異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第六話 多々買いはこれで決まりさ

「滅多打ちであったそうな」

 

 アルテの丸太によって無惨な肉塊にジョブチェンジした山賊。

 やべえ吐きそう。

 なおそれをやった当人は平然としてスプラッタ死体を道の脇に引きずっていた。

 

「その、もう少しこう何というか 手心というか・・・」

「あっちは私たちを殺しに来るのよ。遠慮してたらこっちが死ぬでしょ」

 

 はい、ごもっともでございます。

 見ればリタちゃんでさえ、平然と山賊の持ち物を漁ってる。

 これがファンタジー世界の日常なんやなって・・・

 妙な所で感心してるとシルヴィアさんから声がかかった。

 

「大丈夫かい? 動けるなら死体を運ぶか、穴でも掘っとくれ」

「え、こいつら埋葬してやるんですか?」

「ほっといたら疫病の元になるだろ」

 

 ああそういう・・・納得して俺は穴掘りを手伝い始めた。

 とは言え結局途中でへたり込んでしまい、小鳥たちに約束の餌をあげるリタの隣でぼんやりすることになったのだが。

 

「《加護》を使った反動じゃな。お主のような《加護》は魔法と同じで魔力を使う。

 魔力を練るには体力がいる。お主はまだ魔力を効率よく練る方法を身につけていないから、体力の消耗が激しかったんじゃろう」

 

 俺の額に手を当ててそう分析するペトロワ師匠。

 結局は修行をがんばれって話なんですね、はい。へたれですいません。

 

「お兄ちゃんはへたれじゃないよ! 山賊二人やっつけて、私を守ってくれたんだから!」

 

 そう主張してくれるリタの姿に涙がこぼれそうになる。

 ごめん、それを差し引いても俺ヘタレだと思うわ・・・

 

 まあ俺がお坊ちゃん育ちで荒事に慣れてないのはみんなわかってたらしく、それで俺を責める奴は誰もいなかった。むしろ山賊二人やっつけてよくやったと褒められた。

 ラファエルさんは自分が離れたせいでお二人を危険にさらしてしまいましたぞ、申し訳ないですぞと平謝りだったが、ラファエルさんにもやる事があったからしょうがない。

 むしろリタ一人守れなかったら俺がダメダメだろう、少なくともこの世界の基準では。

 

「ハヤト。娘を守ってくれて感謝する」

 

 一方でリタのお父さんであるガイガーさんには深く頭を下げられた。

 これ、この人が今まで喋った中で一番長いセリフじゃなかろうか?

 

「いいですよ、女の子一人守れなかったら情けないにも程がありますし」

 

 大きく頷くと、ずいっと顔を近づけてくるガイガーさん。

 あの、プレッシャー凄いんですけど・・・。

 

「だが娘には手を出すな。いいな?」

「アッハイ」

 

 こくこくと頷く俺。

 頷く以外選択肢がなかったとも言う。

 

 いやでも、リタってせいぜい6つか7つだよ? それをねえ・・・と思ってたが、後でアーベルさんが「そのくらいの子が誘拐されたり売られたりして娼館で客取らされることもあるんだぞ」って教えてくれた。

 闇が・・・闇が深い・・・

 

「そう言うこと言うお父さんなんか嫌い!」

「!?」

 

 なおガイガーさんはリタの一言によって膝から崩れ落ちてorzしていた。

 もうちょっと手心を加えて上げてくれ。お父さんは君が心配なだけなんだ・・・多分。

 

 

 

「じゃあね! ばいばい、ありがとー!」

「ピチチチチ」

 

 飛び去る小鳥に手を振るリタ。

 あの後、穴に山賊たちの死体を埋め、簡素な祈りの言葉を捧げると一座は旅を再開した。

 そしてすぐに停止した。

 

「なんだこりゃー!」

 

 俺達の目の前に広がっているのは大量の倒木。

 ここはちょっとした森の中で少し斜面になってるところなんだが、どうやら地崩れを起こしたらしく、大量の木々が横積みになっているのだ。

 

「うわー、マジかい。昼までには次の街に入りたかったんだけどねえ・・・」

 

 シルヴィアさんが溜息をついてちらっと見ると、アルテが疲れた顔で首を振った。

 

「無理無理。一日かけてもできるかどうか」

「だよねえ」

 

 結局アルテが木をどけている間、俺達は道ばたで一休みすることにしたのだった。

 だって、誰も手伝えないんだもん・・・

 

 

 

「バトルはこれでフィニッシュさー♪」

「・・・」

 

 流れる主題歌、動くロボ。

 リタがそれに目を輝かせて見入っている。

 アルテが力仕事をしている間、リタが退屈そうにしていたので、ペトロワ師匠の許可も取ってロボットアニメを流したのだ。

 

 なお俺がオリジナル冒険者というのは当日のうちに全員にばれていた。

 シルヴィアさんがバラしたのかと思ったが、みんな興味津々で聞き耳を立てていたらしい。これだからプライバシーの欠如した社会は・・・閑話休題(それはさておき)

 

『やあ、俺はクロガネ四郎! 超奇術を身につけた超奇術戦士のひとりさ!』

「うお!? 俺達に語りかけてきたぞ!」

「落ち着くのですぞ! 舞台から観客に語りかけるようなものですぞ・・・たぶん」

 

