異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十話 オヨネコはやにゃん

「!?」

 

 一瞬目をつぶり、死を覚悟して・・・戸惑う。

 

「死んで・・・ない?」

 

 視界の奥に、心底驚愕した顔の「ドラキュラ伯爵」が見える。

 周囲を見渡すと、負傷してはいたものの、死んではいなかったはずの衛兵や召使いたちが全員事切れていた。

 やっぱり死の魔力は発動している。だがどうして無事だった・・・?

 

「ええい、考えるのは後だ!」

 

 「伯爵」のほうに足の裏を向け、そこからロケット噴射して高速離脱。

 デモゴディは単体で空を飛ぶことは出来ないが、足の裏からロケットを噴射して水中を高速移動したり、短時間だが大ジャンプをすることは出来るのだ。

 もっとも、足の裏だけなのでバーニアをふかして空中での姿勢制御なんてものはできない。

 なのでこうする。

 

「ミサイルラッシュ!」

 

 空中で体をくるりと翻し、進行方向の壁に腹からミサイルを連射。

 爆風で無理矢理速度を落として、直角に方向転換。

 先ほどロケットパンチで同様にそちらに運び去った少女とロケットパンチを回収して腕に装着。

 

「チェインジ、ジェッターII(ツー)っ! スイッチ・オンッ!」

 

 そのまま少女を小脇に抱えてジェッターIIにチェンジ。

 右手のドリルを全力回転させ、エレベーター孔から地下を掘り抜き脱出。

 「伯爵」の追撃はなかった。

 

 

 

 ピラミッド近くのアジト・・・はやばいとは思ったが、町外れまで掘り抜こうとすると魔力が足りない。やむを得ず、アジトの地下室まで穴をブチ抜く。

 震動に気づき、おっとり刀で地下室に乗り込んできたジャルネイオさんたちが目を丸くしてたのには少し笑ったが、のんきに笑っていられる状況でもない。

 実はかくかくしかじか、と大雑把に説明をすると、任務達成を喜ぶと同時に頭を抱えられた。

 

「よくやった・・・が、ともかく今はここを引き払うのが先決じゃな。穴は潰してあるか?」

「痕跡は残ってると思いますけど、改めて穴を掘らない限り通るのは無理だと思います」

「よし、では撤収だ」

 

 ジャルネイオさんの言葉に、少女を除いた俺達全員が頷いた。

 

 

 

 来た時と同じように、やせた牛の引く荷車に隠れて街中を行く俺達。

 途中何度か兵士達とすれ違ったが、幸いなことに誰何を受けることもなく、本拠地とは別の町外れのアジトにたどり着く。師匠とジャルネイオさんが何か話してたみたいだけど何だろう? 後少女に何か術もかけてたが。

 ともかく人気のない洞窟に入ると、ようやく一息つけた。

 

「ふはー・・・何度やっても慣れないなあ、こういうの・・・」

「えらいえらい、よくやった」

「えらいぞおにいちゃん」

 

 緊張の糸がぶっつり切れたのと魔力枯渇でたれぱんだ(古い)になった俺を、アルテとリタが撫でてくれる。

 あー、気持ちええんじゃー・・・

 

「君ねえ・・・」

 

 多分俺が猫ならごろごろと喉を鳴らしていたと思う。

 カオルくんが呆れたような目で見ていたが、こればかりはどんなに蔑まれようともやめるわけにはいかないんじゃー。

 

「ふむ」

「解けるかい、ばあさん?」

「まあなんとかの」

 

 ゆるみきってだれきってる俺達(というか俺)とは対照的に、師匠や座長、ジャルネイオさんは俺が連れ帰った少女にかかりきりだった。

 

「~~~」

 

 師匠の呪文が洞穴に響き、少女にまとわりついていた精神操作の魔力が吹き消されるように消えた。

 

「ん・・・」

 

 少女の表情からロボットのような不気味の谷が消え、ぱちくりと目をまたたかせる。

 

