整合性を取るための閑話を挟めます。
…本編はもう少々お待ちを(をい
本話は、先に出た三次キャラのヘイト要素が含まれます。
ヘイト要素が苦手な方は☆☆☆まで飛ばすことを推奨します。
それでは、どうぞ
広島・嚴島神社。
壇ノ浦異界の攻略も終わり、異界そのものも嚴島神社の近くへ移され2週間後。
本殿では呉支部の⑨ニキ(*1)と長い髪の片目を隠した女性が正座で向かい合っていた。
その長い髪の女性は黒に紫の差し色を入れた神主装束で、袴は薄藤色であった。
和装ではあるが、特撮に詳しい俺たちなら髪型ですぐわかる姿の女性である。
「■■■ネキ、本当に良いのか?」
「何を今更。私には迷いなど無い、現地の名家も私が『いつくしまさま』になることで抑えられる」
⑨ニキは最後の確認を女性に尋ねるが、女性は硬い決心、いや覚悟の目で毅然と答えた。
「―これは贖罪なのだ。たとえ、廣島に苦難が来てしまった場合は私が片付けなければならぬ。
私は大人だ。大人として未成年にはモラトリアムを謳歌してもらう」
そばには宗像三女神が見守っていたが、女性の覚悟か決まった発言に気圧されていた。
俺たち風に表現するなら、"覚悟を決めすぎた聖人"の雰囲気を女性は漂わせていた。
「呉支部は当分"赤犬爺"に仕切ってもらう。重要な最終決定は流石に回すが。
広島市内は新たに広島支部を立ち上げ、こちらで処理して呉の負担を減らす。
そもそも、ヨソモンがいい顔をして頭になって、
挙句の果てには呉のロボ部で核動力のエンジン制作(*2)ぅ…!?」
女性の顔が段々と怒りで真っ赤になっていく。⑨ニキはビビり始めた。
「将来的には必要だって、解ってますよ!?
でもねぇ、県民性解ってますか?
私は比較的寛容ですけど、現地民の半分くらいは核アレルギーみたいなもんですからね!」
女性の言う通り、広島では絶対にあの日(原爆投下の日)の話題は被爆地である故に熱心に行われる。
故に、核=原爆ではないのだが、連想的に結びついてしまい原子炉ですら嫌う住民もいる(*3)。
「幾らオカルト隠匿で一般には情報漏洩を防いでるとは言え、
呉でよそもんが原子力扱っているって広まったら、ガイアグループそのものが潰れかねない」
真っ赤になっていた女性の顔は、想像で一気にクールダウンをし、目を閉じて胃を抑える動きをした。
「対放射性封印はもちろん、早く常温核融合―フルメタのパラジウムリアクター(*4)作らんかい。
アイアンマンのアークリアクター(*5)でも良いぞ」
そう言って、女性は⑨ニキを冷たい目で睨んだ。⑨ニキはタジタジである。
「マ◯ダは
か・げ・ん・し・ろ・バカ!!!」
「…いやね、戦争を起こすわけじゃないし、トラックの可能性が―」
「車輪が前後どちらかに偏ってない、その言い訳は通じない」
女性は懐から何処かから引っ張ったであろう設計図を出した。
設計図のシャフトの位置は平等に前中後となっており、軍の戦闘車両(*7)に見えなくもなかった。
「―海自のお膝元だから兵器を作るなとは言わん。社員の地元民(*8)を刺激するようなブツはギリギリまで隠せ」
「ハイ、善処します…」
⑨ニキは女性から突っ込まれた『地元感情による懸念材料』によるクレームにしょんぼりした。
呉支部はオカルトにかかわらない場所は、地域経済もあるため地元の衣食住を利用している。
ここで悪感情を出せば隙となり、過激派メシアンの格好の攻撃材料になってしまう。
「説教はここまでだ。楽しんでこい」
「はい。広島市内をよろしくお願いします」
⑨ニキは女性に一礼すると本殿から去っていった。宗像三女神も見送るために後を追った。
(■■■…、いや柚香里)
