カードゲームの悪の組織で幹部をやってます。闇のカード(禁止カード)が強いです 作:カードショップの闇結さん
「よぉ、闇結。やっとみつけた」
「へ?」
なんか、知らない人に声をかけられた。俺 私と同じくらいの世代の金髪のちょっとチャラい感じの男の人だった。多分外国人。
「知り合い? ……あむ」
私の隣にいるのはコバルト・ブルーちゃんだ。私の買ったクレープを頬張ってる。
「いや、普通に知らない人だけど」
「そうなの……? もぐもぐ」
そう、こんな人知らない。最近はテレビとかファイチューブにも出てるしもしかしたら……もしかしたらあれか?
「私を悪の権化と……懲らしめにきたのね?」
昔、私が選手だった頃はそういう人間も多かった。全部、マナもジェムも手札も全て破壊して返り討ちにしたわけだけど、またそういうのが出てきてしまったのか。
「そういうんじゃないね。ほんとに、覚えてない?」
「んー? 残念ながら」
「そっちの嬢ちゃんは? 俺のことしらねぇ?」
「ごくん……。知らない人」
なんというか、妙な絡み方だ。こういう絡み方には見覚えがあった。
「もしかして、有名な選手だったり?」
「もしかしなくても有名だなぁ」
やっぱり、この世界、選手層が厚い。俺では覚え切れないほど選手がいるわけだ。
「はっ……去年のチャンピオンシップじゃあ、叢雲と覇をかけて争った、世界二位の男とはぁ、俺のことよ」
「へぇ、そうなんだ」
アレが一位なことは知ってたけど、二位なことは知らなかった。
「いや、知っとけよ」
「ねぇ、コバルトちゃん。世界で二番目に高い山って知ってる?」
「もぐ? 知らない」
あ、そのバニラクレープ私の分……。
食べたかったわけじゃないから、別にいいけどさぁ。
「そういうこと。世界で二位なんて、誰も知らないし、すぐに忘れられるわ?」
そういうことだ。ま、二位なんて大したことじゃない。
「……? 私は、闇結天音のこと知ってたけど」
「ありがとう。クレープ、おかわりいる? 買ってあげる」
「やった!」
コバルトちゃん。復讐なんて言っているけど、普段は普通の女の子だ。今日は、一人でふらふらしているところを見つけて、誘ったら一緒に来てくれた。
普通に気になるし、ちょっと見かけたら声をかけるようにしてる。
「まぁ、いいか。闇結天音。実は会ってほしい相手がいる」
「え、急に何? 怖……っ」
連れて行かれた先でボコボコにされるとか。速攻使いとか、速攻使いとかに。
「いや、別にそんな警戒しなくてもいいだろ。お前の知ってる相手だし。というか、そっか……ネットニュースとかみてないのか」
「エゴサーチとかする趣味はないわ。最近は特にね」
ネット見ると私に関する批判が嫌でも目に入る時代があったし、あんまりネットは見ないようにしていた。最近はいろいろ露出もしているし、トップニュースで私の発言がどうとかくだらない記事があるみたいに緑川ちゃんは言っていたし。
「ネットニュースがイコールでエゴサーチとは困ったね」
「えぇ、だいたいコメントが炎上してるわ」
全国放送にファイチューブも、思った以上に注目されちゃっているみたいだ。悪い方向で。
「でも、最近のやつらはそうでもないだろ? バチバチだった頃、あんまりしらねぇだろうし」
「まぁ、それはそうね」
光谷ちゃんとか、津雲ちゃんみたいな十代の若い子はそんなに知らないみたいだしね。
「それはともかく、会ってやってくんねぇ? 向こうも、会いたがってたし」
「ファンかしら?」
「まぁ、そのようなもんだな」
「へ?」
私にファンなんて、全然いなかったのに。どういうことだろう。最近の活動の結果ということだろうか。
「ちょっとついて来てくれよ。悪いけど」
「ファイターとしての余興なら、ギャラ払ってくれるならいいわよ。なんならわざと負けてもいい」
「金とんのかよ……」
