異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第九話 豚の丸焼きは半日以上遠火で火を通す

 どんどこどんどこ。

 どんどこどんどこ。

 

「やっぱりハヤトと一緒に空飛んだりなんかするのではなかったですぞ・・・」

「今回俺悪くないですよね!?」

 

 いつの間にか起きていたラファエルさんがぼそっとつぶやく。

 そんな事言ってるくらいなら声出して他の連中起こすとか、縄ちぎるとか、怒りの力でパワーアップするとかして下さいよぉ~~~!

 

「わたくし吟遊詩人なので戦士のように力は強くないのですぞ。いくら大地の妖精と言っても鍛えなければ人間とそうは変わらないのですぞ」

「役に立たない情報ありがとうございます!」

 

 そんな風に騒いでいても、他の連中は起きない。アルテにしろペトロワ師匠にしろカオルくんにしろ、彼女らなら《加護》なり術なりで何とかしてくれるのに・・・

 

 そうこうしていると2m位の屈強なゴリラ・・・オランウータン・・・? いや、やっぱり一番近いのは人間だな。そういう猿人間たちが数人、群れから出てきた。

 それが俺達がつり下げられてる棒を両側から担ぎ、運んでいく。運ぶ先は・・・でかい焚き火! いやだー! 丸焼きはいやだー!

 

「・・・うわっ!? 何これ!?」

 

 騒いでいると、ようやくアルテが目を覚ました。

 頼む、お前が頼りなんだ! アルテー! 早く来てくれー!

 

「何言ってるかわかんないわよ!」

 

 言いつつも縄を引きちぎろうとするアルテ。

 ・・・あれ? 普段ならこれくらいあっさり引きちぎれそうなのに、結構苦戦してる。

 それでも縄を引きちぎって暴れ始めるアルテ。

 縛り付けられていた棒を振り回しているが、やはりヴァナラたち相手に苦戦している。

 それなりに強そうな連中ではあるが、ガイガーさんクラスってわけでもないのに・・・やっぱりあの時俺を撃ち落とした光線に《加護》を弱める力でもあったのか?

 

「カオルくん! ペトロワ師匠! 早く起きてくれ!」

 

 もがいて抵抗し、大声を出す! 殴られてつーんと来たがそれでも声を出し続けると二人が気付いた。

 

「サンダースウォード!」

 

 カオルくんの呼ぶ声に応じて雷の魔剣が飛んでくる。

 縄を切り払ったカオルくんは素早く立ち上がると剣を天高く掲げた。

 

「!?」

 

 轟音。閃光。

 ヴァナラの集会場の中央に、極太の雷が落ちた。

 爆発のような雷鳴で耳が馬鹿になり、まばゆい稲光で目がくらむ。

 それが晴れたとき、集会場の中央で立っていたのはカオルくんただ一人。

 

「・・・」

「・・・!」

 

 アルテと戦っていた奴らや、カオルくんに飛びかかろうとしていた連中も静まりかえる。

 

「やれやれ、ようやく大人しくなりおったか」

 

 いつの間にか抜け出していたペトロワ師匠がううん、と伸びをした。

 いいけど早く俺達の縄ほどいてくれません?

 

 

 

「~~~~! ~~~!」

「~~~! ~~~~~~~~!」

 

 現在長らしきヴァナラとペトロワ師匠が話し合い・・・交渉?口論?してる。

 さすが師匠、ヴァナラの言葉も話せるのか・・・。

 

「あー、手が痺れた」

「吾輩もですぞ」

 

 その傍らではようやく縄を切って貰った俺とラファエルさんが手首をさすっていた。

 あいつら随分長いことぶら下げやがって・・・

 

「それにしてもやっぱサンダースウォードすごいねー。何か私普段より力が出ないんだけど」

「あ、俺も。ロケットパンチで縄抜けしようとしたんだけど失敗した。あの時喰らったビームに何か《加護》を弱める力でもあったんじゃないか?」

 

 ああ、とラファエルさんが手を叩いた。

 

「それならサンダースウォードが威力を減じてないのも道理ですな。カオル嬢の《加護》はあくまで剣の召喚であって、サンダースウォード自体は《加護》と関係ないただの物体ですからな。呼ばれたら来るのも剣の力であって《加護》ではございません」

「あー」

 

 なるほどなあ、と頷いていると、いつの間にか長と師匠の交渉に他の偉そうなヴァナラも加わっていた。互いに結構熱が入ってヒートアップしてる。あ、汚ねえ、つばが飛んできた!

 

「そう言えばラファエルさんの《加護》って何なの?」

「吾輩は・・・」

 

 あれ? ラファエルさんが珍しく言いよどんでる。

 

「あ、すいません。無理に聞こうって訳じゃ」

「いや、いいのですぞ。吾輩の《加護》は《笑いの加護》ですぞ」

「笑いって・・・お笑い芸とかそういう?」

「まあ笑いに関する事なら鍛え方次第で何でも出来るそうですぞ。お笑い芸人になる者もおりますし、過去には『釣られ笑い』を鍛えて、戦場の真ん中で自分が笑うことで両陣営全員を笑わせて戦争を止めた者もおるそうですぞ」

「はー、すごいなあ」

 

 武器を使わず戦いを止めちゃった訳か。

 もっと詳しい事を聞こうとしたとき、ペトロワ師匠が向こうからやってくるのが見えた。

 横にはちょっと偉そうなヴァナラが並んで歩いている。体つきからして女性っぽいけど、それでも180センチくらいあるな。

 

「どうなりました?」

「こやつらも地脈の異常を不安がっておってな。わしらがその黒幕でないかと怪しんでおったようじゃ。その焚き火も、わしらが嘘をついていないか、悪しき者であるかどうかの『試し』じゃな。火の神(ボルギア)の力を借りた、悪しき者だけを焼く聖火じゃ」

 

 しばし沈黙が落ちた。

 

「・・・ひょっとして最初からわかってました?」

「まあの。正直受けたところで怪我するでなし、試しを受けた方が信用されるかと思うてな。

 まあこれはこれで舐められることも無くなるし、結果オーライじゃ」

 

 このくそばばぁめ。

 

「聞こえておるぞ」

「ま、まあまあ」

「昔の神明裁判とか魔女裁判みたいなものかなあ。こっちの世界なら魔法があるから本当に効果があるんだろうけど。で、そちらは・・・?」

 

 カオルくんが話を向けると、付いてきていたヴァナラの女性が丁寧に礼をした。

 

「ジーラルーイー。ジラと呼んで下さい」

「ジラどのは人間とヴァナラのことを研究している学者じゃそうでな。わしらから色々話を聞きたいんじゃと」

「聞けばあなた方は各地を回って芸を披露している特殊なたぐいの人間だそうですね。

 各地の話を色々と聞かせて頂きたいのですが!」

 

 目をキラキラさせるジラさん。あ、この人オブライアンさんの同類だ。

 

「それで? これからどうするんです?」

「取りあえず『試し』は別の形でやる事になった。先ほどのは容疑者や罪人に対するそれじゃが、もう少し友好的なものをな」

 

 結局試しはするんですね・・・。

 

「奴らから見ればわしらはよそものじゃ。そのくらいは仕方あるまいて」

「まあそうだねー。問答無用に殴りかかってこないだけ理性的だよこの人達」

「ですなあ」

 

 この世界出身の三人がうんうんと頷き、異世界人である俺とカオルくんは顔を見合わせた後、盛大に溜息をついた。

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