異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第七話 トランプお手玉やって笑われたことがあるって新宿の種馬が言っていた

 ぱらぱらぱら・・・

 無数のトランプが宙に舞う。

 それはまるで生きているかのようにいくつもの列をなして宙を回転し、最終的に俺の手に全て戻り一つの束になった。

 

「おおー」

 

 パチパチパチと鳴り響く拍手。

 俺は気取って一礼する。

 

「すげえなあ。俺もジャグリングは得意だがそこまではできねえや」

 

 男の色香を漂わせる小人族、軽業師兼道化師のアーベルさんが感心して頷く。

 何か気恥ずかしくなって頭をかく。実際生身じゃトランプどころか普通のお手玉もできない程度にはぶきっちょな俺である。

 

「いやあ、《加護》の力におんぶに抱っこですから自慢できるもんでも。

 しかしよくこんな衣裳がありましたね?」

 

 俺が今着てるのは燕尾服っぽいスーツにシルクハットっぽい何か。

 どう見てもファンタジー世界の服装ではない。

 

「あー、それ100年くらい前に来たオリジナル冒険者族が広めたらしいぜ。

 『世界に執事萌え文化を!』って言って、全財産とあらゆるコネを投じて執事という概念と執事服を普及させたんだと」

 

 すいません、同郷の人間が文化汚染してすいません。

 それにしてもこの衣裳体にぴったりで、鏡で自分を見てもかっこよく見える。

 衣裳箱から引っ張り出してきたそれを、アルテがささっと俺用に仕立て直してくれたのだ。

 料理うまくて裁縫も上手とか惚れてまうやろ!

 

「えへへー」

 

 そう言ったら照れ笑いしてくれたアルテちゃんすげーかわいい。

 

「しかしひょっとしてこの一座、アルテがいなかったら料理も繕い物もできなくて詰むのでは」

 

 冗談のつもりだったが、一座全員さっと目をそらした。マジかよ。

 

「そうよ。ほんっっっっっとうにあたしがいなきゃ何にもできないんだから!

 できるかどうかはともかく努力くらいしなさい!」

 

 睨みつけるアルテから、更に目をそらす一同。

 

「・・・料理くらいほかにできる人いないの?」

 

 それていた視線が集中したのは・・・リタだった。

 

「マジかよ」

 

 なおシルヴィアさんは見るからに論外だが、ペトロワ師匠もダメらしい。「ばーさんの料理は人を殺せる」とマジ顔で言ってたアーベルさんは脳天に杖を食らって悶絶していた。合掌。

 閑話休題(それはさておき)

 

「はい、鳩が出ます!」

「おおおおおー!」

 

 その後も俺の奇術ショーは続いた。

 お客さんに見せる前に練習しておこうってことで、客慣れも兼ねて一座のみんなを前に披露しているのだが、結構いい線いってるな。

 

「さて次は・・・」

 

 と、調子に乗ってた俺の手が止まった。

 

「どうしたんだい?」

 

 と、シルヴィアさん。

 

「ああいや人体切断マジックやろうと思ったんですけど、切断されてくれる相手がいないと・・・」

 

 ん? と首をかしげてからぽんと手を打つ。

 

「あー、『あにめ』の中でやってた奴ね。よし、ここはいっちょあたしが一肌脱いで上げようじゃないか」

「歳考えろババァ」

 

 アーベルさんが大ジョッキで殴られた。こりない人だ。

 

「まあアルテかリタの二択だよね・・・」

「やはり若い娘の方が絵になりますぞ」

 

 首をすくめつつオブライアンさん。そしてバイオリンを鳴らしつつラファエルさん。

 ガイガーさんまでうんうんと頷いている。

 

「はいはいはい! あたしやりたい!」

 

 即座に手を上げたのはリタ。アニメで見て興味を持ったらしい。

 ちらり、と隣のアルテを見るが、彼女はくすりと笑ってリタの頭を撫でた。

 

「それじゃリタにやってあげなよ、ハヤト。あたしはいいからさ」

「やったあ!」

 

 大喜びするリタ。ほんとかわいいなあ!

 ステージマジシャンっぽく、気取って一礼してみる。絵になってるかどうかは知らん。

 

「ではこちらへどうぞ、お嬢様」

「はーい!」

 

 彼女は喜び勇んで、俺が《加護》で出したトリック演台の上に横になった。

 

 

 

「はい、元通りー!」

 

 アニメで見たセリフの通り、一度切断されて元通りになったリタが演台の上で手を広げてアピールする。本来はこれで万雷の拍手・・・となるのだろうが。

 

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「え、あれ、どうしたのみんな?」

 

 野営地はお通夜状態だった。

 

「いやそのね・・・」

「何と言ったらいいか・・・」

「ハヤト」

 

 言いよどむ俺達をよそに立ち上がったのは、リタのお父さんのガイガーさんだった。

 前に睨まれたときとは違う、沈痛な表情。

 

「俺の娘であることを差し引いても・・・こんな小さな娘をノコギリで切り裂くのは刺激が強すぎるんじゃないだろうか・・・」

「はい・・・」

 

 同じような表情でうつむく俺。うんうんと頷く一同。

 

「そ、そんなに凄かった?」

「見慣れてないって事もあるけどよ・・・」

「小さな子供がバラバラにされるのって心が痛むよね・・・」

「・・・」

 

 リタ本人は冷や汗かきつつもちょっと不満なようだが、さすがに察して何も言わない。

 だって凄い罪悪感あるよ!? ノコギリで体を切断するのは多分誰相手でも罪悪感あるとは思うけど、それが六才くらいのあどけない女の子だと絶対やっちゃいけないことやってる感が凄いんだよ! 猟奇犯罪の臭いしかせんわ!

 本物?の手品なら箱に上半身役と下半身役の二人が入って箱を切り離すんだけど、俺の場合よくわからない力で箱ごとぶった切ってから戻してるから尚更だ!

 

「やりたかったのになあ」

「脱出マジックとか箱移動とかそう言うのがあるから、リタはそっちで手伝って貰えれば・・・」

「まあしょうがないね。となると・・・」

 

 と、集中する視線。

 

「あ、あたし?」

「まあ他にいないだろ」

「うーん・・・」

 

 ちょっと困ったように、アルテが頭をかいた。

 

 

 

「ちょっとー! 何よこの衣裳!」

「体真っ二つにするんだから、おなかが出てるやつの方がいいだろ」

 

 顔を真っ赤にして抗議しているのはアルテ。

 彼女は興行では怪力芸の担当で、馬を持ち上げたり鉄棒をねじ曲げたりするらしいのだが、その時の全身タイツみたいな衣裳ではなく、今はほとんど胸と股間しか隠していない、きわどいハイレグビキニみたいな衣裳を着せられていた。

 

 実際は服ごと真っ二つにして元に戻せるのでどっちでもいいのだが、そっちの方が見栄えがいいというのは全く同意見なので口には出さない。

 と、思ったらほっぺたをつままれた。

 

「あの・・・なんでしょう」

「えっちな目をしてた」

 

 アルテが顔を赤くして、こっちを睨んでる。

 

「いやその・・・すいません」

「むー」

 

 実際その通りなので全面降伏する俺。頬を膨らませるアルテ。

 

「青春でございますなあ」

「ですねー」

 

 ラファエルさんとオブライアンさんが茶をすすっていた。

 なおアルテにアシスタントをして貰った切断マジックは大受けしたことを付け加えておく。




 ちなみにこの世界のお茶は基本香草茶、ハーブティーです。
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