異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
ダン・ハヤト 現代日本からの転移者。16才。《ロボットアニメの加護》を持つ。父親の教育でロボットアニメが好き。
アルテ ヒロイン。16才。《怪力の加護》を持つ力持ち少女。ハスキー一座の怪力芸とおさんどん担当。駄肉。
タチバナ・カオル ヒロイン。16才。ハヤトと同じ転移者。《魔剣の加護》を持つ。美形で天才で善良だが馬鹿正直。
リタ ヒロイン。7才。動物と話せる《会話の加護》を持つ。一座の動物使い。
シルヴィア 一座の座長で歌姫。30絡みのあだっぽい美人。腕っ節も強く気っぷもいい。眼帯巨乳。
ペトロワ 魔女で一座の知恵袋。主人公とカオルの魔術の師匠でもある。
ガイガー リタの父。剣とコマ芸の達人。ヒゲモジャで無愛想。
アーベル 経歴不詳の小人族。軽業と道化芸と忍び技の名人。顔が濃いラテン系。
ラファエル ドワーフの吟遊詩人。ヒゲモジャだけどイケメン。
オブライアン 魚人妖精(オアンネス)の学者。好奇心旺盛。多少の魔術の心得がある。
第一話 はじまりはじまり
「あんたの話なんかホラばっかりじゃないか!」
――「ほら吹き男爵の冒険」――
その老人に出会ったのはソッツォの町でだった。
小太りの陽気なおじいさんで、口から先に生まれてきたというのはこういうのを言うんだろうと言うくらいのおしゃべりだった。
今日は町に着いたばかりで興行はお休み、アルテ達と一緒に買い出しに来ていたところだ。
アルテとカオルくんが肉とか野菜とか果物とか、目利きが必要なものを。
俺達は香辛料とか塩、味噌、醤油など、割と品質が安定してるものの担当である。
《怪力の加護》のアルテほどじゃないけど、俺もボボットの力を呼び出せば相応の力持ちにはなれるから、護衛兼荷物持ちとしては申し分ないし。
「しかしみんなで回ればいいと思うんだけどなあ」
「余り時間ないからねー。ここ、結構広いみたいだし」
「そっか」
なお。
「ボクもハヤトくんと一緒に行きたいんだけどなあ・・・」
「カオル? あんたね、食材の目利きも料理の修業なのよ。料理の一つも出来ないで、ハヤトの作る料理をただむさぼるだけの女になりたいの?」
「はうっ!?」
「あ、カオルちゃんが崩れ落ちた」
「そりゃ私だって、できるならハヤトと一緒に・・・ぶつぶつ」
出発前にそんなやりとりが繰り広げられていたことを、俺は知るよしもない。
「~~~♪」
何かリタが上機嫌だなあ。
「おにいちゃんと二人きりなのは初めてだからねー」
「チューチュチュー」
アカフクたち、色とりどりのカラフルなハムリスも心なしか楽しそうにぴょんぴょん跳ねている。
買い物の帰りである。
リタが塩や味噌はともかく、香辛料までメモも見ずにちゃんと注文できたのは驚いた。
小学校低学年の子供がだぜ?
「リタはかしこいなー。俺なんてリタの年頃にはこんな沢山買い物なんて出来なかったわ」
「アルテちゃんやアーベルさんが色々教えてくれるからねー」
えっへんと胸を張るその頭を撫でてやると、また嬉しそうに俺を見上げてきた。
あー、かわいいんじゃー。
ここならさすがにガイガーさんが鍔を鳴らす音も聞こえてこないし・・・こないよな?