 画面の中から語りかける坊主頭の主人公にどよめきが起きる。

 サイコロやトランプで遊んでいた他の面々も、いつの間にか周囲に集まってきて、食いいるように画面を見ていた。

 カルト作品「超合身奇術ロボセイウンザー」。超奇術(ほとんど魔法だ)を身につけた選ばれし戦士達が、悪の海底人カブトガニオン帝国と戦うというストーリーだ。

 

「お兄ちゃん、何これ?」

「ああ、これは遊園地って言って・・・」

 

「海底に住んでるのにぼくたち(オアンネス)みたいに魚っぽくないんですね。肌が青いだけで」

「まあニホンに妖精いないんで」

 

「何だこの荷車? 馬なしで走ってるぞ!」

「えーと、古代文明のマジックアイテムみたいなのがニホンでは普通で・・・」

 

「荷車に顔が付いてるのはなんだい?」

「それはまあ・・・見てくれてたらわかるから」

 

「ノコギリが人を真っ二つにしたのに生きてる!?」

「それはそう言う手品でして」

 

 子供向けのロボットアニメをワイワイと賑やかに鑑賞する俺達。

 なんかいいなあ、こういうの。

 そしてリタが画面の中の出来事にいちいち驚いたり笑ったり怖がったりするの凄くかわいい。

 オヤジさんが怖いから顔には出さないけど。

 

「荷車が巨人に変わった!?」

「これ円盤から人型に変わる必要ある? 最初から人型にして飾っておけばいいじゃん」

「何これトランプが宙に舞ってる!? ・・・何の意味があるの?」

「棍棒使いか。うちならアルテが乗ってるなこれwww」

「「「「合体したー!?」」」」

 

 三体のロボが寝そべり、飛行機がその上に乗って縦に重なると、何故か一体の巨大ロボに超常合身し、腕の先に回転ノコギリを生やして突進する。

 

『超常スラッシュ! セイウンザー!』

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 謎の必殺技で真っ二つにされ、大爆発するカブト獣。

 ペトロワ師匠やシルヴィア座長、ガイガーさん含めて呆然とする一同。

 うん、あれはインパクト強いよね。しょうがないよね。

 しばらく沈黙が続いた後、俺はわっと質問を浴びせかけられた。

 

「何あれ!? どうして重なるとくっつくの? 魔法!?」

「あの丸ノコギリのサイズだと敵を丸ごと切り裂くとかちょっとできないだろ。どうなってんの?」

「これ、切り裂かれたらすぐに爆発して巻き込まれない?」

「そもそも何で回転ノコギリ?」

 

 すまん、そのへんは俺にもわからん!

 当時のスタッフに聞いてくれ! 日本だから無理だけどな!

 

「こらー!」

 

 そうやって和気藹々?と騒いでいると、怖い顔したアルテ様が立っていた。

 体には葉っぱや泥、木くずが山のように付いている。

 

「私が頑張っている間に随分楽しそうにしてるじゃない! ずるい! 私にも見せてよ、その『ろぼっとあぬめ』とかいうの!」

「すいません、非力でほんとすいません。暇な時に申しつけて頂ければいくらでもお見せしますので・・・」

 

 平謝りする俺達。いやほんと彼女が怒るのも無理はない。

 力仕事一人に任せてワイワイやってるんだから。

 

 とは言え残りの面子では、一番力の強いガイガーさんでも木を動かすことはできない。大人が全員がかりでも無理だ。

 ガイガーさんくらいなら丸太をすっぱり斬ることも出来るが、一本二本ならともかく数十本となると剣がもたないとのこと。

 

「今のお話みたいに、倒れた木も超常スラッシュ!ってできればいいのにねー」

「・・・」

「・・・」

「え? え、何!?」

 

 思わずリタの顔をまじまじと見る俺とペトロワ師匠。

 ちらりと向けた視線に、師匠が大きく頷いた。

 

 

 

 ちゅいいいいいいん。

 こっちの世界では聞くこともないだろうと思っていた音が森に響く。

 

「おおすげー。見る見るうちに切れていくわ」

 

 俺の右手首から生えた丸ノコが、人間の胴体より太い木をあっという間に切断していく。

 いくつかに切り分けるとガイガーさんなら一人で、他の面子も四人がかりでなら運べるサイズになる。

 道を塞ぐ部分だけ脇にどければいいのだから楽なものだ。

 しかしこれ、右腕の先が回転ノコギリになってるけど俺の手はどこ行ってるんだろう?

 

「いやー、ありがとね! ほんと凄いわ!」

 

 一番大喜びしているのはアルテ。

 役に立てて俺も嬉しいよ。笑顔を見れてもっと嬉しい。正直くたくただがその価値はあった。

 そうして倒木が大体除去されて、何とか馬車で通れそうになったくらいでペトロワさんがこんな事を言い出した。

 

「そう言えばあの『あにめ』の中で、主人公たちは手品をやっておったの」

「ええ。そうですが?」

 

 セイウンザーの主人公たちは手品の一座として日本中を巡業しつつ、勝敗を分けるプレセペの魔宝珠を探すのだ。

 

「考えてたんだがの。お主、《加護》で映像の中のものを再現できるなら、あの手品も再現できるのではないか?」

「あ」

 

 ハスキー一座の出し物に、俺の手品ショーが加わった瞬間だった。




今回のロボットアニメ:超魔術合体ロボギンガイザー

なおウチの大叔父は記述試験のことを長いこと奇術試験だと思ってたそうです。
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