異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十一話 インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

「おや、余り驚いていないね。まあ予測は出来るか」

 

 「伯爵」の言葉に師匠が眉をしかめる。

 

「やはりあの程度では無理じゃったか」

「貴女は相当の術師のようだが、咄嗟にかけた程度の探知妨害術ではね」

 

 あー、つまり師匠はこいつからの探知の術を防ぐために魔法をかけたけど、こいつの探知を防ぐには足りなかったと。

 師匠並みの大魔術師だとしたら、そりゃ魔法で居場所を探知することくらいできるよなあ。

 

「まあともかく私についてきたまえ。そうすれば他の者は見逃して上げよう――そのつもりで人払いをしたのだろう?」

「!?」

「・・・」

 

 驚いてばかりでなんて言ったらいいかわからないけど、理解した。

 本拠地じゃなくてこっちのアジトに連れて来たのも、ここに人がいなかったのも、師匠もジャルネイオさんも最初からこいつの襲来を予期してたんだ。

 

「もう一度言うよ? 私についてきたまえ。そうすればそこの彼も助けられるだろう。それとも私に勝てるつもりかね?」

 

 余裕たっぷりの「伯爵」にカチンと来る。

 

「ふざけんな! その子かアルテか知らないが、どっちも渡さないぞ!」

「そうだ!」

 

 両手を構える俺、サンダースウォードを抜き放つカオルくん。

 座長たちも戦闘態勢に入る・・・が、「伯爵」はきょとんとして、やがて笑い出した。

 

「ああ、ああ、そうじゃない。そうだな、勘違いさせて済まなかった」

 

 手を振って否定。

 そしてその手をこちらに向ける。指先が指すのは・・・俺?!

 

「そうとも、君だよ。オリジナル冒険者族なんだろう、私と同じ」

 

 え・・・? 戸惑って言葉を返せないでいるうちに、いかにも親しげに話しかけてくる「伯爵」。

 

「君の力、デモゴディΣだろう? 懐かしいなあ。私も長井轟は好きだったんだ。『デモニックヒューマン』とか『ヴァイオレント・ジェイ』とか『スサノオ』とかよく読んでたよ。ちょっとマイナーだけどSF酒呑童子とか邪馬台国の骨法使いの漫画とかお気に入りでねえ」

「・・・!」

 

 こいつ本当に結構詳しい! でもこのまま主導権を取られてばかりじゃいけない。何かこちらから話しかけないと。えーと、えーと・・・

 

「その、それで、だ。長井業ファンだから俺を連れて行くのか? オリジナル冒険者族だから?」

「んーまあそれもないとは言えない」

 

 指をちちち、と振る「伯爵」。いちいち楽しそうなのが何かむかつくな・・・。

 

「じゃあ何故?」

「君が死ななかったからさ。既に私が怪人(ヴィラン)で真祖なのは知っているだろう? 私の力を受けて死ななかった人間なんて、この五百年で初めてなんだ!」

 

 男は心底嬉しそうに言った。

 

 

 

「・・・」

 

 ペトロワ師匠やシルヴィア座長含めて唖然とする俺達。

 奴は満面の笑みで俺の返事を待っている。

 だが、俺は奴に屈するわけにはいかない理由がある。

 

「お前を倒さなきゃ、アルテは吸血鬼になっちまうんだ。ここでハイと言えるか!」

「え?」

 

 あっけにとられた顔をしてから、笑顔に戻って頷く「伯爵」。

 

「ああそうか、そちらのお嬢さんはそうだったな!」

 

 笑顔のまま、パチン!と指を弾く。

 アルテの首筋にばちり、と魔力の波動が走った。

 

「アルテ!」

「大丈夫、なんともない! ・・・あれ、これ・・・」

 

 首筋に手をやるアルテ。包帯を巻いて隠していたはずの部分が露わになっており・・・確かにあったはずの傷痕が消えていた。

 

「なっ・・・?」

「アルテ、ちょっとかがめ」

 

 急いで呪文を唱えてアルテの首筋に触れる師匠。

 暫くして振り向いた師匠の顔にはありありと困惑が現れていた。

 

「吸血鬼化が治っておる・・・跡形もない」

「・・・!」

 

 振り向くと、満面の笑みの伯爵がこちらに手を差し出していた。

 

「さあ、これで問題ないだろう。それとも・・・もう一度《死の波動》を試してみるかね?