何かパブロフの犬みたいに調教されてしまっている自分が怖い。
「?」
少女よ、純真な瞳で俺を見上げないでおくれ。
君は穢れるにはまだ早すぎるのだ・・・
そんなアホな事を考えつつ、適当に買い食いとかもして待ち合わせ場所に向かう。
「ほうい、そこの少年少女。ちょっと寄っていかんかね」
二人してそちらに視線が向かう。
大きな川の上の結構立派な石橋の上、ござみたいな物を敷いて座る老人。
人なつこそうな笑みでちょいちょい、と俺達を手招きしてる。
乞食かと思ったけど服装はそれほど粗末でもないな? となると芸人さんだろうか。
「いやあ、かわいいお嬢ちゃんだね! そちらはお兄さん?」
「おにいちゃんはおにいちゃんだけど、本当のおにいちゃんじゃないし将来はわからないの!」
笑顔のリタ。
うむう、それは将来俺が一座を追い出されたりするとかそう言う事だろうか。
まあ結構トラブル招いてる気もするしなあ・・・
「ほうほうほう、仲の良いのはいいことだねえ。私はエド。君たちは?」
「リタだよ」
「ハヤトです」
うんうんと頷くおじいさん。
「この町の人じゃないね。旅人かい?」
「ええ・・・」
それからしばらくおじいさんと話した。
「わしに息子が生まれたとき、でかい魚を釣り上げてな。それが・・・」
気がつくと、俺達は老人の話に聞き入っていた。釣り糸がぴんと張って巨大魚と力比べをするところでは手に汗を握り、みごとに釣り上げたときは思わず喝采を上げていた。
この人ラファエルさん並に話がうまいわ。
「と、言うわけでわしはその魚の魚拓を取って、河に返してやったのさ」
ぱちぱちぱち、と拍手するおれたち。その後でリタが首をかしげた。
「食べなかったの?」
「とんでもない。そんなことしたら、もう二度と釣れなくなってしまうじゃないかね!」
かっかっか、と老人が笑う。
うーん、釣り人の感覚は俺にはわからん。
「で、もう一つ。とっておきの話を聞いていくかね?」
「聞きたい聞きたい!」
リタが目を輝かせる。それを見て俺も頷いた。
時間はまだ大丈夫そうだし、俺自身この人の話をもっと聞きたい。
「そうかいそうかい、では話して上げようかね。
昔々、ある所に優しい女王様がいました。女王様には小さなお姫様がいて、ちょっと抜けているけど誠実な騎士と、十匹のハムリスの兵士が仕えていました・・・」
名調子である。
白亜の城、大理石の大広間、みごとな庭園の石畳の道、そこを走って行くリタそっくりのお姫様の情景が目に浮かぶ。
そして俺は姫様の傍近くお仕えする騎士だ。不相応な立派な服に白銀の剣。白いマントに乗馬ブーツ、頭には房飾り付きの兜。
「・・・え?」
思わず声が出た。
なんだ、今のは?
確かにみごとな語り口なら、情景がまぶたに浮かぶことはあるだろう。
ラファエルさんクラスならしばしばあることだ。
だが今のはそんなレベルじゃなかった。
大理石の圧倒的な質感、宮廷雀のざわめき、日射しの暖かさ、手袋の手触りや兜の重み。
そんなものまではっきりと認識できた。
リタの驚いた顔を見るに、彼女もそれを「見た」らしい。
「ところがある日、女王様が病に倒れてしまいました。
国中の医者や
そこで宮廷魔術師がこんな事を言い出しました。
『これは不治の病であり、それを癒すには遠い遠い南の島に生える、金のリンゴを持ち帰らなければいけないだろう』と。
お姫様は意を決し、ちょっと抜けた騎士と忠実なハムリスの兵士達を連れて旅に出ることにしたのです・・・」
再びその情景が目に浮かぶ。
城の廊下を歩くお姫様のリタ。大荷物を抱えてそれについていく俺。
荷物の重みも、足の裏に感じる石の床とじゅうたんの感触も、まるで本物だ。
「これは一体・・・?」
目を向けるも、おじいさんはにこにこ笑うだけ。
「もちろん心優しい女王様が、お姫様の旅立ちなどを許すはずがありません。女王様はお姫様を、お付きの騎士と一緒に寝室に呼び出しました・・・」
贅を尽くした寝室。
金の柱と天蓋付きの豪華なベッド。
そこに横たわるのは、かつては美しかったと思われる女性のやつれた姿。
「おかあ・・・さん」
リタが呆然と呟いた。