選手から引退した選手が、結婚式や忘年会、学芸祭あとはレクチャー会とかに呼ばれて余興をしたりするのはよくある話だ。
「相場で言えば百万はもらいたいところだけど、七百四十八で許してあげるわ。あそこでクレープを買ってくることね。コバルトちゃん、味はなにがいい?」
「クレイジーホイップマナミント」
なにその味……。
「へいへい。行ってくるよ」
すごすごと男は買いに行った。まぁ、このくらいしてもらっても許されるだろう。
「あ、戻って来た」
「千四百三十だったじゃねぇか。クレイジーホイップマナミント」
「高い……!? クレイジーホイップマナミント」
さっき買ったときは七百四十八で横並びだったはず。俺の見落としていた特別メニューがあったということか……。
「もぐもぐ……美味しい……」
幸せそうにクレープをほおばるコバルトちゃんだ。
まぁ、できれば、この子の幸せは守ってあげたいなぁ、とは思う。できる限りね。
「ほら、闇結もな」
男は、私にもクレープを差し出してくる。意外だ。
「コバルトちゃんの分だけのつもりだったのだけど」
「いや、受け取れよ。聞いてた以上にお前がいいやつでよかったよ」
「そりゃ、残虐なファイターみたいな話が一番底だから、そこから下回ることはないでしょ」
妙なことを言ってくる男だ。私の悪いニュースだってファイトの中の話……まぁ、そこから最低の人格破綻者みたいにコメントでは叩かれたりするけど、普段は普通なのは見たらわかるだろう。いや、ファイト中も至って真っ当に勝ちに行ってるだけだし、普通だ。
「じゃあ、行くか」
「えっと、コバルトちゃんは?」
「ついていく。念のため」
コバルトちゃんはカードを取り出して、男の方をちらっと見た。だいたいこういうときは何かあったときに容赦はしないという意思表示だ。
男はやれやれと肩をすくめて、特になにも言わなかった。
コバルトちゃん……私のために……。もしかして、この間コバルトちゃんに負けたから、ちょっと心配されてる……?
***
向かった先は街の主要部に近い高級ホテルの一つだった。
男は、一人の女性を見つけると駆け寄っていく。
「よ、カノン」
「もう! どこ行ってたの! アンドリュー」
おそらく、その女性が、私のファンということか……。
というか、見覚えがある。
「うぇ……」
「あ……っ」
花音。私は彼女を知っている。
「闇結天音の大人版?」
コバルトちゃんは呟く。そう、闇結花音。私の実の妹。それが彼女だ。
私の成長は十代で止まってるけど、彼女は違う。もう私を追い越して、年相応に大人になっているわけだ。
「どうだ? カノン。会いたいって言ってたろ? 連れて来てやったぞ?」
男は満足げだった。こいつ……やりやがって……。
私と、妹の間に緊張が走る。
「え……ええ。そっか……花音。この国に戻ってたんだ」
「うん……久しぶりだね、お姉ちゃん」
お互い、もう十年くらいは会ってない。会話をするのなんてもっとかもしれない。
会うにしても、準備とか、手順とかいろいろあったはずだ。
「仲……悪いの?」
コバルトちゃんだった。
「まぁ、ちょっと昔、いろいろね」
ちなみに私の昔、勝ち取った賞金は家族に使い込まれたわけだが、彼女も例外ではない。
とはいえ、なんとも思ってはいない。だって、私の戦い方のせいで妹は学校ではいじめられていたし、無関係な人には恨まれていた。子ども時代を台無しにした分、と考えれば、足りないくらいかもしれない。
海外で豪遊していようと、思うところはそんなにあるわけではない。
ただ、すすんで会いたい相手ではなかった。
「姉妹は仲がいい方がいいから」
少し寂しそうにコバルトちゃんは言った。
「コバルトちゃんは兄弟がいるの?」
「姉が……。……っ。ううん。もういない」
――復讐。
そう、彼女の目的が頭によぎる。
どんよりと、場の空気が重くなった。
まずい、やってしまった。雰囲気がお通夜レベルの暗さだ。
