異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四十七話 最下層

 ゥゥゥン・・・

 軽い機械音と共にエレベーターが降下していく。

 念のため、リタとタウさん、キーマンであるアルテ以外は外に出して、スロットはバリアを張れるラオライガーと短距離テレポートが出来るセイウンザー。

 カオルくんは青玉の鎧を呼び出し、オブライアンさんやヴィナさんは魔力結晶を取り出している。

 階数表示が次々と減っていく。本当の最下層は間近。

 

(もうすぐね)

(お兄ちゃん、下の方に何十人かいるみたい)

 

 腹の中のアルテとリタ。

 アルテさんはもちろんだが、リタも話しかけるべき何かがいる場合はぼんやりとそれを感知出来るようになってるらしい。

 つくづくスパイに向いた《加護》だなあ。

 お兄ちゃんリタの将来が心配です。

 

 チン、とエレベーターのベルが鳴る。

 こう言うところは世界が違っても同じか。

 そんなことを考えながら、開く扉を注視する。

 何が起きてもすぐに行動出来るように。

 ・・・え?

 

「ようこそ皆様方。主がお待ちでございます。どうぞこちらへ」

 

 パリッと、とか、ビシッと、と言う感じではない。

 第二の皮膚のようにごくごく自然に、全く違和感無く燕尾服を着こなしている。

 そんな一見冴えないおじさん、一トンデブの執事さんがうやうやしく一礼した。

 

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 視線を交わす俺達。

 殺気もない。攻撃してくる気配もない。

 魔術の気配もない。

 アルテ?

 

(・・・トラップとかの気配もないわね。取りあえずはついていっていいんじゃないかしら)

 

 シルヴィアさんが頷く。

 

「いいだろう。案内しておくれ」

「かしこまりました」

 

 おじさんがもう一度、うやうやしく一礼した。

 

 

 執事のおじさんが先導。

 シルヴィアさんを先頭に、俺とカオルくんが続く。

 その後にアルコンさん、ロウブさん、ヴィナさんのゲマイ組。

 オブライアンさん、ラファエルさんと続いて、最後尾がガイガーさんとアーベルさん。

 

 近未来的だが代わり映えしない魔法文明時代の通路を、しばらく歩く。

 やがてたどり着いたのは大きな扉。

 赤と青・・・クレモント家の意匠を施したマントをつけた、近衛兵って感じの人達が両脇を守っている。二人が執事さんに敬礼した。

 

「お客人をお連れしました」

「はっ!」

 

 扉が開き、俺達は足を踏み入れる。

 モニタールームのような、操作盤に覆われた部屋。ボハボハ、と笑い声が響いた。

 

「イラッシャイ! ハヤトくんも他のみなサンも、くつろいでチョウダイ!

 ヴィナちゃんはオひさしぶり! お兄さんは元気カシラ?」

 

 そこにいたのは円盤に乗って空に浮かぶ巨大な肉塊。

 ゲマイ魔導君主にして600年を生きた大魔道師、ダー・シ・シャディー・クレモント。

 周囲を三十人ほどの近衛兵が固めている。

 

「ダー・シ閣下・・・」

 

 アルコンさんが複雑な表情を浮かべる。まだこの肉塊に対する忠誠と疑念の間で揺れ動いているのだろう。

 一方でヴィナさんは憤怒の表情だ。今にも剣を抜きそうなくらい。

 

「あの時我が家の家宝を盗み出させたのはあなたなのかっ!

 だとしたら何故だっ!」

 

 笑顔のまま、ヴィナさんの弾劾を聞くダー・シ。

 変な話だが、鉄面皮とか嘲笑とかそんな感じではない。

 まぶしいものを見るかのように眼を細めている。

 

「キャハハハハハハ! まっすぐネエ! うらやましいワッ!

 お尋ねの件ダケド、実際私の仕業ヨ!

 何故かと問うなら、あなたの一族の血がファーレンの血統に混じると後々面倒な事になると思ったからナノネッ!

 マア、もうファーレンの小僧にはバレちゃったシ、これ以上お兄さんの婿入りを邪魔したりはしないから安心してネ!」

「・・・」

 

 震えるヴィナさんの手。

 怒りを必死で抑えようとしているのが俺にも分かる。

 それで? アンタこんなところで何をしようとしてるんだ。

 そう言うと、またボハボハボハと笑い声。

 

「そう話をせくものじゃないワッ!

 ワタシもあなたたちともっと話したいのヨッ!

 そう言えばアーナちゃんとあのお婆ちゃんはどうしたのカシラ?

 彼女たちとも話をするのを楽しみにしていたのだケレド」

 

 アーナがお前のかけた呪いのせいで倒れてな。

 ペトロワ師匠が解呪してるんだよ。

 

「ア~」

 

 肉達磨がぴしゃっと額を叩いた。

 

「言われてミレバそう言う事もありえたワネエ。

 にしてもアーナちゃんにかけた術を解けるノ? 凄いワ、そんな術師がまだ野にいたのネ」

「ボクたちの先生は掛け値無しの大魔術師(ウィザード)だからね」

 

 胸を張るカオルくん。せやで。一番怖いのは達人並みのスピードで飛んでくる杖だけど!

 

「直接お会いしてみたかったものネェ。きっと話が弾むでしょうニ」

 

 どうかね。あっちは顔も見たくないかもしれないぜ。

 

「マッ、生意気!」

 

 ボハボハと笑うダー・シ。

 

「ソレじゃあ・・・」

 

 悪いがその辺にして貰おう。

 

「アラマ、ツレないわネエ」

 

 おしゃべりはもう十分だ。

 お前を倒さなきゃ、外の戦争も終わらない。

 無駄な人死にはまっぴら御免なんだ。

 

「その通りだ」

 

 ヴィナさんが今度こそ剣を抜く。

 

「あなたの目論見はわからないが、そのために何万もの死をもたらすというのなら、たとえあなたが魔導君主で創世の八人の一人だとしても、魔導騎士として許すわけにはいかない!」

「ホント、まっすぐネエ! 

 でもちょっと遅かったワネ」

 

 ぱちん、と指を鳴らすと周囲の様子がモニターに映る。

 ・・・なんだ? 妙に数が少なくないか? 俺の気のせいか?

 

「いや、実際に数が大幅に減っているぜ!?」

 

 アーベルさんの言葉にシルヴィアさんが頷く。どゆこと?

 

「おかしいぞ。普通これほど消耗したら、いったん軍を引いて再編成するものだ。

 なのに、どの軍も狂ったように戦い続けている。指揮系統も何もあったものではない」

 

 ・・・本当だ。隊列とか完全に崩れてるのに、ひたすら戦い続けてる。

 指揮官が残ってれば、そうでなくても普通退却するよな?

 まさか全員一向一揆並みの狂信者でもあるまいに。

 

「誰も彼もが防御を考えず、ひたすら相手に武器を叩き付けることだけを考えている。

 まるで軍勢全てが狂戦士(バーサーカー)になったかのようだ」

「あるいは軍勢全てに《狂戦士化(バーサーク)》の呪文をかけたかのように、だな」

 

 視線が集まる。

 俺達のそれを受けてダー・シはニマリと笑った。

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