異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十四話 救えない奴

「ママ・・・ママ・・・」

 

 しばらく俺達は立ちつくしていた。

 人間の残骸が漏らす声、壊れた再生機のようにひたすら同じ声が部屋に響く。

 

「・・・この部屋を調べるぞ」

 

 師匠の声と共に全員が何とか再起動する。

 ヴァナラの学者のリーダーのひとが頷いた。

 

「そうですね・・・この人たちを治す手段が何かあるかも知れません」

「そうじゃの」

 

 師匠の乾いた声からは、その言葉を信じているような響きは欠片も感じ取れなかった。

 

 

 

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「ママ・・・ママ・・・ママ・・・ママ・・・」

 

 あちこちを探る音と、母親を呼ぶ声だけが響く室内。

 俺達護衛組は邪魔にならないように端により、毒にも薬にもならぬ雑談をして過ごす。

 本音を言えばこんなところに一秒だっていたくはなかった。

 外に駆け出して、洞窟の外に逃げ出したかった。

 

「・・・」

「・・・っ」

 

 ふと気付いてしまった。

 隣にいるアルテの手が震えている。

 そうだよな、女の子だもんな。

 こう言う状況、俺以上に辛いはずだ。

 

「あっ・・・」

 

 アルテの手を握ってやる。

 彼女は一瞬戸惑った後、嬉しそうに手を握り返してきた。

 少しでも彼女の不安を取り除いてやれたなら嬉しい。

 なお。

 

(・・・・・)

(青春ですなあ)

 

 俺の背中で手をぐっぱぐっぱと握ったり開いたりするカオルくんと、ウンウン頷くラファエルさんに俺は気付いていなかった。

 

 

 

「では・・・」

「ああ、このくらいじゃな。次へ移動するぞ。アルテ、扉を閉めてくれ」

 

 頷きかわすペトロワ師匠とヴァナラの学者のリーダーの人。

 アルテが顔色を変える。

 

「ちょ、ちょっと待っておばあちゃん! この子たちはどうするの!?」

「こやつらもヴァンパイア・スポーンじゃ。そして脳をいじられておる。生きていればまだしも、死者の損傷を治す術など研究されておらぬ。霊魂の神(スィーリ)心の神(ウィージャ)医神(クーグリ)の最高位の司祭を連れて来たところでどうにもならぬじゃろうよ」

「・・・」

 

 アルテが無言でうなだれた。

 

 

 

「ママ・・・ママ・・・」

 

 ごごごごご、という巨石を引きずる音が壊れた人形の声をかき消す。

 

「ママ・・・ママ・・・マ・・・」

 

 巨石の扉が部屋の入り口をぴったり塞ぎ、声は聞こえなくなった。

 

 

 

 分かれ道のたびに師匠と探知の術が使えるヴァナラの人が呪文を唱えてどっちに行くかを決める。その様な事を繰り返して、俺達はついに行き止まりに突き当たった。

 

「~~~」

 

 師匠の呪文が響くと、やはり取っ手の付いた岩の扉が現れる。

 アルテがそれを押し込むと、今度は天然の洞窟を加工したとおぼしき下り階段。

 

「・・・」

「・・・」

 

 俺達は顔を見合わせ、慎重に階段を下り始めた。

 

 

 

 階段を下りている途中。

 

「・・・」

「うえっ!?」

 

 変な声が出た。

 隣を歩いているアルテが、いきなり手を握ってきたのだ。

 そのまま体を近づけて、そっと体重をかけてくる。

 髪の香りが! 柔らかい何かの感触が!

 

「・・・だめ?」

 

 上目遣いのアルテ。こいつこんな事できたのかコンチクショウ駄目な理由は一つもないですがこのまま接触されていると暴走する!

 スーパーハイテンションですよ! 人間ってたったこれだけのことで超サイヤ人になれるんだ! いやなれないけど!

 

「くすっ」

 

 ちょっと笑ってアルテは身を離した。

 ただし手は繋いだまま、体は肩が触れるか触れないか位の距離を保ったまま。

 そのまま、俺達は微妙なバランスを保って階段を下りていった。

 

(ぬぬぬぬ)

(先んずれば人を制するのですぞ。くじけたらアルテやリタに先を越されるのですぞ。カオル嬢も泣くのが嫌ならさあ走るのですぞ)

 

 なお後ろの方でラファエルさんがカオルくんにろくでもないことを吹き込んでいたが、ついぞ俺達は気付かなかった。

 

 

 

 数十分も下っただろうか、俺達は行き止まりに突き当たった。

 これまでとは違い、そこには分厚い鉄の扉。

 

「・・・」

「・・・(こくり)」

 

 最初に決めたとおり、最後尾にいたカオルくんが前に出てきて護衛の指揮の人と並ぶ。

 その後ろに俺とペトロワ師匠、続いてアルテ。

 

「・・・」

「・・・(こくり)」

 

 扉が開き、カオルくんとヴァナラの戦士が突入する。

 

「これは・・・?」

「なあああああっ!?」

 

 ヴァナラの人の戸惑った声と、カオルくんの驚愕の声。

 いつも冷静な彼女がこんな声を出すのは珍しい・・・って、

 

「ええええええええええええええええええええ!?」

「おい、お主らどうした?」

「え、え、どゆこと?」

 

 ペトロワ師匠、アルテ、続いて入って来たラファエルさんやヴァナラの人達は首をかしげている。

 そりゃそうだ、彼らにはこれが何なのかわかるまい。

 

「女神像・・・かな?」

 

 アルテのつぶやき。

 扉の先は俺達が最初に呼び出された修道院の大広間くらいに広く、何となく岩窟寺院っぽい雰囲気がある。

 そしてご本尊や祭壇がありそうな奥の壁ぎわに立っていたのは、緑青で綺麗な緑色に染まった女神像らしきもの。

 緩やかな衣、突起の付いた冠、右手に松明、左手に石板。地面から上半身を突き出して、それでも10メートル以上はある。

 

「なんで・・・」

「どうして・・・」

「「自由の女神がここにあるんだよ(の)~~~っ!?」」

 

 世界を越えて現れた青銅の女神は何も答えてくれない。




 この回落雷でデータが吹っ飛んで、記憶の中から再現しました・・・が、多分容量的に色々抜け落ちてると思われ。なので短いのはごめんあそばせw
 後青銅と言いましたが自由の女神は銅像です。錆びて青緑になっているだけで。
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