異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

88 / 415
第十七話 ところが奇跡か神がかり

「あら、もう息切れ? それとも作戦かしら? どちらにせよ、先頭は私が頂くわ!」

 

 南西の第二コーナーを回る。

 直線の間に距離を詰め、後ろにぴったりつけてきたユーイさんが、南側の大直線に出た瞬間俺達の影から抜け出す。

 

「行くわよ、シルバーソウル!」

「ヒヒーン!」

 

 ユーイさんの両足がシルバーソウルの脇腹を叩く。その一瞬、魔力の反応が走ったのに俺は気付いた。

 ぐん、と速度を上げるシルバーソウル。これが《騎手の加護》か!

 

「中々粘ったけど、ここからは一流のレース! 先に行かせて貰うわ!」

「くっ!」

 

 悔しさに顔を歪める。

 序盤は完全に互角、むしろこちらが上だったのにどうして・・・!

 

「・・・?」

 

 かすかに違和感があった。

 ここ最近とみに鋭くなっている気がする、魔力的なそれ。

 

「!」

 

 思わず振り向くと、アムールのお尻の方に違和感があった。

 視覚で捉えられるものなら、多分お尻に青あざか何かが見えたことだろう。

 もちろん俺はペトロワさんみたいにはっきりとわかるわけじゃないし、知識もない。

 ただそれでも、それが良くないものであることはわかった。

 

 なんだろう、呪い? 毒? ともかく魔法的な何かが撃ち込まれて、もしくは仕込まれていた?

 いやでもアムールは飼育員さん達とラソーリさんのところの若い衆が付きっきりだったし、シルバーソウル達と一緒に貴賓席の傍にいたから俺達もほぼ常時視界の中に収めていた。

 とは言えアーベルさんみたいな手練れの暗殺者(みたいななにか)や、ペトロワ師匠みたいな術師に何かされたら、素人に毛の生えたような俺では気付かなくてもおかしくはない。

 

「ブルルッ」

 

 アムールのうなり声で現実に引き戻される。

 そうだよな、お前もくやしいよな。

 全力を出して走るのを楽しんでいたお前。

 ハムリス達と一緒に草原を駆けていたお前。

 このレースが大一番だってことを理解して、静かに闘志を燃やしていたお前。

 そのお前を俺はこの十日間見てきた。

 

「なら・・・勝たせてやる! どんな手を使ってでも!」

 

 思いつきはしたものの、さすがにないだろうと封印した切り札。

 今その封印を破る!

 何を言われようと、勝てば良かろうなのだ!

 

「桃栗三年柿八年! 万年豊年有馬記念!」

 

 傍から見たら何を言っているかわからないだろう。

 だがこれが召喚には必要なのだ!

 

「やって来い来い超巨神!」

「「「「「おおおおおおおおおお!?」」」」」

 

 草原に響く驚愕の声。

 空にハート型の門が現れ、開いた扉の中から飛行物体が現れる。

 それが俺に向かって突進し、光と共に合体すると、俺は黒を基調とした、ローマやギリシャの鎧武者のようになっていた。

 だがこれで終わりじゃない! 

 ピーッ!と口笛を吹くと、黄金の天馬が飛び出して今度はアムールと合体する!

 そして!

 

「「「「うおおおおお!?」」」」

 

 俺の体が鞍から直上に射出。

 両足がちょうつがいのように付け根から折れて、背中側に折りたたまれる。

 

「んなあっ!?」

 

 疾走する黄金天馬アムールの首が、同じように付け根から折れて後ろに倒れる。倒れた首はどこかに消える。

 そこに降下する俺。

 

「スーパー合体! 超馬神!」

 

 一瞬の光と共に合体する俺とアムール。

 その姿はまさに伝説のケンタウロスのごとし!

 瞬間、ユーイさんも含めて草原にいた俺以外の全員が吹き出した。

 

「そんなのありなの!?」

 

 ありなんだよ!

 「タイムドロンシリーズ ヤットキタマン」。

 ギャグメカアニメとして有名なタイムドロンシリーズ第五作にして、巨大ロボが初登場した作品でもある。

 主役ロボ超巨神はサポートメカ超天馬と合体してケンタウロス型の超馬神になれるのだ!

 ここからが本当の勝負だぜ、プリンセス!

 

「くっ・・・この! 気張るわよ、シルバーソウル!」

「ヒヒーン!」

 

 リタみたいに動物と話せるんじゃなかろうかってくらい息ぴったりの会話を交わすユーイさんとシルバーソウル。

 だがこちらは今や文字通り人馬一体! 会話を交わす必要すらない!

 俺はアムールで、アムールは俺なのだ!

 

「!」

 

 加速する超馬神、即ち俺とアムール。

 受けた毒だか呪いだかも、既に影響を及ぼしていない。

 毒ならロボには効かないし、呪いであれば魔力の高まった今の俺達にはやはり効かない。

 魔力はより強い魔力によってかき消されるからだ。

 

 南東の第三コーナーを回ったところで離された距離はほぼ潰した。

 真後ろについて第三コーナーを回る。勝負はコーナー明けだぜ!

 

「・・・なぬっ!?」

 

 だがコーナーを飛び出て勝負をかけようとした瞬間、俺は目を丸くした。

 こちらが外側から抜こうとすれば外に寄り、内側から刺そうとすれば内に戻る。

 振り返ってるわけでもないのに、ぴったりブロックして来やがる!

 

「ほほほほ! 前は譲らないわ! スピードだけが競馬ではないのよ!」

 

 くそ、このお嬢様純粋にうまい!

 《加護》だけで選ばれたわけじゃないな!

 いいだろう、勝負は最終コーナーだ!

 

 直線が終わり、北東の最終コーナーにさしかかる。

 ここは高い崖があり、コースもやや狭くなっている。抜くには厳しい。

 だが・・・。

 

「ほほほほほ! 私を前に出した時点であなたの敗北は決まっていたのよ!」

 

 高笑いするのは結構だが、勝負は最後までわからないものだぜ!

 心の中でうそぶくと、俺は大きく膨らんで外側からコーナーに突入する。

 素早く外側に移動してブロックするお嬢様。

 

「ほほほ、お見通しよ・・・なぁっ?!」

「チェンジ、超馬神! 超戦車形態!」

 

 叫ぶと共に跳躍する。崖に向かって。

 空中で馬の足は胴体に収納され、代わりにキャタピラが出てくる。人間の上半身に戦車のキャタピラ、ジェッターIII(スリー)かガ●タンクみたいな感じだな!

 

「フルブースト!」

「嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 今度こそお嬢様が振り向き、目をむいて叫んだ。

 後ろからジェットを噴射し、俺は()()()()()

 いかに名馬と《騎手の加護》があっても壁は走れない。

 だが車輪で走る俺なら、遠心力でコーナーの壁面を走り抜けられる!

 壁面を走り抜け、コーナー出口で着地してお嬢様と並ぶ。四つ足に戻して全力疾走。

 そのまま一馬身差をつけ、俺達は勝利した。




知ってる人ならわかる元ネタはタイムボカンシリーズヤットデタマンの大巨神。
なおオリジナルは主人公が鍵を、ヒロインが錠前を持って
ヤットデタマン「驚き」
ヒロイン「桃の木 山椒の木!」
ヤットデタマン「ブリキにタヌキに」
ヒロイン「洗濯機!」
二人「やって来い来い大巨神!」
と言って鍵で錠前を開けると大巨神がやってきます。
サポートメカの大天馬は大巨神が口笛を吹くとやって来ます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。