5話
「今、何時なんですかぁ・・・」
「・・・・お兄ちゃん・・・やっぱり誤魔化されちゃったな」
「え?なに?」
「なんでもない。あーそうそう、今日実は学校じゃないんだよ」
「なに言ってるのさ、今日は四月一日だぞ!」
妹が自分の部屋に走って行き何かを持ってきた。無言で卓上型カレンダーを見せられる。その姿はかなり久しぶりで妹は三月一日に指を指している。意味が分からない。
「いや、それ先月だし」
「違うよ、今日は三月一日なんだよ」
「そんなに学校が嫌なのか」
「違うの、本当に今日は三月一日なの!」
「え?ずっと小豆が日付をナビゲートしてくれてたじゃんか、今日は四月一日のはずだよ」
「ほとんど嘘ついてたの」
「嘘だと言ってよ」
「嘘じゃないよ、なんかごめんね」
「・・・・・」
「お兄ちゃん?」
「そんな手には乗らないぞ!」
「うー、どう納得させようかな」
待て待て待て待て。今日は四月一日で始業式があって、あれ?結局時間を聞いてないな、今は何時なんだろ。もたもたしてると間に合わなくなるどうしよう。本当に今日が三月一日だとしても日付を偽ってきた理由がわからない。なぜそんなことを?
「あ、ヘルパイちゃん来たら確認してもらおうよ!」
「いや駄目だ。ヘルパイが来るのは9時過ぎじゃないか。学校始まってるよ」
「本当に今日は学校無いんだって!」
「じゃあどうして正しい日付を教えてくれなかったんだよぉ」
「そ、それは・・・」
妹はまた顔を赤くし胸の前で両人差し指をくるくるしている。目が北島康介のように泳いでいた。
「それは?」
「だめ、言えない。」
「そうか、じゃあ学校行くよ」
「だーかーらー!今日は無いんだよぉ!」
「じゃあどうしてそんな事をっ!」
「うぅ・・・」
「・・・・」
「じ、実は・・・」
「うん」
「お、お、お兄ちゃんに」
「お兄ちゃんに?」
リリリリリリ
聞き覚えの無い目覚ましの音が鳴り響く。多分妹の部屋からだ。
そうだ。きっとその時計は狂っていないはず。絶対そうに違いない。なぜ今まで気付かなかったんだ!俺は話を切り上げ妹の部屋へ走って行く。
「あ、お兄ちゃん!」
「時間だけは確認させて欲しい!」
「だ、だめぇ!」
何か言ったようだけど聞き取れなかった。
そういえば妹の部屋に入るのはここに引っ越してから初めてになる。変な期待と共に勢い良く扉を開く。すると心地良い朝風が俺を包み込んだ。窓が空いていて今日は晴天らしく雲ひとつなかった。
窓のレールの上に一足の靴が置いてある。
その持ち主と思われる人物は見た目は妹と同じくらいの歳の少年で、
ベッドの上に寝っ転がり足を組んで妹の少女漫画を読んでいた。
するとこちらに気付いたのか漫画をぶん投げつつ慌てて正座をした。
「あ、お兄さんですね!一晩妹さんをお借りしました!締まりが良過ぎてすぐにいっちゃいそうでしたよ!凄く充実した夜を過ごすことが出来ました!妹さんの初めてを取っちゃってごめんなさい!」
「はぁ!?」
つづく