異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
吸血巨人が勝ち誇る。
『くはははは、やけっぱちのギャンブルか! だがそれも・・・』
『やかましいっ!』
『がっ?!』
俺の右拳が奴の顔面にクリーンヒットする。
続けて左拳も。
『ちっ、さすがに魔力が足りんか!』
俺の連続攻撃に耐えるために、さすがに体内の魔力をほぼ使い切ったらしい。
・・・と、奴は思っているだろう。
とはいえ、それに気付いていようがいまいが、奴が取れる手は一つしかない。
『チャー・・・』
『チャージなどさせるか!』
言いざま、両腕のロケットパンチ。
ただし当てるつもりはない。
奴の両脇をすり抜け、ロケットパンチは彼方へと飛んでいく。
奴がチャージを邪魔させないためにキープしていた、俺―奴―ピラミッドの一直線のライン。
そこに二つの鋼鉄の拳が割り込む。
つまり、ピラミッドが放った魔力光と奴の間にだ。
『何ぃっ!?』
『ジャックポット!』
奴の驚愕の声。
俺に指があれば、パチンと鳴らしていただろう。
空を切って飛んだ両拳がピラミッドからの魔力光を吸収し、それを全て中に蓄える。
『ど、どういう・・・そうか、そのために二人を!』
『ご名答!』
困惑した奴だったが、さすがに
一瞬でからくりに気付いたらしい。
ピラミッドを奴が支配下に置いているのは、魔力によるDNA認証のようなものを介してのことだ。
そしてマデリーンさんとヘレンさんは奴のスポーンであるがゆえに、奴の因子を持っている。吸血鬼として、怪人としての因子をだ。
だから俺が奴の
そもそも俺が奴の記憶を垣間見れたのも、デモゴディの拳が奴の魔力障壁をブチ抜いたのも、俺の右手首に結びつけられた、彼女たちの髪の毛があってのこと!
『うおおおお、魔力満タンだぜえ!』
両拳が再ドッキングした瞬間、腕の継ぎ目から膨大な魔力が体内に流れ込んでくる。
今まで消費した魔力を全て補って余りあるほどのそれだ。
・・・俺の推しはデモゴディ一点張りだ。
好きなロボはもちろん沢山あるが、デモゴディと同等の推しはいない。
それだけの思い入れの強さがあるから、感情が高ぶったとき限定とは言え巨大化までこぎ着けられる。逆に他のロボットは思い入れが「くっ、僅かに足りない!」ので等身大では再現できても、巨大化した状態では使えない。
思い入れが補ってくれる分の魔力が足りないからだ。
だが逆に言えば、それだけの魔力と、それにふさわしいシチュエーションがあればデモゴディ以外のロボを再現できる。少なくとも今の俺にはその確信があった。
そして「この技」がこれ以上に適したシチュエーションはありえないと。
『ヴェル・ヴィル・ヴァン・ヴォー・ヴフォ!』
『があっ!?』
呪文と共に両拳を組む。
そこから放たれる超電磁トルネードが吸血巨人に襲いかかり、空中にはりつけにした。
ミストヴォルグの原作である「勇者獅子王ラオライガー」。
その主役メカ・ラオライガーが、洗脳されたパイロットの入っている敵ゾルーゲロボのコアを抜き取り、同時にゾルーゲロボの中枢を完膚無きまでに破壊する、その技の名は――!
『
突貫した俺の両拳――マデリーンさん、ヘレンさんと完全同調し、奴の障壁の魔力をすり抜けられるそれが、奴の胸に深々と突き刺さる。
手応えありだ!
『が、が、が・・・』
胸に俺の両手を埋め込み、身動きもならないルイス。
『最後に一つ教えてやるよ・・・俺に《死の波動》が効かなかったのは多分、俺が特別だからでもなんでもない。あの時俺がデモゴディだったからさ。ロボットが死ぬわけないだろう?』
『そ・・・んな・・・』
奴が何かを言おうとしたが、それより俺の方が早い。
『ぬうう・・・ふんっ!』
『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』
奴の胸をえぐり、抜き取ったのは両手に収まるほどの巨大な真球の水晶。
奴のヴィラン・コア。
次の瞬間、奴は悲鳴と共に大爆発を起こし、消滅した。
『・・・ふう』
抜き出したヴィラン・コアに視線を落とす。
これで終わった。もう奴の犠牲になる人も・・・
(気を抜くな!)
うおっ!?
いきなりペトロワ師匠からの心話が入ってびっくりした。
(奴は死んでおらん!)
(で、でもヴィラン・コア抜いて大爆発しましたよ!?)
(ならば恐らくは身一つで逃げ出したんじゃ。ヴィラン・コアを抜かれたとしても、それが奴の存在の核ではない。神の思念の泡はあくまで後付け、奴本体の魔術師としての、そして作り替えられた吸血鬼としての力は恐らく残っておる。
霧に姿を変えたか、あるいは透明化の呪文を唱えて飛んで逃げたんじゃ)
な、なるほど・・・くそ、生き汚いやつだな!
(奴の気配はピラミッドに逃げ込んだ。これからわしらも追うが・・・)
そこで師匠の思念が途切れた。
理由は判っている。
俺も「それ」を見て絶句していたから。
空色の五連ピラミッド、「空の王宮」が宙に浮いていた。
飛行して初めてわかったが、地上部分のピラミッドと対になるように、地下部分にも同じ形のピラミッドが生えている。
つまり正八面体が5つ連結している形。
ゆっくりと上昇しているように見えるが、高さが上下合わせて400メートルの巨大物体、実際にはかなりの速度で急上昇している。
(ね、ねえ。あれこっちに向かってきているように見えない・・・?)
