核でも蒸発しない『陰の実力者』にあこがれた。
だから僕も核で蒸発しない人間になるために答えを求めた。
パンチ力? 否。
鋼の肉体? 否。
無尽蔵のスタミナ? 否。
僕の答えはそう、未知なる力、つまり魔力だ。
それからというもの、僕はいろんな方法で修業をした。座禅、滝行、瞑想、断食、信仰、果てにはいろんな拷問を見よう見まねで受けてみたりした。
そして、転機は高校最後の夏に訪れた。
そうしてなんやかんやあって、そんながこんなで、あんながどんなで、あれこれそれこれどこそこそれからどうして。つまりはこうして、なんやかんやもろもろなるほど。
まぁ、つまりは、僕は魔力を見つけて転生した。
* * *
転生してからというもの、僕はずっと魔力を圧縮したり爆発させたり、さらには魔法なんてものを使ってみたりして自分自身を鍛えてきた。
だけど今、僕はとても大きな壁に直面している。
それは、僕が腕試しで前世よりも増えた泥棒や空き巣をボコって、イキっていた時の話だ。あの時の衝撃は今でも覚えている。
当時、そこそこ有名だった泥棒達のアジトの場所を偶然耳にした僕は、こんな感じで殴り込みに行ったのだ。
* * *
「さてと、通報は完了。あとは警察が来るまでにどれだけコイツらから巻き上げられるか」
僕は勢いよくアジトの窓を蹴破って突入した。
「ヒャッハー‼︎てめぇら金目のモノを出せ‼︎」
僕はアジトの中心で叫んだ。
「な、なんだぁ、このガキ!」
「……‼︎」
僕をガキ呼ばわりした無礼な男を無言で殴り飛ばす。僕は年齢的には子供だからチビではあるけどガキでは無いのだ。
ここでようやく泥棒達は戦闘体制に入った。が、まぁ、遅すぎたから気づいた時にはリーダー格の男以外は蹴り飛ばしていた。
「てめぇ、何者だ!」
「俺か──?俺はただの……スタイリッシュ泥棒スレイヤーさ」
「ふざけてんのか⁉︎だが、スタイリッシュってんなら最後は潔く『デュエル』で決着をつけようじゃねぇか‼︎」
……デュエルってなに?
* * *
とまあそんなわけで僕は転生したこの世界がデュエル、つまりデュエルモンスターズというカードゲームを中心に回っている事を知ったのだ。
そう、つまり僕の直面している大きな壁というのは、僕がデュエルをまったく知らないということだ。
デュエルモンスターズが中心の世界で、殴る蹴るしかできない『陰の実力者』……無理があるな。これじゃあ論破されて暴力に訴えるガキだ。もちろん僕はガキじゃない。
よって僕の日常にデュエルモンスターズが入り込むことになった。