異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十三話 ぶつかることで深く結びつく友情()

「・・・」

 

 俺は現実に戻っていた。

 周囲の様子からすると、俺が奴の記憶を覗いていたのはほんの数秒の間らしい。

 目の前には一瞬前とは打って変わって毒気を抜かれた顔のルイス。

 

「・・・見たのかい」

「・・・ああ」

 

 呆然とした表情のまま、奴が問う。

 頷いた俺も、多分同じような表情をしていたと思う。

 

「小僧、何があった?」

「それが・・・」

 

 かいつまんで説明すると、師匠が唸った。

 

怪人(ヴィラン)のコアとダンジョンのコアは基本的に同じもの・・・神の想念の泡じゃ。

 ダンジョンのコアに触れると、精神が中に取り込まれる場合がある。それに耐えて精神力でコアをねじ伏せると、ダンジョンのコアを安定化させ、制圧することが出来るんじゃ」

 

 怪人のコアの場合でも、同じ事が起こりうるって事か・・・。

 

「はあ・・・」

 

 ルイス・・・吸血鬼が深く息をついて頭を左右に振る。

 ショックを受けたとか怒ってるとかじゃない。感に堪えない、という顔だ。

 

「それでは君は私を見てくれたわけだ。私の孤独を。寂寥を。呪われた力を」

「・・・ああ」

 

 先ほど以上の満面の笑み。そこには一片の邪気もない。

 

「君もわかるだろう? 地球の、日本の満ち足りた日々から、友人や家族からいきなり引き離された。欲しくもない力を持たされ、私が近づく人間はみんな死んだ。

 寄ってくるのはこの力目当てのおべっか使いばかり。私を知らない、理解しようともしない愚か者ばかりだ」

 

 そこで男はいっぺん言葉を切った。

 自分の感情を持てあましているらしい。

 

「だが君は違う! 君なら私を理解してくれる! 同じように日本を知り、こちらの世界に放り出され、巨大な力に翻弄された! さあ、友達になろうハヤト!」

 

 目を輝かせたその様は、まるで子供のようで。

 

「寝言抜かしてんじゃねえっ!」

「へぶぅっ!?」

 

 俺は思いっきりその横面を張り倒した。

 

「「「「「殴ったー!?」」」」」

 

 周囲のみんなが一斉に悲鳴を上げる。

 

「まあ・・・」

「こうなるんじゃないかと思ったんだよねえ」

 

 ただし師匠と座長・・・つまり、ロンド王宮での俺のブチ切れを見ていた二人だけは心底呆れた顔をしていた。なんでだ、普通ぶん殴るだろう?

 

「な、何故だ!? 私たちはこの世でただ二人きりの、互いを理解し合える同士・・・」

「そこにもう一人、俺と一緒に跳んできたオリジナル冒険者族がいますが?」

「へっ?」

 

 唖然とした顔の、さっきとは反対側にもう一発。

 

「ぶごぉっ!?」

 

 悲鳴を上げて奴は転倒する。

 

「それを差し引いてもお前なんぞと友達になりたかねえよ! 今までやって来た事を省みろ!

 チェインジ、ジェッターII(ツー)!」

 

 俺の右手が巨大なドリルに、左腕がペンチのような巨大マジックハンドになる。

 起き上がろうとするルイスの頭をマジックハンドでわしづかみにし、俺はそのまま岩壁を突き破って外に飛び出した。

 

 

 

「ぐうおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 町から離れるように、全力で空を飛ぶ俺。

 ジェッターロボの中でも最速を誇るジェッターII(ツー)。

 その速度に引きずられて奴の顔が歪む。

 

「いい加減に・・・しろぉっ!」

「うおっ!」

 

 マジックハンドを無理矢理開き、俺を蹴り飛ばすルイス。

 落下していく奴を追って方向転換、着地。

 町から数キロ離れた荒野の中で、俺達は再び相対した。

 

 

 

 ちらりと町の方を見る。ここからだと大半は地平線の影に隠れ、僅かなシルエットの他は空色のピラミッドが見えるだけだった。

 

(この距離なら、あの《死の波動》も・・・)

 

 そんな俺を見て、ルイスが笑みを浮かべる。

 

「心配する事はないよ、ハヤト。この距離ではさすがに私の力も届かない。

 君はそう言うのが嫌いらしいからあらかじめ教えておくよ」

「そりゃどうも」

 

 顔に出るとしょっちゅう言われてはいるが、こいつに内心を悟られるのはむかつくなあ!