(私にもそう見える・・・)
両腕の二人から震える思念。
(奇遇だな、俺にもそう見えるよ)
((やっぱりぃぃぃぃ!?))
悲鳴を上げる二人。
悪いが、今回は俺と地獄に付き合って貰う。
(いやああああああ!)
(逃げて! 逃げなさいよぉぉぉ!)
更に二人が上げる悲鳴の思念を脳裏からシャットアウト。
高度1km程からこちらに一直線に、ぐんぐんと大きさを増して突進してくる空色の五連ピラミッドを見据える。
『やれるかな・・・』
ぺろりと舌を舐める感覚。数十秒後にはあの巨大構造物に押し潰されるというのに恐怖は微塵もない。あれ、どう軽く見積もっても数千万トンはあるぞ? 文字通り山が降ってくるんだぞ?
それを考えると今からやろうとしてることに思わず笑ってしまう。
(疑念は失敗に通ずる!)
そんなフレーズが脳裏をよぎった。
何かのマンガで主人公が昔父親から言われたセリフだ。
ああ、疑ってなんかいないさ。だって俺は無敵のデモゴディΣだ――!
空の王宮の最上階。
この古代遺跡のコントロールセクションでもあるここに、ドラキュラ伯爵、あるいは太陽神レーと名乗っていた転生者ルイスはいた。
「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺滅死奪壊潰破吸裂砕血怨讐恨絶殺」
その瞳に、ハヤトに一方的な友愛を向けていたときの面影は既にない。
これ以上はないと言うほどに拒絶され、真祖としての力を奪われ、紳士然とした仮面も剥がれて、素の醜い性根が露わになっている。
ヴィラン・コアを奪われて「ただの吸血鬼以下」になっても、彼は優れた魔術師であり、オリジナル冒険者族であり、この遺跡の管理権限者だった。
遺跡に残った魔力を全て浮遊のそれに回し、突貫する。
いくらデモゴディΣでもこれなら。
心の奥、僅かに不安感がよぎったが、憎悪と怒りがそれをかき消した。
『押し潰してやる! 裏切者めぇぇぇぇぇ!』
奴の咆哮が聞こえる。
もう後数秒で激突する。
見上げた光景はまるで空が落ちてくるよう。
初代ガンボイでスペースコロニーが落ちてきた時も、落下地点の近くにいた人はそんなことを思ったんだろうか。
だがデモゴディは伊達じゃない!
そう考えた次の瞬間、大地を揺るがして「空の宮殿」は大地に落着した。
『はは! ははははははは! 死におった! ばかめ! 避けも・・・せず・・・?』
揺るがした大地。
だが吸血鬼は気付く。
ピラミッドの先端が地面に刺さっていない事に。
数千万トンの質量が高速で落下してくれば、半ばまで大地にめり込んでもおかしくはないはずなのに。
『・・・あ?』
ぐらり、と揺れた。
『なぁっ!?』
錯覚ではなかった。
今度ははっきりと、そして大きく振り回される。
そして吸血鬼は見る。
五連ピラミッドの先端の一つ、あの小僧の鉄人形に叩き付け、押し潰したはずの先端に・・・
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?』
奴の絶叫が響く。
両腕の二人は絶句。
恐らく、ターゲイの町でこれを見ている師匠や市民たちもそうだろう。
差し渡し500メートルの巨大構造物を、たった18メートルの人型が振り回している。
『知らなかったか!? デモゴディはな、本当に、本当に無敵なんだ!』
原作漫画にはあってアニメにはないシーン。
地獄博士ことプロフェッソル・ヘレの大幹部の一人、アルシュヴァラ男爵の操る海底要塞プロースト、文字通り小島ほどのサイズがあるそれがデモゴディを押し潰そうと突貫してきたのを、デモゴディは受け止め、両腕で抱え込んで振り回す。
(おじいちゃん、デモゴディは無敵だ! 本当に、本当に、無敵なんだね!)
原作漫画でもっとも心の震えたワンシーン。
それを今、俺は再現している。
『ひいいいいいい! 恐ろしい! 恐ろしい! ばけものめえっ!』
空の宮殿の中央頂点、奴の居室があった場所が分離して飛び出した。
ジャイアントスイングしていた五連ピラミッドの底を地面に付けて減速し、なるべく衝撃を与えないように下ろす。
振り向いた俺の目に映ったのは、空の彼方に逃げていく空色の四角錐。
『マシンフォース、スタートアップッ!』
唸るエンジン。俺の体が豪子力エネルギーの黄金の光に包まれる。
豪子力エンジンの出力を最大まで上げて一つの武装に集中するマシンフォースシステム。
それを起動すると同時に俺の両腕が風車のように勢いよく回り始める。
遠心力と豪子力とロケットの推進力を融合させた、デモゴディ最大の必殺技の一つ。
「大回転ロケットパンチ!」
黄金の大車輪となった両腕から放たれる二条の光の矢。
それは光線のように光の残像となって空を駆け、空の彼方で巨大な爆発を起こした。
ちなみにハヤトくんは、指を鳴らせるように猛特訓していた一時期があります(黒歴史)。
どう見てもヘル・アンド・ヘブンの
考える事はみんな同じだな!w
アルシュヴァラ男爵は当然あしゅら男爵モチーフな訳ですが、「あしゅら」のもじりではなくアルダーナリシュヴァラ(左右で男女がくっついてるあしゅら男爵みたいなインドの神)のもじりです。
要塞の方ですが「サルード」をググってみたらイタリア語で乾杯みたいな意味だったので、ドイツ語の乾杯「プロースト」に置き換えてみました。プロージットじゃないのねw