異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四十四話 あざといアルテ

「・・・見つけた!」

 

 操作盤を叩いたり、指でスワイプしたり、魔力を流し込んだり、めまぐるしく移り変わるモニター画像を眺めること十数分。

 アルテさんが叫んだ。

 どこだ?

 

「地下よ。凄い魔力が流れ込んでる」

 

 そう言うとアルテは口元に手を当てて沈黙した。

 どした?

 

「それなんだけど・・・この魔力がどこから来てるか分からないの。

 周囲のどこからか集めて来たか、あるいは別の場所から伝送されたものが、丘の上に露出している石の柱――魔力集積伝達宙線(アンテナ)から流れ込んでるんだけど・・・周囲に魔力を発するようなものは見あたらないし、ここの地脈じゃそんな量の魔力は吸い上げられないし、伝送してるにしても伝送元が不明だし・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 

 あ、いかん。

 面子の半分くらい理解出来てない。

 

「ええと、つまりこの遺跡の中では魔力は生成されていないと言う事だな。

 どこかから送られてきていると」

「はいそうです」

 

 魔導騎士と言う事で魔術にも通じているヴィナさんのまとめにアルテが頷く。

 しかし外からなのは間違いないのか? 高尾山並みの巨大施設なら、相応にでかい魔力炉とかあるだろ?

 

「タカオサン? まあそれはともかく、もちろん魔力炉はあるんだけど、それでも追いつかないくらい膨大な魔力なのよ。明らかに魔力炉とは別ルートで魔力が流れ込んでる」

 

 そんな膨大な魔力使って何するつもりだ? 数百メートルの巨大施設を動かす魔力炉よりもはるかに、って事は原子力発電所レベルのエネルギー産みだしてるんだと思うけど。

 

「まあ何となく言いたいことはわかるわ。

 古代文明時代でも、巨大都市の使う魔力を全てまかなっておつりが来るレベルね。

 私たちの知っている現象で言うと・・・この前の、ワイデストでアントンさんとあの三百貫デブが引き起こした、世界の壁を貫く光の龍。

 あれに匹敵するかも」

「マジかい」

 

 シルヴィアさんがうめく。

 他の面子も大体同じような表情。

 空飛ぶ五連ピラミッドとか、ダンジョンの混沌とか、神下ろしとか、怪獣王召喚とか、そのへんよりも上か。

 

「神下ろしは世界の壁越しだからね。

 エネルギーの総体としてはともかく、こちらに現れる規模で言うと圧倒的に今の方が上よ。

 ゴッドジラだっけ? あれは次元断層どうしをぶつけるのが本筋だったからちょっと単純な比較は出来ないけど、他のは言うまでもないわ」

 

 1km近くのピラミッドとか、この世の外から来た混沌とか、そう言うのが比較にならないくらいのエネルギー規模って事か。

 何かもう嫌な予感しかしないな。ちなみにその魔力、爆発させたらどれくらいの威力になる?

 

「・・・直径100kmくらいはありうるかもね。

 いつから吸収してるのかはわからないけど、ここ一時間くらいの分だけでも、この遺跡と周囲の軍勢全部消滅させるくらいはあるはずよ」

 

 戦闘はほぼ休みなく続いているらしい。消耗も大きいだろうによくやる。

 可能かどうかは分からないけど、遺跡を止めて、戦いもなるべく早く止めなくちゃ。

 

「そうだね」

「うん!」

 

 カオルくんとリタが強く頷き、他の面々もそれに続く。

 アルテ、その地下へのルートは分かる?

 

「大丈夫。おなかの中から誘導するから、ハヤトは警備魔導機を回避することだけ考えて」

 

 オーケイ。

 と、そこでアルテの目つきが変わった。

 あ、アルテさん?

 

「それでぇ。ハヤトはこうやって頑張ってるアルテさんに何かご褒美をくれようという気はないのかな?」

 

 つつつ、とこちらに寄ってくるアルテさん。

 な、何か雰囲気が違うんですが!?