ふわりと女性、いや柚香里の式神である一反木綿型の式神が現れた。
(モルフォ、いやお前も"館羽蒼子(たてはあおこ)"として動く時が来た)
柚香里は本殿の畳の一部を剥がした。そこには異界へ通じる穴があった。
この異界は悪魔は出現せず、住居スペースとしての空間拡張であった。
柚香里は式神・モルフォと共に穴に入る。穴の中には黒紫色の布の置かれた机と一つの棺のような箱があった。
箱を開けると、アクセントに青色の線が入った薄紫の巫女衣装に身を包んだ女性が入っていた。
その女性は銀色のボブカットで、
見た目は箱と相まってまるで死体のように血の気がなく、
組んだ手の上には同じ色の和帽子、帽子の頭頂部には七角形型グラスのメガネが置かれてあった。
柚香里が帽子とメガネを取り、組んだ手を崩して脇に添えた。組んだ手の下には黒い穴があった。
式神・モルフォはその穴めがけて入っていった。体がすべて中に入ると穴は綺麗に塞がれた。
箱に入っていた女性が生気を取り戻し、白い肌が健康的な皮膚の色に変わった。
箱に入っていたのは人間型の式神であり、一反木綿型のモルフォを入れることで魂を吹き込んだのである。
「私も■■■ネキを一度捨て、『いつくしまさま』と成ろう」
柚香里はそう漏らし、箱の中の女性に帽子とメガネを胸元において返すと、
自分もまた部屋の机にあった布を手に取った。布は顔布であり、顔布を装着して表情を隠す。
箱に入っていた女性は目を開けると、少し身を起こしメガネを掛け、帽子を持って立ち上がった。
「おはようごうざいます、『いつくしまさま』」
「おはよう、館羽蒼子。これから忙しくなるぞ」
「はい。私も帽子をつけて…では、行きましょうか」
館羽蒼子は帽子を深く被って気合を入れた。
―彼女の姿は和装ではあるが、キングオージャーのモルフォーニャであった。
…おわかりであろう。柚香里はキングオージャーのゴッカン王であるリタ・カニスカにそっくりであった。
☆☆☆
予告された終末まであと半年。嚴島神社。
拝殿時間は終わった夜半すぎ。大鳥居が見える火焼前に静かに『いつくしまさま』がいた。
そばには大きな人形と館羽蒼子がいた。館羽は人形の腰に手を回し抱きしめるように支えている。
『いつくしまさま』は部屋から大きなデビチルにいたフロスト風ヘルの人形を虫干しを兼ねて外へ出し、
ここを任された当時を思い出していた。
「終末、か。骨が折れたが、厳島ではカバーできないところは英傑モトナリのご加護でなんとか出来た」
彼女が語るのは、1ヶ月前に行われた異界攻略で英傑モトナリの試練に打ち勝ち、加護を得たのである。
幾ら、宗像三女神のご加護は広いとは言え、山間部までのカバーは難しかった。
そこで、異界を攻略し、主であろう英傑モトナリの加護で足りない箇所を守ろうとしたのである。
なお、英傑モトナリは毛利元就が元となった守護神である。
『オマエはやるべきことはやったホー』
「呉の協力体制で廣島は守ります。支部にいるみなさんを信頼してください」
前半はダミ声で人形を動かしながら喋り、後は地声で館羽が言った。
(早く帰ってくれませんかね? 空気読んでこっち来ないのは助かるんですが)
館羽はメガネを輝かせ、廊下につながる火焼前との境目の人影をチラ見していた。
「あの女子会は入っちゃまずいよなぁ…」
「空気読もう。邪魔したら殺されるかもな?」
館羽が見ていた場所には、ひと仕事終わって月を眺めて一服しようとしていたルーポオジとイタミンニキがいた。
手には新発売の
イタミンニキに至っては館羽と一瞬だけ目が会い、すぐさま目をそらした。
ルーポオジは人影程度ではっきりとは見えなかったが、イタミンニキの視線そらしで察したのであった。
