異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第八話 戦雲が勇者を呼ぶ

「世界を越えてニホンからやって来たオリジナル冒険者族、ホッチョ・ペッパーの大魔術! 神秘の国ニホンの古代魔術の粋をご覧あれですぞ!」

 

 バイオリンをかき鳴らしながらのラファエルさんの口上に、わーっ、と歓声が上がる。視界は観客に埋め尽くされてて、予想の十倍くらい人来てるんですけど!? というかオリジナル冒険者族ってバラしちゃっていいの? ホッチョ・ペッパーってなに!

 

「別にいーんだよ、あちこちの一座見てりゃ『オリジナル冒険者族の魔法使い』なんてゴロゴロいるんだし、誰も信じちゃいないさ。

 後ホッチョ・ペッパーってのはあたしが考えた。ニホン人っぽい名前だろ?」

「かすってもねーよ!」

 

 思わず突っ込んだ俺悪くない。

 というか歌姫のステージ衣裳着ると普段の酔っぱらいとは別人すね座長。顔の上半分は仮面つけてるから全然雰囲気違うし。実際歌もすげーうまくて不覚にも聞き惚れちゃったし。

 ずっとこのまま飲まなきゃいいのに。

 

「命の水が飲めないなら死んでるのと同じさ。ほら、とっとと行って来な」

「わっ!」

 

 どん、と突き飛ばされてステージに出る俺。

 一際高くなる大歓声。うわ、千人くらいいないかこれ!?

 俺は顔を引きつらせつつも、笑顔で一礼した。

 

 

 

 そんな風に俺達が「はじめてのおつかい」じみた騒ぎを繰り広げているころ。

 ロンド王国王城プルフィールドには、魔族(オアンネス)討伐に旅立ったはずの勇者カオルの姿があった。

 精緻な金の象眼を施した白銀の甲冑に、腰には魔剣サンダースウォード。

 精悍で中性的な美貌にすらりとした立ち姿。

 王宮の廊下を進むカオルを、侍女たちがうっとりと眺めている。

 

「勇者カオル様、御入室!」

 

 衛兵の声と共に大きな扉が開き、謁見の間に入室する。

 赤絨毯を中程まで進んで膝を突き、頭を垂れる。

 

「おもてを上げよ。よくぞ戻った、勇者カオルよ」

 

 その声と顔を見たらハヤトは驚愕しただろう。

 玉座に座り、声をかけたのは国王。

 数日前にハヤトが吹き飛ばしたはずのロンド国王その人だった。

 カオルが顔を上げる。

 

「ハヤトくんが陛下を暗殺しようとして、失敗して逃げたとのことですが・・・僕には到底信じられません。

 ハヤトくんはそんなことをするような人には見えませんでした」

「だが事実じゃ」

「・・・」

 

 国王のきっぱりした断言に口ごもるカオル。

 そんな人間には見えなかったと言ったところで、確かに彼とは一月程度の付き合いでしかない。

 反論としては根拠が弱すぎた。

 

「お前が旅立ったあの日、あやつはあの山頂の修道院の大広間から元の世界に帰還するはずじゃった。

 わしも呼び出した人間の義務としてそれを見送るつもりであった

 しかし奴は今まで隠していた《加護》の力を使い、わしを攻撃した!

 忠実な騎士のおかげでわしは間一髪危機を脱出したが、警護の騎士と多数の兵達が死んだ・・・そして奴は腹いせに800年の歴史ある修道院を跡形もなく吹き飛ばし、西方に飛び去ったのじゃ!」

「・・・」

 

 王はそこで一度言葉を切る。

 無言で、苦しい顔をしているカオル。

 それを確認すると王は再び口を開いた。

 

「修道院が吹き飛ばされたことで、そなたを帰還させるための魔法陣もそのための道具も失われた。

 魔法陣を再建するにも随分と時間がかかるじゃろう・・・そなたには済まないと思うておる」

「いえ、そんな」

 

 神妙に頭を下げるカオルに、国王はほくそ笑む。

 元からそうするつもりだったが、いい口実ができた。

 そんな顔だ。

 

「陛下」

 

 だがカオルが顔を上げたときには既に元の厳しい表情に戻っている。

 

「うむ、なんじゃ」

「僕にハヤトくんを追う許しを頂きたく思います。この件、何としてでも僕の手で解決させて頂きたく・・・!」

 

 内心を隠して王は頷く。

 

「うむ。わしもそれをそなたに頼もうと思っておった。じゃが油断してはならぬ。魔族と手を組んだのか、はたまた元よりそうした人間であったのか・・・わしらを攻撃して死者が出たのは事実なのじゃからな」

「・・・ははっ」

 

 国王が立ち上がり、剣を抜いてひざまずいたカオルの肩を叩く。

 

「これより汝は我が騎士にして我は汝が擁護者なり。我が授けしその金雲の鎧にかけて、汝が使命を果たせ」

「必ずや」

 

 カオルが立ち上がる。

 決意を秘めたその唇は固く結ばれて。

 身を翻し、厳しい表情のまま謁見の間から退出していく。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」

 

 剣を握ったままそれを見送る国王。

 顔に広がった笑みは、もはや見間違えようもないほど邪悪なものだった。

 

 

 

 一方その頃。

 

「トランプお手玉!」

「「「「うおおお!?」」」」

 

「杖の先から花が出ます! はいっ!」

「「「「おおおお!」」」」

 

「このシルクハットから鳩が出ます! ワン、ツー、スリー!」

「「「「おおおおおおお!」」」」

 

「紙の蝶が宙を自在に舞います!」

「「「「うわああああ!」」」」

 

「こちらの箱に入りましたるリタちゃんを、そちらの箱に移してみせましょう・・・ワン、ツー、スリー!」

「はいっ!」

「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」

 

「お客様、何人か私を縛って下さい! その上でこの鍵をかけた箱から脱出して見せましょう・・・あいたたたた」

「これで絶対に縄抜けはできねえぜ!」

「はい、鍵をかけました! ワン、ツー、スリー!」

「はいっ! 脱出しました!」

「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」」」」

 

「それでは当一座の花形、アルテ・アティラをこの大ノコギリでバラバラにして、また元に戻して見せましょう!」

「きゃああああ!?」

「うわああああああ!」

「ワン、ツー、スリー! はい元通り!」

「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」」」」

 

 ハスキー一座の新たな花形、オリジナル冒険者族ホッチョ・ペッパーの大魔術は観客に大受けしていた。

 彼らはまだ、迫り来る脅威を知らない。




 ちなみにホッチョ・ペッパーの元ネタは「リフトウォー」というファンタジーシリーズの登場人物です。異次元の日本魔術帝国みたいな国が次元の裂け目(リフト)を越えて攻めてくる話ですが、向こう側の重要人物として「ホチョペパ」というキャラが登場します。
 作者曰く「日本人っぽい名前だろ」とのコトなのですが・・・まあ80年代の小説だからなあw
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