 

「それはねえ、私だってハヤトが好きなんだよ? うかうかしてたら他のみんなに取られちゃうからね・・・リタとかアーナも結構危ないし、ヴィナさんも最近ちょっと目線が怪しいし?」

 

 つうっ、と喉元を滑るアルテの指。

 

「アルテ!?」

「アルテちゃん!」

「い、いやその私は・・・!?」

 

 目を覚ませアルテ! それはおぼこ耳年増のシルヴィアさんか、あざといさすがタウさんあざといのタウさんの芸風だ!

 

「ちょっと待ちなよハヤト?」

「ハヤトさんひどいです」

「ほほう、ヴィナ殿はハヤト殿に懸想しておられたか。いや、男を見る目があるな! きゃつは傑物だぞ!」

「で、ですから違うと・・・!」

 

 混乱する現場からお送りしております。

 そして高らかに鳴る鍔の音。

 アルテさん、娘持ちのお父さん刺激しないで!

 

「え? あ・・・あれ? 今私何言ったの?」

 

 我に返ったようにうろたえるアルテ。

 これは普段のアルテさんやな。

 もっとも、他の女性陣はその様に思ってはくれないようだったが。

 

「ふーん。アルテってやっぱりけっこうあざといね」

「アルテちゃんそう言う所あるよねー」

「違うんだって!?」

「いいから全員腹の中に入れ。無駄にする時間はない」

 

 珍しいガイガーさんの一睨み。一瞬で場が静まりかえるのはさすがである。

 ささ、皆さんわたくしめの腹の中に・・・そう言ったらまた剣の鍔が鳴った。

 時間を無駄にしてられる時じゃないって自分で言ったじゃないですかやだー!

 

 

 

 走る、走る、走る。

 跳ぶ、かわす、跳ぶ。

 すれ違いざまに一閃。

 それらを繰り返して一路地下を目指す。

 既にアルテの魔術によって俺の脳内に最適ルートは伝達済み。

 すごいなあ、これ師匠もやってくれれば良かったのに。

 ピラミッドの時とか、そうすれば頭クチュクチュを食らうことも・・・。

 

(あれは一応手当たり次第に探す必要があったしね。今回は最短ルートだけだから、おばあちゃんがやっても同じ結果になったと思うよ)

 

 なるほど。

 

(・・・)

 

 そして考え込むアルテ。

 何か色々あるんだろう。

 こちらも片手間に雑談出来るほどぬるい状況じゃない。

 前後と、曲がり角の向こうから来るメカ狼どもに対処しなきゃいけないのだ。

 気分を切り替え、俺は内側から外側に意識を集中した。

 

 

 

(・・・)

 

 ハヤトの腹の中。顎をつまみ、無言で床を見るアルテ。

 現在彼女は一行の実質的頭脳だ。

 その思索を邪魔しないよう、女性陣含めて周囲の人間は声をかけない。

 外観からは何か物思いにふけっているとしか思えないアルテが、その実白昼夢に囚われていることに誰も気付いていなかった。

 

 

 

「・・・!?」

 

 気付くと上も下も星空だった。

 その星空の中に、なんだろう・・・神殿?みたいなところがある。

 そちらに行きたいと思うと体がすっと動いて、私は空中を飛んでいった。

 

「なんだろこれ・・・?」

 

 浮島の上に作られた神殿。

 の、ように見えたがそれは装飾された柱と屋根、そして無数の本棚の集合体だった。

 中央には大きな丸いテーブル。

 

 浮島に着地して歩いて行くと、そこでひとりの女性が本を読んでいるのが見えた。

 長い栗色の髪に・・・えーと、あれだ、メガネってやつ。

 上等なローブを着ているし、学者か術師だろうか。

 

 近づいて行くと、女性は読んでいた本をおいてにっこりと、私に微笑みかけた。

 なんだろう、どこかで見たことがあるような・・・でも会った事はない。それはわかる。

 円卓の前に立つと、女性も立ち上がった。

 優雅に、腰を折って古めかしい礼をする。

 

「初めまして、アルテ。私の遠い遠い孫娘。

 私はコア・ヒムとコレトゥーラの娘ナジャラーガ。

 あなたの遠い先祖に当たる『真なる魔術師(トゥルー・ウィザード)』よ」

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