異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「それで、アルテの血を吸ったクソ野郎がどこにいるかわかるのかい?」
「恐らくは次の町の近辺じゃな」
「・・・」
眉を寄せ、互いの顔を見つめるペトロワ師匠とシルヴィアさん。
アーベルさんやガイガーさんも同様だ。
いや、ガイガーさんは全く表情が変わらないので何かそんな気がするだけだけど。
「誘われてるってことかい?」
「可能性はあるの」
えーと、遠くに逃げたりせず、逆にこっちに襲いかかってくるでもなく、場所だけ教えて放置してるって事?
「ハヤトにしちゃ鋭いじゃねーか。まあばーさんの術に気付いてないって可能性もあるが・・・」
心ないお言葉ありがとうございます。
「手際を見た限り、あやつはかなりの術師じゃ。その気になれば自分の存在を魔法的に隠匿することもできるじゃろう。そう言うのは手応えで何となくわかるが、少なくともわしにはそれが感じられん」
ペトロワ師匠が凄い術者だってのは俺だけじゃなくて、この面子の共通認識だ。
それを手玉に取れるとなったら、それこそ神話に出てくる
「そう言えば今更ですけど、この世界吸血鬼っているんですね」
「あたしらも流石に見るのは初めてだけどね」
シルヴィアさんが溜息をつく。
ペトロワ師匠の説明によると、この世界でも吸血鬼っていうのは俺達の世界のそれと大体変わらない。血を吸う、不死身、怪力、太陽の光に弱い。
「十字架とかは?」
「聖印は・・・まあ
「じゃあニンニクも駄目そうですね」
「いや、それは有効じゃぞ」
え、マジで?
「あいつら犬並に鼻が利くから、強い匂いを放つものには総じて弱い。まあちょっと苦手という程度ではあるが、新鮮で強い匂いを放つものなら、ニンニクに限らず牽制くらいにはなるかの。すり下ろしたショウガとかニラとか刻みタマネギとか」
そんな理由かよ! 熊避けスプレーかよ!
芳香剤撒いたら撃退できそうだな!
まあそれはこっちにおいといて。
「問題なのは・・・多分あれは"
「真祖? 他の吸血鬼に血を吸われたんじゃなくて、自分で吸血鬼に成り上がったとかそういう?」
「ほう。小僧は時々妙なことを知っておるの」
親が両方オタクだったんでそっち方面の知識を自然と覚えただけです、サーセン。
「まあ大体その通りじゃが、この世界における"
かみのそうねんのかけら? すいません、そこのところもっとくやしく。
「詳しく、ではなくか?」
すいません、スルーして下さい。
「? まあいいが・・・まあ簡単に言えば神は精神的・霊的に巨大な存在じゃ。
ゆえに巨大な力を持つわけじゃが・・・巨大ゆえに、ちょっとした身じろぎや無意識の行動が地上界の何かに影響を与えてしまうこともある。
『神の想念の泡』『神の夢』などと呼ばれる事もあるな」
「神様が寝返りを打つとダンジョンが出来る、などと言いますぞ」
「そんな感じじゃな。無意識に漏れた神の心象が物質界に働きかけ、ダンジョンという形で吹き出すんじゃ。ゆえにダンジョンはいつどこに出来るかわからぬし、漏れた想念によっては攻撃的なモンスターがダンジョンから地上にあふれ出てくることもある」
何それすっげえ迷惑。
「まったくの。神にまでなっておいて・・・と思う事もあるが、奴らは奴らで仕事をしておるから文句をつけるわけにもいかん」
「創造の八神が旅立った後、世界の管理は《百神》に任されましたからな。ワガハイども妖精も、元はそのお手伝いのために作られた種族なのですぞ」
バイオリンを弾きながら語るラファエルさん。そう言えば前にそんなことを聞いたなあ。
あ、とカオルくんが手を叩いた。
「そうか、神様というのは巨大な情報生命体なんですね? 情報はエネルギーだから、それが巨大すぎると実際の物質にも影響を与えるんだ」
「・・・!」
ペトロワ師匠が目を丸くした。
感心した口調で何度も頷く。
「その通りじゃ。まさか向こうにもその様な概念があるとはの。ニホンの文明はやはり侮れんわい」
「いや、聞きかじりですから・・・」
照れるカオルくんに向けられる優しい目。
「そう謙遜せんでもよい。まあ話を戻すぞ。ダンジョンやモンスターはそうした影響の最たるものじゃが、同様の現象に"
簡単に言えばダンジョンは神の想念が土地に作用したものじゃが、それが直接人間に作用すると"
怪人かー。俺巨大ロボのパイロットだから畑違いなんだよなー。
特撮ヒーローとかアメコミヒーローとかの分野だろ、それ。助けてスー(ピー!)ーマン!
「ええい、黙って聞け。
で、その中でも
問題なのが奴らの持つ吸血衝動で、魔術や強い意志でそれをこらえられる者もおるが、大抵は衝動に負けて人の血を吸う。そうなると後はもう一直線じゃ」
もう、手のつけられない怪物になっちゃうって事ですね・・・
「わからないんだけど、そいつがもしそんな凄い奴だったら、何であたし達を狙うの?
あたしたちただの芸人だよ? まああたしの《加護》は結構強めだけど、それにしたって探せばいくらでもいるでしょ」
話によると、奴はあの晩いきなり女子組のテントに中に押し入ってきたらしい。
中にいたのはアルテ、リタ、カオルくん。
カオルくんが咄嗟に飛び起きて、鞘に入ったままのサンダースウォードで奴を殴りつけた。
奴が怯んだところにアルテが飛びかかり、カオルくんがリタをかばった隙にアルテが血を吸われた。
その後アルテが拳であいつの顔面を陥没させて、後は俺達が見たとおりだ。
「わからぬ。カオルが目当てだったという可能性もあるがの」
「確かに、あんな魔剣をぽんぽこ召喚出来るんだからそりゃあのクソ王じゃなくても欲しいと思うだろうけど」
その場の全員から溜息が漏れる。
結局、何故奴がアルテ達を狙ったのかの答えは出なかった。
「しかし、強力な《加護》っていうならハヤトくんを狙ってもよさそうなもんだけど」
オブライアンさんの疑問に、俺はちっちっち、と指を振って答える。
「そりゃ《加護》の強さなら俺も自信がありますけど、答えは簡単ですよ」
「へえ? 何かわかるのかい?」
オブライアンさんの目が好奇心でキラキラ輝き始める。
「簡単ですよ。奴だって男です。そこがカギですよ」
「というと?」
ちょっと間をもたせてからピッ、と指を立てる。
「血を吸うなら男よりかわいい女の子の方がいいに決まってます!」
「・・・」
「この馬鹿っ!」
自信満々に言い放った俺をアルテの拳がはたき倒した。
ちゃうねん、軽い冗談のつもりやったねん・・・ガイガーさん! 剣の鍔を鳴らさないで下さい! 別にわたくしがリタちゃんの血を吸いたいとか、そういう意味では断じてありません!