 君と、ひょっとしたらそこの術師殿は生き延びるだろうが、それ以外は死ぬぞ?」

 

 ぶわっ!と伯爵の周囲に黒みがかった紫色の魔力・・・死の魔力が渦巻き、緊張が走った。魔力を感知できない面々も、その禍々しさは肌で感じたらしい。

 ちらりと後ろを見ると、師匠が無念そうな顔で僅かに頷いた。

 ・・・しょうがない。取りあえずは奴の提案に乗るしかなさそうだ。

 溜息をつきつつ、俺は伯爵に手を伸ばす。

 

(あ・・・ミサンガが揺れてるな)

 

 猛烈に振れている振り子にちらりと目をやり、奴の手を取って・・・そしてぱちん、と音がして視界が暗転した。

 

 

 

 気がつくと豪華な洋館の中だった。

 ほぎゃあ、ほぎゃあと赤ん坊の泣き声。

 

「生まれたか!」

 

 貴族らしき男が、喜色満面で部屋に入ってくる。

 が、次の瞬間その顔が暗転した。

 

「マリアは・・・」

「助けられませんでした」

「そうか」

 

 ベッドの上の女性と泣く赤ん坊。

 女性はもう息をしていない。

 男が赤ん坊を抱き上げた。

 

「ルイス。私に残されたのはお前だけだ。マリアに代わって、きっとお前をたくましく育ててみせるぞ」

 

 息子を抱き上げて瞑目する男。すすり泣く侍女や産婆さんたち。

 そのいずれもが俺を空気であるかのように無視している。

 光が走った。

 

 

 

 場所はさっきと同じだった。

 洋館の中。

 豪華な服を着た男の子――ルイスが所在なげに館の中を歩いている。

 

 子供部屋。廊下。舞踏会場のようなホール。応接間。寝室。

 そのいずれにも人影はなく、ただ生気を失った使用人の遺体が転がっていた。

 最後に寝室で、天井に視線を向けて動かない自分の父を見ると、ルイスは無表情で立ち去っていった。

 

 館の外にルイスが出ていく。

 小作人らしき男に声をかけると、男は慌てて館の方に走っていった。

 

 騒ぎになった。

 ルイスは、その夜最初に出会った小作人のところに泊まる。

 そして翌朝、小作人の一家は全て死んでいた。

 館の人間たちのように、生気を失った真っ白な死に顔だった。

 

 翌日泊まった小作人の家でも同じ事が起きた。

 その翌日には、デュラック男爵家の耕作地から生きた人がいなくなっていた。

 光が走った。

 

 

 

 その後もルイスはあちらこちらと放浪して、屍を生み、少しずつ成長していった。

 生まれ持った超常の力で、ある時は山賊を返り討ちにし、ある時は農家から食糧を盗み、またある時は親切な一家に食事を御馳走になって家人が死ぬ前に姿を消したりもした。

 人間だろうと野獣だろうと、ルイスの力には誰も勝てず、ただ死んでいった。

 

 少しずつ、力の制御も会得していった。

 無差別に生命を奪うのではなく、自分の望んだときだけ力を発揮できるように。

 大きな転機となったのは、とある老術師と出会ったときだった。

 その老人は"大魔術師(ウィザード)"と言われるにふさわしい実力の持ち主で、既に二百年以上を生きていた。

 老術師は襲いかかった彼の動きを事も無げに封じ、体を事細かに調べると言ったものだ。

 

「そなた、"怪人(ヴィラン)"であるな」

 

 と。




インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアはお耽美吸血鬼小説&映画。
まあ内容がほぼそのままなのでw
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