異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第五十一話 死兵

「フィン・ファン・ビット!」

UH-NN(ウーン)!」

 

 放熱板を折りたたんだような、六機の白いドローンが宙を舞い、粒子ビームの咆哮を吐き出す。

 ダー・シの呪文に応じて現れた、黒い禍々しい霧・・・あるいは実体のない羽虫の群れのような何かがこちらに殺到してくる。

 あれに触れたら間違っても楽しいことにはならないだろうなあ!

 ビームの光が黒い霧を切り裂き、相殺する。

 くそう、相性の悪い武器を選んじまった!

 

(~~~~!)

 

 アルテが術を発動し、

 そうして俺達が戦っている間にも、全体ではジリジリと俺達が押し始めてる。

 

「コノ、鬱陶しいお嬢ちゃんネエッ!」

 

 ダー・シが吼える。

 お嬢ちゃん?

 それで気付いた。俺の中から何かが発せられてる。

 これは・・・リタか!

 

(・・・)

(念話よ、これ!)

 

 アルテの声。

 いつの間にか目を覚ましてたリタは、《加護》を使って相手方だけに話しかけてたのだろう。

 当たり前だが耳元で絶え間なく声がしていたら、相手は集中を崩される。

 その僅かな集中力の欠如が、僅差でこちらに流れを呼び込んでいたわけだ。

 ささやき戦術やな!

 

 一人、また一人と親衛隊が倒れていく。

 アーベルさんの投げナイフが刺さり、後衛の術師が悲鳴を上げて倒れた。

 

AKI-SHBI(アキ・シュビ)!」

 

 ダー・シが術を発動する。俺達への攻撃のためではない。

 配下に精神障壁を張るためだ。

 だがその分、俺とアルテへの対応が一手遅れる。

 

「フィン・ファン・ビット!」

 

 再び放たれる、純白の攻撃用ドローン。

 だが今回の目標は奥に鎮座する一トンデブではない。

 その手前の親衛隊、特に前衛のフォローをしている術師たちだ。

 

「ぎゃっ!」

「ぐっ!」

「チィッ! KI-RIEK(キリーク)!」

 

 無数の光弾が現れ、ドローンに襲いかかる。

 さすがに回避しきれず全て撃墜されてしまったが、その時には既に後衛全員と、前衛ひとりが倒れていた。

 前衛の数はそれでもこちらが少ないが、負傷治療や強化・妨害。体勢を崩したときのフォローなどをする人員がいるといないとでは継戦能力に雲泥の差が出てくる。

 当然あちらも腕利き揃いだが、僧侶も魔法使いもなし、戦士四人で大魔王に挑むようなものだ。

 

「ホントヤルわねっ! アナタたち、可能な限り足止めシナサイッ!」

「「「「はっ!」」」」

 

 一糸乱れず答えを返す親衛隊たち。

 天井が開いてダー・シの円盤がそこに飛び込む。

 待ちやがれ! 思い切り良すぎだろそこ!? 集団回復呪文くらい使えるんだろうが! 豪子力ビーム!

 

「キャハハハハハハ! 損切りッテ奴ネ! 勝つためニハ必要な一手ヨ!

 私はクリエ・オウンドに行くから追ってきなサイ! 追ってこれるものならネッ!」

 

 豪子力ビームも防御呪文によって防がれ、肉塊の姿は穴の中に消えた。

 同時に天井の穴はふさがり、重いシャッターの閉まる音もする。

 くそ、あれじゃ簡単には追えん!

 

「損切りだってさ。あんたら見捨てられたんだよ。分かってんのかい?」

 

 一方でシルヴィアさんがいつもの口八丁で降伏、そうでなくても士気低下を狙うが、連中無言で斬りかかって来やがった。

 しかもその切っ先にはいささかの動揺もない。ガンギマってんな!