どうしよう。
「よし、わかった。ファイトだ、ファイト。久しぶりに会って、心を通わせるならこれしかない」
名案というように男は言った。
こいつ……。誰のせいだと。
「いいよ。ファイトしよ、お姉ちゃん」
「え……ええ」
大丈夫だろうか。私とファイトして。この男、私の戦い方、わかっていってるのだろうか。
ファイトの場所は高級ホテルの中だ。さすがというべきか、バトルボードが完備されている。
お互いにデッキをセットする。
「お姉ちゃん。こうしてファイトするの、いつぶりかな」
「んー。花音が小学校に行く前じゃないかな?」
普通に泣かれたから、それ以降やってない。軽くどうデッキを作ればいいか手ほどきはしたけど、それくらいだ。
「そっか。そういえば……。あ、お姉ちゃん、先攻だよ?」
「うん。セットして、ターンエンド」
「私も」
互いに一ターン目はセットしてパスだ。
「ジェムセットなしの立ち上がり……コントロール対決」
コバルトちゃんが言った。
どうやら、花音のプレイスタイルは変わってないようだった。
「二ターン目、『エナジープラス』」
マナの加速札を唱える。立ち上がりとしてはまずまず。
「じゃあ、『さざ波』」
ハンデス札だ。私の手札から一枚、カードが奪われる。
「もしかして同じデッキ?」
「いや、花音のデッキは白黒青のコントロールだ」
昔のまま、ということか。まぁ、この世界の人間、そうそう自分の使える色を変えないしね。
「四コスト『荒野』」
私が先攻なら、これが一番効くだろう。土地エリアのカードを一枚破壊。
マナが一枚に逆戻り、というわけだ。
「……っ!? セットして……ターンエンド」
二コストのカードは持っていなかったのだろう。
「闇結天野の勝ち……? ここから毎ターンマナに蓋されて、三コスト以上が動かせない」
「さすが闇結。身内相手にもえげつねぇが……そうもいかないぜ」
まぁ、私は花音のデッキを知っているわけで、そう簡単じゃないこともわかっている。
次のターンは、六コストか……一応、『津波』をジェムに置いておこう。
「五コスト、『波浪と荒野の災禍』」
「誘発『聖歌』。このターン、次に唱える相手のスペルを無効化する」
白の汎用誘発札。相手のスペルを沈黙させるその効果は強力。相手の一ターンを実質的に無力化するカードである。
「相変わらず、強力な効果のカード」
「その後、自分のジェムを一枚山札の一番下に置く。今回私はジェムがないから、これは空振りだね」
「デメリットを踏み倒してる……」
コバルトちゃんがつぶやく。
本来は二枚で一枚を相殺するカードで、なんのデッキにも入るというわけでもないが、当然ジェムがなければ一枚の消費でいいわけで強く使える。
「やっと土地三枚。三コスト、『チャージ・ウェーブ』。相手は手札を裏向きのまま一枚選んで捨て、こっちは一枚引く」
二度目のハンデス。地味に痛い。
次はこっちのターンだ。
このままランデスで攻め立てるのもいいが、なかなかにいい打ち消しのカードを持っている。さて、こっちのマナは十分。ちょっと趣向を変えよう。
「六コスト『青の聖霊ラ・ウェル』を召喚。ジェムを手札に戻して能力。相手の見て一枚選び捨て、カード一枚引く」
「毎ターン、ピーピングハンデス!?」
「ふ、ふ、ふ。手札を見せるのよ!」
このモンスターは強い。なぜなら、このモンスターに対処でいるカードをこのカードの効果で墓地に送ることができ、かつ毎ターンアドバンテージを稼ぐことができるからだ。
「うーん。流石に通すか……ぁ」
「……。え?」
どれを抜いても対処できる手札だった。
たぶん、前のターンのジェム置きが露骨すぎたから、モンスターを警戒されたのだと思う。
まぁ、いいけど。
とりあえず、打ち消しの効果を持つスペルを一枚除いておく。
「じゃあ四コスト『共殺しの刃』。相手のモンスターを一体選び破壊、その後に相手は自分のモンスターを一体選び破壊」
