異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四話 その名は独孤求敗(どっこきゅうはい)! マスター・インヴィンシブル参上!

「黒目黒髪に物腰がお坊ちゃんで、冒険者族かなとは思ってたけど、まさかオリジナルとはねえ・・・」

 

 ごっきゅごっきゅと蒸留酒っぽい酒をラッパ飲みしながら、ぷはぁと酒臭い息を吐く座長。

 ちなみにただ冒険者族という場合は、転移・転生者とその子孫をまとめて言うらしい。

 しばしば強い力を持っていて、裕福な家で、かつ変人が多い(ここ重要)のだとか。

 俺の親はしがないサラリーマンなのだが、まあ現代日本の中産階級はこっちの世界から見たら、のんびり屋のお坊ちゃん育ちに見えるのだろう。

 

「しかし《ロボットアニメの加護》か。それはどういうものなんじゃ? そもそもロボットアニメというのは?」

「えーと、ですね。ニホンにあった娯楽の一つで、絵を動かしてみんなに見せるという・・・」

 

 どう説明しようか考えて、実物を見せればいいことに気付く。

 この一ヶ月、さんざん練習させられたのでモニターを出すのはほぼ完璧にできる。

 

「驚かないで下さいね・・・ほいっと」

「!?」

「あがっ!? いた、痛い痛い痛いー!」

 

 ペトロワさんが硬直し、ひっくり返った座長が後頭部を強打してゴロゴロと転がる。

 空中に浮かび上がる半透明のモニター。そこに映し出されるのは「機甲武侠伝Gガンボイ」。

 戦争物だったガンボイシリーズに、いきなり武闘家同士のハイパーグラップルロボバトルを取り入れた問題児にして革命児。

 

 巨大なデモンガンボイに立ち向かう五体の主役ガンボイを描いたOPが終わった後始まるのは、生身の人間が巨大ロボを次々破壊していく衝撃的展開。

 ロボットアニメ界屈指の衝撃回、第十一話「その名は独孤求敗(どっこきゅうはい)! マスター・インヴィンシブル参上!」だ。

 

「・・・」

「・・・」

 

 デモンガンボイを追って荒れ果てた御堂筋に現れた主人公たちは、かつての師匠独孤求敗マスター・インヴィンシブルと再会することになる。

 その師匠がデモンガンボイの兵隊ユニット、デモンアーミーを生身で軽々屠っていくその流れを、呆然と二人は眺めていた。

 

「いやすごいねえ・・・この鉄巨人、人間が作ったもんなんだろ? 古代王国なみだねえ。このおじさんも凄いけどさあ。黒等級、ひょっとして金等級冒険者?

 さすがオリジナル冒険者族、やっぱ向こうの世界にもこう言う人いるんだぁ」

「いやいやいやいや」

 

 シルヴィアさんの反応に、俺は真顔で手を振る。

 

「フィクションですよ、フィクション。こんなロボ現実にはいないし、こんな事現実にできる人いるわけないじゃないですか」

「いるよ?」

「おるぞ」

「えっ」

 

 思わず絶句する俺。

 

「まずシルヴィアに説明するとじゃな、向こうの世界には《加護》がないんじゃよ。いくら鍛えても生身ではドラゴンは愚か虎に勝つのも難しいそうじゃ」

「マジ!? ウチの一座でも虎くらいなら《加護》使わずに殺せる連中何人もいるじゃん!」

 

 目を丸くする座長さん。ちょっと待って、今聞き捨てならないことが(本日二回目五分ぶり)

 

「鍛えれば強くなるのも《加護》の力じゃからな。『強くなれる』の限度が違うんじゃよ。

 で、小僧。お前がこの《ロボットアニメの加護》を得たように、オリジナル冒険者族はこちらに転移したり生まれ変わったりするときにそうした《加護》を得る」

「"始まりのサムライ"なんか凄いよね。海割ったり1kmくらいの魔獣をズバッと一刀両断したりしてさー!」

 

 ちょっと待って、今なんか聞き捨てならないことが(本日三回目以下略)。

 

「海を割る? 1kmの魔獣? それもう怪獣じゃないですか! つーかこの世界メートル法あるんですか!?」

「あるよ」

「あるぞ」

「マジかよ」

 

 本日何度目だろうか、真顔になって俺はうめく。

 

「"始まりのサムライ"は名前の通りこの世界に初めて現れたオリジナル冒険者族でな。

 元が剣の達人だったこともあって、恐らく歴史上でも最強の戦士の一人じゃ。

 世界を創造した神々が作り損ねて封印されていた大魔獣を倒すのに活躍した。

 逆に言えば、素質と鍛錬次第ではそこまでいけるのがこの世界なんじゃ」

 

「"ろぼっと"についてじゃが、その時存在していた真なる魔法文明というのがあっての。その魔術師たちが身長100mを越す鋼鉄の巨人たちを数千体作り出して魔獣に立ち向かったんじゃ。

 まあ神の作った大魔獣相手では数合わせにしかならなかったとも言われておるがな」

 

「で、メートル法じゃが、千年くらい前のオリジナル冒険者族が持ち込んでな。

 メートル法原器魔術とか言ったかの、そう言う魔術を生み出して、その魔術が使える人間ならいつでもどこでも正確に長さと容量と重量を測れるようにしたんじゃ。

 今では世界中のほとんどの国で使われておる」

 

「待ってくれたまえ ことばの洪水をワッと いっきにあびせかけるのは!」

「うんまあ言ってることはわからないけど、言いたいことはわかる」

 

 我ながら訳のわからないことを口走る俺に、うんうんとシルヴィアさんが頷いた。

 

「・・・」

 

 呻いて頭を抱えながら何とか今の情報を噛み砕いて整理する。

 つまりあれか、ここはマジでスーパーマンが実在する世界なのか。

 奇跡も魔法もあるんだよ!

