異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
第二十三話 よりどりみどり
「オープン・ザ・ゲート!」
――「GATE KEEPERS(ゲートキーパーズ)」――
トンネルを抜けるとそこは砂漠だった。
まあトンネルじゃないけど。
いや、ワープゲート的な物と考えるとやっぱりトンネルだったのか・・・?
混乱した頭で周囲を見渡すとペトロワ師匠、カオルくん、座長、リタ、マデリーンさんとヘレンさんと、あの時テーブルに着いていた面子。そして3m程離れたところにアルテ。
アルテ、マデリーンさんとヘレンさんは(多分俺同様)あわあわと周囲を見回している。
対照的に師匠と座長、カオルくんは油断なく周囲を警戒していた。
師匠と座長はわかるが何で俺と同年代のカオルくんがそっちなのか。才能って残酷だよね。
「ううん・・・」
そしてリタは転移の衝撃で目がさめたようだが、砂の上で丸まっていてまだおねむのようだ。
日射しの暑さに顔をそむけ、腕で影を作っている。
影になってスカーフで日射しを遮ってやると、涼しくなったのかまた寝息を立て始めた。うーんかわいい。
「と言うか何なんですかこの状況? いや多分あのマジックアイテムのどれかが原因なんでしょうけど」
「うむ。わしのいじっていたあれが恐らくは『鍵』だったんじゃろうな。
真なる魔法文明時代のものであったが、まさかまだこんなものが残っておったとは」
師匠の話によるとテレポートとか転移ゲートの術は非常に敷居が高く、
真なる魔法文明時代には数も質も現代を遥かに凌駕する魔術師たちがいたそうだが、そうした大魔術師たちにとってすら、誰もが使えるような術ではなかったとのこと。
「つまりそのマジックアイテムでここに送られたと言うことですか・・・ここは?」
「そうさの・・・ふむ」
何やら呪文を唱えて暫く集中すると、師匠は溜息をついた。
「大陸の中央あたりじゃの。大街道から南に1000km、オンチャピ砂漠のど真ん中と言ったところか」
「うへえ。冗談じゃないよ。てくてく歩いてたら何年もかかるじゃないか」
えーと、確か俺達のいたロンド王国が大陸五大国家のうち東のディテクと南のゲマイの間くらい。
大陸の東西南北にそれぞれディテク、ライタイム、ゲマイ魔導共和国、ダルク部族連合。ディテクの東の海にアグナム皇国があって、大陸中央部は砂漠や峻険な山脈があって、中小国家が点在してるような感じだったんだっけな。
ダルク
ライタイム――――――――(大街道)―――――――――ディテク(海)アグナム
× 現在地
× ← さっきまでいた場所
ゲマイ
めちゃくちゃ大雑把に大陸の地図を描くとこんな感じ。
ライタイムからディテクまで、大街道が大体二万キロくらいらしい。
つまり現在地から元の場所までは最低でも7000~8000kmくらいで、おおよそハワイからアメリカ東海岸くらいの距離って事だ。
「ニューヨークへ行きたいかーっ!」
「え、何突然」
男は理不尽な運命に逆らってみたくなるときがあるものさ・・・
「訳のわからないことを言ってんじゃないよ」
「あたっ」
はたかれた頭をさすってると、はたいた人が号令をかける。
「取りあえずこんなところにいてもしょうがない。移動するよ。
リタはあたしがおんぶするから、ハヤトたちはいつでも動けるように準備しときな。
後日射しがきついからスカーフはそのまま貸しといてやんな」
「わかりました」
「ばあさん、この近所に水場とか町とか砂漠の民のテントとかないかい?」
「今調べた。東南に10キロほど歩いたところに水場がある。ハヤトに運んで貰うのは・・・ちと魔力を消耗しすぎておるの。まあ《
てきぱきと指示を下す座長。こう言う辺りはさすがだ。卒なく必要なことを調べている師匠もすごい。
「あ、あの・・・」
「私たちは・・・」
恐る恐る、という感じでマデリーンさんとヘレンさんが手を上げた。
