異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「・・・」
お姫様姿のリタ。剣を持った騎士っぽい俺。
十匹十色のカラフル原色な筋肉モリモリマッチョマンのハムリス十匹。
そんなカオスな情景を無言で見下ろす巨人。
すげーな、俺だったら絶対吹き出すか呆れるかの二択だぞ(現実逃避)。
「VRRRRRRRRRRRRRRR!」
「っとっ!」
振り下ろされる棍棒。
カラフルなマッチョハムリスどもに意識を奪われていたせいで回避が一瞬遅れる。
反射的に剣で防いだのだがその瞬間、全身に電撃のような衝撃が走った。
「ぐおおお!?」
相手の身長は俺の約三倍、しかも最近多少筋肉が付いてきたとは言えまだモヤシの俺と、見るからにぶっとい手足のこいつじゃウェイト差は三十倍以上!
むしろ良く一撃で潰されなかったな俺! 褒めてやりたい!
恐らく剣をデモゴディブレードにしたときに、オメガデモゴディの力も無意識にダウンロードしてたんだろう。オメガの力がなければ十分に剣を振るうことはできないからな。
とは言え一撃で全身がガッタガタだ。
そのまま倒れ込まないのが不思議なほど。
「VRRRRooooooooooooooooo!」
だと言うのにこいつは空気も読まず、二発目を薙ぎ払ってくる。
ええい!
「ライトニング・・・」
左手の指を天に立てる。オメガデモゴディの必殺武器のセットアップ。
だが間に合わない。
それはわかっているので右手の剣を肩に添え、身体全体で棍棒を受ける。
全身に衝撃。
「!?」
棍棒を振り抜いた巨人が驚愕の表情で天を仰ぐ。
ほっとしたよ。お前がほんの少しでも人間らしい弱さを持っていてくれたことにな・・・!
吹き飛ばされながら俺は考える。
その視線の先には天空に広がる雷雲。先ほどまで晴天だった空には黒雲と稲光。
「スマッシャー!」
雷が落ちた。それは俺の兜の房飾りを経由して俺の左手の指先に伝わり、まばゆい雷光となる。
「GYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYA!!!!!????!?!?!!?!」
巨人が初めて悲鳴を上げた。
ライトニング・スマッシャー。
前述のオメガデモゴディの象徴的な必殺技の一つ。主題歌にも歌われているくらいで知名度も高いし、何より指先から電撃を発射するビジュアルがメッチャかっこいい。
その出力は毎秒九億キロワット、何と日本の総発電量の21年分(当時)に相当する!
うん、昔のロボだから数値設定が果てしなく適当でハッタリかましてるんだ、すまない。
日本が二十年かけて使うエネルギーを毎秒ぶちかましてるんだぞ?
豪子力エンジン一台あればそりゃエネルギー問題解決できるわ!
未来世紀ブランジェリオンで日本中の電力を集めて攻撃に転用します!ってやってたが、ウルトラロボット大戦ならオメガデモゴディ一体いれば何発でも連射できるよね!
むしろエレクトロンライフル十丁くらい並べて弾幕作れるよ!
当時とは発電力の差があるとは言え、送電によるエネルギーロス考えりゃそれ位行くわ!
吹っ飛ばされた俺が街路樹に叩き付けられると同時にライトニング・スマッシャーの稲妻が途切れ、それと共に空中の雷雲が消失した。
「GGG・・・Guru・・・」
雷撃に撃たれて痙攣していた巨人が膝を突き、石畳が揺れる。
その体からはところどころ薄く煙が立ち上っている。
それでもピクピク動いてる辺りパねえ。
九億ワットはさすがにハッタリが過ぎるにしても、雷と同等だとしたら1ジゴワット・・・もといギガワット=百万キロワットの電撃を叩き付けてるのだ。
金属ボディのデモゴディなら地面にアースできるが、どう見ても生身だから普通に通電してるはず。
こええなファンタジー生物!
