異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

395 / 415
第四十三話 駆けろハヤト

 跳躍して俺に飛びかかるアーナ。

 その手には毒を塗った短剣、狙いは喉元。

 

「!?」

 

 鋭い金属音。

 ガラス玉のような目に、動揺の色が走る。

 まあ研ぎ上げたナイフがむき出しの喉に弾かれたら、そりゃ驚くわ。

 だが所詮ナイフは鋼鉄製。今の俺の喉は超合金Σ。言わば魔技・魔神首!

 咄嗟にデモゴディを呼び出して助かった。

 この辺はやはり実戦経験の賜物・・・なんてことを考える暇もなく、アーナが口から緑色の霧を吐きだした。

 どこかの悪役プロレスラーかな!?

 

 俺の顔全体に毒霧が降りかかる。

 多分これも結構ヤバい薬物だが、ロボットになってる俺には効かない。

 しかし目を塞がれてこれは・・・と、思ったら、一瞬で視界がクリアになった。

 振り下ろされるナイフを左腕で弾き、そこでみんなにアーナが取り押さえられる。

 

「大丈夫、ハヤト?」

 

 布を差し出してくれるアルテに頷いて顔を拭いていると気がついた。

 そうか、ロボットの目に薬物なんて染みないよなと。

 強化ガラスなり何なりで覆われているというか、デモゴディの目はそもそもセンサーじゃなくて豪子力ビーム発射口だし。

 海中に潜ったときだって、圧力とか塩水が目に染みるとかなかったし。

 多分強化ガラスで保護されてて、見えないワイパーか何かで一瞬でぬぐわれたんだろう。

 深くは考えるまい。

 閑話休題(それはさておき)、アーナは大丈夫です?

 

「身体に異常はない。恐らく洗脳の・・・」

「お兄ちゃん後ろ!」

 

 リタの悲鳴に振り向くと、狼Z●IDSの攻撃で扉が破断する寸前だった。

 

「リペアビーム!」

 

 慌てて修復光線を発射したが、後数秒でぶち破られてたな、やばいやばい。

 で、どうなんです。

 

「これは・・・解呪はしばらくかかるの。恐らくこやつが生まれたあたりから、十数年かけて仕込んだ呪じゃ。どうしても時間がかかる」

 

 あのブタ野郎・・・ブッ殺す理由が一つ増えたな。

 

「それと出所は分からぬが魔力がこの施設に集まっておる。

 その魔力がこの施設のどこかに流れておるようでな」

 

 最近になって起動したんでしょうか・・・?

 

「だとすれば今になって魔導君主家が動いたのも一応理解出来るのですぞ」

 

 そもそもこの施設なんなんです?

 

「わからん。ここは補助的なものらしい。余り詳しい事はわからん。

 中央部にあるメインの制御室に行かねば」

 

 そんな話をしている間にも、取り押さえたアーナを手際よくアーベルさんが拘束していく。

 凄いな、あれで身体能力のバカ高いアーナが、もがいてるだけで動けない。

 

「そう言う縛り方なのさ。まあアルテか旦那くらいになるとこれでも心許ないが」

「じゃあ行こうじゃないか。問題ないね?」

 

 師匠が頷いて、みんなは再び俺の腹の中に収まった。

 

 

 

「ジェッターヴィジョン!」

 

 走る。走る。走る。

 群がるメカ狼たちをかわして疾走するのは結構消耗も大きいが、それでも片っ端から退治するよりは楽だ。

 先が見えない以上、魔力やみんなの戦力を浪費するわけにはいかないしな。

 それで、どこ探せばいいんです?

 

(流れからして、恐らく100m下くらいにメインの制御室があるはずじゃ。

 そこで魔力の流れを確かめて本命を探しに行く)

 

 ウイッシュ。

 

 

 

 師匠の言った通り100m下、建物の中央あたりにメイン制御室はあった。

 中央あたりといっても、高尾山くらいある丘がほぼ丸ごと古代の遺跡である。

 非常階段登り降りするだけでも一苦労、手近の階段から制御室に行くまでも1キロくらい。

 普段ならまだしも、メカ狼の攻撃避けながらだと普通に辛い。ドリルで穴を開ければと言うだろうが、このへんの施設だと材質が強靱すぎて、ジェッタードリルでも時間かかるのよ!

