フルアーマー女騎士   作:雷神すねこすり

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闘技大会

 人気があり有名な行事というものは沢山あり一番と言えるものは中々決まらない。

 だが この王都で一番有名で人気のある行事は闘技大会が満場一致で決まることだろう。

 

 王国に存在する沢山の武芸者が多くの都市や街からこの学園の闘技大会に参加するため集まってくるのだ。

 そのため闘技大会は王都だけでは無く王国の代表的な行事と言える。

 正直学園の行事としてやる規模で無いとは思うけど。

 

 闘技大会に参加する理由は人それぞれある。

 優勝賞金が目当ての者や将来有望な人材の発掘を目的に観に来る者。

 単純に強者と戦いたい戦闘狂や戦う技術を磨く者など。

 

 それ以外にも参加し上位に名を連ねるだけでも注目を浴び、名声を得ることも出来るだろう。

 名声を得るために武芸者や武術家だけで無く、冒険者やなんと王族まで参加することもあるらしい。

 

 これほど有名な学園行事の闘技大会の開催時期が迫ってきているのだ。

 おかげで授業内容や訓練内容は大会に関することが中心となっている。

 さらには学園全体の雰囲気がどこか浮ついていて騒がしい。

 

「オイ 氷女、大会で一位を獲るのはこの俺だ。テメェのその面が泣き崩れるのが今からでも楽しみだぜ」

 

「…………そうね、私も貴方が初戦敗退で哀れな姿を晒す様子が想像出来て楽しみだわ」

 

「テメェ……言ったな?」

 

 クラスの問題児達もどこか興奮しているようで喧嘩が頻発していた。

 ……いや、いつも通りかもしれん。

 

 クラスの中立派を率いる勇者候補のゼロもいつも通り私を観察している。

 あまりにも鬱陶しいので私の派閥の人たちにお願いして私の周りを出来る限り囲み視線を遮るようにした。

 素直に何故私を観ているのか聞いても良いのだが、私の勘から碌な答えは返ってこなそうだと思ったので関わらないようにしている。

 

 ちなみに勇者候補について情報通のイリーゼに聞いてみたのだが。

 あまり詳しい情報はなく、なんか凄いみたいな感じで皆は認識しているらしい。

 国が勇者候補を決めていて国から支援を受けていることと、英雄と呼ばれるほど強い人間が国では勇者と呼ばれることがわかった。

 簡単に言うと勇者候補は超強くなる見込みアリの印みたいなものだろう。

 

 

 

 闘技大会は王国の遠くからも参加者が来る大行事な為学園も準備を入念に行う。

 それに従い授業等も少なくなり中には闘技大会が終わるまでしない授業も出てきた。

 なので闘技大会が始まるまでかなり暇だったりする。

 

 学生の中で一学年は必ず闘技大会に参加しなければならないという決まりがある。

 闘技大会は外部の実力者も集めるわけだが、学生と外部の人で別の対戦表で試合をするなんてことは無い。

 つまり対戦相手によっては初戦で手も足も出ない実力差で負けることもあるということだ。

 絶対闘技大会の仕組みおかしいよ。

 

「アルトリア 久しぶりだな」

 

 暇なので一人で王都をぶらぶらと歩いていると懐かしい声が聞こえた。

 

「ん? おお、ヴィーラか。元気だったか?」

 

「そっちも元気そうで何より、せっかくだから少し話そう。あそこの店はどうだ」

 

 学園に入学する手伝いをしてくれた冒険者仲間のヴィーラだ。

 いつも使っていた戦鎚や装備はしておらずかなりラフな格好をしている。

 

 私は学園の外なので制服は着ることができない。

 唯一私服でもある全身鎧を着ているので見つけやすかったことだろう。

 流石に鎧以外の私服買うべきだよな……そもそも鎧は服では無いんだった……

 

 今更ながら私服が一つも無いことに内心衝撃を受けつつも適当に近くの店に入る。

 

「……ヴィーラは王都で依頼を受けてるんだよな? なんか最近変わった出来事とかあったか?」

 

「んー これと言って特に無いな。依頼も闘技大会が近いからあんまり怪我したく無いって理由で採取系しか受けてないしな。学園の方で進展はあったか?」

 

「剣術のことか、それならかなりモノにできたぞ。後は面白い戦い方をする奴がいてそいつを真似してるな」

 

「つまりより強くなったってことか。闘技大会で戦う時が楽しみになってきたよ」

 

 別れて行動してからしばらく経っているので近況報告をする。

 大事件が起きたり偉業を成し遂げたりは特にしていないようだ。

 私が学園に入学した理由についても闘技大会で戦う時が楽しみであること以外に特別何か思うわけでは無いようだ。

 

「…………待て、もしかしてヴィーラも闘技大会に出場するのか?」

 

「ああ そのつもりだ、出場して損は無いからな。対戦できるかは知らんがもしその時はよろしく頼む」

 

 ああ……聞き間違えでは無かった。

 共に冒険してきたからこそわかるがヴィーラが繰り出す戦鎚はかなり脅威だしヴィーラ自身もかなり強い。

 正直好んで対戦したくは無い。

 

「まあ その時は全力で行かせてもらおう」

 

「おう! 楽しみにしてるぜ」

 

 好んで対戦したくは無いがもしかち合ったら全力で楽しませてもらおう。

 案外私も戦闘狂の気質があるのかもしれないな。

 

「んじゃ 次会うのは闘技大会だな」

 

「闘技大会は共に頑張ろう」

 

「もちろんだ」

 

 

 

 互いにちょっとした檄を飛ばして再び別れた。

 私は学園で過ごす中で以前よりかなり強くなれたと実感している。

 だがヴィーラもまた強くなっていると思うと万が一対戦することになった場合には簡単には勝てないだろう。

 だからこそ学園で習得しつつある私の戦闘スタイルを完成させなければ。

 

 奇襲するような戦い方を学べばこれから遭遇するであろう格上との戦いも有利になるかもしれない。

 そう考えると奇襲する戦い方をする学生か教師を見つけなければならないな。

 色々と頭の中でアイデアを考えていると再び声をかけられる。

 

「よお! 久しぶりだな、元気にしてたか?」

 

 今度は冒険者のレーヴェ先輩に話しかけられた。

 基本的に宿場町で活動していると聞いていたし本人もそう言っていたはずだが何故王都に?

