フルアーマー女騎士   作:雷神すねこすり

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治療は二度する

 私たちは墓場を根城にしていた邪悪で強大な力を持つ不死の王と激戦を繰り広げる。

 そしてヴィーラの機転により勝機を見つけ勝つことができたが被害も少なく無かった。

 凶悪な不死の王につけられた傷を癒すため私たちは教会へと急ぐ……

 

 少しだけ盛ったけど多分大体合ってる。

 

 今はヴィーラの足が貫かれてしまったのでその怪我を教会で治療してもらっている所だ。

 教会は信仰の場であるだけで無く、病院の役割を持っている。

 その理由はやはり回復魔法を使うことのできる神官が多く所属しているからだろう。

 回復魔法では治せない怪我も中にはあるが今回の怪我は穴が空いただけなので傷の跡すら無く治すことが出来るらしい。

 墓場で会った敵も魔法を使ってたし私も肉体強化以外に何か魔法を学ぶべきだろうか。

 

「……はい、治療は終わりました。いくら回復魔法でも失った物は戻せないのでしっかり食事をして安静にしてくださいね」

 

「安静ってどれくらいの期間でどこまでなら動いて良いんだ?」

 

「そうですね、この程度の怪我なら一日もあれば完治すると思いますよ。あとは怪我した部位が足なので走らないのが理想です、ただ冒険者は走ってこそだと思うので必ずとは言いません」

 

 神官が暖かな光を手から放ちヴィーラの足を治療する。

 回復魔法をかけたらすぐ治ると思っていたのだが、話を聞いているとどうやら違うようだ。

 世の中万能な物はないということか。

 

 とにかく今日は他に依頼や調査する予定はなく、これで終わりなので問題ないだろう。

 ヴィーラのことを思えば明日も依頼を受けずに休息に当てて足の治療に専念すべきかもしれない。

 

「それで……ただの不死者には足を貫くことなどできないと思うのですが、墓地で一体何が……もしかして原因を?」

 

「ああ 不死者が大量発生している原因を見つけて対処した」

 

 墓場の中心にある貴族の墓の内部に原因があったこと、どこかに繋がる道が出来ていたことに加えてそれを実行したであろう犯人を抹殺したことを簡単に説明した。

 ちなみに犯人が中から扉を突き破り粉々に破壊して襲いかかってきて不可抗力ながらも建物をボロボロにしてしまったことについて謝罪もしておいたがそこに関しては必要経費だと割り切るようだ。

 隣で話を聞いていたヴィーラはジト目で嘘を咎めるようにこちらを見つめていたがなんのことかさっぱりわからない。

 

「大体こんな所だな、あとは建物内部にあった穴がどこに続いてるか、それと棺の中身がどこに行ったかをギルドに依頼するといいんじゃないか」

 

「なるほど、良い考えですね。原因を対処するだけでなく提案までしてくださるなんて、ありがとうございます」

 

 個人的な考えだが建物内部の穴は遠くの山の中とかに繋がっていそうだ。

 町の中では無く、山の中なら何をしてもバレずらいだろう。

 しかし棺の中身が無かったのが気になる、あそこは貴族の墓だったので貴族の遺体があるはずだが。 

 

 まあ仮に依頼が出されても受けることはないだろう。

 何故なら捜索や探索は私たち二人には向いていないと今回の依頼で感じたからだ。

 運良く建物の扉を破壊したら犯人と原因を突き止めることができた、しかし次も上手くいくとは思えない。

 以前、共に冒険する仲間として回復役や遠距離攻撃役など色々考えていたが斥候のような役割の方が必要だったかも。

 ちなみに私は狩人の技術を故郷で学んだので斥候も出来なくはない、今私が着ている鎧が無ければ。

 

 

 

 

「今回は本当にありがとうございます、おかげで忙しい業務も減りそうで助かります。また何かあった依頼させていただきますね」

 

 神官に見送られながら私たちは帰路に着く。

 相変わらず空は曇っていて太陽が見えない。

 だがあたりは暗くなっているので日が沈みかけていることは分かる。

 

 そういえばまだ月明かりに照らされた夜の町を見たことがないかも知れない。

 まあ どうせ真っ暗で何も見えないだろうし見なくても別に良いか、前世で街灯や電灯まみれで常に明るいことを知っている私からしたら今世は田舎も都会も変わらないだろう。

 夜に依頼を受けたことが無いのもこれが理由だ。

 ただ電灯などが無い分、空の星がよく見えるのが前世と比べて良い所だろう。

 