「大丈夫かの」

「は、はい・・・っ!?」

 

 師匠の言葉に反射的に頷いた少女だったが、途中で怯えた顔になり、震えだした。

 

「なんだい、大丈夫かい?」

「魅了されても今までの記憶は残るんじゃよ。先ほど殺されそうになった恐怖を思い出したんじゃろう。それから小僧、こっち来い。お前達もじゃ」

「へーい・・・」

 

 のそのそと立ち上がって師匠のところに行く俺。

 アルテやマデリーンさんたちも集まってきて車座になる。

 

「それでは頼む」

「へい、こちらこそお願いしやす」

 

 ジャルネイオさんの部下らしい大柄な人が俺の前に座り、俺と部下の人の肩に杖を橋のように渡して師匠が呪文を唱える。

 

「~~~」

 

 お、おお!?

 杖の肩からじわり、と熱が広がる。それが広がりきった頃には、体の芯まで染みついていた疲労感が綺麗に消えていた。

 逆に部下の人はがっくりと肩を落として息をついている。

 

「前に魔力を補充して貰ったことがありますけど、ここまで目一杯回復して貰ったことはありませんでしたね」

「いくら効率よくてもわしは所詮ババァじゃからな。元の量が違う」

 

 魔力とか言っているけど、実のところ補充して貰っていたのは体力、生命エネルギーだ。

 魔力というのは体力を消費して練るものであり、魔術の技量が上がれば上がるほど効率よく変換できるようになる。そして生命エネルギーはどんな術師でもゼロから生み出す事はできない。

 技量が高くても老人である師匠がエネルギーを振り絞るより、屈強な男からエネルギーを貰う方が回復量は高いわけだ。

 自分の体とは別に魔力を生み出す手段を持っていれば、この限りではないが・・・。

 

「どうもありがとうございます、師匠もお兄さんも」

「いやいや。これから頑張って貰うんだから、こんなのは軽いこってさあ」

「それではスカレ」

「あい」

 

 ジャルネイオさんと頷き合って、それではと退出する部下の人にもう一度頭を下げる。

 

「しかしいいですね。すっかり疲れが取れましたよ」

「あれだけ注ぎ込めばの。そう言えば前にこの術をお主のようなオリジナル冒険者が、何と言ったか・・・そうそう、疲労がポンと取れるのでヒロポンの術とか言っておったな」

 

 アウトォォォォォ! それアウトォォォォォ!

 

「そうなの、カオルちゃん?」

「うんまあね・・・」

 

 純真なリタの質問に、カオルくんは苦笑しながら言葉を濁す。

 そして表情を変え、師匠を見据えた。

 

「それで先生。ハヤトくんの体力を急いで回復すると言う事は・・・これからすぐにまた何かやるんですか?」

 

 あっ。

 確かにそうだ!

 隣ではアルテやリタも同じような顔になっている。

 

「まあの。やるというか起こるというか、無論起こらない方がいいんじゃが・・・」

 

 師匠の言葉を遮るように、激しい音がした。

 広間の入り口、上に通じる石段を転げ落ちてきたのは、たった今出ていったスカレさん。

 体中の傷から血がしみ出して、階段を流れ落ちてくる。

 

「スカレ!」

「失礼、どいてくれなかったものでね。ついついやり過ぎてしまった」

 

 足音共に響く声。

 マデリーンさんとヘレンさんがぴくりと反応する。

 

「やあどうも、直では初めまして、諸君」

「ドリー!」

「ドラキー!」

「・・・ドラキーはやめてくれといわなかったかな、ヘレン」

 

 部屋に入ってきた中年の伊達男――自称ドラキュラ伯爵、ないし太陽神レーは二人の呼んだ愛称に顔をしかめた。




何度やめてくれと言ってもやめなかったのがヘレンさん(ぉ

なおタイトルはギャグアニメ「およネコぶーにゃん」から。
ロボットアニメには関係なさそうで、主役が神谷さんだったりしますw
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