異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十八話 大福帳と蓮の花

「経理の家? 金勘定はそりゃ大事だろうけど、それがなんでそんなに重要なんだい」

 

 と、シルヴィアさん。

 まあこの人はどんぶりどころかザル勘定だからそう考える・・・いや、これは大きな組織で働いたことがあるか、フィクションで知ってる日本人じゃないとわからんか。

 

「こっちで言うと王家とか大商会とか、何千人何万人と動いてる組織だと、どこにどれだけお金を使ったかハッキリと残す必要があるんですよ。

 そうでなかったら悪い人が横領し放題ですからね」

 

 カオルくんの解説にふむふむ、と頷くシルヴィアさん。

 他の人たちも何とかついてきているみたいだ。

 

「で、どこにどれだけお金を使ったか分かれば、何をしようとしているのかわかるわけですよ。

 例えば武器や食糧を沢山買い込むなら戦の準備とか。人足を雇うなら土木工事とか」

「うんうん」

「同じように、経理――お金の勘定に詳しい人は、帳簿にイカサマがあった場合どこがおかしいとか、どこのお金が抜かれて行方不明になっているかとか、ある程度分かります」

「ギャンブルのイカサマと同じようにか」

「はい」

 

 感心したように言うのはアーベルさん。

 

「なるほど、俺も昔少しそんな話を聞いたことはあるな。正直ちんぷんかんぷんだったが、そういう風に言われるとわかりやすい」

「ニホンの人ってみんな学校で勉強しているって聞くけど、そんなことまで勉強するの?」

 

 せえへんせえへん。オブライアンさんの質問に苦笑する。

 フィクション・・・物語とかで知ってるだけや。

 

「物語でその様な部分に言及するのかですぞ? 到底客に受けるとは思えない・・・いや、それが分かるくらいに教育程度が高いと言う事ですかですぞ」

 

 バイオリンをかき鳴らしつつラファエルさん。まあそういうこっちゃですな。

 閑話休題(それはさておき)

 

「んー・・・つまりそれは、ヴィットゥがそうしたお家の金勘定のイカサマを見つけたということか?」

 

 可能性としては。

 そしてそうしたイカサマを仕掛けたのは権力を握っている守旧派の人達・・・もしくはダー・シ本人。

 

「なるほど、ダー・シのヤバい部分を見つけちまったってことかい」

「それなら知ってそうな改革派の人間の口を塞ぐのもわかるのう」

「いや、待て。待て待て待て。ダー・シ様はこの家の主君だぞ。

 使いたければいくらでも金はつぎ込めるではないか。

 何故そのイカサマをする必要がある?」

 

 家中の皆さんにも隠したいことだったんでしょうねえ。

 というか、守旧派の面々の仕業なら、ダー氏直属の兵があなたたちを追う必要がない。

 もし守旧派のやった事だとしても、直属兵が出張るって事は、トップが完全にそれを認めてるってことじゃないですか?

 

「それは・・・確かに・・・」

 

 うめいて頭を抱えるアルコンさん。

 ダー氏への忠誠心と現実との折り合いをつけるのに苦心しているらしい。

 何かその、ヴィットゥさんからそれっぽい話を聞いてはいませんか?

 

「うーん・・・そうだ。ヴィットゥと親しかったのはリザイアなんだが、半月ほど前にヴィットゥが何か見つけたような話をしていたと思う。

 あいつも大して重要な事だとは思ってなかったみたいで、それ以上のことは聞けなかったが」

 

 何かヴィットゥさんの残した手掛かりとかないですかね。お家の秘密の金庫とかに。

 それこそ改革派の秘密文書とか隠しておくような場所に心当たりは?