「あ そうだ、ヴィーラは怪我もあることだし先に宿で休んでてくれ。私はギルドに報告してくる」

 

「……そうだな わかった、怪我を治す為にも、お言葉に甘えてあたしはひと足先に宿に帰らせてもらうよ」

 

「おう、お疲れヴィーラ」

 

 ヴィーラには早めに休息をとって体力や怪我を治してもらうためにも先に帰ってもらおう。

 私はキングベアと一騎討ちをして勝てるぐらい強いし自分でもそれを自覚している、それでも田舎から出てきたばかりなのは変わりない。

 その点ヴィーラはいつからかは知らないがかなり多くの場数を踏んでおり戦い慣れしていることがわかる。

 熟練の戦闘技能、経験と直感から生み出される勘にはかなり助けられているのだ。

 

 そして私は不死者大量発生の原因を対処したことをギルドに報告しておこう、そうしたら多額の報酬と貢献度なんかがもらえるはずだ。

 あれ そういえばギルドで依頼を受けたっけ、思いつきで原因を解決しようと行動を始めた気がする。

 もしかしてギルドを介して依頼を受けないと報酬などを受け取れないのだろうか。

 ……なんか嫌な汗が出てきた。

 

 

 

 休日だと思っていたら平日だったことに昼頃に気づいた時のような緊張を感じながらギルドへ一人で向かう。

 周りには人影が見えない、風の音ぐらいしか聞こえず静寂に満ちている。

 この道はまったく人が居ないようだ。

 

 ふと前に人影が見える。

 道幅は広いので肩が当たる心配はないだろう。

 しかしこちらを視認したのか人影は立ち止まったのですれ違う心配もいらない。

 

「貴様が居なければ計画は順調に進んだというのに……余計なことをしてくれたな冒険者」

 

「……誰だお前」

 

「本来、順調に計画が進めば後二回程度の実験で不死者の軍団が完成出来たというのに……忌々しい人間どもめ」

 

 道の真ん中で立ち止まったかと思うと不審者はいきなり物騒なことを言い始めた。

 な なんだ? 恨みを買うようなことをした心当たりは無いぞ? 

 そして誰か確認しようにも暗くて顔がよく見えない。

 

「貴様が排除した不死の王はあれでも良い駒だった……奴はあの墓に埋葬されていた高名な貴族だったが、名が忘れ去られていると知ると怒るような矮小な器の持ち主だった」

 

 ああ こいつどう考えても黒幕か何かだ。

 わざわざ説明してくれたおかげで分かった。

 しかも長々と何か喋り始めた、ここまで悪役らしいのは尊敬する。

 

「そう考えると別にそこまで良い駒では無かったな……まあいい、代わりに貴様を死者にして使役すれば良い駒になりそうだ」

 

 圧倒的不審者は腰に佩いていた細くて長い剣を鞘から解き放つ。

 レイピアだろうか? 鍔の部分は丸く手を覆っており豪華なデザインが見て取れる。

 月明かりが差し込み不審者の顔を照らす。

 

「お お前は!」

 

 照らされた顔は一度しか見たことが無い。

 しかしとても印象深く、よく覚えている顔だった。

 

「お前はブラック教会に勤めていたカウロ神父! 何故こんなことを!?」

 

 そう 謎の不審者はあのカウロ神父だったのだ。

 以前見た時よりも肌が白く、とてもじゃ無いが健康そうには見えない。

 もしかして神官は休んでいると言っていたが、実際は休まずに働き続けていたというのか。

 

「何故?……ククク 人間を、生命を滅ぼすのに理由があるのかね」

 

 なんてことだ……カウロ神父は過労のあまり頭がおかしくなってしまった。

 

 

 

 カウロ神父が一人で膨大な数の業務を回し続けたせいで正気じゃなくなっている。

 業務を少しでも楽にする為に原因を解決したが一歩遅かったということか。

 くそっ もっと早く解決できていればこんなことにはならなかったのに。

 

「貴様はここで日の目を見ずに朽ちるのだッ」

 

 突如カウロ神父がすごい速さで細剣を構えながら突撃してくる。

 ただ突撃するだけでなく、なんらかの技術を混ぜているのかその姿を目で追うことができない。

 

「……ッ」

 

