異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四十九話 巨人兵器(ギガント)

「な・・・」

 

 なんだこれ、と言おうとしたのだろう。

 だがそれよりも俺の方が早かった。

 

 す・・・すげえ! すげえよ! 何だこれ! オメガデモゴディのロードス帝国の「胸から火を吹く巨人」かよ!

 古代戦士の姿をしているが明らかにメカ! 魔導技術の産物だが明らかに巨大ロボ!

 あれだな、立山闇深先生の「サンダー大帝」やな! それが数十・・・いや数百!?

 ぱらいそは・・・ぱらいそはここにあったんだ!

 おらぱらいそさいくだ!

 

「落ち着けこの馬鹿っ!」

 

 目の前に星が散った。

 峰打ちとは言え、弯刀で力一杯ぶったたくのはひどくありませんかシルヴィアさん!

 

「いいだろ、別に。文句言える程度にしかダメージ負ってないんだから。

 大体今あんた何しようとしてた」

「ふらふら~、っとあの巨人の方に行こうとしてましたねえ」

(あのねハヤト。今どういう状況かわかってる?)

 

 わかってます! 分かってるけど本能は抑えきれないんや!

 ボハハハハハ!と大爆笑がひびく。今回はひときわ奴のツボに入ったらしい。

 

「ホントあなたも好きネエ。

 何だったら、『あれ』上げるから、味方になってくれないカシラ?」

 

 ・・・そ、そんな誘惑には屈しないぞ!

 デモゴディは正義のスーパーロボットなんだからな!

 

「間があったな」

「声が震えているのですぞ」

 

 ええいうるさい!

 それでお前、あれを使ってどうしようって言うんだ!

 というかあれは何だ!

 

「約四千年前、神々――〈百神〉ではナク、世界を作りたもうた〈創造の八神〉ネ――の失敗作である原初の魔獣たちが、隔離場所である〈昼も夜もない谷〉からあふれ出し、人々や妖精たちを襲い始めタ」

「真なる魔術師の長兄の娘、白き髪の乙女と最初の冒険者族――〈始まりのサムライ〉のサーガですなですぞ。

 その時真なる魔法文明で様々な兵器・・・魔導巨人や魔導要塞を作り出して対抗したと聞きましたが、あれがそうですかですぞ」

 

 アントンが動かしてたダンゴムシもそれか。

 

(『巨人兵器(ギガント)』。当時はそう呼ばれていたらしいわ)

 

 アルテの声が脳裏で呟いた。ギガント、か。

 

「白き髪の乙女、ネ。まあそこは置いトイテ、そう言う事ヨ。

 モットモ、数合わせ程度にシカならなかったンダケドネ」

 

 100mの大巨人が数合わせか・・・それと戦った〈最初のサムライ〉ってどんだけ強かったんだ?

 

「マア伝説に語られてる程度ニハ強かったンジャナイ? 最低でもネ」

 

 1kmの魔獣をぶった切って、海を割ったのが最低レベルかよ。

 スーパ●マンとでもガチバトルできそうだな。

 それで? その数合わせの兵器で何するつもりだ。

 

「ソォネエ・・・世界征服トカ? 悪の大魔術師としてハ、それくらい行きたいワヨネ!」

 

 またしてもボハボハ笑い。

 だがそれが嘘であることを俺は知っている。

 嘘ではないかも知れないが、少なくともそれは手段であって目的ではない。

 神になるのはどうしたんだ?

 

「神!?」

 

 ワイデストの光の龍のあれこれを知らないヴィナさんたちの驚きの声。

 ダー・シは無言。しかし笑みはそのまま。

 そうかい、そっちがそのつもりならそれでもいい。

 だが、外の戦争は止めさせて貰うぞ。

 まずはあんたらをブッ飛ばして。

 戦争をやめろ、ってな。

 

「キャハハハハハハ! イイワネ、その若さ!

 やってご覧ナサイ、デキルものならネッ!」

 

 それが開幕の合図になった。

 

 

 

 最初に動いたのはやはりガイガーさんだった。

 気がついたときには俺達とダー・シの中間あたりにいる。

 手には剣。

 奴の周囲には防御結界が張ってあるだろうが、ガイガーさんなら・・・

 そう思った瞬間に火花が散った。

 

 ダー・シの防御結界ではない。

 ガイガーさんの必殺の一撃を受け止めたのはあの執事さんだった。

 しかも防具を着けているわけでもない右腕で。

 

「シュッ!」

 

 鋭い呼気と共に放たれる執事さんの拳。

 早ぇ!? 見えねえ!?