仮面とフード付きマントが幸いしたか、この日射しも何とか耐えられているようだ。
「・・・まあ、ほっとくわけにもいかないか。しばらくは面倒みてやるからついてきな」
「きゃー! ありがとうお姉様!」
「誰がお姉様だ! 300年くらい生きてるんだろうがあんたら!」
突っ込んだ後、座長は疲れたように溜息をついた。
《進軍》の呪文で砂漠を進む俺達。足が疲れても勝手に動かしてくれるし、本当に魔法は便利だ。本来砂漠で直射日光を浴びてると間違いなくやけどするけど、そうした日射しからも魔法が守ってくれている。ただ、それでも体に必要な栄養素の欠乏はいかんともしがたい。
「腹減った・・・」
「大丈夫?」
「せめて食事が終わってから転移してくれれば良かったのに」
昨日の夕メシを食いっぱぐれ、それから水も与えられずに夕方近くまで放置され、そこでスープ一杯とパンひとかけらを腹に入れたところでこれである。
成長期の健康優良平凡少年にとっては辛いなんてものじゃない。
「ごめんなさいね、気付かなくて」
「私たち普通の食事はしないから・・・」
小声で謝ってくるマデリーンさんとヘレンさん。
あんたらはまあある意味しょうがないけど、召使いの人が気を利かせてくれれば良かったのに。
というかあのまま水も飲ませて貰えなかったら、普通死んでるぞ?
俺は《加護》で水だけは出せるから何とかなるけど。
「あ。でもニンジンは出せたんじゃなくて?」
「ニンジンいらないよ」
「わがままねえ」
「ウサギはニンジン食べてるから目が赤いんだぞ・・・じゃなくて生のニンジン食べるとジンマシン出るの、俺は」
これはマジである。親が気を付けてくれていたので家では食わないし、普段意識もしていなかったのだが、友達と行ったイタリアンでサラダの細切りニンジンを食った瞬間、顔中にぶわっと発疹が出来た。赤くてでかいやつ。
友達三人が悲鳴を上げて飛び退いたくらいである。俺もトイレでゲーゲーやった後に鏡を見て自分の顔にどん引きした。あれはほんと気持ち悪い。
「アレルギーかあ・・・ご愁傷様」
夏の砂漠の夕暮れ、やさしく迎えてくれるのはカオルくんだけなのか・・・?
「ハヤトって時々訳のわかんないこというよね」
「腹減ってんだから勘弁してやりな」
おお、珍しい座長のフォロー。普段厳しい人の優しさに涙がとどまるところを知りません。
「空きっ腹は辛いからね・・・まあ、そう言う時は何か楽しいことでも考えるもんさ。例えばホラ、今ここにいるのはあんた以外全部女だよ? 覆面二人やばーさんは対象外としても、かわいい娘から妖艶な色気の大人の女までよりどりみどりじゃないかさあ」
「・・・」
「あ、ハヤトがもの凄い胡乱な目をしてる」
無言のままでいるとシルヴィアさんの目がちょっと剣呑な色を帯びた。
「ほう・・・あたしじゃあ女の内に入らないって?」
「黙秘権を行使します」
「ふうん」
シルヴィアさんがニヤリと笑う。あ、これ良くない流れだ。
「オーケイ、それじゃガイガーに言っておこう。ハヤトはあたしには興味ないけどリタには興味津々だってね」
「座長はとても魅力的でセクシーな女性ですよ! 正直目のやりどころに困るくらいです!」
「あ、日和った」
「日和りよったの」
何とでも言え!
ガイガーさんにガチで迫られたら何も出来ずに死ぬわ!
結局オアシスにたどり着くまで何故か上機嫌のシルヴィアさんにつきまとわれたり、そのシルヴィアさんがアルテとカオルくんにちょっかいかけられたり、ぐだぐだして終わったのだった。
よりどりみどり(シーマ様ボイス)
「明日の笑顔のために」はPSゲーム/アニメの「GATE KEEPERS」主題歌。
名曲です。曲は。
文中の地図もどきはアグナムを除く四つの国が大雑把な十字架型に並んでいるつもりですが、改行その他の設定によってはずれているかもしれません。
まあ大体東西南北に四つの大国があって、東の海に島国アグナムがあるという認識でお願いします。