その天使はハッピーエンドしか認めない   作:苦闘点

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 日間7位!? なんかめっちゃ伸びてる!? ありがとうございます!!
 誤字報告もたすかっております!
 感想も欲しいです!!

 それと、高評価していただいた方の掲示ですが、評価者が50人となったので今話で中止しようかと思います。皆さんへの感謝の気持ちは絶対忘れませんので、ご理解頂けると嬉しいです!

☆10:magiwa さん 天照月 さん 魔神王マッキー さん

☆9:○ろうにん剣士N さん クリームティー さん 坂本美緒 さん 仔大猩々 さん 無双のサウス さん KingJohn さん ソラリエ2 さん キングサリ さん ターニャン さん yuu.ALteziten さん Klantz さん 曇らし隊自由組合 さん 燐々 さん ロミボ さん

 高評価ありがとうございます!

 次の話は明後日になるかもしれません。


熾宮ルカは別に信心深くない

 

 

 俺は神が嫌いだ。

 何を考えたら、赤ん坊に成熟した精神を与えて世界の真実的な情報を頭に叩き込もうと思うのだろうか。ハッキリ言って性根が腐っているとしか思えない。

 

 いる事は否定しないよ。いなかったら、いつか神なるクソ野郎に会えた時に殴れないじゃないか。その土手っ腹にボディブロー食らわせてやると決意してんだ。

 

 話は変わるが、トリニティ総合学園には『シスターフッド』という部活動が存在する。トリニティ大聖堂の維持・管理、生徒のカウンセリング、ミサによる啓発活動など、慈善活動を行うのが主な部活だ。

 そこはシスターフッドの名の通り、某神なるものを信仰する部活でもある。ミサをやってる時点で当たり前のことではあるが。

 

 さて、俺は前述した通り神は唾を吐いてやりたいほど嫌いではあるが、シスターフッドの事は別に嫌いじゃない。というのも、俺は大聖堂の外観や、ミサで歌う賛美歌が割と好きだからだ。

 神の野郎に捧げるというのは気に食わないけど、建物や歌自体に罪は無いからな。歌も歌詞が好きな訳ではなく、リズムとか雰囲気が好きなだけだし。

 

 そういうわけで、俺はたまに大聖堂に足を運ぶ。行っても絶対に祈りは捧げないし、大体でっかいステンドグラスを眺めたら何もせず帰るんだけどな。

 今日も朝の散歩がてら寄ってみると、そこには修道服を来た1人の生徒が祈りを捧げていた。

 邪魔するのも悪いので、少し離れた場所でそれを見とく。しばらくして、その生徒は祈りを終えてこちらに振り返った。

 

 

「ふぅ……あっ! 礼拝に来ていた人がいらしたのですね! すみません、気付きませんでした……」

 

「気にしなくていいよ。そんだけ集中して祈れてたって事だからな。それに俺は礼拝しに来た訳じゃないし」

 

「そうだったのですか。……あれ? 貴方は確か、入学式で挨拶をしていた……」

 

「あぁ、ティーパーティー監査の熾宮ルカだ。てことは君は1年生かな?」

 

「も、申し訳ございません! 態々お越しいただいたのに、お出迎え出来なくて! あ、私は先日シスターフッドに所属しました、伊落マリーと申します。よろしくお願いします、ルカ様」

 

「……今年の1年は真面目でいい子が多いなー」

 

 

 言葉の端々からいい子オーラが滲み出てる、見てるこっちが浄化されそうだ。

 ハナエといいマシロといいこのマリーといい、今年入った1年生良い子が多すぎだろ。コハルもちょっとムッツリ気味な所を除けば良い子だから。もっと見習えよ上級生。

 

 

「ルカ様は、よく大聖堂に来られるのですか?」

 

「様はいいよ。よくってわけじゃない。偶に気が向いた時だけな。信心深くもないし」

 

「それでも、ここは生徒がよく訪れる場所でもありますから。ティーパーティーのルカ様……ルカ先輩が来て頂ければ、皆さんも安心しますよ」

 

「……ホントに良い子だね」

 

 

 天使か? この子。羽が生えてる俺よりもよっぽど天使なんだけど。この子の爪の垢を煎じて飲ませれば、ゲヘナにいる美食キチや温泉キチでも多少は改心するんじゃないか?