 まあそんなのが都合良くあるくらいなら既にもう・・・

 

「・・・ある」

 

 マジっすか。

 

 

 

「あるとは言っても『あるかもしれない』という程度の話だ。

 ヴィットゥは思慮深い男だったし、いざというときに備えて何か隠している『かもしれない』。

 それがヴィットゥの家にある『かもしれない』。

 改革派の身分証明であるアイテムでその箱の蓋が開く『かもしれない』。

 その程度の話だ。

 ただ、かなり前にその様な隠し場所があるようなことを言っていたのは確かだ。

 申し訳ない事ながら、具体的には全く思い出せないのだが」

 

 その瞬間、一座全員の視線が師匠に集中した。

 

「・・・ハヤトが笑ってる」

「ちょっと、怖いんだけどハヤトくん」

「おにいちゃん・・・(溜息)」

「アンタは本当にねえ」

「あらあら」

「む・・・ムルカッタ!」

 

 女性陣の引きつった顔と溜息とくすくす笑い。

 何のことかなあ、ぼくわかんないや。

 

「なあおい・・・何の話をしてるんだ?」

「ろくな事ではないだろうな。まあ諦めろ」

 

 戸惑う哀れな犠牲者(アルコンさん)の肩を、ロウブさんがポンと叩いた。

 

 

 

「はおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 

 ズギュンズギュンズギュン、という幻聴が聞こえる。

 額には師匠の指、痙攣する体をロウブさんやアルテが押さえつける。

 さらばアルコンさん、あなたの犠牲は決して忘れない・・・

 

「だから怖いって」

 

 

 

「・・・」

 

 へんじがない。ただのしかばねのようだ。

 ピクリとも動かないアルコンさんを横目で見つつ、俺達は説明を聞いていた。

 

「取りあえず大体の場所はわかった。このブローチがあれば隠し場所の扉は開くはずじゃ」

 

 宝石で作った小さな蓮の花をつまみながら言う師匠。

 すげー豪華だな。

 

「アーベルとハヤトにばあさん。ヴィットゥ殿の家に行って来な。

 午後の口上はラファエルにやってもらう。

 出来れば早く帰ってきて欲しいけど、無理はするんじゃないよ」

 

 無言で俺達は頷いた。

 

 

 

「チェインジ、ジェッターII(ツー)! スイッチ・オンッ!」

 

 例によってミストヴォルグとジェッターIIの合わせ技で地下から侵入する。

 ミストヴォルグには二つ、ジェッターロボには三つのコクピットがあるのでこの人数ならブロイザーは必要ない。

 

 なお今は亡きアルコンさん(作戦説明時にやって見せたのだ)が思わず叫んだセリフが「地面を掘れるの?」でもなく「腹の中に人間はいるの!?」でもなく「君男だったの!?」だった。

 何故そこでショック受けるんですかねえ・・・時々色目使ってるように思えたけど気のせいじゃなかったんかい。

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 師匠の呪文で地中をナビゲートして貰いながら、ヴィットゥさん宅の地下室にピンポイントで穴を掘り抜く。

 

(何分にも魔導君主直属の魔導兵達じゃ。感知も並のレベルではないと思え。《加護》を過信するなよ)

 

 師匠のアドバイスに頷いて、ジェッターIIをニンジャウォリアー・ヒエイにチェンジ。

 ヒエイにもコクピットはあるので(ry

 

 ミストヴォルグとヒエイのダブルステルスに加えて天井に張り付いて移動。初歩ながらアーベルさんに学んだ隠密術と本人のアドバイスを駆使。さすがの魔導兵達も、これを見破ることは出来なかった。

 書庫にいた見張りを師匠の《眩惑(ぼんやり)》の術で無効化すると、例の宝石の蓮で隠し場所の扉を開く。本棚がバラバラに分解して、金庫のような箱の形になる。

 

「・・・驚いたの。空間系の術じゃ。真なる魔法文明時代のアーティファクトを流用しておるな。見つからなかったわけじゃ」

 

 言葉の意味はよくわからんが、とにかく凄そうなアレらしい。

 ともかくアーベルさんの業前で物理的な鍵を解錠し、中に入っていた書類を腹に放り込むと、俺達は書斎と見張りを元に戻して一目散に逃げ帰った。




>教育程度が高い
例えば古典落語には普通に百人一首や源氏物語のネタが出て来て、これを理解出来る江戸時代の庶民の教養レベルは意外に高かったんだなという話。

>言葉の意味はよくわからんが~
キン肉マンより。
アニメではほぼ毎回やってたが、何と原作第一話で出たセリフだったりする。
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