異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十八話 ハヤト、暁に消ゆ

「やっぱり俺が宮殿に潜入する事になるんですね・・・」

 

 うん、わかってた!

 アーベルさんがいないんだから、こう言う仕事はそりゃ俺に回ってくるよな!

 準備をしながら愚痴る俺である。

 まあ準備すると言っても、ジャルネイオさんたちが用意してくれた道具、短剣とか火口箱とか煙玉(火をつけるともの凄くくさい煙が出る)とかをベルトごと装備するだけだ。

 

「煙玉かあ。着火の魔法とか使えればいいんだけどなー」

「まあ普通の人間が初歩でも魔法を使おうと思えば半年以上の修行は必要じゃからの。こればかりはしょうがない」

 

 初歩ながら既に呪文を十以上覚えてるカオルくんがいなければそう思えたでしょうけどね!

 まあそんな愚痴を言ってても仕方ない。俺が魔法の修行をしているのは呪文を覚えるためではなく、《ロボットアニメの加護》を使いこなしていつでもどこでもデモゴディになるためなのだから。

 

「なんか本末転倒のような気が・・・」

「いいんだよ呪文より《加護》のほうが強いんだから。

 それはそれとして師匠は何をやっているんです? マデリーンさんたちから髪貰ってましたよね」

「こいつをこの振り子の紐に組み込んでな。もし城主がドラキュラ伯爵だとすれば、近くによれば振り子が揺れる。そう言う小道具じゃな」

 

 でも師匠の術でも探知できないくらい、探知妨害の術に長けた奴なのでは?

 

「それをどうにかするためのこやつらの髪の毛じゃ。

 こやつらはドラキュラが作ったスポーン、つまり娘のようなものじゃ。

 その中にはドラキュラの一部が確実に残っておる」

「DNAみたいなものかなあ?」

「ぽいなあ。魔法の話では時々ある奴だけど。丑の刻参りとか」

 

 藁人形に髪を入れるってあれね。それを話すと師匠も頷いた。

 

「専門用語では共感魔術という。洞窟の時に話したかもしれんが、そうした奴の一部や奴に関係のあるものを媒介にすれば、術の強度が上がる。奴本人の髪の毛ほどではないが、スポーンのそれでもかなりな。

 しかも近くにいれば更に術の力は高まる。それ専用の結界の中に籠もりでもしない限り、数十メートルくらいの距離にくれば反応するはずじゃて」

 

 ほーん、すごいなあ。

 ・・・ん?

 でもそれが反応するって事は、仮称ドラキュラと第二種接近遭遇するということでは?

 最低でも数百年生きてて、大魔術師クラスの魔力とアルテ並みの腕力持ってる相手と!

 しかも近づいたら死ぬんだよね!?

 

「・・・必ず死ぬと限ったもんでもないわい」

「あ、おばーちゃんが視線そらした」

 

 師匠ぉぉぉぉ!

 

「安心せい、大体それなら魅了された人間がバタバタ死んでるじゃろ。

 それに奴だって常に《透明看破(シー・インビジブル)》の呪文を使ってるわけでもなかろうよ。透明になって逃げ出せば簡単には捕まえられんし、息を潜めていれば、そうそう見つかるものでもない・・・まあ多分な」

「地球には『多分と言っておけば嘘をついたことにはならない』ということわざがありますが、そのへんどうでしょう先生」

「ええいやかましい! 最初から危険は覚悟の上じゃろうが!」

 

 ジト目のカオルくんに逆ギレする師匠。

 そりゃわかってますよ! 愚痴ってるだけです!

 

「すまん、危険な事だが頼む」

「うん、嫌とは言ってないんですけどね・・・」

 

 ジャルネイオさんに頭を下げられ、溜息をついて俺は自分の運命を受け入れた。

 

 

 

「さて、これで完成じゃ。手首にでも結びつけておけ」

「わかりました」

 

 ミサンガみたいな編み込みブレスレットを手首に結ぶ俺。爪の先ほどの小さな振り子がブラブラ揺れている。

 まあ何だかんだ師匠の仕事は確かだ。潜入したら役に立ってくれるだろう。問題はむしろ・・・

 

「資料が! 資料が多い!」

「なんだかんだあそこはべらぼうに広くてな・・・」

 

 俺が覚えなきゃいけない事が山のようにあったことだ。

 聖帝十・・・もとい十字ピラミッドの平面図が何枚もあって、しかもそれらの大半にびっしりと部屋や書き込みが書き込まれている。こんなもんまともに覚えられるか! 試験の前の一夜漬けだってここまで重くねーよ!

 

「まあ高さ200m、さしわたし500mくらいの巨大複合建築物だからね・・・」

「まあしょうがない、他のところはざっとでいいから、奴がいそうな部分だけ覚えておけ。これと・・・これとこれとこれとこれ、このあたりの中央部分じゃな」

 

 それでも参考書を隅から隅まで丸一冊くらいのあれなんですが。

 

「まあ・・・小僧の頭ではそれくらいが限度か」

 

 人をアホみたいに言わないで頂きたい! これでも学校では上位の成績だったんですよ! ・・・と、口に出しては言わない。カオルくんだと全教科で全国模試トップくらいやってそうだし・・・。

 

「まあどうにかしてやろう」

 

 その言葉と共に、ぴとっと俺の額に当てられる師匠の指。

 あの、もしかしてこれは・・・

 

「今からお前の頭の中にこの地図を送り込む。安心せい、この量ならそれほど負担にはなるまい」

 

 やっぱりぃぃぃぃぃ!?

 逃げようとしたが後ろからがっしりと、座長に羽交い締めにされた。胸があててんのよされてるがそんなことを気にする余裕もない。

 

「まあ我慢しな。死ぬわけでもないんだから。まあおっぱいのことでも考えて気をそらしてな。サービスサービス、ってね」

「ぼくは・・・いやだ・・・」

 

 だいたーんくらーっしゅっ?!

 

 

 

「おにいちゃん!?」

「ハヤト、大丈夫・・・?」

「な、なんとか・・・」

 

 今回は地面に崩れ落ちることも死にかけのセミのように痙攣することもなく、頭が少々重いくらいで済んだ。師匠曰く術師の修行を積んだことも関係しているのだろうということ。

 そして結果は劇的だった。

 

「すごい! 頭の中にぱぱっと地図が明確に思い描ける! ・・・受験のときにこれ使えてたら良かったのになあ」

「そうだね。でもそれだと試験内容から暗記問題消えるだろうなあ」

 

 苦笑するカオルくん。いいじゃないか、夢くらい見させて下さいよ・・・

 

「動けるか、小僧?」

 

 覗き込んできた師匠に頷く。

 

「少し休めばなんとか」

「よし。では王宮近くの拠点まで連れて行く。そこから侵入してくれ」

「わしらもついていこう。心話の術もそこなら通じやすかろうし、いざというときは突入も考えねばならん・・・よいな?」

 

 みんなが頷いた。




タイトルの元ネタは「無敵鋼人ダイターン3」の最終回。
ラスボスを倒した後「ぼくは・・・いやだ」と一言呟いて主人公が行方を眩ませる展開です。
ラスト、彼は戻ってきたのかどうなのか・・・。
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