 

「というかメートル法原器魔術ってなんですか」

「? お主の世界にある概念ではないのか? 呪文を唱えると、1mの物差し、目盛り付きの1リットルのガラスのジョッキ、合計1キログラムの分銅などを呼び出せるんじゃ。

 魔力を注ぎ続けないと消えてしまうが、これを元にして計量カップや物差し、秤に使う分銅などを作っておるんじゃ」

 

 あー、そう言えば理科の授業で先生が話してた気が・・・でも今は電波の波長とかそういうので決めてたような気がするが、まあいいや。

 

「で、じゃ。《加護》の話に戻るが、今回国王がどうやってかお主らを呼び出したんではないかの? 恐らく出発した勇者が強力な戦闘用の《加護》を得ていて、お主はそうではないと判断されたと」

「・・・ええまあ」

「差し支えなかったらでよいが、もう一人の《加護》はなんじゃ?」

「《魔剣の加護》って言ってました。えーと、たしかサンダースウォードってのを呼び出してましたよ。こう、バリバリって雷が落ちて」

「・・・!」

 

 ぶふっ!とシルヴィアさんが酒を吹き出した。

 ペトロワさんも目を丸くしている。

 

「マジかい! 黒騎士姫の剣じゃないか!」

「なるほど、そりゃ国王も自信満々に送り出すじゃろうなあ」

 

 やっぱ有名なのか。兵士達も知ってたくらいだしな。

 

「でじゃ。ここが重要なんじゃがな」

「!?」

 

 ずん、と空気が重くなった。

 目の前に座ってる小柄な老婆が、いきなり身長100mの怪物に変わったような感覚。

 

「山頂の修道院、吹っ飛ばしたのお主じゃな?」

「・・・はい」

 

 隠し立てしようとかそう言う気は一切起こらず、俺は頷いていた。

 嘘ついても秒でばれる。直感的にそう感じた。

 

「どういう流れで?」

「それは・・・」

 

 俺はやはり隠し立てすることなく、一連の流れを語った。

 召喚されたこと、帰してやると騙されたこと、殺されかけたこと。

 ギリギリのところで《加護》が目覚めてデモゴディになったこと、クソ国王の物言いと命乞い・・・それら全部をペトロワさんは無言で、シルヴィアさんは酒を飲みながら聞いていた。

 

「で、そこから逃げて気付いたら馬車の中でした」

「ふむ」

 

 圧力がふっと消えた。

 息をつく俺。

 

「すまんかったの。それならお主に責められるべきところは毛頭ないわい」

「まったくだよ、ひどい話だ」

 

 思わずそちらに顔を向ける。

 これまで笑いながら話を聞いていたシルヴィアさんが凄く真剣な顔で酒をあおっていた。

 

「・・・ありがとうございます」

 

 そう言うと、きょとんとしてまた笑い出す。

 

「別に礼言われる事なんかしてないさね! ひどい目に会ったのはあたしじゃないんだし!」

 

 そりゃまあそうだ。

 と、思いつつも俺の口元は緩んでいた。

 

「それでお主、ちょっと魔術の修行をしてみんか?」

「え? なんで? 自慢じゃないけど一月修行して全然でしたよ?」

 

 そういうとペトロワさんが呆れた顔になった。

 

「余程の天才でもなきゃ、素人が一月でまともに術を習得できるもんかい。そっち方面の《加護》があればともかくの」

 

 カオルくん一月で基本的な呪文は習得してたんですが・・・天才なんですね、はい。

 

「それだけ強力な《加護》ならまた暴走するかもしれん。お主のような《加護》の場合、使い方は魔術と似たところがある。修行をつめば自由に使いこなせるようになる可能性は高い」

 

 と、言う事は、修行すればデモゴディを自由に呼び出せるようになるかも知れないってことで・・・

 ガバッ!と音を立てて俺はその場に土下座した。

 

「是非お願いします!」

「お、おう」

 

 ペトロワさんが引いているような気はするが気にしない。

 

『師匠ぉぉぉぉぉ! お会いしとうございましたぁぁぁぁぁ!』

 

 画面の中で、Gガンボイの主人公が師の手を取って号泣していた。

 




 GガンボイはあからさまにGガンダム元ネタな訳ですが、独孤求敗(どっこきゅうはい)は東方不敗の元ネタを書いた金庸先生の作品群に出てくる(?)最強剣士。

・強すぎて相手がおらず、「独孤求敗」(敗北を求める孤独な男)と名乗ったが、ついに不敗のまま天寿をまっとうする
・ペットの鳥に戯れに武術を教えたが、それが後の武術界最強流派と奥義の元になる
・流派の技は攻撃しかない。こいつに攻撃を打ち込める人間がいないので
・いん鉄で作った剣を使っていたが、重すぎて達人でなくてはまともに振るえない
・むしろ木の枝や草で並の達人を斬殺できる
・最終的には素手で無敵の境地に
・数百年後も伝説の達人として語り継がれる
・あまりに強すぎて一切作中に出てこない(出せない)

 という盛りすぎやろお前というキャラw
 まあ本当の最強キャラというのはこうあるべきなのかもしれませんw

 ってGガン新作で独孤求敗の名前使われてるギャー!?
 まあ今更変更できないのでこれで行きますけどさあ!
 ちくせう一ヶ月早く完成していれば!w
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