異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十二話 消えたプリンセス

 くんくん、くんくん。

 鼻を鳴らしながら腰をかがめて小走りに走る。

 言われたとおり静かについてくるハムリスども。

 2m越えのマッチョ集団なのでめちゃくちゃ目立つが、船にあったボロ布なり借りたマントなりをかぶっている。まあ何もしないよりはマシだ。

 

 閑話休題(それはさておき)、気付いたのが早かったおかげで、リタがさらわれてからまだ三十分たってない。匂いも十分残っており、超嗅覚センサーは難なく例のお香の香りを追跡できていた。

 犯人が陸上を逃げてくれていて助かった。海上であればさすがに追跡は不可能だったろう。

 

(これならいける!)

 

 俺は意気上がり、僅かに走る速度を上げる・・・が、相手が一枚上手だった。

 島の反対側まで数時間、20キロほど山の中を走らされ、たどり着いた場所には一匹の犬。首に巻かれていたのはお香をしみこませたぼろ布。

 

「・・・やられたっ!」

 

 とって返して、改めてごくごくかすかなリタの匂いを追う。

 強いお香の香りに紛れて、超嗅覚センサーでも感じとるのが難しいそれは、港の端の桟橋で途切れていた。辺りの人に話を聞くと、俺達がドリー船長の船を飛び出すより前に、一隻の船が出航していったという。

 

「くそっ!」

 

 木の桟橋に拳を叩き付ける。

 拳の痛みも今は気にならなかった。

 もう一度叩き付けようとした腕を、アカフクの手が掴む。

 

「よすでチュー。ハヤトはよくやったのでチュー」

「今は船に戻って、船長と善後策を協議すべきでチュー」

 

 おまえら・・・。

 ちょっとジーンと来てしまった。

 まあいつもは色々言われてるけど、リタがかわいがってるんだからこいつらだって実はいい奴なのかもしれん。

 

「リタを探すにはハヤトが必要でチュー」

「おのれの不手際を悔いて命を絶っても別に構わないでチュが、リタを探し出してからにしてほしいでチュ」

「できれば誘拐犯と相打ちになって美しい思い出になるのがベストでチュ」

 

 ・・・前言撤回、お前らはやっぱり敵だ!

 

 

 

 船に戻ってドリー船長や主立った船員さんたちと協議する。

 雲を掴むような話だが、ともかくドリー船長のツテからたどれるだけ情報をたどってみよう、という話でまとまった時に船長室の扉が勢いよく開いた。

 

「せ、せ、せ、船長!」

「何慌ててんだい! こっちは取り込み中だよ!」

 

 船長も機嫌が悪いのか、入って来た船員を睨みつけるが、普段なら萎縮してしまうだろうその船員が、今回はそうならなかった。

 

「こっちも大ごとです! 王宮から使者が来て、女の子をさらわれた事に心当たりがあるなら、責任者はすぐに来いと!」

「!?」

 

 俺と船長が思わず顔を見合わせた。

 

 

 

 俺と船長が代表で行くことになった。

 ハムリス達はさすがに留守番。あんなものつれていったらこちらの正気を疑われかねない。

 俺はしばらく着てなかった騎士の装いで、船長もそれなりに質の良い服とコート、船長帽。

 

 王宮の差し向けた馬車に乗り、巨大な割れた岩山の奥へ。

 裂け目が入った手前の辺りが軍の居留地、奥の下層が政府公官庁、上層が王宮だそうだ。

 俺達は官庁の並ぶ通路(雰囲気的には大きなモールか地下街の中央通路みたいな感じだ)を通り抜け、奥まったところでエレベーターに乗る。

 いや、扉と言い上下する箱と言い、本当に現代日本のエレベーターそのまんまなんだ。静かで加速をほとんど感じない辺り、日本より上かも知れない。

 

 そこから最上階まで進み、何度か衛兵さんの守る自動扉を抜けて俺達は王宮の奥深くに進んだ。謁見の間ではなく、豪華な応接間みたいなところだ。

 船長を視線を交わして何か理由があるのか?と考えている内に王様が来た。立って一礼。

 王様が座ると俺達もまた席に着く。

 

「さて」

 

 見たところ60くらい、頭のてっぺんが綺麗に禿げたもじゃもじゃ白髪ともじゃもじゃ髭の王様が咳払いしてから俺の方を見た。

 

「そなた、いずこかの騎士であるかの?」

「は、はい。グリテンの騎士ハヤトと申します」

「・・・詳しく事情を聴かせてはくれぬかの」

 

 かくかくしかじか。

 グリテンの姫であるリタがお母さんの女王様を救うたびに旅に出たということをかいつまんで話す。最後まで聞くと王様は溜息をついて、お付きの人に命じた。

 

「リサを呼んで参れ。お付きの者達も一緒にな」

「はっ」

 

 一礼すると侍従さんが外に出ていく。ややあってノック。

 

「おじいさま。エリザベス、参りました」

「おお、お入り」

「はい」

 

 疲れた顔だった王様が、この時は好々爺の顔になる。

 

「ん・・・?」

 

 一礼して入って来た王女様に、俺達は首をかしげた。

 6,7才くらいの女の子。おかっぱっぽいセミロングのくすんだ金髪。

 遠目から見たらリタにちょっと似てるかも知れない。

 などと考えていたのも次に入って来た人達を見るまでだった。

 

「あ・・・あああああああ!?」

 

 稲妻のように理解が走る。

 帽子から服から靴から、全身赤色の護衛らしき人。

 同じく全身青色の侍従らしき人。

 黄色、橙、紫、白・・・六人のカラフルなお付きの人達。

 

「ま、まさか・・・」

「その通り」

 

 王様が深く溜息をついた。

 

「お主の主君・・・リタ姫はわしの孫娘のエリザベスと間違われてさらわれたようなのじゃ」

 

 

 

 王様によれば、今日の昼間に「エリザベス姫が城を抜け出しているようです」と報告があった。姫は前にも城を抜け出したことがあったので、目撃したものは一応報告したのだろう。

 しかし、姫様はその日は終日母親と刺繍の練習をしていたので、王様は何かの見間違いだろうと相手にしなかったとのこと。

 ところがその後「姫は預かった。次の連絡を待て」と脅迫文が届いた。

 不審に思った王様が部下に調べさせてみると、「カラフルなお供をつれた孫姫と同じくらいの背格好の少女が町を歩いていた」という情報を入手。

 俺達に行き着いたと言うわけだ。

 

「カラフルなお供、よく似た背格好、髪型も髪の色も良く似ている。

 確かに知らなければお忍びの姫様だと思っても不思議はないねぇ・・・」

 

 船長が溜息をつくと、エリザベス姫が申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「すみません、私のせいでリタ様が・・・」

「ああいや、そういうのではありませんから! 悪いのは脅迫文を送ってきた奴らですから!

 ・・・そういえばその脅迫文を出したのは?」

「『鋳つぶした王冠(サン・ディカリ)』という反王国組織じゃ」

 

 「鋳つぶした王冠(サン・ディカリ)」。

 王様の口にしたその不吉な響きが俺の心をざわつかせた。




「サン・ディカリ」は「サンディカリズム」から。過激な共産主義ないし無政府主義の一派みたいな認識でOKです。

消えたプリンセスってどっかで聞いたことあるなーと思ったけど、ディスクシステムのバカゲーでしたw
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