 しかし今日は知り合いによく会う日だな、連続で会うとは。

 

「久しぶりです。先輩は何故王都に?」

 

「ふふん それはな。俺も闘技大会に出るからさ!」

 

 な なんだってー!

 まあ冒険者なら出ないほうが珍しいか。

 

「なるほど レーヴェ先輩も出るんですね。もし対戦相手になったよろしくお願いしますね」

 

「あんまり驚かないのな、まあ手加減はしないぜ。……ところで闘技大会に他に参加する人が誰か知ってるか?」

 

「いえ 王国の各地から強者が集まるとは聞いてますが、具体的に誰が参加するかは知りませんね」

 

「おお! そうかそうか、ならせっかくだし俺が教えてやろう!」

 

 知らないと答えたのに気を良くしたのか大袈裟に尊大な態度を取りながら参加者について丁寧に教えてくれた。

 と言ってもレーヴェ先輩が知っているのは二つな持ちの冒険者だけらしい。

 

 鉄下級に私の二つ名鋼鉄とヴィーラの二つ名である戦鉄。

 

 鉄中級に鉄壁と聖鉄。

 

 鉄上級にレーヴェ先輩の二つ名の黒鉄。

 

 鉄のさらに上の銀上級に白銀が今回の闘技大会に参加するらしい。

 鉄級の上にある銀級は指名依頼などが入るようになるランクである。

 言うなれば冒険者の中でも上澄みと言えるだろう。

 

「さらに今回はあの“黄金”が参加こそしないが観に来るらしいんだ。これはもう闘技大会に参加しない方が失礼ってやつよ!」

 

 珍しくレーヴェ先輩が興奮しながら教えてくれた黄金は金上級の冒険者である。

 金級は銀級の上に位置するのだが、銀級から金級に昇級するには基本的に国王の推薦が必要となるのだ。

 その為どんなに優れている冒険者でも大抵は銀級で生涯を終えてしまうので金級、それも金上級はまさしく雲の上の存在と言えるだろう。

 

「はぁー そんなに闘技大会は注目されているんですね。少しどころかかなり規模が大きいですね」

 

「だろう? もし目が留まれば知名度は鰻登りって訳で今回の闘技大会は参加者も多いんだ」

 

「なら先輩は知名度を目的に参加するんですか?」

 

「いや 流石にそこまで自惚れてはない。自分より強い相手と戦う事で強くなることが目的だな」

 

 レーヴェ先輩の大会に出場する理由を聞いた後はヴィーラと話した時と同じように近況報告をしたりした。

 何気に昇級試験の時以外模擬戦で勝ったことがないので先輩もまた対戦相手になった際は強敵となるだろう。

 共に闘技大会に出る仲間、そして敵として先ほどと同じように檄を飛ばしてから別れる。

 

 

 

 二度も友人と遭遇した上に中々良い情報もたくさん得ることが出来たので学園の自分の寮へと帰る。

 二度ある事は三度あると言うように寮に帰る途中でも友人に遭遇した。

 学園内なので知り合いと遭遇することは別に珍しい事では無い、それでもそう考えてしまったのはおかしな事ではないだろう。

 

「おやアルトリア様じゃないですか、珍しいですね」

 

「お! アルトリアだー!」

 

 イリーゼとフェルネだ。

 二人で一緒の事はかなり珍しい。

 何か用事があったのだろうか?

 

「今から私は寮に帰るところだったのだが、何か用事があるのか?」

 

「いいえ 特にありませんので共に帰ってもよろしいですか?」

 

「ついて行くぞ!」

 

「ああ 一緒に帰ろうか」

 

 イリーゼとフェルネが合流していつもの三人組になりながら寮へ向かう。

 その間、私が先ほど知った情報などを伝えたり、逆に二人から学園内の情報などを話題にした。

 しかし二人は一体どこから学園内の細かい情報を得ているのだろう?

 こないだは教師のカツラが新しいものになったことや、クラス内のある学生が太り気味なことまで知っていたのだ。

 

 楽しく話しているうちに貴族寮と平民寮へ行く別れ道に着く。

 ここまで仲良く話しているが貴族と平民なのでここで二手に別れることになる。

 私の派閥見ていると感覚が麻痺しているが歪み合いや嫉妬などがないのはこの時代ではかなり異常な光景と言えるだろう。

 だがまあ だからと言って何かする訳でも不都合がある訳でもないので特に何の問題もないのだが。

 

「ここでさようならですフェルネさん。闘技大会に向けてこれからも頑張りましょうね」

 

「また明日もよろしく」

 

「おう! さいならー!」

 

 それぞれの帰路に着く。

 闘技大会は私がどれほど強くなれたか知るチャンスだ。

 全力で挑み、一位優勝を目指して頑張るとしよう。




なんかダイジェストな感じするけど
長々と同じ事書くよりはいいよねって思ってる
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