 

 

「そんな、私なんて……まだまだシスターとしては未熟ですよ」

 

「いや、朝早くから祈りに来てるんだから、十分立派だよ。俺が保証する」

 

「フフ……ありがとうございます」

 

「グッ……」

 

 

 女神か? 笑顔が眩しいって表現をミカ以外で使うとは思わなんだぞ。

 なんか……心が痛くなってくる。こんなに良い子の前で俺は内心で神に中指立ててるのか。朝早くから祈りに来てるマリーに申し訳なくなってくる。だからって祈りを捧げるつもりはないけど。

 

 

「い、今は大聖堂にはマリー一人なのか? 珍しいな。いつもは大体ヒナタかサクラコあたりがいるんだけど……」

 

「サクラコ様は来ておりませんが、ヒナタ様はさっき…………あっ、いらっしゃいまし、えぇっ!?」

 

 

 ちょうど話題に出た2人が来たのかと思って見てみると、そこには聖堂の備品をタワーのように積み上げて運ぶ人の姿が。荷物に隠れて顔が見えないが、修道服のデザイン的にヒナタだろう。

 ……色々ツッコミどころはある。その量の荷物を何で持ててるんだとか。何で一気に運ぼうとしたのかとか。そもそもどうやってその荷物を積み上げたのかとか。

 

 

「……ちょっと持つぞ、ヒナタ」

 

「え? あ、あわわルカさん!? 来ていらしたのですか!?」

 

「ついさっきな。……うおっ、結構あるな。悪い、マリーもこれだけ頼めるか?」

 

「勿論です。よいしょっ」

 

 

 荷物タワーバトル状態になってたヒナタの荷物を半分くらい持ってやり、少しだけマリーにも持たせる。

 持って分かったけどこの量を一人で持つとか正気じゃない。相変わらず凄いパワーだな。

 俺が荷物を取ると、黒髪で左目を隠したシスター、若葉ヒナタは申し訳なさそうに言った。

 

 

「すみません。わざわざ……」

 

「いいよ、このくらい。仕事熱心なのは良いけど、マリーや他の後輩もちゃんと頼れよ?」

 

「る、ルカさんには言われたくなかったです……」

 

 

 自信なさげな顔してるけど、結構バッサリいくのね。その通りなんだけどさ。

 備品は3人で持っていき、ジェンガが崩れるような惨状は免れた。

 

 

「ありがとうございます、ルカさん、マリー。おかげで早く運ぶことが出来ました」

 

「いいのですよ、ヒナタ様。次運ぶ時も一声お掛けください」

 

「こんな良い後輩ができたんだから、ちゃんと頼ってやれよヒナタ」

 

「はい、そうさせて頂きます」

 

 

 そう言ったヒナタは、いつもの大きな鞄を既に持っていた。この鞄、前に持たせて貰ったけど下手なダンベルより全然重い。腕に負荷をかけ続けないと死ぬのだろうか。 

 本人は「ちょっと力が強い」としか思ってないようだが、この前慌てて扉を開けた時に、その扉を吹き飛ばしていたのを俺は知っている。

 

 

「ルカさんはまたお散歩ですか? お祈りではないでしょうし……」

 

「そんなとこ。ここら辺は空気が美味いからな」

 

「先程も仰っていましたが、ルカ先輩はいつもお祈りはしないのですか?」

 

「そうなんですよ。なんでも、ルカさんは神様が……ムグッ!?」

 

「アッハッハ! 俺朝に来ることが多いからさー! 気分が乗らない時が多いのよ! ハッハッハ!」

 

「そ、そうなのですか」

 

 

 いらん事を言おうとしたヒナタの口を慌てて塞ぐ。

 危ない。良い子過ぎるマリーに俺が神が嫌いだなんて知られたら、余計な心配をかけかねん。許せヒナタ、マリーには真っ直ぐな心でシスターをやってもらいたいんだ。

 

 俺たちがそうワチャワチャしていると、大聖堂の扉から一人の生徒が入ってきた。

 

 

「─── ウフフ、とても仲が良さそうですね。素晴らしいことです」

 

「あ、おはようございます、サクラコ様」

 

「あっ! す、すみませんサクラコ様!」

 

「おはよサクラコ。相変わらずなようで安心だよ」

 

「? そうですね、私は変わらず元気ですよ。ルカさんもお元気そうで何よりです。ヒナタとマリーも、おはようございます」

 

「お、おはようございます……」

 

 

 入ってきたのは、シスターフッドの長を務める灰色髪のシスター、歌住サクラコだ。

 何かマリーとヒナタが緊張し始めた気がするが、気のせいでは無い。

 

 サクラコを語る上で、まずシスターフッドの成り立ちから語らねばなるまい。

 

 シスターフッドの前身は『ユスティナ聖徒会』といい、かつてトリニティを統治していた生徒会である。その組織の歴史は血塗られたものと言われており、実際に拷問を行っていたなどという凄惨な文献も残っている。

 それ故、後身たるシスターフッドには隠せねばならない秘密が多く、徹底した秘匿主義を貫いている。そのため一般生徒の間でも黒い噂は絶えない。

 

 そんなシスターフッドの長であるサクラコだが、コイツは根っからの善人ではあるんだが感性がビミョーにズレている。浮世離れしてると言うべきか。あと何故か笑顔に妙な迫力がある。

 