そのカードにより、私の『青の聖霊ラ・ウェル』が破壊された。共殺しと言いつつ、破壊されるのは私だけ……。
低コスト、黒の確定除去の中ではかなり優秀なカードだ。
ただ、こっちはもう七マナある。
「七コスト、『津波』。相手の手札を全て捨てる」
元も子もない話しだが、コントロール対決は先に七コストにたどり着き、相手の手札を全て破壊した方が勝つ。
今までの動きは、これを通すためのささやかな妨害に過ぎない。
「誘発『聖水』。相手のコスト五以上のスペルを唱えた時に誘発。このターン、相手の次に唱えるスペルを無効化し、その後、自分は手札を一枚選んで捨てる」
二対一交換。だが、『津波』が撃たれた場合、手札が全て捨てられていたから、それよりマシということだ。
ターンが変わって、花音がマナとジェムを置く。
「五コスト、『反駁の聖句』」
「……!?」
それは、白黒青の三色のカードだった。
「まず、相手と同じ手札の枚数になるまでカードを引く」
「…………」
ここまでは別に問題はない。『津波』などを通してしまった後のリカバリーカードと思えば、そこまでおかしな効果ではない。
「その後、墓地から名前に《聖》と付くカードを一枚手札に戻す。『聖歌』を手札に」
サルベージ効果のついたドローソース。
この状況で手札を消費する『聖水』ではなくてジェムを消費する『聖歌』を手札に戻したのは妙だ。四コスト以下のスペルを警戒しているのはわかるが、ジェムをさっき置いてるのはややチグハグ。
ゲームエンド級のカードはないし、ちょっとつついてみよう。
「五コスト。『号哭と波浪の災禍』」
「……! 『聖水』」
手札二枚を犠牲に無効化される。まぁ、これで確定か。
次のターン――、
「六コスト……『パラダイス・ゲート』。墓地から七コスト以下のモンスターを一体召喚し、その能力をコストを支払わずに使用する」
そうして使用した場合、そのモンスターはこのターン能力を使用できない。という但し書きがあるため、同じモンスターの能力を二回撃つことはできないが、強力なリアニメイトスペルだ。
――モンスターが召喚される。
「来たか」
「七コスト。『白聖金龍プラチナリア・イモータルドラゴン』」
出たな、プラナリア。
「なに、あのドラゴン」
コバルトちゃんがそのカードを見て目を丸くしていた。その能力を見たのだろう。
「能力発動。次の自分のアビリティフェイズの終わりまで、このモンスターは破壊されない……そして、自分はゲームに負けない」
「…………」
「さらに、このモンスター以外のゲームに負けない効果を持つモンスターのジェムを全て外して、そのモンスターは持ち主のターンの初めにジェムをつけられない……けど、今は意味がないね」
これは、互いにゲームに負けないカードが出てなにもできないゲームになるのを防ぐための効果だ。ついでに二体目のプラチナドラゴンを置けないという意味もあるか。
「相変わらず、馬鹿げた効果」
このカードがいかにして強いか、説明しよう。
まず、ゲームに負けない。速攻系のデッキに早期召喚をした場合、完全にロックアップだ。殴るという行為を完全に否定している。
破壊されない、というのも強力だ。破壊じゃない除去をすればと思う人間もいるだろうが、それは安易な話だ。
基本的に、破壊という除去は無難なのだ。バウンスや除外は一時凌ぎ、ジェム化は回収手段が豊富でさらに打点や能力使用の機械を増やし、マナ送りは相手に高コストのカードを使わせるリスクがある。山札送りもあるだろうが高すぎる。
少し、まともなコントロール対決でなにが起こるか考えてみよう。
ハンデス対決など、そういう駆け引きがまずあるが、結局は相手のライフを削るような強力なフィニッシャーを場に出す。
そうすると、相手はそのフィニッシャーを除去できるような回答を探すためにドローし、対応する。