 

 ガイガーさんが防御したのは分かった。

 火花が散って、ガイガーさんが二歩後退する。

 嘘だろ!?

 

「申し訳ありませんが、止めさせて頂きます。

 執事ですので」

 

 ガイガーさんを押し返す絶技を見せながら息を切らした様子もなく。

 地味で目立たない、さえないおじさんは淡々と言った。

 

 

 

「ゲッツ!(σ・∀・)σ」

 

 ラファエルさんの爆笑ギャグ()にダー・シの親衛隊たちが一斉に吹き出す。

 が、腹を抱えて行動不能になるのは数人で、残りは即座に立て直して武器を構え、あるいは詠唱を始めた。

 すげえな、あれ耐えるのシルヴィアさん辺りでもきついのに!

 

 無論こっちは全員耳栓&念話ネットワーク構築済みである。

 残りの面々も一斉に剣を構えて突撃し、オブライアンさんやアルコンさんたちは呪文の詠唱を始める。

 俺の背中でもアルテが詠唱を開始している。

 

『手に持っているものを落としなさい!』

 

 俺から出たタウさんが《声の加護》で命令を下す。

 だが効いたのは僅かに二人だけ。

 その二人はアーベルさんとロウブさんによって即座に切り伏せられたが、その他の面々は一瞬動きが鈍った程度で耐えている。

 

「キャハハハハハハ! ソレは見せて貰ったカラネ! 対策をしてないわけナイデショウ?

 地球でも言うそうジャナイ、『知は力なり』ってネ!」

「くう!」

 

 悔しそうに顔を歪めるタウさん。

 ならこれはどうだ!

 右拳を天に突き上げ、肘から先を右回転! 拳から先を左回転!

 その相乗効果で生まれるのはジャイロ効果による破壊の流星!

 食らえ!

 

「ブレイキング・マグナムッ!」

 

 拳を撃ち抜く動作から放たれる右のロケットパンチ。

 「勇者獅子王ラオライガー」の武装の一つ、ブレイキングマグナム。

 左のプロテクションシェードと攻防の対を成す攻撃兵器。

 それはエネルギーの膜に覆われて楕円軌道を描き、火花散らすガイガーさんと執事さんを越えてダー・シを狙う。

 無論ダー・シも無防備ではない。

 

KA-HN(カーン)!」

 

 印を組んで短く呪文を唱える一トンデブ。

 それはダー・シ周囲の防御結界を強化し、俺の拳をはね飛ばす――はずだった。

 

「な、ナニ!?」

 

 ひょっとしたら初めて見たかも知れない、ダー・シの驚愕の顔。

 結界にはじき飛ばされるはずの俺の拳はその表面に吸い付くように残留し、それどころか掘削機のように少しずつ防御結界を削っていく。

 これが使い慣れたデモゴディのロケットパンチではなく、ラオライガーのブレイキング・マグナムを選んだ理由。

 通常なら弾かれ、あるいはエネルギーを相殺されるバリアに対して継続的に食らいつき、それを穿孔してブチ抜くブレイキング・マグナム固有の特性。

 ぴしり、と防御結界にひびが入るのが魔力視覚に見える。

 次の瞬間、俺の右拳が顔面に直撃した。




>「胸から火を吹く巨人」
マジンガーZのミケーネが使っていたとされる伝説の巨人像。
原作漫画や初代アニメのイメージの中にちょろっと登場するだけのロボだが、真マジンガーでドクターヘル軍団の戦力として登場した。
作中では中に機械獣が入っていたが、スパロボではそれ自体が雑魚敵として大量に登場する。

>立山闇深先生の「サンダー大帝」
横山光輝「サンダー大王」。
ギリシャかローマの戦士のような巨大ロボで、アトランチスの守護神。
同作者の「マーズ」に先駆けて地球破壊爆弾もどきを内蔵したロボ。

>おらぱらいそさいくだ!
おらといっしょにぱらいそさいくだ!
前にも名前の出たカルト漫画家諸星大二郎による「妖怪ハンター」シリーズの一篇、「生命の木」に登場するセリフ。
知恵の実ではなく生命の実を食べた人間の子孫(死ねないのである程度生きると自動的に地獄に落とされる)を救うための、「もう一人のイエス・キリスト」のもの。

>戦争をやめろ
遊星仮面という、白黒アトムと同じ位古いテレビアニメ。

>カーン
攻撃をカーンと弾き返す・・・ではなく、サンスクリットで「不動」を示す言葉。
オカルト方面好きな人は不動明王の梵字として知ってるかも。
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