異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
高尾山並みの施設を駆け回るとは言え、ジェッターロボ最速のジェッターII(ツー)。
数キロくらいなら瞬時に駆け抜けることが出来る。
ただ、それは何の障害もない場合だ。
メカ狼の攻撃をかわしながらとなると大幅に速度は落ちるし、ましてや狭い非常階段をメカ狼が一面塞いでいるとなれば。
『『『VOWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!』』』
その階段にはメカ狼がみつしりと詰まつてゐる。
いやほんとに!
階段とか踊り場を埋め尽くしてるんじゃなくて、物理的に天井まで一杯にミチミチしてるんだよ!
確かにそうすれば俺も通れないけどさあ、アホかおまえら!?
『『『WOW!』』』
そんな悪口が聞こえたわけでもあるまいが、一斉に魔導砲を撃ちまくるメカ狼ども。
ひえええええ、プロテクションシェェェェェェドッ!
左手から発する偏向フィールドが無数の光弾を吸収し、射手に向けて正確に反射する。
『GAAAAAAAA!』
メカ狼の悲鳴。しかし魔導砲撃は途切れない。
一斉砲撃を跳ね返し続けてはいるが、相手も自分の撃った魔導弾の一発や二発で壊れるほどヤワではないらしい。
ドリル突撃で突破したいところだが、狭い上に曲がりくねってる非常階段では途中で潰される。
『GRRRRRRRR!』
やべえ、さっき撒いたメカ狼どもが後ろから来てる!
こうなりゃイチかバチかだ!
ラオライガーを外す。プロテクションシェードが途切れて魔導弾の雨にさらされるが、ブロイザーの超合金製ボディは多少なら耐えられる。
開いた分のスロットに更に込めるのは・・・円盤戦士ダイヘリオス!
使う技は・・・これだ! ビュルルルルー!
『!?』
メカ狼たちが目を丸くした。
いや、俺の姿を探す為にセンサーを拡大してるだけなんだが、外から見たらそうとしか見えない。
何が起こったか?
俺の姿が消えたのである。
どうして?
俺の姿がいきなり小人サイズに縮まったからさ!
ヘリオスデストロイ。
ダイヘリオスの必殺技で、100mサイズのロボがミリメートル、もしくはマイクロメートルサイズに収縮する。
そのままパーツの隙間から敵ロボの体内に入り込み、元のサイズに勢いよく戻ることで、相手を中から破壊するという、色々な意味で恐るべき技である。
某光の国から来た七番目の男よろしく拡大縮小自在なんだよなあ、こいつ!
まあ今回は破壊する必要はない。
いくらメカ狼が「みつしりと詰まつてゐる」したところで、合体しているわけじゃない。
身長が一センチくらいになれば、いくらでもすり抜ける隙間はある!
『『『WOW!』』』
隙間をすり抜けていくと、さすがに気付いたのかメカ狼たちが吼え始めるがもう遅い。
みっしりしているからすぐに離れられず、後続も追って来れない。
そのまま俺はメカ狼たちの間をくぐりぬけ、地下に降下していった。
ちょっと通りますよ、っと!
非常階段の一番下まで降りる事ができた。
俺が小さくなるのを見た連中はともかく、それ以外のメカ狼はほぼ気付かずに俺を素通しした。
まあ気付いてもあれだけみつしりしていたら反応出来ないだろうがな。
非常階段から飛び出すと、すかさず元のサイズに戻って振り向く。
この時点でみつしりメカ狼たちが騒ぎ出すが、あれだけ詰まってたら動くにもタイムラグが出る。
そこで試合は終了だった。
「さぁくれつ! ガイアスマッシャー!」
物理法則を無視して床から生まれる岩の隆起。
それはみつしりメカ狼たちを巻き込み、非常階段のシャフトを埋め尽くす。
あいつらの攻撃力では多分この岩を突破できない。
ひとまずこれ以上の増援がつくことは避けられた・・・
と、思ったらチーン、と音がした。
なんぞ嫌な予感がするのう~~~?
『GRRRRR・・・・・・・・・・』
そう思って振り向くとエレベーターホールが見えた。
開いた扉の中から次々と現れるメカ狼たち。
でーすーよーねー! あいつら別に非常階段を使う必要ないですもんねー!