 それでもたどり着くけどね! ジェッターヴィジョン!

 

 疾走と逃走と回避を重ねてメイン制御室にたどり着く。

 またしてもメカ狼たちを撒いて、扉の中に滑り込む。

 金庫のような重厚な扉を閉めて一息。

 さっき同様外から攻撃されてるが、さすがメイン制御室だ、なんともないぜ。

 みんなを吐きだして・・・うん?

 

「アーナ、アーナ! おばあちゃん!」

「心配するでない、今処置する!」

 

 どうしたのかと覗いてみれば、アーナの顔色が真っ青だった。

 目を閉じて息も荒い。呪いのせいですか!?

 

「恐らくはな。これはもう、今すぐ処置をせねばならん。動かすのも危うい」

 

 くそ、ダー・シめ。一寸大に細切れラードにしてやる。

 あいつ本人じゃないかもしれないけど、師匠がぽいっと解呪できないって事は、多分奴だよな。

 それでどうするんです。治療中は待機ですか? ここの施設の情報読み取れるのが師匠しかいないし。

 

「そうなるのう。あるいは一度撤退すべきか・・・」

「でも時間が無いんでしょう? なら私がやるよ」

 

 この声は――!

 驚き桃の木山椒の木、一気に時を渡りきり! ついに出た出たやっと出た!

 一座の怪力アイドル、かしこいアルテさんだ!

 

「怪力はつけないでいいから」

 

 はーい。

 それでどうするんだ。

 呪いを解いてくれるのか?

 

「私の中の誰かは呪いに関しては余り得意じゃないみたい。

 でもこの施設の操作盤のことなら多分分かると思う。

 多分この中ではおばあちゃんの術もうまく働かないから、お婆ちゃんとアーナだけ一度《瞬間転移(テレポート)》で野営地に戻って、しばらく解呪に専念して貰うのがいいかなって。

 あっちなら色々持って来れなかった道具や薬もあるでしょ?」

「《瞬間転移(テレポート)》?!」

 

 ロウブさんたちがざわつくが、対応している余裕はない。

 師匠は少し考え込んでいたが、やがて首を縦に振った。

 

「うむ・・・それしかなさそうじゃの。

 後は頼むぞ」

「わかりましたわ、おばさま」

「・・・」

 

 師匠がアルテをまじまじと見た。

 アルテはきょとんとして口元を抑えている。

 奇妙なにらめっこが続いたのはほんの少しの間だけだった。

 

「まあよい。では任せるぞ、アルテ」

「うん。出来る限りの事はするよ」

 

 頷きあうと師匠は呪文を唱え、アーナと共に姿を消した。

 

 

 

「それじゃ私が調べてみるから、みんなは敵に備えて。

 扉が破られなければ大丈夫だろうけど、壁や床をすり抜けたり、通風口から入ってきたりするのがいないとは言えないから。

 ハヤトは透視の力使えたわよね? それで扉の外を見て、危ないようだったらさっきの修復の術かけておいて」

 

 お、おう。

 いつもとは打って変わったアルテさんに戸惑いながら頷く俺達。

 その時アルテは既に制御板に向かい、猛烈な勢いでキーボードやレバーを操作し始めていた。




>魔技・魔神首!
「覚悟のススメ」の山口先生の「悟空道」に出てくる「魔技・真王首」。
やってることは大体新肉マンのアトランティス(ぉ

> どこかの悪役プロレスラーかな!?
ザ・グレート・カブキを元祖とする、由緒正しい悪役レスラーの技。
緑とか赤の毒霧を口から吐く。
今では「アジアンミスト」なんて名前も付いてるそうな。

>さすがメイン制御室だ~
さすがゴッグだ。なんともないぜ。

>驚き桃の木山椒の木、一気に時を渡りきり! ついに出た出たやっと出た!
地球のアイドルヤットデタマン、登場時の口上。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。