ということで、『いつくしまさま』誕生秘話でした。
⑨ニキが結構悪者に書かれてますが、地元民からしたらまぁ印象が若干ねぇ。
(⑨ニキ藤原姓ですが、地元出身という描写が見受けられないので他県出身と本作では解釈)
山梨支部本部からの派遣された大幹部なんでしょうけど、
すぐに会談に対応しなかったのが、一部の権力者にとっては好感度が低くなったという。
…本作は広島支部+αがあるので、藤原僭王国の範囲は狭くなってますね。
そのかわり、広島県内の他支部を支えるために、縁のある英傑モトナリを倒しに行ったという。
GPパワーで広くなってしまった国土を考えると面積的にトントンでしょうが。
あちらに出てきた『亀山駐屯地』ですが、位置的に安佐北区になる"広島市亀山"辺りと推理してます。
あちらだと安芸太田町~石高原町から北は切り捨てた可能性大。
切り捨てた範囲にあった、マ◯ダの工場がある三次市は工場機能を呉に移転させたかも。
以下、『いつくしまさま』と館羽蒼子の解説。
コテハン:■■■ネキ、『いつくしまさま』(他称)
本名 :■■柚香里(■■■■ゆかり)
解説 :広島出身の修羅勢黒札。広島市内ではなく、山間部の出身。
キングオージャーのゴッカン国の王様、リタ・カニスカにそっくり。
名家生まれだが、厳密には遠めの分家。
大お祖母ちゃんは有名らしいのだが、一族を特定するのはご法度らしい。
大お祖母ちゃんが、ガイア連合山梨支部の噂を聞きつけ、
『ビックウェーブに乗れ』と彼女を山梨に行かせることを後押しした。
壇ノ浦異界はちょうど修行が大詰めで間に合わず。
災難や不幸に対して罪だの罰だのと自分を追い込んで奮い立たせる節があるようだが、
前世での体験に起因するらしい。
典型的な広島人らしく、熱く冷めやすいが冷たいほうが多い。
魔法が主だが、物理攻撃が苦手ではない。
異界が移されたのを機に、嚴島神社で守護者兼広島支部長として、『いつくしまさま』を襲名。
なお、式神とは別に精神的な支えとして、原作のもっふんみたいな人形として、
デビチルのヘルに似せた、"ヘルホー"なる人形に愚痴をこぼす事が多々ある。
当人はフロスト系なら亜種でもなんでも好きらしい。
『いつくしまさま』の件がなければ、フリーでフロスト集めに走ってた予定。
スキル :ブフ系全部、冷気吸収、火炎耐性(半終末前まで)、冷気を除く全属性耐性(半終末後)、
食いしばり、マハムド(ムドから進化、更に進化可)
余談 :半終末後は⑨ネキをLvでは超えている可能性あり。Lv70オーバー。
余談裏 :ブフ系得意な黒札が他者様の作品にもう一人いますが、彼女の本霊は『ヘル』(NINE以降の姿)です。
そういや、葛葉って山陰地方に名あり一族居ましたねぇ(ニヤリ
真名 :モルフォ
戸籍名 :館羽蒼子(たてはあおこ)
解説 :元々は『いつくしまさま』の式神。初期の頃に居たため、一反木綿型。
『いつくしまさま』で神社にほぼこもることから、世話人として人型ボディを追加で拝領。
ボディの容姿はリタの片腕であるモルフォーニャ。ただし、神社なので格好は和風にアレンジ
スキル :アギ系全部(半週末までは単体のみ)、マハンマ(ハマから進化、更に進化可能)、
ディア系、トラポート(壇ノ浦異界終了後)
※『いつくしまさま』を補う形で他にも習得している
余談 :リタの式神なのでやはり姿はモルフォーニャ。外への用事は彼女が出歩く
『いつくしまさま』本人が出歩く必要がある場合は、彼女が支部長代行を務める。
余談裏 :戸籍名の由来は科名の「タテハチョウ」+モルフォ蝶が殆ど青色の蝶であることから