「ぐ・・・」
そんなことを考えて現実逃避しているが、実は俺の方も大概である。
野球のボールみたいに吹っ飛ばされて街路樹に叩き付けられ、幹をへし折って落下。
剣は無事だが奴の振りをまともに受けてしまった右腕はもののみごとにひしゃげている。
やべえこれアドレナリン切れたら激痛が痛い奴だ。息苦しいから多分アバラも逝ってる。
アバラボロボロ!エバラボロボロ!
うん落ち着こう、ショックで頭がおかしくなっている。
俺はショッ●ーのエジプト怪人じゃない。
早く、立ち上がって、あいつにとどめを刺さないと・・・
そこで俺は目を見張った。
体中黒こげになった巨人がゆっくり立ち上がってる!
(くそ! くそくそっ! 動け! 動け俺の体!)
気は焦るが体は動いてくれない。
そうしている間にも巨人は完全に立ち上がり、ゆっくりとリタの方に向き直る!
このままじゃ・・・!
「天に輝く太陽よりも!」
「熱い血潮が正義に燃える!」
「悪を懲らせよ、懲らせよ悪を!」
「祈りに応えて、今、参上っ!」
何っ!?
「ハムリス・アカフク!」
「ハムリス・ペパーミント!」
「以下省略!」
「我らっ!」
「齧歯戦隊ハムリスターズッ!」
「ここは通しませんぞ!」
ずらりと並び壁になったのはカラフルなムキムキマッチョマンの変態、アカフク達だった。
そうか、あいつらがいてくれた!
「・・・」
「うわーっ!」
「ハワーッ!」
期待したのも一瞬、変態マッチョどもは巨人の棍棒の一撃で吹き飛ばされて星になった。
ええいその筋肉は見せ筋か!
「リタ・・・逃げろ・・・っ!」
最早巨人とリタの間を遮るものは何もない。
「・・・」
リタが一歩踏み出した。
そのままとてとてと、巨人に向かって恐れる様子もなく歩いていく。
「・・・」
巨人から3メートル、棍棒を振り下ろせば叩きつぶされる距離で、少女は巨体を見上げる。
「巨人さん。どうしてあなたはそんなに怒っているの?」
!?
「・・・VRRRR、GWWMM」
「そうなの。でもそれは私たちじゃないよ」
「FRRRR!」
僅かに巨人が険しい表情になる。
思わず飛び出そうとした俺を、リタが無言で制止した。
「あなたの子供をさらった悪い人は私たちが探すから、少し待っていてくれない?」
「BRR」
驚いた。
巨人は頷くと、そのまま去っていく。
俺にはさっぱりわからなかったが、リタは彼との交渉を成功させたようだ。
ようやく動くようになった体を引きずって、リタの傍に立つ。
マッチョハムリスどもも戻ってきたが、見た感じ無傷なのがむかつく。
「リタ・・・その、大丈夫か?」
「・・・うん、大丈夫だよお兄ちゃん」
だがそう言う彼女の体は細かく震えている。
それはそうだ。俺達を吹っ飛ばした巨人が怖くないわけがない。
でもその恐怖を抑えてやってのけたのだ。こんな小さな女の子が。
「よくやったな、リタ」
「お兄ちゃん・・・」
かがみ込み、動く左手で彼女の体を抱いてやる。一瞬遅れて彼女が強く抱きついてきた。
べっきべきに折れた右腕ごと。
「ぎゃああああああああああああああ!?」
「ご、ごめん!」
激痛に転がり回る俺。顔色を変えるリタ。
「しまりませんなー」
「んだんだ」
うるせえだまれ畜生ども!
オメガデモゴディ・・・言わずと知れたグレートマジンガー
未来世紀ブランジェリオン・・・もちろんエヴァだが「未来世紀」とタイプした途端「ブラジル」と続けていた。私は悪くない。
なお元ネタの未来世紀ブラジルはエヴァの旧劇以上に救いのない話なので視聴の際は注意。
ちなみに戦隊っぽい?口上は秋津透先生の「閃光戦隊ジュエルスターズ」より。