異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

41 / 415
第七話 マシンフォース

「うおおおっ!?」

 

 巨大な山が吐き出す巨大な噴火。TVですらほとんど見ない光景に思わず精神集中が途切れかかる。体のラインが揺らぎ、腹の中のアルテ達が落っこちそうになるのを慌てて制御を取り戻す。

 

「けどそれにしても・・・」

 

 改めて後ろを振り向くが、やはりとんでもない。

 テレビで見てさえ迫力だったが、それが目の前で起きているとなると緊迫感が凄い。

 !? やばい! 火口の中に溶岩が溜まっている! このままだと溶岩流や泥流が町に来る可能性が・・・!

 

(小僧!)

 

 腹の中からペトロワ師匠の声が響く。

 

(領主の屋敷にわしらを下ろせ! 避難を促さねばならん!)

 

「わ、わかりました!」

 

(あたしは顔役のところだ! 領主は当てにならないかもしれないしね!)

 

「はいっ!」

 

 こっちはシルヴィアさんだ。顔役というのはつまりヤクザの親分で、カオルくん曰く前近代的な世界だと町の互助組織のトップという性格も強いとのこと。実際江戸時代にはヤクザの親分が火消しや十手持ち、つまり消防や警察を兼ねていることも結構あったのだそうだ。

 こう言う連中は町の芸能関係も仕切っているから、シルヴィアさんも興行の前に挨拶回りに行く。なので面識はあるし、結構気に入られたとのこと。

 取りあえず近かった領主の屋敷の方に飛び、すぐに到着する。

 

(よし、わしとガイガーを下ろせ)

 

「わかりました・・・あっ」

 

(あっ)

 

「「「「「「「「ああああああああああ~~~~~~~~~~~~~っっ!?」」」」」」」」

 

 下ろそう、と意識した瞬間俺の腹が開く。響く悲鳴。

 そうだそうだよ、今俺爆撃機ロボなんだ! 腹の中のもの下ろすって言ったら爆弾投下なんだよ!

 などと考える暇もなく、悲鳴を上げてみんなが落下していく。

 

「~~~~!!」

 

 こちらも悲鳴のような師匠の呪文が響き、みんなの落下速度がぐんっ、と緩やかになる。

 ほっとして俺もみんなの後を追って着陸した。

 

 

 

「痛い・・・」

「それ位で済んでありがたいと思えよお前? あんな高いところから放り出されて、最悪俺とガイガーの旦那以外死んでたぞ」

「はいすいません・・・」

 

 着陸した後、みんなにボコボコに殴られた。はいすいません、俺のミスです。でもちょっと力入れて殴り過ぎじゃないかなあ!? というか100mくらい高度あったのに生き残れるんですねアーベルさん!

 なおこの場に残っているのはアーベルさんとラファエルさん、オブライアンさんにリタ、俺とアルテとカオルくん。ペトロワ師匠とガイガーさんは領主の館に殴り込み(衛兵が入れてくれなかったので実力行使になったのだ)、シルヴィアさんは顔役のところに走っている。

 間に合えばいいけど、そう考えて山を見上げる。既に溶岩弾が町にいくつか落下し、悲鳴や火の手が上がっている。こっちも余り時間はない・・・

 

「・・・!」

「どうしたの、ハヤト・・・っ!」

「うわっ・・・」

 

 火口から真っ赤に光る溶岩が溢れ出してきていた。

 魔王山の前面を覆い尽くして真っ赤に輝き、まっすぐにこの町を目指している。

 今はまだてっぺんから2割か3割ほどだが、今から呼びかけて避難しても絶対に間に合わない!

 

「ハヤト!?」

「ハヤトくん!」

 

 思わず俺は山に向かって駆けだしていた。

 町の大通りを全速力で走る。

 火口内を全力で走り、その後みんなを運んで疲労困憊しているはずなのに、体の奥から力が湧いてくる。

 

 確信はない。

 確証もない。

 けど、だからってそれは何もしない理由にはならない――!

