異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
第八話 斬魔猿伝
「おおおおおオフィシャルではございませんぞ!」
――機動戦士クロスボーンガンダム――
どんどこどんどこ。
太鼓の音が響く。
どんどこどんどこ。
火が焚かれる。
どんどこどんどこ。
そして狩りの獲物のように棒に縛られ吊り下げられ、くるくる回りながら焼かれそうな俺達。
周囲には最低限の衣服を纏い、粗末な武器を手にした日光猿軍団。
どうしてこうなった。
発端は次の町であるエプススでの会話だった。
「南の森にヴァナラが住んでいるって?」
「ヴァナラってなんです? いや、何か聞いたような・・・」
「えーと・・・ほらあれだよ、オブライアンさんが言ってた、お猿さんの妖精!」
「猿の妖精!?」
西遊記の孫悟空みたいなものだろうか・・・?
「僕達の世界だと、インドの神話に出てくるスーパー猿の一族のことだね。『ラーマーヤナ』で主人公のラーマ王子に協力するんだ。ハヌマーンとか聞いたことない?」
あ、ありますあります。
仏像を盗む奴許さない!って、泣いて謝る敵を巨大化してから踏んづけて殺す奴だよね!
「え、何それ・・・」
あ、カオルくんもアルテもどん引きしてる。
でも実際にそう言う作品あったんや・・・色々な意味で暗黒の象徴みたいな奴だけど!
「まあそれ以外にもそこそこ出てくるから名前くらいは知ってる。ゲームとか漫画とか」
時々猿みたいな美女だったりもするがまあそれはさておき。
「そ、そうなんだ・・・一説によると西遊記の孫悟空や桃太郎の猿も、これの影響で生まれたんじゃないかって言われてるんだ。ハヌマーンが有名だけど原典では他にも色々神の力を授かった猿がいてね、羅刹の大軍相手に大暴れするわけ」
「なるほどなるほど。まあ
ゆったりした音色を奏でながらラファエルさん。
芸能や物語関係の知識だと、ウチの一座ではこの人がダントツに強い。
ドワーフだから妖精関係にも詳しいし、学識や世故にも長けている。
学識ではペトロワ師匠が一番だが世俗のことは一般人レベルだし、オブライアンさんも博識なんだけど、基本学者バカだから・・・
「で、どういう人達なの? 頭の良いお猿さん?」
「ほっほっほ、やはり妖精ですし基本的には人間より頭が良いですぞ。少なくともリタよりは」
「むー」
妖精というのは基本的に人間を強化した種族なので、種族にもよるが大体人間よりは優れているとのこと。
で、
体は人間より少し大きいくらい、柔軟で適応力が高く、多彩な技術を身につける傾向が強い。
優れた
ただ馬鹿正直で個人主義の傾向があり、思ったことを率直に口にして他種族といさかいになることがしばしばある。
反面善良で勇敢で誠実、一度友と認めれば絶対にそれを裏切らない。
「なるほど、素朴な人達なんですね」
「怒らせるとこれほど怖い連中も滅多にいませんが、友とすればこれほど頼みになる者達もおりませんぞ」
「お祭り騒ぎが好きな連中だから、芸人一座に加わってることもあるねえ。魔法を使える奴も多いし」
と、座長。
基本妖精族は自分のテリトリーから出てこないものだが、ドワーフとバグシーの次位には人間の世界で見ることが多い妖精族なのだそうだ。
ちなみに一番見ない種族はダントツでエルフ。
よっぽどのことがない限り外に出てこないし、下手に手を出すと100%キッツいしっぺ返しを喰らうので、交流しようと考える人すらほとんどいないとのこと。
「エルフは
寿命が短く活発な人間族の方が種としては強かったという、良くある話ですねわかります。
それを言ったら「カオルならともかくお前が何でそんなこと理解出来るんだ」って目で見られたんですけど考えすぎですよね?俺の思い込みですよね?
「この町の近くのヴァナラはどうなの? 人間と仲いい?」
「稀に町に出てくるものがいるけど、基本的には没交渉で互いに不干渉だとよ」
「ふーん」
その時はそれで話が終わったんだが・・・もう少し詳しく聞いておけば良かったなあと後悔してもまさしく後の祭りであった。
「シルヴィア、ちょいとハヤトたちを借りていいかの?」
ペトロワ師匠がシルヴィアさんに持ちかけたのは、翌日の午前の興行が始まりそうになる頃合いだった。
「別にいいけどなんだい?」
「うむ。南の森に奇妙な魔力の波動を感じてな。軽く調査に行きたいんじゃよ。
前回の腹の中に他人を飲み込んで空を飛ぶあれで森の上を飛び回ってもらって、ざっと魔力の分布を確かめたい」
「えぇ・・・前回あんな目に会っといて良くやろうって気になるねえ・・・」
宙爆ロボ・Xブロイザーの爆撃機形態で、みんなを爆弾扱いで腹の中に放り込んだあれか・・・すいません! みんなを落っことしたのはうっかりなんです! 言われてもしょうがないけど!
「ちょっと考えてることもあるでの。ラファエルとカオル、アルテも連れていきたいんじゃが・・・小僧、できそうか?」
「んー、まあ大丈夫だと思います。前みたいに重さを消してくれれば」
「わたくしもかですぞ!? いやその、あれはもうご勘弁願いたいのですぞ・・・」
「地脈の異常もありえるんじゃ。そうなるとお主らドワーフの感覚が欲しくての」
「・・・」
珍しく渋い顔になるイケメンドワーフのラファエルさん。
やっぱり空中で放り出されたのがトラウマになってるらしい。
まあドワーフだしなあ。ほんとすいません。
「そこを推して頼みたいんじゃ。何とかならんかの?」
「・・・まあ、前みたいに空で放り出されなければ」
すいません、本当に済みません。
へこへこ謝る俺を見て、ラファエルさんが溜息をついた。
「ハヤトとアルテの出番はトリだからいいけど、ラファエルは早めに返しておくれよ。音楽無しじゃ盛上がらない」
「わかっておる。順調なら30分もかからんわい」
師匠、それフラグ!と今の俺なら言ったかも知れない。
だが悲しいかな後悔先に立たず、痛くなければ覚えませぬ。
そうして腹に師匠たち四人を詰め込み、Xブロイザーとして南の森上空に舞い上がった俺は、十分後謎の光線の直撃を受けて見事撃墜されたのであった。
どんどこどんどこ。
どんどこどんどこ。
「~~~~!」
族長らしい、竹の玉座に座ったヴァナラが杖を掲げる。
「ロケットパンチ! 豪子力ビーム!」
何とか《加護》を発動させようとするが、あの時喰らった光線に妙な効果があったのか、いつもは返ってくる《加護》の手応えがない。
このままじゃほんとにブタの丸焼きにされちゃう! 助けてオビワンケ●ービ!
伊藤勢先生大好きです。
奥さんがモデルらしいハヌマット(ハヌマーン)さま美人過ぎるwww