異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十五話 空色キングピラミッダー

 翌朝。

 

「これ食うんですか・・・?」

「しょうがないだろ、他にないんだ・・・」

 

 言ってるシルヴィアさんもすごく嫌そうな顔。

 全員揃って溜息をつくと、俺達は昨日の残りの材木雑炊をかき込んだ。

 おかゆライスとどっちがマシだろう。かき氷に乗せるよりはマシだと思うが。

 

「それでばあさん、行けそうなとこはあるかい?」

「北東に巨大な建築物と町がある。ただ、80キロは離れておるから、《進軍(マーチ)》の術でも今日中は辛いの。小僧、いけるか?」

「まあ何とか」

 

 へろへろだった昨日と違って手足に力が戻ってる。

 あの雑炊、味はともかく栄養はちゃんとあったらしい。

 味はともかく(強調)。

 

「殴られたいか?」

「事実でしょうが! それはともかく、みんなを軽くするのお願いしますよ」

「ふん」

 

 不機嫌な師匠が呪文を唱えてみんなの体重を軽減し、俺はXブロイザーに変化してみんなを収納するとオアシスを飛び立った。

 

 

 

「うわあ、すごいすごい!」

「マデリーン、見て見て! 変なウマ・・・ロバかしら? 足の長いロバの隊列よ!」

「馬鹿ねヘレン、あれはラクダっていうのよ。私も見たことないけど砂漠にいるならラクダでしょ」

「そうなのお婆ちゃん?」

「うむ、アレはラクダじゃな。閉鎖的な地域と聞いてはいたが隊商の行き来はあるんじゃの」

 

 現在高度100m。魔力節約のために時速120kmほどで飛行中である。下には雄大な砂漠の景色。

 腹の中が女性ばかりのせいかやたらにかしましい。まあリタが目を輝かせてるっぽいのでそこは微笑ましいのだが。

 

「暑くてカラカラしてて水もないけど、こうして空から見る分には綺麗よね、砂漠って」

「ほんとうにね。アラビアのロレンスの世界だなあ」

 

 わしゃあのクソ長い映画を3回も観たんじゃぞッ!というマッチョな爺さんの叫びがどこからか聞こえてくる。それはともかくあの映画本当にクソ長い。何と三時間二十七分もあり、フィルムの途中にトイレ休憩が入ってるくらいである。

 

(おのれスコティン・マーセッシ! 人間の集中力は続いても二時間なんだよ! 映画は一時間半か二時間くらいでまとめるべきなんだ! ましてや三時間半の映画なら途中にトイレ休憩くらい入れろ!)

 

 それに関連して別のクソ長い映画に対する何だか理不尽なような妥当なような怒りをまき散らしていた親父を思い出す。まあロレンスとかベン・ハーとか、昔の映画は冗長なところはあるが、長くても面白い奴はやっぱり面白いのは確かだ。

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

「お、見えてきたぞ」

 

 二十分ほど飛んだところで目的地が見えてきた。

 大きな建造物があり、その周囲に地面に張り付くようにびっしりと家とかテントらしき物が並んでいる。・・・あれ、これ周囲の家のサイズからすると、中央のは100m以上あるか・・・?

 

 そこから更にしばらく飛ぶと、更にはっきりと見えてくるようになった。

 中の女性陣も会話を止めて、目的地に目を凝らしているのがわかる。

 

 まず町というか巨大な集落、もっと言えば難民キャンプとかバラックみたいな粗末な家やテントの群れがある。

 そしてその中央にそびえ立つのは、200m以上はありそうなピラミッドのような四角錐。

 ただし四角の頂点それぞれに別の小さなピラミッドが接続されており、十字架のような形になっている。小さい方のピラミッドも100mくらいはありそうで、この世界の基準で言うととんでもなくでかい。差し渡しは500m以上あるんじゃないか・・・?

 

 

    ◆

  ◆ ◆ ◆

    ◆

 

 

 なお図にするとこんな感じだ。なんて言うか・・・聖帝×字陵?

 やべえな、てっぺんに人身御供が埋まってたり、中ほどに即身仏が安置されてたり、同じところを機械のように正確に刺してくるターバンのガキとかがいるんじゃないか・・・?

 世紀末救世主! 早く来てくれー! 聖帝の体の謎は俺が知っているから!

 

「ハヤトくんが何言ってるかわからないけど、地球にあるクフ王のピラミッドでも150mくらいだ。それより大きいんだからこの世界の技術も侮れないね」

「恐らくは真なる魔法文明の時代の遺跡じゃろうのう。当時破壊された物も多いから、あれほど綺麗に残っておるのは珍しい」

「でもすごいね。空みたいな綺麗な青――!」

 

 腹の中で会話するカオルくんと師匠。

 そこに加えてリタから感嘆の声を上がる。マデリンさんとヘレンさんも。

 そう、この巨大な五連ピラミッドは全て光沢のある、透き通った空色の石で出来ていた。ひょっとしたら金属かもしれないが、ここからでは確認できない。

 ただ言えるのは、空の青に溶け込むような、とても綺麗な青だったと言う事だ。

 アルテやカオルくんも含めて見とれている俺達に、シルヴィアさんの声がかかった。

 

「ハヤト、ここからは低く飛んでおくれ。それから5キロくらいのところで降りて、後は歩いていこう。もう見つかってるかも知れないけど、警戒されないに越したことはない」

「そうじゃな」

「は、はい。了解です」

 

 頭から氷水を浴びたような気分になり、俺は頷いた。言われてみればあそこにいる人達と友好的に接触できるとは限らない。下手をすればあの吸血鬼の根城かも知れないのだ。

 師匠も頷くのを確認して、俺は了解の意を送った。

 

「後あたしらを下ろすときはまずあんたが降りてから腹を開くんだよ。今度ぶちまけたらたんこぶができる程度じゃ済まさないからね」

 

 はいすいません、あの一件は本当に反省しております・・・。

 

 

 

 指示通りにそこから低空飛行を続け、5kmくらいのところで地面に着地する。腹を開くと中のシルヴィアさんたちが地面の上に現れた。

 

「ふう」

「ごくろうさん。それじゃこれ着な」

「おお?」

 

 そう言ってシルヴィアさんが出してきたのが全身をすっぽり覆うフード付きのマント。

 マデリーンさんとヘレンさんが着てるような奴だ。

 

「ああ、砂漠の住人を装うんですね」

 

 そう言えば確かにその手の作品で砂漠の部族が着てるような奴にも見える。

 しかしこんな物をいつの間に。

 

「昨日な、葉っぱと木から作っておいたんじゃよ。この辺ではこう言う物をつけずに生活はできんからの」

 

 おお、さすが師匠、歳の功。

 

「歳の功は余計じゃ」

 

 ともあれヴァンパイア・スポーンのお二方以外も全員がそうしたマントを羽織った。

 リタのそれにはアカフクたちが入る内ポケットも付いており、彼らはリタの体を昇ってそれぞれの居場所に素早く収まる。

 

「用意はいいね? んじゃ、行くよ」

「はい」

 

 最後に回りを確認すると、シルヴィアさんが歩き始める。それに続いて俺達も空色のピラミッドを目指して歩き始めた。

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