異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四十一話 魔導君主家相争う

 翌日朝。

 ついに戦いの火ぶたが切られた。

 

「おにいちゃん!」

 

 朝食製作中。野菜を鍋に入れていたリタの血相が変わる。

 それで俺達は開戦を知った。

 始まったか。詳しい状況とか分かるか?

 

「わからない。でもみんな戦ってるみたい」

 

 八つ巴か? 外交交渉とかはどうなったんだよ!

 

「わからん。ともかく術で状況を偵察してみるから、お前達は手早くメシを作っておけ」

 

 アラホラサッサー!

 

 

 

 いくつか手抜きをして雑に朝食を完成させると、ちょうど師匠の術が完成したところだった。

 

「うわあ・・・」

「げえ」

 

 いくつかのうめき声が漏れる。

 水晶玉に投影された映像の中で、凄惨な殺し合いが勃発していた。

 

「リタ、見るな」

「う、うん」

 

 朝食を運んできたリタが目を背ける。

 同時に師匠が指を振ると、映像から音が消える。

 こっちもリタに配慮したんだろう。

 食事もそこそこに映像を覗き込む一同。

 映像の中ではいくつもの軍勢が入り乱れて戦っていた。

 剣や弓だけではなく、魔法の光や飛龍のような魔獣、角が生えて腕が何本もある巨人みたいなのもいる。阿修羅(アスラ)とか羅刹(ラクシャサ)ってやつか?

 

「人造人間というかゴーレムのようなものじゃな。人型の魔獣よ」

「これどうなってるんです? ダー・シの軍勢は?」

「こちらのこれ、青と赤の旗印の軍じゃの」

 

 視点が高くなる。

 八つの軍が入り乱れるように戦って、その一つを師匠の指が指した。

 

「これじゃな。こちらがファーレン、これがリムジーじゃ」

「どうやら三つ巴か?」

 

 ガイガーさんがいきなり発言したんでびっくりした。

 ごちゃごちゃしてるようにしか見えないがそうなんです?

 

「む・・・おそらくはな」

 

 多分その手の軍事的教育を受けてるだろうロウブさんたちが頷く。

 

「ファーレンはイフェルド、リムジーはヴェストリと組んで、残りの四家が合同で戦っているようだ」

 

 見てわかるんですか。

 

「ラーセンとレンティノ・・・こっちとこっちは隣接してるのに戦ってないだろう?

 つまり同盟している。

 同様にファーレンとイフェルド、リムジーとヴェストリも並んで陣を張っている。残りのクレモントとウィルシもそれぞれラーセン、レンティノと動きを合わせている。

 つまりこの四家は同盟しているわけだ」

 

 

  ラーセン レンティノ

リムジー    ファーレン   ウィルシ

      丘

ヴェストリ   イフェルド

     クレモント

 

 

 図にするとこんな感じだが、すげえなそこまでぱっとわかるんか。ってことは、ガイガーさんもそう言うの勉強したことあるんですか。

 

「なんとなくだ」

 

 すげえな達人の勘!

 それでどうするんです。

 

「こと事態がここまで進んではここでのんびりしておるわけにもいくまい。

 現地に飛ぶしかないの」

「飛ぶ? 何か魔道具でもあるのか? それとも空飛ぶ魔獣か何かが?」

 

 ヴィナさんの疑問にシルヴィアさんがニヤッと笑って答える。

 

「ウチには何にでも使える便利なロバが一頭いるのさ。名前はハヤトだ」

 

 あのねえ! 誰がロバですか! 色々便利使いされてるのは否定しないけど!

 師匠の瞬間転移も多分ばれるとヤバいんだろうし!

