異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三章「悪魔を憐れむ歌」
第十八話 女装スパイ潜入!


「最初の百年が一番辛いのよ」

 

     ――リァノーン、吸血殲鬼ヴェドゴニア――

 

 

 

 がたごとがたごと。

 三台の馬車が俺達を乗せて街道を行く。

 

『喰らえ! 大回転ロケットパーンチッ!』

 

 流してるのはデモゴディΣ。退屈な移動時間が楽しくなったと皆様にご評判である。

 

「それにしてもハヤトくん。あの森の奥にあった自由の女神像、気にならない?」

「そりゃね。俺達みたいなオリジナル冒険者族が作ったんだとは思うけど・・・まあ、オリジナル冒険者族にインスパイアされたこっちの人が作った可能性もあるか?」

「それもあるんだけど」

 

 と、カオルくんがちょっと考え込んだ。

 

「それをわざわざヴァナラの人達が住む地域の奥に作るって言うのがね。ちょっと引っかかるんだ。ハヤトくん、『猿の惑星』って知ってる?」

「うーん・・・あっ!?」

 

 「猿の惑星」。SF映画の古典である。

 恒星間航行を終えた宇宙飛行士が地球に帰ろうとしたら、間違って知性を持つ猿の支配する惑星に着陸してしまい、何とか猿たちの手からは逃れるものの、最後にここが実は人類の滅亡した地球だったとわかって絶望する。

 その象徴として余りにも有名なのが、ラストシーンに出てくる朽ちた自由の女神なのだ。

 

「『知性を持った猿』、つまりヴァナラの領域の奥にわざわざ自由の女神を配置したと? でも何のために?」

「それはわからないけど・・・作った人間が地球のことを知っているというのはほぼ確実なんじゃないかな」

「うーん・・・」

 

 二人で悩んでると、アルテが口を挟んできた。

 

「あのヴァナラの森のちみゃく、だっけ? それを汚してたのがあの銅像というか、中身のツタなんだよね。地脈を汚した人と、あの像を造った人は同じなのかな?」

 

 それはつまり、あの吸血鬼が俺達と同じオリジナル冒険者族じゃないかってことで。

 

「ペトロワ先生にもその辺を聞いてみたんだけど、断言は出来ないって。ただ銅像が中からボロボロになってたように見えたから、それなりに長い時間中にツタがあったろうって」

「ふむむ・・・というかさ」

 

 ふとある事に気付いた。

 

「あのツタも一応植物だよな? 光の入らない銅像の中でどうやって生きてたんだ?」

 

 カオルくんが頷く。彼女も既にそこには思い至っていたらしい。

 

 

「そこも聞いてみたんだけど、銅像に穴を開けて、中にツタを入れて穴を塞ぐこと自体はできる。できるだろうけど、あの銅像自体に元からツタが入っていて、ツタを生かし続けるような術式が一緒に入ってたと考えた方が自然だって言ってた」

「洞窟崩れちゃったからなあ」

 

 さすがのペトロワ師匠もサンプルがなくては調査はできない。

 あの洞窟を掘り出すとなったらアルテが何人いることやら。

 ジェッターII(ツー)はどうだって? そんな細かい破片なんかわかりませんよ。

 考えてみれば洞窟が崩れたんだから、あのヴァンパイアスポーン達も巻き添えだよな・・・むしろ死ぬことが出来れば良かったってレベルだけど・・・そんなことを考えている内にも話が進んでいた。

 

「根っこのサンプルは軽く調べてみたけど、それだけだとなんとも、って言ってたよ」

 

 だめか・・・あれ、サンプルって事はわざわざ現場に行ったのか。そんな時間があったようには思えなかったけど。

 

「シャラパさんが隠し持ってたのを没収して、調べた後焼却処理したってさ」

 

 学者バカェ・・・。

 

「オブライアンさんも時々そう言うとこあるよね・・・」

「それを言うならジラさんも結構やばかったと思うよ」

「時々アリさんをじーっと見つめて一時間以上身動きしなかったりするんだよね。

 鳥さん捕まえてきて話聞いてくれって頼まれたこともあるし・・・狼相手にそれやろうとしてお父さんに拳骨落とされてからはやめてるけど」

 

 とはリタの言。

 うーんダメ人間。

 

「それより森での話もっと聞かせてよ! 三人だけで盛上がってずるい!」

 

 そうぷくっと頬をふくらませる我らがお姫様。

 ああ~、かわいいんじゃ~。

 

 そう思った瞬間、御者席から鍔鳴りの音。びくりと震える俺。

 ガイガーさんはニュータイプなのか!? 人の悪意ならぬ邪念を感じ取れるのか?