 

 

 

 それからしばらく、死兵と化した親衛隊との死闘が繰り広げられた。

 文字通り全員が死ぬまで。

 中でも最後まで戦ったのはやはりあの執事さんで、他の面子が介入する事も出来ず、アルテとヴィナさんの強化呪文があってようやく決着がついた。

 そうだ、周囲の戦闘は!?

 

「・・・止まってはいるね」

「くそっ!」

 

 固い顔のカオルくん。

 悪態をつくシルヴィアさん。

 他の面子は呆然として声もない。

 確かに周囲の戦闘は収まっていた。

 戦える人間がほとんど残っていないから、残された人間に戦う余力が残っていないから、という理由でだが。

 

「・・・生き残ったのは一万くらいでしょうか?」

「多分な」

 

 感情のない、オブライアンさんとアーベルさんのやりとり。

 悔しさに拳を握る。

 

(・・・ハヤト。今は)

 

 ああ、そうだな。

 奴を追わなくちゃ。そして止めるんだ。

 

『どうかしらネエ? もう間に合わないワヨ?』

 

 スピーカーから響くこの声は!

 ほとんど同時に軽い震動が走る。

 

「見ろ!」

 

 誰かが叫んだ。

 ほとんど全員が反射的に左の窓を見る。

 魔導機械の巨人、古代戦士達の瞳に光が灯っていた。

 

「何だありゃ!?」

 

 巨人たちが動き始める。

 歩き始めた、というよりはベルトコンベアで運ばれていく感じ。

 群れが二つに割れて、それぞれ格納庫の端に移動していく。

 良く見ると格納庫の端に達した機体は電磁カタパルト?のようなもので上に打ち上げられていく。

 ちょっとどいて! マシンフォース! 大回転ロケットパンチ!

 

 凄まじい音がして黄金の流星が二条、窓に突き刺さった。

 それでも窓は破れない。ひびが入りはしたが、ブチ抜くには程遠い。

 チェンジジェッターII(ツー)! ジェッタードリル!

 だがジェッターIIのドリルも、ほとんど窓の材質に食い込むことはない。

 アルテ、これぶち壊せないか!?

 

(ゴメン、無理っぽい! 直接物理関係はあんま得意じゃないみたいなの!)

 

 よくわからないがだめそうだ。

 そうしている間にも古代の巨人戦士は射出されていく。

 全ての機体が格納庫から消失したのは、それからすぐのことだった。

 そして最後の機体が射出されると同時に扉とシャッターが閉まる。

 直後電源が切れ、部屋が真っ暗になった。

 ここまであいつの仕込みか! 性格悪いなあの野郎!

 

「まあダー・シ閣下だし・・・」

「そう言う人だからな・・・」

 

 同国人どころか家臣(アルコンさん)にまで言われる魔導君主ェ・・・

 とにかく追わないと。

 アルテ、テレポート出来るか?

 

(ダメみたい。まだあいつの結界が残ってる・・・っていうか、この地下施設そのものに転移禁止が施されてる感じ)

 

 そうなると普通に施設通って脱出するしかないか。くそ!

 とにかく扉ぶち破らないとな!

 チェインジ・真ジェッターロウコ! 天命踏破・紅蓮羅漢! ダブルドリル!

 螺旋の力にジェッター線の力を加えた究極のドリルを見よ!

 

「エグザ・ドリル・ブレイカーッ!」

 

 古代王国製の超素材を、俺のドリルが突き破った。




>ささやき戦術
故・野村克也監督が現役時代に得意とした戦術。
バッターに聞こえるようにあれこれ言って集中を乱す。
野村さんの場合は相手の下半身事情とか、ピッチャーの母親が見に来てるから手加減してやってくれとか、そう言うえげつない個人攻撃にまで及ぶ。バットで殴られたことがあるそうだがまあ残念でもなく当然w
ちなみにハヤトたちが召喚された時点ではまだご存命。

>エクサドリルブレイカー
ゲッターロボxグレンラガン、つまりギガドリルブレイカーのギガ(10億)の自乗でエクサ(100京)。
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