追いかけっこが再開された。
この階は案内板に描かれている最下層。
だが制御システムのセキュリティを破ったアルテによれば、ここから更に下層がある。
回避し、飛び跳ねながら彼女の説明を聞く俺。
(ここは本来巨大な工場・・・つまり職人の工房とか鍛冶場みたいなところだったの。
山一つくらいの空間があるのもそのためよ。ハヤトたちはわかる?)
わかる。でも山一つってのは、地球でもまずないな・・・でかい物を作ってたりする?
(みたい。具体的に何かは分からないけど、工場部分は最大で高さ200m、広さが1キロ四方はあるわ。私たちは非常階段降りてきたからそのまま通り過ぎたけど)
洒落にならんな・・・作ってたのがバケットホイールエクスカベーターならいいけど、あのデブが目をつけてる以上、兵器かそれに類する何かだよなあ!
(多分ね)
暫定最下層の隅っこ、隠し扉を目指して走る。
当然メカ狼たちも次々と追ってくる。
L字の角、俺は追い詰められた。
ここに隠し扉があるんだよな?
(ごめん、ちょっと時間稼いで! コード打ち込まないといけないから!)
(俺達も外に出せ。ここは踏ん張りどころだろう)
アーベルさんあざっす。
でも必要ないんだなあ。
炸裂! ダブルガイアスマッシャー!
『VOW?!』
気合いを入れて地面に両拳を打ち付けると、二方向に岩の隆起が走る。
それはメカ狼の群れを飲み込み、通路を塞いで岩の壁だけが残った。
まあざっとこんなもんですよ。
ウォール呪文は最強の戦場コントロール呪文なんだ!
(なるほど、うまいではないかハヤトどの)
(私も壁術師とは何回か共に戦ったことがあるが、鮮やかなものだ)
おお、ゲマイ組に褒められた。
と言うか壁術師なんて人いるんですか。
(いるぞ? 市井では見ないが、軍では重宝される人々だ。
呪文一つで壁や仕切りを作れるから、集団戦、行軍や土木作業でもこれほど頼りになる人材はいない。
彼らがいなければ敵の矢や投げ槍、呪文から身を守れないのだからな)
あーなるほど。
野戦築城できるとなったらそりゃ強いわ。
装甲馬車とか長篠の戦いとか、そう言うのをインスタントにやれるんだからな。
(開いたわよ! 急いで中に!)
おう!
貨物用の大型エレベーター、それこそトラックでも入るくらいのでかい箱に飛び込み、俺達は扉を閉めた。
>匣の中には みつしりと詰まつてゐる
京極夏彦「魍魎の匣(もうりょうのはこ)」より。
川上稔と並んで撲殺小説の泰斗だが、推理小説は苦手なので実は読んだことがない。
>円盤戦士ダイヘリオス
UFO戦士ダイアポロン。アポロンもヘリオスもギリシャ神話の太陽神繋がり。
ワタルやガラットや北斗の拳をやってた芦田豊雄さんが一時期「ダイアポロン芦田」を名乗っていたのは古いアニメファンには有名。
なおダイタクヘリオスとは全く関係ない。
>七番目の男
ウルトラセブン。
ダイアポロンが巨大化するときなどにウルトラセブンの効果音を流用していたのと、ウルトラセブンも拡大縮小が自由自在なのでネタにされる。
>バケットホイールエクスカベーター
世界最大の土木機械。長大なアームの先の丸ノコみたいな掘削機で地面を削り取り、次々とベルトコンベアで運び去る、男の子のロマンが詰まったメカ。
>最強の戦場コントロール呪文なんだ!
TRPG概念。戦場の地形を変えて地の利を得ること。
相手のまんなかに壁を立てるだけで相手を分断でき、片方がこっち側に来るまでにもう片方を各個撃破出来る。相手が追って来れないように通路を塞いだり、逆に相手が逃げられないよう逃げ道を塞いだり・・・
「ドリフターズ」で重装兵を壁で囲んで爆弾放り込んだり、政庁舎に油仕掛けて逃げられないよう壁で出入り口塞いだりとか、このへんが非常にわかりやすい。