異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
俺達は王宮にUターンした。
大見得を切って出ていったばかりで微妙に恥ずかしいがこればかりはしょうがない。
宮廷魔術師さんに話を伝えると魔法で巨人の子供の居所を突き止めてくれて、軍を出して奴隷商人のアジトを襲撃、巨人の子供をはじめとする沢山の被害者たちを救出したそうな。
なお俺もそれに参加して大活躍・・・とかそう言うことはなく、
この次はもうちょっと安全重視で立ち回ろう・・・。
「QRRR・・・?」
「うん、大丈夫だよ。もうすぐおかあさんのところに連れて行って上げるからね」
数日後、助け出した巨人の子供と一緒に町を出る俺達。
子供と言っても3メートル近くある。その指を握って子供を先導するリタ。
大臣さんたちは護衛をつけるつもりでいたのだが、リタがあの迫力で押し切った。
なお俺の大荷物の中には負傷や病気を癒す
「お前死ぬ気で王女様守れよ? 守れなかったらわかってるな?」という大臣さんたちの視線が怖かった。
そこまで言うならリタが旅立つのを止めろよと思うのだが、女王様が何か言ったのか。
「ヂュー!」
「ヂュヂュヂュヂュー!」
あるいは実はあの見せ筋どもが王家の兵隊を全員相手にしても勝てるくらい強かったからか。
ともかく実力行使に出られると、大臣たちとしても為すすべがなさそうなのは理解した。
以上回想終了。
「CRRRR、QQQQ?」
「うん、すぐそこだよ。待ち合わせしたから」
門を出て三十分ほど歩くと橋があり、そこで街道が二つに分かれている。
そこに到着してしばらく待つと、森の中から巨人が出てくるのが見えた。
どうやら俺達の他に伏兵か何かがいないか、確かめてたみたいだ。
思ったより頭が良いな・・・。
「ほら、おかあさんだよ!」
「Qrrrrr!」
巨人の子供の顔がパッと明るくなる。
どしんどしんと走り出し、橋を渡って巨人に飛びつく。
フランケンシュタインみたいな巨人の顔が、今ばかりは喜びに歪んで見えた。
・・・にしてもあれ女性だったんだ・・・
「・・・」
再会を喜び合う巨人の母子。
それを見るリタの目にうっすら涙が浮かんでいる。
(そうか、そうだよな)
今よりもっと小さなころ死に別れた母親。
詳しい事は聞いたことがないが、それがリタの心に影を落としているのは当然だ。
この物語の中で女王としての母親と再会できたとはいえ、彼女らのそれを自分に重ねているんだろう。
「・・・」
そっとリタの肩に手を置いてやる。
リタはちょっと俺を見上げたが、何も言わずにまた母子に目を向ける。
ただ、俺の手にそっと手を重ねた。
しばらく、俺達は二人でそうしていた。
「あやしいでチュー」
「お父さんにご報告でチュー」
「我らがお姫様に手を出すものは、許さぬでチュー」
おまえら黙ってろよ! せっかくのいいシーンなんだから!
後ガイガーさんへのタレコミはやめろ、死ぬぞ(俺が)。
しばし再会を喜び合った後、巨人の親子がこちらに歩いてきた。
「KggDaLuuum」
「いいよ、気にしないで。人間の方が悪かったんだから」
「Wrooooooom」
「え、ほんと? ありがとう!」
身振り手振りを交えた会話・・・相変わらずこっちにはさっぱりわからないが、リタがぴょんぴょん跳びはねていることを考えるとよほどのいいことがあったのだろう。
「どうしたんだ?」
「うん、マッグさん――あの巨人のお母さんね。息子さんはロシュリマくん――が、黄金のリンゴのことを知っていそうな人に心当たりがあるって」
「ほんとに!?」
思わず女巨人の方を見上げる。
視線を向ける俺に何の反応も示さないが、それでもフランケンシュタインの怪物にしか見えなかったその顔が、今はこちらの古代神話に出てくる導きの巨人のように見えた。
「じゃあ・・・」
「うん、行こう」
二人で母巨人に近づくと、片手でひょいっと持ち上げられた。
赤ん坊というかぬいぐるみを抱くように、女巨人の腕の中に収まる。
ハムリス達はちょろちょろと走ってきて、器用に巨人の背中やら方やらに群がる。
女巨人はちょっと迷惑な顔をしていた(ように見えた)が、俺達を左腕一本で支えるように持ち替えると、右手で息子と手を繋いで歩き始めた。
「・・・あれ?」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
巨人の腕の中で俺は首をかしげた。
先ほどから巨人は森の中に入り、木々をかき分けて悠然と歩いている。
とはいえ5メートルの巨体だから結構なスピード(多分俺が全速力で走るより速い)だが、俺が首をかしげたのはそれではない。
カオルくんと違って未だに呪文の一つも覚えられないへっぽこ生徒ではあるが、これでも半年近く魔法の修行をしてきた身である。ある程度は魔力に対して敏感になっていた。
その感覚が違和感を感じたのだ。
「違和感って?」
「説明しにくいんだけど・・・何と言うか、日なたから日陰に入るとか、テントの中に入ったらむわっと蒸し暑さを感じたとか・・・」
「うーん?」
まあわからないよな。女巨人の顔を見上げてみるが、気付いていないのか、無視しているのか、反応はない。
――後日、この時のことを思い出してペトロワ師匠に訊いてみたのだが、「隠れ里に入ったのではないか」という答えが返ってきた。
(何ですか隠れ里って)
(森の中や海の中などにある、普通ではたどり着けない場所のことじゃよ。強い力を持った妖精や悪魔、真の龍などが住処としておる事が多い。お主らの世界にも確かそんな話があると訊くぞ。海の底に龍の姫が住んでいた・・・じゃったかの?)
(あ、竜宮城)
(それじゃそれ)
とはいえ、この時はそんなことはわからなかった。
巨人も妖精みたいなものと考えれば、魔法を使って何か移動しているんだろうなと、前に会ったヴァナラの人達を思い出して勝手に納得していたのだ。
そして彼女の腕に揺られること半日・・・くらいだろうか? 正直時間感覚に自信がない。
朝を食べただけなのに腹は減っておらず、丸一日歩いたとは思えないのだが、森から出ると空は夕やけに染まっていた。
「・・・!」
そして俺とリタは揃って目を見張る。
どこかの都の大通りのような白く瀟洒な町並み。
そこに垂れ幕や旗が大量に掲げられ、驚くべきことに電球のような色とりどりの光が無数に灯っていた。
何だこれは、向こうの地球に迷い込んだのか?と思いかけて、それが魔法の光であることに気付く。町全体を覆うほどの無数の光を、どうやって?
驚きからさめる暇もなく、賑やかな音楽が道の向こうからやってくる。
色とりどりの派手な衣裳、怪物や勇者、王様お姫様、動物やその他様々な仮装、手に手にとって鳴らす楽の音。
その先頭で軽やかにステップを踏む、リタと同じくらいの女の子が言った。
「カーニバルだよっ!」
カーニバルダヨッ!