異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第九話 狼並の鼻を持つ男

 しばらく膝枕して貰った後で俺達は眠りについた。

 もちろん添い寝である。

 体が動かせない俺に拒否権はない。

 まあリタが嬉しそうにひっついてくるのでそれはそれでいいんだが・・・ばれたときのことを考えると気が重い!

 

 それはそれとして何とか一晩経つと体の方も回復していた。

 というか、普段以上に調子が良い。

 残った食糧を腹に収めながら何でだろー?何でだろー?と考えていると、ふと胸の中で魔力を発生させてる塊があるのに気付く。

 

「あ」

 

 これ少し前に吸血鬼倒したときに勝手に体の中に入ってきたヴィラン・コアだーっ!

 

「どうしたの、おにいちゃん?」

「い、いやなんでもない・・・」

 

 師匠があれこれ調整(と言う名の人体改造。俺デーモンになっちゃったヨー)してくれたんだが、魔力がいくらか上がってる以外は特に変化もないのですっかり忘れてた。

 これ無制御だと勝手に周囲の人間の生命力を吸い取って殺す奴で、最悪リタを巻き込んでたことを考えると冷や汗を禁じ得ないが、そこは師匠の処置がうまくいったってことなんだろう。

 多分縮小化で魔力を絞り出したときに、魔力を必要とした体が無意識のうちにコアを活性化して魔力を供給していた、ってことになるんだろうか?

 あの時魔力が足りなくなってたらリタ共々ネズミ穴の中で死んでただろうから、間違ってもそれ自体は悪くなかったんだが。戻ったら師匠に相談してまじめに修行しよう・・・。

 

 

 

「・・・こりゃ昼は動けそうにないな」

 

 明かり取りの窓から外を覗く。

 既に日は昇っており、それなりに通行人の姿も見えた。

 昨夜、ネズミ穴から忍び込む前にちらっと見たが人通りはあまりなかった事を考えると、邪妖精の都とは言え昼起きて夜寝るのは変わりないようだ。

 まあ妖精が夜目が利くとは言っても元は人間なわけだし、モンスターであるゴブリンやオーガーもそっちに合わせてるんだろうな。

 

「どうしよう? 二人で行動するなら夜にならないと駄目だけど、一人なら何とか・・・」

「うーん」

 

 リタも悩み顔。

 幸いこの倉庫にはうっすらホコリが積もっていたのであまり頻繁に使われる場所では無いはず。長期間隠れていることも不可能ではないだろう・・・と、考えていると腹が鳴った。

 

「・・・おにいちゃん、ごはん足りなかった?」

 

 リタが済まなそうな顔でこちらを見上げてくる。

 昨夜ネズミたちに食糧をあげてしまったので、今朝の食事は二人ともかなり控えめだったのだ。

 

「いや、そんな事は無いぞ。それに昨夜リタが機転を利かせてくれてなかったら、俺が動けないまま捕まってたかもしれないしな」

 

 とは言え昨夜大量に魔力を使ってそれの補充が追いついてないのも事実。

 胸のヴィラン・コアが魔力を供給してくれてるからいいようなものの、今までの経験上そうでなかったらヤサイマシマシカラメマシアブラスクナメニンニクオオブタイリくらいはぺろりと平らげるくらい腹が減ってたはずだ。

 とは言えあれでは全然足りないのは事実で、夜まで到底持ちそうにない。

 

「えっと・・・こう言う時、おにいちゃんの世界だとウサギさんが自ら火に身を投げて、自分を食べて下さいって言うんだよね・・・」

「どっから聞いたのそんな話!? いや、そういう事しなくていいからね! 取りあえずこれから御飯捜しに行ってくるから! ついでに本番の前の下調べもしてくるから!」

 

 こう言う話を持ち出してくるあたり、リタも頭に糖分が足りていないのかも知れない。

 彼女が動物と話せることを考えると割と洒落にならないし、こんな小さな子供にそんなトラウマを負わせるわけにはいかない。

 俺はすげえタフなウサギなんだぜ! 炎の中に飛び込んだって、絶対死にはしない!

 

 キュルルルル。

 そんな風に決めてたらまた腹が鳴った。

 何とも言えない顔で俺を見上げる幼女。

 これ以上俺の評価が下がる前に食べ物捜しに行こう・・・

 

 

 

 裏道をこそこそ通る俺。

 もちろん毎度お馴染みの光学迷彩(ホログラフィックミラージュ)は施しているが、なにせ歪んでるとは言え妖精族の都、その辺を魔法使いがうろついていてもおかしくないようなところだ。

 間違っても表通りは歩かない方がいいだろう。

 

 裏通りなら、通りすがるにしても大体下働きのゴブリンやコボルト、たまにオーガー、そのへんだ。

 ゴブリンやコボルトにもたまに魔法使いはいるらしいが、こっちは人間と大して変わらない比率らしいので、まあそう滅多に出会うことはないだろう。

 

「さてと」

 

 表通りから通り二つばかり離れた裏道につくと、俺はミストヴォルグの能力の一つを発動させる。その能力とは・・・超嗅覚センサー。

 ミストヴォルグが六変化できるのは前に言った。プロペラが腕に着いてるヘリコプターもその一つだが、他の形態の中になんとメカ狼がある。そして狩猟生物である狼らしく、ミストヴォルグには人間の一億倍に達する精度の嗅覚センサーが取り付けられているのだ。

 

「ただ正直不安ではあるけどな・・・」

 

 特に根拠はないが、こう言う時の俺の勘は良く当たる。

 ええい、悩んでる間にも魔力は消費しているんだ!

 馬に乗ってみよ、技にかかってみよ!

 男は度胸! なんでもためしてみるのさ!

 超嗅覚センサー、起動!

 

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?

 匂いが、滅茶苦茶匂いが鼻の中に!

 オーガーの体臭と歪みエルフがつけてる香水と土ぼこりと露店で売ってる焼き菓子と果物とドブの泥とシンナーとトイレで誰かが出したウンコと街路樹の葉っぱと焼いた肉と濡れた犬と真新しい漆喰とその他もろもろの匂いが一気に鼻の中に!

 

 余りの衝撃に多分十分くらい悶絶して転がり回ってたと思う。

 気がつけばホログラフィックミラージュも解けており、その間に誰かに見つからなかったのは超ド級の幸運と言うしかない。

 

 それでもなんとか匂いの情報を処理できるようになり、俺は食料庫を探し当てた。

 取りあえずあれこれをむさぼり食って栄養補給。サラミソーセージうめえ。

 

(さて・・・いっぺんリタのところに戻って偵察だな)

 

 ドライフルーツの袋をふたつ、背負い袋に放り込んで俺は食料庫から姿を消した。

 

 

 

「・・・」

 

 俺は唖然としていた。

 城に忍び込むこと自体はさほど難しくなかった。

 透明で空も飛べるとなれば、《透明看破》の使える魔法使いをあちこちに配置してない限りそれは気付くまい。

 まして今の俺は忍者ロボミストヴォルグだ。匂いも音も発さず、天井を素早く這い回ることが出来る。人間(妖精やモンスターも)意外と頭の上には注意が行かないものらしい。

 

 が、俺が唖然としていたのはそんな理由ではない。

 

「ふはははは、今日は僕の即位から1000日目の記念日だ! ものども、祝え! 飲め、歌えぇ!」

 

 大広間の巨大なテーブルで行われる宴会の中心にいたのは、玉座っぽい豪華な椅子に座る、見覚えのありすぎる半魚人。

 

あんた(オブライアン)、こんなとこで何やってんの!)

 

 俺は心の中で全力で突っ込んだ。

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