 そういった事情が絡み合い、サクラコは誤解を生みやすい人となっている。

 

 

「フフ、マリーは早速ルカさんと仲良くなられたのですね。喜ばしい限りです」

 

「は、はい……」

 

「良ければ、後で“お話”を聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「はいぃ!」

 

 

 こんな風に。

 言っておくとサクラコ側に何か特別な意図は存在しない。ただ同級生と後輩が仲良くしてたのが嬉しいだけだ。言葉だけ見たら自然なのに、サクラコの笑顔と含みのありそうな口調が合わさると何か裏がありそうに思えてしまうから凄い。

 サクラコの中身を知ってる俺やヒナタからしてみると、とても面白……ゴホン、気の毒に映る。

 

 

「大丈夫ですよマリー。サクラコ様はただマリーがルカさんと仲良くなれて嬉しいだけですから。ね?」

 

「? そう言いましたけど……」

 

「そ、そうだったのですか……。すみません、サクラコ様。あらぬ誤解を……」

 

「誤解……?」

 

 

 ヤバい、気の毒なのは分かってるけど笑いが出そう。サクラコ本人は変なこと言った自覚は全く無いし、実際変なことなど言ってないんだから、そんな反応になるのも分かる。それはそれとしてメチャクチャ面白いが。

 

 しかしマリーは圧倒的に良い子だから、割とすぐサクラコ語に慣れるだろう。ヒナタと一緒に翻訳してやってくれ。

 

 

「そうでした、ルカさん。この後、少し宜しいですか? 経典について、少しお聞きしたいことがありまして」

 

「あぁ、問題ないぞ」

 

「ルカさんは古代語が読めるのですか?」

 

「はい、ルカさんは古代語の語彙でならサクラコ様よりも凄いんですよ! 幼い頃から経典を読んでいたそうなので」

 

「それは凄いですね! あれ? でも信心深くはないと……」

 

「経典はただの興味本位で読んでただけだからな。発音ならサクラコのが断然綺麗だし」

 

「ウフフ、ありがとうございます」

 

 

 その後、サクラコを伴って経典の該当箇所について答えると、また彼女は神妙な面持ちで尋ねてきた。

 

 

「……ルカさん、もう一つ聞きたいのですが……」

 

「何だ?」

 

「……私、新入生に避けられている気がするのです。何か私の態度に問題があるのではないかと……」

 

 

 …………あー、うん。

 気にしてるだろうとは思ってたけど、やっぱり気にしてたのね。誤解されやすいの。

 けどこれに関しては、受け取り手の問題が大きい。大体は『シスターフッド』の『長』というイメージによる先入観で委縮してるわけだから。本人の雰囲気と天然がトドメになっているのは否定しない。

 

 

「まあ確かに、近づき難い感じはするな。天上の人感と言うか……もうちょっと親しみやすい感じを出したらいいんじゃないか?」

 

「親しみやすい……ですか。例えば、どういったものがあるのでしょうか」

 

「そうだな……女子高生なんだし、流行に乗ってみるとか? サクラコ、そういうのに疎いだろ。流行ってる小物とか、言葉とかを調べてみるといい」

 

「なるほど……! ありがとうございます、ルカさん。早速実践してみます!」

 

「頑張れ〜」

 

 

 ……この時の俺は忘れていた。

 サクラコはとても真面目な子である。どんな事においても真剣に向き合い取り組む、シスターとしては完成されてると言っていい。

 …………ここで思い出して欲しい。サクラコは微妙にズレた感性を備えた天然である。

 

 そんな彼女が張り切って普段しない事をしようとすればどうなるのか。

 

 

 

 後日、大聖堂では気持ち悪いニワトリのようなマスコットのキーホルダーを提げるサクラコが見られ、シスター達は触れてもいいものかと様子見することになり、余計に避けられたとか。

 

 また、以下は俺とサクラコのモモトークである。

 

 

『それでは、どうか明日も良き日でありますよう』

 

『わっぴ〜!』

 

『ごめん、俺が悪かった』

 

『え!? どうしてですか!?』

 

 

 ヒナタ、マリー、後は任せた。

 

 






 一つ、彼の身長は172cm。同じくらいの身長の生徒を挙げるとシュンとカホ。本人的にはもう少し欲しいと思っている。

 一つ、彼は1年生の頃古書館で経典を読んでいるところをシスターフッドに勧誘されたことがある。もしそのまま入っていたら、今頃懺悔室に行列ができていたかもしれない。

 一つ、彼は賛美歌を歌わない。というか歌が下手である。一度ミカにねだられてカラオケに行った際は爆笑された為、拗ねてその後は一曲も歌わなかった。

 一つ、彼が常備している穿撃針は1本の重量が10kgほどになるので、ヒナタには及ばないものの彼の腕力は化け物じみている。腕相撲はミカと互角。
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