異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

402 / 415
第五十話 攻防

 回転する拳がダー・シの顔面に着弾する。

 普段人間相手に使っている手加減したやつじゃない。

 本気で撃ったブレイキング・マグナムだ。

 人間であれば、いや、青等級くらいであっても頭をそのまま砕いて貫通するくらいの威力はあった。

 だが。

 

「!?」

 

 驚きの気配があちこちから上がる。

 俺の拳は確かにダー・シの顔面に着弾し、撃ち抜いた。

 顔面はひしゃげ、頭部は潰れて首が後ろに90度以上折れる。

 

 信じられないのはその後だった。

 奴の体はゴムででもあるかのように復元し、ぶるんと震えて元に戻る。

 ブレイキング・マグナムが俺の腕に戻ってくるのと、奴が哄笑するのが同時。

 

「さすがネエ! 驚いたワヨ・・・ほんのチョッピリ、ネ。

 それじゃ今度はワタシの番ネッ! 『DEI-BA(デイバ)!』」

「うげっ!?」

 

 悲鳴が上がる。

 詠唱に応じて現れたのは、半透明のヒルというか寄生虫というか、「(むし)」としか言いようがない、気持ち悪い代物。あかん、「寄生虫ハオー」って単語が脳裏に!

 ダー・シの親衛隊ですら顔を歪めていた。

 一トンデブが嗜虐的な笑みに顔を歪める。

 

「行きナサイッ! ・・・ナニッ!?」

 

 ダー・シが手を振り下ろした直後、俺達の方に向かってこようとしていた半透明の(むし)たちが、前触れもなく空気に溶け込んで消える。

 俺の中で荒い息をつくアルテ。

 どうやら彼女の仕業らしい。すごいよアルテさん!

 

「驚いたワ。まさかワタシの術に対抗呪文(カウンタースペル)を合わせられる術師がマダいるなんテ・・・そう、あの怪力お嬢ちゃんネ? ヤッパリただの《怪力の加護》じゃなかったワケダワ」

 

 解説どうも! それじゃ今度はこっちの番だぜ!

 ・・・!?

 

「言ったデショウ。知っていれバ対策は取れるノヨ」

 

 今度驚愕を浮かべたのは俺。

 にまりと笑ったのはダー・シ。

 何をやったかはわからないが、俺の手はそれだけで封じられた。

 

(多分《対転移結界(フォビッド・テレポーテーション)》の呪文だと思う。

 あの殺人事件が起きた宿屋にかかってたやつ・・・古代魔法文明ではそこそこメジャーな呪文だったけど、まさかまだ使える人間がいるなんて)

 

 俺が何をしようとしてたかというと、セイウンザーの力で短距離テレポートして直接打撃をぶち込もうとしていたのである。

 セイウンザーの剣や丸ノコもあれば、ラオライガーも近接戦闘特化だ。術師なら接近戦は弱いはずと思ったが、完全に対策を打たれた格好。

 

 しかしテレポート封じなんて、テレポートの呪文を使える人間が普通にいるからこそ有用なわけで。

 使用者が世界中探しても数十人しかいないこのご時世じゃ、マイナーすぎて使い道のないレベルだろう。

 そんなマイナー呪文まで完全に使いこなせるって、この一トンデブ、どれだけ研鑽を積んでるんだ――!

 

「イイワ、イイワ、その表情! ズッキュンキチャウッ! それじゃ今度はこっちの番ネッ!」

 

 ボハボハボハ、と哄笑しながらまたしても呪文を詠唱するダー・シ。

 

Iiiii(イー)!」

(~~~!)

 

 目もくらむ稲妻が奴の手から放たれ、こちら側の全員に襲いかかろうとする。

 アルテの対抗呪文がそれを相殺すると同時に俺の目からほとばしる豪子力の光。

 素早く防御呪文を組み上げたダー・シによって光線はねじ曲げられ、天井を灼き貫く。

 

 そうして俺(及びアルテ)とダー・シがなんとか互角に戦っているその中間、ガイガーさんと執事の人によって絶技の応酬が続いている。

 ガイガーさんの剣と執事さんの拳が火花を散らす。

 よくよく見てみれば執事さんの肘から先には魔力のコーティングが施されてあり、オーラ=余剰魔力が見えにくいって事は、つまりよほど圧縮・高効率の術式か《加護》を使っているんだろうなってことで。

 やはりただ者ではないこの執事。

 

 その周囲では他の面子と親衛隊とのガチンコバトルが続いている。

 最初にラファエルさんの《笑いの加護》が通ったやつ、タウさんの《声の加護》で隙を作って無力化した奴、戦闘が始まってから後ろの扉が開いて加勢しに来たけど、天井に張り付いていたアーベルさんにさっくりと倒された奴。

 そうした連中を差し引いてもまだ二十数人、こちらの倍くらいの人数が残っている。

 最大戦力である俺とダー・シ、ガイガーさんと執事の人がそれぞれ膠着状態である以上、この数の差は圧倒的なディスアドバンテージとして俺達にのしかかる。

 

「サンダースウォード!」

 

 三対一、相手の攻撃を肩鎧と盾、兜の側面で受け流すという曲芸めいた芸当で一瞬の余裕を作ると、溜めからの雷撃をカオルくんが放つ。

 親衛隊の半数以上を巻き込むものの、即死させるには至らない。二対一でこちらを攻めていた他の親衛隊がフォローに入り、後衛の治療呪文を受けてまた立ち上がる。その繰り返し。

 恐らくはよほど性能の良い対雷撃術式なり魔道具なりを装備している。

 破魔の力を持つサンダースウォードであるから、相手のかけている強化(バフ)呪文を解除して相手の手数を減らす効果もあるのだが、千日手に近い状況だ。

 自分に強化をかけて奮戦するヴィナさんや、周囲に目を配って適切なフォローをするアーベルさん、治療呪文で立て直すオブライアンさん、その他のみんなが全力を尽くしているが、それでも押しきれない。

 シルヴィアさんは防戦一方だし、ロウブさんも三対一でギリギリだ。アルコンさんも二人相手によくやってるが、アーベルさんたちのフォローがあってなんとか持たせてるレベル。じり貧だ。

 このままじゃ・・・うん?

 

「ぐあ!」

 

 アーベルさんが鎧の隙間に短剣の切っ先を突き込む。

 

「がっ!」

 

 カオルくんが強引な盾の体当たり(シールドバッシュ)で一人を崩すと、動揺して連携の崩れたもう一人が剣を突き込んでくる。

 それを腕ごと切り落とすカオルくん。腕を切られた男が邪魔になって、カオルくんを囲んでいた最後の一人は対応出来ない。

 シルヴィアさんの弯刀が相手の足を切り裂く。

 体勢を崩していたヴィナさんが、連携の取れた攻撃を綺麗にかわした。

 明らかに、少しずつだが流れが変わっている。

 だが何故だ?

 




>寄生虫ハオー
バオー来訪者。ジョジョの人がその前に書いてた変身超人バトル。
「寄生虫バオー」によって超生物へと変身する青年と予知能力を持つ少女の物語。
ジョジョのゲームにまさかのゲスト出演した時は狂喜乱舞した。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。