異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第五十三話 光の戦士たち

 グラン・ゾント! 俺の魔力がグラン・ゾント!

 などと魔法を光らせてばかりいる訳にも行かないので、よろしい、説明しよう。

 上空からあの巨人軍団を視認したとき、クリエ・オウンドの中央、丘の上に立つあれが目に入ったのだ。

 建築物・・・もっと言えば機械で出来た巨大な顔。

 

 その時ひらめいた。

 魔法労働ロボアニメ「魔働機士アースゾート」。

 野営その他で水を出すときにいつも使っているウォータービートの原作アニメだ。

 この作品の特徴は、当時流行していたSD体型ロボであること。名前通り魔法で動いていること。そして、「巨大な顔が変形してロボになる」ことである。

 

 もう分かるだろう。

 俺はグラン・ゾントを主役メカになぞらえて、「でかい顔みたいな建築物」を「アースゾート」に変形させたのである。

 もちろんそのためには膨大な魔力が必要で、かしこいアルテさんと師匠とオブライアンさん、後魔晶石を全部ぶち込めばどうにかなるか?と思っていたのだが・・・まさかこの建物自体に魔力集積能力があったとは嬉しい誤算だった。

 原作アースゾートそのままではなく、あくまでグラン・ゾントを元にした変形ロボだが面影はある。巨大な魔法装置であるこれを取り込んで全長800mのロボにした今なら、数百体の巨人兵士達とも互角に渡り合えるだろう。

 おっと、「顔からロボになるのはいいけど、なんの意味があるのその変形?」は禁句だぜセニョール。

 

「グラン・ゾント!」

「我らが守護神!」

「この街を守ってくれ!」

 

 気付くと、足元に無数の人々が集まっていた。

 そうだな。この人たちの命は俺にかかってる。

 百万の人々を奴のクソみたいな野望の生贄にはさせない――!

 ぐっ、と拳を握ってみせると歓声が上がる。

 ジェットを吹き出し、身長800mの巨大魔働機士が宙に舞う。

 更に大きくなった歓声を背に、俺は巨人兵士達に向けて飛んだ。

 

 

 

 クリエ・オウンド北方10kmほどのところで俺は巨人兵士達と対峙した。

 連中、俺が巨人兵士達を追い越したあたりで疾走をやめ、隊列を組んでゆっくりとした前進に切り替えたのだ。

 

『ハヤト、魔導遠話が入ってる』

 

 そんな機能あるの!? いや、魔法文明時代の建築物だからそりゃあるか。

 ちなみにアルテは今もグラン・ゾント内部で魔力炉の調整や受信機能の操作をやってくれている。

 サブパイロット・・・いや、フォースターストーリーズのファリィマやな!

 ファリィマは全員スマートな体型だってところが問題だけどなHAHAHA!

 

『ハヤト?』

 

 いえ、なんでもありません!

 繋いでくれ!

 

『本当に全くもう・・・』

 

 ぶつくさ言いながらも繋いでくれるアルテさんかわいい。

 

『うるさい! つないだわよ!』

 

 うーん赤くなってるのが容易に想像出来る。後が怖いからこれ以上は言わないけど。

 後アルテ、ごにょごにょ。

 

『? なんの意味があるの? まあできるけど』

 

 よろしくー。

 さて、通信の内容はと・・・

 

『キャハハハハハハ! お元気ィ!? いや、別れたばかりだけどネッ!』

 

 いきなり視界全体に出て来たのは笑う肉塊。

 ロボットじゃなければ間違いなく吹き出していた。

 慌ててピンチ操作(ほら、ウィンドウを指二本でつまんで小さくする奴)で小さくした上で視界の端っこに移動させる。

 心臓止まるかと思ったぞ・・・!

 え、ロボの状態でピンチ操作とか出来るのかって? イメージだよイメージ。

 それで何の用だ肉マン野郎。

 

『ヤーねえ、そう睨まないでヨ。何しろ今回ばかりは本当に驚いてるんダカラッ!

 まさかグラン・ゾントをそのまま巨人にするデスッテ? コレだから、オリジナル冒険者族は飽きないワネッ!』

 

 甲高い笑い声を上げるダー・シ。

 だがそんなおしゃべりにつきあえる気分じゃあない。

 質問は一つだ。

 何故クリエ・オウンドを狙う?

 

『アラ、ハヤトくんには話したデショ? 神になるためヨ』

 

 それは察しが付く。

 クリエ・オウンドで何をするつもりだ?

 そう言うと、画面の中のダー・シがニマアと笑みを浮かべた。

 

『そちらも察しは付いてるンジャナイ? ミュケーナイの丘でやったコトを、もっと大規模にやるのヨ。

 さすがに百万ともなると、そのために必要な魔導機器が用意できなくてネエ。

 ズット探してたのを、一年くらい前にようやく見つけたのヨネ』

 

 アルコンさんたちの仲間のヴィットゥさんが見つけたって、あの裏金使って調査してたわけか。

 それを潰すために、あの狂言暗殺を仕組んだんだな。

 

『そう言う事ネ。本番の間近ダッタシ、騒がれたらマズかったノヨ。

 最終的にはアナタたちが帳簿を見つケテ、こりゃショウガナイワネってコトで、急遽スケジュールを繰り上げたワケ』

 

 やっぱりあの出兵は「プランBだ!」だったわけか。

 俺達の行動がこのデブを刺激しちまったんだな。

 

『正解。

 アナタタチが協力してくれれば、こんなコトにはならなかったのにネエ?』

 

 人に責任を転嫁しようとするな。

 こう言う状況になってるのは全部お前の行動と選択の結果だ。

 因果応報だよ。

 ボハボハボハ、という笑い声。

 

『マアそうネッ! 多くの人間ヲ巻き添えにしたのは悪いことダモノ!

 地獄というものがあるナラ、ワタシは間違いなくソッチ行きデショウネッ!』

 

 ・・・分かってるのに止まらないのか?

 

『止められナイわねエ。

 悪い事だというノハ分かってるワヨ?

 それで犠牲にナル人達に申し訳ナイと思う程度の良心もアル。

 デモネェ、もう止まらナイ。止められナイノヨ。

 ダカラ』

 

 そこでダー・シは言葉を切る。

 

『止めたいナラ、力ずくで来なサイ』

 

 饅頭のような顔がばっくりと裂ける。一面の鋭い牙がずらりと並んだ口。

 それを最後に映像通信は途絶えた。

 




>なんの意味があるんだあの顔変形
オモチャ会社の人が「未来惑星ザルドス」の空飛ぶでかい顔ザルドスから思いついたらしい。
直接は関係ないがメカデザの大河原先生も「ガラット」や「オモロイド」を引き合いに出して、「たまにああ言う変形ギミックデザインしてみたくなるんですよね」みたいなこと言ってた。

>フォースターストーリーズのファリィマ
永野護、ファイブスターストーリーズのファティマ。
ロボット制御用の少女型生体コンピューター。
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