな音を断続的に吐き出すダー・シは、どうやら大爆笑しているようだった。

 

「やっぱりアナタ鋭いわネッ! 女の子相手にはニブニブのくせニッ!」

 

 うるせえだまれ(殺意の波動)。

 その脂肪電子レンジにかけて人間ラードにすんぞ。

 貴様は電子レンジの中の豚バラブロックだ! ギガ粒子の閉鎖空間のなかで分解されるがいい!

 

「マアその鋭さに免じて答えて上げまショウ。

 半分は正解ヨ。もう半分は成り行き」

 

 ・・・どこまでがアンタの仕込みで、どこからが予想外なんだ?

 

「キャハハハハハハ! それを言ったらおしまいヨッ!

 ヒントは上げたんだからユックリ考えなサイ?

 それじゃ今度コソお開きってコトデ! 宴は続くからユックリシテイッテネ!」

 

 お前ロボットアニメとか日本文化に妙なとこ詳しいな!?

 もしや召喚されるオリジナル冒険者族ってオタクばかりなのでは・・・?

 まあいい。戻ろう、アーナ・・・アーナ?

 

「・・・」

 

 めちゃくちゃ名残惜しそうにアムラのミックスジュースを眺めるアーナ。

 今にもよだれを垂らしそう。

 

「あら、ジャアおみやげに持って行きなサイ。ナマモノだから今日中に飲んじゃうノヨ?」

 

 パチン、と指を鳴らすと現れる、ジュースで一杯の水差し。

 アーナの顔がぱあっと輝く。

 

「はーい! 神師様ありがとう!」

 

 両手を上げて目一杯の喜びを表現するアーナ。

 ジュースで買収されないでくれよ! 凄く美味しかったのは認めるが!

 




>これは契約だ!
自分でもなんだったかなと思ったけど、チェンソーマンのポチタかな?

>殺意の波動
ストリートファイターシリーズで豪鬼や殺意リュウが使う奴。
中平正彦のコミック版では世界を変える力を持った天才が暴走する前に抹消するためのセーフティシステムとされる。

>電子レンジ
マイクロ波攻撃。
金属には反射されるのでロボットアニメでは余り見ないが、ガンダムXのマイクロウェーブ(月から来る奴)とか、ガンダムSEEDの大量破壊兵器サイクロプスとか、Vガンやガルガンティアにもある。

>きさまは電子レンジにいれられたダイナマイトだ! メガ粒子の閉鎖空間のなかで分解されるがいい!
ボンボン版Vガンダムのそこそこ有名なセリフ。内容は見ての通り。
なお電子レンジに薄切りした脂肪の塊を入れると、面白いように油がしみ出して来る。
油を吐きだした脂肪部分は自分の出した油でカリッカリに揚がるので、塩胡椒を雑に振るとおいしい。
しみ出した油は炒め物などに使えるので実にエコ。
筆者はマヨネーズも電子レンジにかけて、カロリー低めの固形マヨネーズみたいなものにして食うことがある。
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