 

「まあそう言うわけじゃから、さっさと飯を食え。

 野営地に結界を張って移動するぞ」

 

 師匠が術を解いて周囲を見渡す。全員無言で頷き、冷めかけた自分のお椀を手に取った。

 

 

 

 朝飯を手早く腹に詰め込み、ロウブさんとヴィナさん、アルコンさんを含めたみんなを腹の中に入れて俺は飛び立った。例によってブロイザー+ミストヴォルグのステルスモード。

 トラコさんは連絡役としてクリエ・オウンドに残った。

 今はファーレン家のお屋敷に急行しているはずだ。

 アルコンさんはむしろこっちの方が安全だろうって事で同行。腹の中で寝ててもらおう。

 

 

 

「うおおおおおおおおおお!?」

「おおー、すごいな」

 

 空の上。

 目を丸くしているヴィナさんに比べて、ロウブさんはさすがの余裕で楽しんでいるようにすら見える。

 

「まあ姫様やお付きの方々から話は聞いているからな」

 

 ああ、そう言えばそうやったな。

 なおアルコンさんは唖然として言葉もない。

 まあ調子悪いときに飛行機に乗ったらそうなるな。

 ともかくクリエ・オウンドの北100kmくらいでしたっけ?

 10分はかかりませんのでそのつもりで。

 

「「「嘘だろう!?」」」

 

 そう言ったら、ロウブさんたちが三人声を揃えて振り向いた。

 これでも安全運転&省エネでペース抑えてるんやで。

 

 

 

 高度2000mほど。

 遥か眼下にはアリのような軍勢が鬨の声を上げてぶつかり合っているのが見える。

 

「本当についてしまった・・・」

「ハヤト殿が規格外なのは知っているつもりだったが・・・ううむ」

「生ける古代遺物(アーティファクト)のような御仁だな・・・」

 

 上からヴィナさん、ロウブさん、アルコンさん。

 アルコンさんは俺に対する口調がちょっと丁寧になってる。

 ふふふ、いいぞ、もっと敬意を払え! 俺を褒めろ!

 

「いちびっとる場合か馬鹿者」

 

 サーセンw

 で、どうするんです?

 と言うか妙ですね?

 

「恐らく目的だろうあの丘を何故誰も目指さないのか、と言うことじゃな?」

 

 です。よくわからない古代遺跡があるんでしょう?

 ダー・シが資源調査と称してゲマイ中探していたものがあの丘にあるなら、真っ先に突撃しそうなもんですが。

 

「それは・・・確かにそうじゃの」

「純軍事的にはほぼ不可能な事ではある。先んじてここに到着していればよかっただろうが、他の魔導君主家の軍が出て来た時点でにらみ合いになるのは必然だ。丘を登ろうとすれば、無防備な横腹を突き破られるのだからな」

 

 と、ヴィナさん。

 ええまあ、それはそうなんでしょうけど。

 

「わかっている。あくまで純軍事的な話だ」

「ハヤト殿が分からないのは、そもそも何故軍を送り込んだかと言う事だな?」

 

 こちらはロウブさん。

 そうなんですよね。

 そもそも誰も顧みない遺跡が目的なら、こっそり調査隊送って何か知らないけど目的達成すればいいじゃないかと。

 第一、だ。こうやってゲマイを支配する家同士が全面戦争したら、普通にこの国滅びない?

 

「滅ぶだろうな」

「滅びますね・・・」

「内戦待ったなしだろうな・・・」

 

 あっさり言い放つロウブさんに、深い溜息をつく二人。

 そういう意味では俺もちょっと高をくくってるところはあった。

 国を滅ぼすくらいなら最後の最後の瀬戸際で、外交で何とかするんじゃないかって。

 

「歴史上、ありえないはずだったのが始まっちゃった戦争なんていくらでもあるしね・・・」

「やはりそちらの歴史もこっちと大して変わりませんなですぞ」

 

 カオルくんとラファエルさんと、溜息が二つ追加。

 

「何か裏がまだあるんだろうけど、考えてもしゃーないよ。

 取りあえずあいつらがドンパチやってる間にあの遺跡に降りて、あわよくばあいつらの目的を横からかっさらっちまおう。

 異議のあるやつは?」

 

 アルコンさんたちを含め、反対は誰もいなかった。




どうでもいい話。
ゲマイ(Gemai)はアメコミの会社イメージ・コミックス(Image Comics)からのネーミングですが、魔導君主家とそのホームグラウンドの都市の名前も、イメージコミックス創設者とそのスタジオから取っています。
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