 それが割と冗談にならんレベルの人ではあるが!

 

「あ~、リタはかわいいなあ」

「ほんといい子だよねー」

 

 なおリタは笑み崩れてよしよししてくるお姉さん二人に撫でられてご満悦であった。

 混ざりたいけど混ざれない――!

 

 

 

 で、次の町。

 いつも通りシルヴィアさんが顔役のところに挨拶に行って俺達は設営。

 そして帰って来るなりシルヴィアさんがこんな事を言い出した。

 

「ハヤト。あんたこの町では女の格好で手品やりな」

 

 ・・・はい?

 

 

 

「つまり、今この町・・・トワウには人が流れ込んできてると」

「そういうこと。近所に鉱山が見つかったのさ」

 

 そうすると働き口が増える。働き口が増えれば人が増える。

 

「で、人が増えるとなればそれは基本若い男・・・というわけですか」

「そう言うことさ、理解が早いじゃないか」

「日本の歴史でもそう言う事がありましたので」

 

 カオルくんの解説によると、江戸時代初期の江戸がまさにそんな感じだったそうだ。

 大きな町には若い男が流れ込んできて男余りになる。そうなるとエッチなお店とかあれこれ若い女性の需要も増えるということらしい。

 そう言う事を話した後、警戒の色を強めるカオルくん。

 

「一応確認しておきますけど、その、春を売るようなことはしませんよね?」

 

 そうだよね! 俺変身しても男なのは変わらないんだし!

 そんなことを言うとシルヴィアさんはケタケタと笑った。

 

「何だ知らないのかい、ハヤト・・・男にも穴はあるんだよ?」

「!?!」

 

 全身が総毛立ち、思わず俺はアルテの影に隠れた。

 いかん、精神が女性化してる!?

 

「シルヴィア! からかいすぎ!」

 

 ちょっと怒気を発するアルテにまたケタケタと笑って一気飲み。

 

「やんない、やんないって。ハスキー一座は清く正しい芸人一座だよ? 大体そんな事したらこのあたしが一番に、飢えたケダモノどもの慰み物になっちまうじゃないかさあ」

「鏡を見てものを言えよ、この大年増」

 

 直後、アーベルさんの頭に蒸留酒の瓶が炸裂し、彼はものも言わずに倒れた。

 エイメン。

 

 

 

 翌日、いつも通りに興行が始まった。

 いつも通りだったのだが、うわ、ほんとに若い野郎が多い・・・! それも荒くれ者っぽい、ごっつい連中だ。

 

「ヒューヒュー! 色っぽいねえ!」

「お姉ちゃん今晩どうー?」

「恥球の性義を守るため! 俺とお前がドッキング!」

「俺の×××がレボリューション!」

「もう、下品だなあ!」

 

 その分飛んでくるヤジも下品なものが多く、流石に座長は慣れているのか顔色一つ変えないが、魔法の剣でエフェクト係をしているカオルくんなどは顔を赤らめていた。

 流石にリタにはそう言うヤジも(余り)飛ばなかったが、飛ばした奴後が怖いぞ・・・ガイガーさんがすごい顔(傍から見るとほぼ変わらないが)になってたからな・・・

 そしてと言うか何と言うか、やはり一番人気?があったのは女装してホッチョ・ペッパーとなった俺であった。いやしょうがないよ、変身したらアニメ顔の超美人だもん!

 閑話休題(それはさておき)

 

 何だかんだで俺とアルテとカオルくんが特に疲れて公演後。

 

「ハヤトー。カオルー。リター。ごはん作るから手伝って・・・あれ、ハヤトは?」

「おにいちゃんならさっきまでそこにいたんだけど」

「ほんとだ、いない。おーい、ハヤトくーん。ごはんの時間だよー」

 

 カオルくんの呼ぶ声に返事はない。

 この時点で、俺の姿は野営地から既に消えてしまっていた。




タイトルは初代ガンダムから。
全然スパイではありませんがw
と言うか潜入される側ですがw
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