 瞬く間に全身を斬りつけられる。

 本来なら今の一撃で四肢は細切れになり、首が地面に落ちることだろう。

 しかしその全ての斬撃は鎧により防がれる。

 

「おのれ……邪魔な鎧ごと斬り刻んでやるわッ」

 

 今の一撃に手応えがない事に気づいたのか今度は連続で四方八方から斬りつけられた。

 反撃に拳を振りかぶるも身体のあちこちから鉄を削るような音がするだけで捉えることができない。

 腰に佩いたマチェットを横に薙ぐ、足を払う、体当たりをする。

 しかしどれも空振るだけで状況は変わらない。

 

「貴様の鎧硬すぎないか? 何度斬りつけても傷一つ付きそうに無いんだがッ」

 

 どうやら錆か何かかが、もしくは相手の剣が削れる音だったらしい。

 我ながらこの鎧硬すぎないか?

 流石は鍛えてない一般人が着たら圧死する鎧だ。

 

 しかし相手の攻撃が効かなくてもこちらの攻撃も当たる気配がない。

 このままでは千日手で決着がつかないだろう。

 

「なら降参したらどうだ、今からでも過労で判断を間違えた事にしてもいいぞ」

 

「意味の分からぬことをほざくなッ!」

 

 神父は激昂し再び攻撃を再開する。

 すると今まで全ての斬撃が鎧に当たっていたが肘や膝などの関節部に掠り始めた。

 

「……痛っ」

 

「ああ……そうだった 関節はどうやっても鎧の構造上、守れないんだったな……ククク」

 

 斬撃主体の攻撃から突き主体の攻撃に変化する。

 関節を守ろうと身体を動かすも間に合わない。

 

 全身を突き刺されハリネズミの気分になってきた。

 血も少なくない量が流れていく、このままでは危険が危ない。

 貧血になりかけたお陰か冴えた一つのアイディアを思いつく。

 

「ククク……手も足も出ないとはこのことだなァッ!」

 

 気分が昂揚し狙いが甘くなっているのか、私の目が慣れてきたのかは分からない。

 刺突のタイミングがだんだんわかるようになってきている。

 

「ふん!」

 

「なにッ!?」

 

 剣が刺さると同時に、前に歩み出ることにより剣を深く刺す。

 そしてそれを掴むことで容易には抜けなくする。

 流石に神父は予想外だったのか目を広げ一瞬固まった。

 

「おらあああッ!」

 

 その一瞬の隙に顔面に向かって拳を繰り出す。

 私に刺さった細剣を捨てて離れる判断が出来なかった神父は首から上が無くなった。

 

 糸が切れたかの様に地面に倒れ伏す。

 赤い血は一滴も流れず、まるで元から死んでいたかの様だ。

 とにかく、真の意味で原因は全て潰せただろう。

 

 

 

 針山のように刺されまくったせいで全身が痛い、その上流血したせいで全身真っ赤に染まっている。

 とてもじゃ無いがギルドに行くことはできないので治療してもらおう。

 その為にもきた道を戻り教会へ向かった。

 

「怪我をしたので……治療してください……」

 

「ええ!? 大丈夫ですか!? すぐに回復魔法をかけます!」

 

 幸い教会の扉を叩けば直ぐに神官が出てきたので素早く治療を受けることができた。

 もしかして二十四時間やっているのだろうか?

 そんなことをぼんやり考えながら治療を受ける。

 

「どうして、何をしたらこんな傷だらけになったんですか!」

 

「……依頼で、怪我をしたからですね」

 

 嘘は言ってない、不死者大量発生の黒幕と戦ったのだ、依頼の延長と言えるだろう。

 正直に言わなかったのは誤解されないよう説明するのがかなり難しいからでは無い。

 面倒くさいわけでもない、ええ 決して面倒くさくも難しくもありませんとも。

 

 大量の血を流し、関節がズタズタな私は一週間ほど休息を取らなければならないらしい。

 今回の戦いでまだまだ力不足を身をもって感じたのでちょうどいい機会だ。

 ヴィーラとも相談してより強くなってやろうではないか。

 しかし何から始めればいいのか分からない、その事に関しても相談してみようか。

 そんなトレーニング計画を頭の中で考えているうちに教会の医療ベットの上で私は気絶するように眠ってしまった。

 




戦いの描写が長引くと上手く書けないのもあってだれちゃう
そして主人公殴ってばっかだな
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