 

「なに、他にオリジナル冒険者族がいようとも、君が私を嫌っていようとも、私にとって君がかけがえのない存在なのは変わりないさ。く、ふふふ・・・そうだな。夕やけの中で全力で殴り合い、友情が芽生えるという展開もいいものだな・・・」

「殴り合って芽生える友情なんかねえよ! あいにく俺はガンボイファイターじゃないんでね!」

 

 昭和の番長マンガのようなことを言い出すルイス。平成のロボットアニメを引き合いに出す俺。

 というかお前と心からわかり合えたとしても、「こいつとは絶対友達になれねえ!」ってなるだけだと思うぜ!

 

「マシン・オン! パイルビード・ゴォーッ!」

 

 生身の喉から放たれた俺の叫びが、鋼鉄の喉が出す咆哮へ変化していく。

 

「お・・・おおおおおおおおおおおおおお!」

 

 奴が驚愕の叫びを上げる。その視線が俺を見上げ、ほとんど頭上に向く。

 俺は今やデモゴディΣになった。

 

 

 

「素晴らしい! やはり君はデモゴディΣの姿になれるのだな! なら私も相応に礼を尽くそう!」

『!?』

 

 奴の姿がおぼろげになり、霧のようになった。

 その背後、空色のピラミッドから放たれたのは・・・魔力!?

 

「うおおおおおおお!」

 

 魔力のビームを受けた霧の塊は見る見る巨大化し、デモゴディと同サイズになる。

 それが再び実体化したとき、そこには土偶のような紋様を意匠化した、巨大な牙を持つ黒い甲冑をまとった巨人がいた。

 

『あのピラミッドは魔力を蓄える巨大な貯蔵庫でもある。あれと繋がっている限り、私の魔力は無限に等しい。そして真祖の本当の力を今、君に見せて上げよう!』

『いらねえよ! 豪子力ビーム!』

 

 先手必勝!

 タメのいらない豪子力ビームを、最大出力で叩き込む。

 

『・・・!?』

『フフ。フフフフフ』

 

 ちっちっち、と指を振る吸血巨人。

 最大出力の豪子力ビームが命中した胸板には、傷一つ付いていなかった。

 

 

 

『ウィングカッター!』

『ルイントルネード!』

『ミサイルラッシュ!』

『ミサイルドリル!』

『ビームフリーザー!』

『ブレストヴォルケイノ!』

『はははは! 効かん! 効かん効かん効かん効かん!』

 

 デモゴディΣの必殺武器の連打。

 それらが一切効いていない。

 もっとも、あちらの攻撃も俺には効いていない。

 魔術の炎や、冷気を纏った拳。酸の球体や精神操作呪文などを撃ち込まれもしたが、今のところデモゴディの体を覆う超合金Σはそれら全てを弾き返している。

 

 そしてこれだけ攻撃を防がれると、奴の無敵のからくりも何となく見えてきた。

 つまり、奴は身体の表面に魔力によるバリアを張って俺の攻撃を防いでいるのだ。

 吸血鬼は普通の銃弾や剣では効果が無い。そんな能力を強化した感じなんだろう。

 だが魔力で発動するものなら、魔力が切れれば使えなくなる。攻撃を繰り返して消耗させれば・・・

 

『チャージ!』

『!?』

 

 再びピラミッドから放たれる青い魔力光。

 それが奴に命中した瞬間、俺にかかっている初歩的な魔力感知でも察せられるほどに、吸血巨人の魔力が満ちる。

 

『ずっけぇ!?』

『戦いとは常に二手三手先を読んでするものだよ、ハヤトくん』

 

 鬼のような仮面の口元が、にやりと笑みを浮かべた。




>地平線
ちなみに地球の場合、人間サイズだと7~8キロも離れると地平線の影に隠れて見えなくなるそうです。
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