交互にそれを繰り返して、回答を引けずにやられるか、あるいはなにも引けずにライブリー・アウトした方が負けだ。
この馬鹿げたドラゴンがなにをしているのか。
まず、ゲームに負けない。
これはデッキ切れにも適用されるため、デッキからカードを引くリスクを踏み倒しているようなものだ。さらには相手のフィニッシャーでの詰めを否定し、相手のモンスターの放置を可能にしている。
次に、破壊されない。
さっき語ったように、基本的にはコントロールデッキには無難な除去である破壊カードがそれなりに入っている。このモンスターを取り除けなければ勝てない、そんなのが居座っている以上、破壊系のカードはほとんど腐ることになる。
そして、このモンスターを使う上で、あのコントロールはハンデスと打ち消しを多く積んでいる。
キープ札にはハンデス。今引きには打ち消し。
相手の非破壊系の除去にハンデスや打ち消しを当て、全てをなくしてしまえば、あとはライブラリアウトを待てば勝てる。そういうロジックだ。
ビート系のデッキ、さらにはコントロールにも役割を持つこのカードは、非常に強力なフィニッシュ手段になる。
スペル封じに準じる……あるいはそれを凌駕する強力なロックカードであった。
相手の戦略は、非破壊系除去に一対一交換を当てること。
「へぇ、私に、そういう勝負挑んじゃう?」
「……っ!?」
私の戦略は、相手のカード全てに一対一以上の交換を当てることだ。
***
「もし、いじめられそうだったら、お姉ちゃんを呼びなさい。いつだってお姉ちゃんが駆けつけてあげるから」
「うん……」
そう言って彼女は笑った。
カードが全てみたいな人だった。とっても強くて、よってたかって私に意地悪してきた人たちを全員蹴散らして言った。
でも、お姉ちゃんは悲しそうだった。
「ごめんね、私のせいで……」
「ううん……」
お姉ちゃんのことをみんなは嫌いだけど、お姉ちゃんには強くて敵わないから私のことをみんな嫌っている。それはわかった。
それでも、お姉ちゃんは大会に出た。私はカードが好きだから、お姉ちゃんが大会に出ていると思っていた。
だから、我慢できた。どんなに虐められようと、理不尽なことがあっても。だってお姉ちゃんは、私の自慢だったから。
「勝たなきゃ。勝って認めさせないと……」
でも違う。気がついたのは、小学生から中学生に上がるくらいの頃だった。
「お姉ちゃん……?」
「花音、ごめんね? 私が弱くなければ……花音は……。もうこんなこと辞めてしまえば、でも、ここで逃げたら……たとえ五年後忘れられるとしても、花音の今は今しかない。あぁ、優勝、優勝さえすれば……」
「…………」
「ごめん、不甲斐ないお姉ちゃんでごめん」
二位のトロフィが隣にはある。今日とって来たのだろう。部屋に並ぶのは、同じく二位の賞状や記念品。
いろいろ、追い詰められているのはわかる。私が弱い虐められているのもそうだし。両親が遊んでばかりで帰ってこないのもそうだ。
お姉ちゃんは、全部それが自分のせいで起こったと思い詰めていた。
「お姉ちゃん。私、海外に引っ越すことにする」
「え……っ?」
「私のこと、知ってる人いないだろうから」
私の顔はお姉ちゃんとかなり似てるから、バレるのも時間の問題だと思う。
「そ、それじゃあ、私も……」
「来ないで……!!」
「……っ」
「お姉ちゃんなんか嫌い! 私、お姉ちゃんの妹じゃない方がよかった……!!」
「そんな……っ」
飛び出す。
もう、たぶん限界だった。
お姉ちゃんのそばに私はいるべきではなかった。
「あ、お金……。ごめん、お姉ちゃん……」
ただ、私も自分の人生を捨てたわけじゃない。自分も大事だ。
これから、ちょっと大変だろうし、お金はお姉ちゃんから拝借しておくことにした。お姉ちゃん、ごめん……。
***
「『白聖金龍プラチナリア・イモータルドラゴン』の能力!」