 

「マシン・オン!」

 

 無意識に俺は叫び、光が俺の体を包む。

 次の瞬間、俺は三たびデモゴディΣになっていた。

 

 

 

 町の大通りを全速力で駆ける18mの鋼鉄の巨人。

 地震以上の震動に人々が目を覚まし、驚愕の目でそれを見上げる。

 

 時速360km、秒速100mであっという間に町外れまで駆け抜ける。

 見上げる魔王山は相変わらず火を吐き出し、よだれをこぼすようにダラダラと溶岩が流れ落ちてきている。

 既に赤く輝く奔流は山の半ば程まで達していた。

 あれをどうにかできるんだろうか、そう言う考えは全く頭に浮かばなかった。

 ただひたすらに自分の全力を解放する。

 

『マシンフォース・スタートアップッ!』

 

 俺の、デモゴディΣの全身が発光する。

 夜の闇の中、溶岩に立ち向かう輝く巨人。

 それはまるで神話の一コマのようにも見えただろう。

 

 マシンフォース。

 デモゴディの豪子力エンジンを一時的に最大活性化し、出力を一点集中する特殊機構。

 そのエネルギーを今集中するのは・・・

 

『ビームフリーザー・マキシマム!』

 

 デモゴディの両耳に当たる二本の角から、巨大な二筋の光線が発射される。

 溶岩が赤く輝く奔流なら、最大出力の冷凍光線は白く輝く怒濤。

 空気中の水分を瞬間に凍結させたダイヤモンドダストを振りまきつつ、魔王山の山肌全体を白く凍てつかせていく。

 赤い溶岩が光を失い、凍結して月明かりに白く反射する。

 

 五分か、十分か、それとも三十分以上か。

 白い怒濤が山肌に浴びせられ続ける。

 それに伴って徐々に山の噴火が収まり、噴煙もか細くなっていく。

 

 噴火と震動がほぼ停止する。

 デモゴディの最大出力ビームフリーザーが、内部の溶岩と水蒸気ごと、山を凍結したのだ。

 それと同時に光り輝く巨人は姿を消し、後には倒れた俺だけが残った。

 

 

 

「知ってる天井だ・・・」

 

 はい、二度あることは三度ある、お約束のギャグでございます。

 お馴染みのテントの中で寝かされていた俺が目を覚ますと、リタが嬉しそうに覗き込んできた。アルテとカオルくんと三交代で看病をしてくれていたらしい。

 すぐにみんながやってくる。

 

「ハヤト! よかったあ・・・」

「ほんと心配したよ。ペトロワ先生は大丈夫だって言ってくれたけどね」

 

 はい、ご心配をおかけして申し訳ありません。

 でもあのときはああするしかなかったんや!

 

「でもまあお手柄さね。町では光の巨人が魔王から町を救ってくれたって大評判だよ。

 名乗り出て正義のヒーローになってみるかい?」

 

 すいません勘弁してつかぁさい。わたくし根っからの小市民ですので!

 後その言い方だと巨大ロボじゃなくて宇宙の彼方の光の星からやって来た宇宙人ヒーローみたいに聞こえます! この世界の人に言っても何のことだかわからないだろうけど!

 

「つくづく感情に左右されすぎるのが玉に瑕な《加護》じゃのう。カオルのように安定して使うことができればええんじゃが」

 

 だってオラは人間だから・・・カオルくんみたいな天才じゃないから・・・後光の星の巨人でもそう言う時しか変身できない人、確かいましたね。

 

「でもできる事はハヤトくんの方が凄いし、一長一短ですよ」

「つまりハヤトはいざというときにしか役に立たない男なんだな」

「アーベル!」

 

 やめて! 赤いダイヤの特撮ヒーローみたいな言い方は! 割と事実なだけに傷つく!

 俺は泣きながら布団をかぶって丸くなったのだった。 




今回イメージ元にした映画が「ダンテズ・ピーク」という火山噴火パニック映画なのですが、それの元になった事件がセントへレンズ大噴火と聞いてちょっと驚きました。
まさかの悪魔超人w
まあ魔王の峰ってタイトルも永井豪の「魔王ダンテ」からの連想ですけどw
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。