「『劫火』。未使用ジェムを全て破壊。オールボードデストラクション。はい、おしまい」
「……っ」
「私にリソース勝負挑もうなんて……構築時点から負けてるってわからない?」
手札を焼き、ジェムを焼き、相手の山札はもうない。流石のプラナリアもジェム供給が絶たれてしまえばなにもすることができない。
完全に勝負はクローズ。私の勝ちで終わった。
まぁ、白金龍はジェムを墓地送りにして能力を使う。延命に必要なターンの価値はジェム一枚。そもそも全体のリソースでぶつかる私のデッキに、そんな悠長なことができるはずもなかった。
「あー、負けたー」
花音は、手足を放るようにようにして床にぺたりと座り込む。
久しぶりの対コントロール。なかなかにやりがいがあった。
「そもそも相性が悪い……わかってると思うけど」
そう、やりがいはあるし、一つの選択肢の間違いが致命的になりうるが、逆に間違えなければ負けようがない。カードを全て使ったデッキ対デッキの対決になる以上、構築段階の相性で差が出るのは明白だ。
「でも、これ、お姉ちゃんと一緒に作ったデッキだし……」
そういえば、そんなこともあったか。
確か、白金龍を弱いと上手く使えずにいた花音のために作ったデッキだったような気がする。
「…………」
なんというか、ちょっと意外だ。嫌われていると思っていた。それなのに、今でもそのデッキを使っているなんて。
「もう、弱い私じゃないって、わかってもらいたかったのもあるかな」
確かに、昔はリソースの概念もわからなかったし、全然使えていなかった。妨害の打ち方も、ちゃんとしていたし。
「そうだぜ? 俺たちは国別対抗戦に代表として出るわけだ」
「え……?」
コバルトちゃんが、バッと二人の方を向いた。
「というか、花音も? 国籍は……」
「いろいろあってね。今は向こうのやつ」
知らなかった……。妹が外国人になっているだなんて。
コバルトちゃんは立ち上がって、二人に近づく。
「私も代表入りはもう決まったようなもの。……戦う時は卑怯な手を使うからよろしく」
堂々とそんなことを言った。まぁ、今の決勝リーグでも勝ち続けているから、そうなることはほとんど決まったようなものか。
「私も卑劣なハンデスや打ち消しを使うから、恨みっこなしだね」
そうやって握手をしていた。
あんまりハンデスやパーミッションのこと卑劣って言わないでほしい。ルールに沿った正しいプレイなんだもん。
「というか、闇結天音。お前は出ないのかよ。いや、こっちとしてはその方が助かるが……」
「大会の優勝よりも大切なものを見つけたからね」
私は昔はあんなふうにこだわるあまり、大切なものをいくつも失っていた。妹も……花音も当然その一つなんだろう。
コバルトちゃんと笑顔で話している花音を見る。私の思い出の中の花音は、ずっと今にも泣き出しそうな顔だったのを覚えている。私では、あんなふうに笑顔にしてあげることはできなかった。
「お姉ちゃん!」
少しだけ、今日は少しだけわだかまりなく話せるような気がした。
きっとメンコドラゴンという愛称で親しまれたはず……。
ところでこのURLです。
https://foa.abyssgenerations.com
ジェム整理がなかったり、アビリティ使ったあとアタックできたり、マナ色の概念がなかったり、任意発動がなかったり、荒いところがいろいろありますが、遊べるくらいになったのでよろしくお願いします。
これでルールがなんとなくわかるはず。
イラストはAIで本当に適当にポン出ししたんで、お金があったら差し替えですかね。
サーバーは無料で貧弱なんで百人は入れなかったかも。もしダメなら、ソロのVSアガレスなら負荷はかからないはずなのでそっちのほうで試してみてください(ただAIが間に合ってないためVS赤単にしないとまともに戦えない)。
使用AIはGeminiとClaudeです。