【▼・ᴥ・▼】子犬に転生したのでフリーレンに命の儚さを教えることにする 作:ニヒツ
この物語はフィクションです。
実在の猫や犬などとは一切関係ありません。
恋愛経験もありません。
吾輩は犬である。名前はフランメ。
現在1つ問題を抱えている。
弟子ができたのだ。
ただの弟子であれば問題はない。
犬の世話なんぞやったことはないが、妹弟猫の世話はしていたからその応用でなんとかなる。
しかし、『すんごい
「どうしたものか…」
「先生、飯取ってきた褒めて」
ゴロゴロ
暑苦しい。もうちょっと離れろ。
こいつとの出会いは、ヒンフリの助力によって吾輩が『
吾輩は日課の周辺警備を行うため、森へ出かけていた。
あたり一面まっ白な景色はまるで別世界に来た気分だった。
景色だけではない。
普段嗅いでいる土の匂いや木の匂いが遠く感じ、ほとんど雪の匂いしかしない。
これでは吾輩の
覚え直しか…。
目印になりそうな箇所へマーキングを付け直し、吾輩は森の奥へ進んだ。
この時の吾輩は雪と森を侮っていた。
天候が悪くなり、再び雪が降り出す。
あたりは知らない景色ばかり。
雪景色に惑わされ、縄張りの外に出てきてしまったらしい。
このままではヒンフリの元へ帰れない。
それどころかもう二度と会えないかもしれない。
吾輩は身体を震わせた。
寒いわけではない。
またひとりぼっちになってしまう。
そんなのは嫌だ。これは孤独を嫌う吾輩の魂の震えだった。
吾輩は必死にマーキング地点を探す。
しかし、見つからない。
せめて吹雪を凌げる場所さえあれば…
その時、吾輩はとある匂いを嗅ぎつけた。
血の匂いだ。
……。
あった。
吹雪の中、巨大な動物が横たわっていた。
呼吸音はしない。既に息絶えているのだろう。
あたりに戦いの後は残っていない。
しかし、その後ろに血の跡が続いている。
どうやらこの生物は、敵を退けた後に巣に戻ろうとして力尽きたようだ。
迷っている暇はない。
吾輩はすかさずその生き物の
吾輩は知っている。
この生物と戦っていた生き物が追ってくるかもしれない。
こんな巨体を仕留めた生き物だ。
吾輩でも苦戦するだろ。
しかし、それでもこの寒さはたまらん。なんとか風を凌がねば吾輩が死んでしまう。
決死の覚悟で潜り込んだ巨大生物の腹の下はまだ暖かかった。
吾輩は程よい冷たさと温かさに挟まれて眠りに落ちた。
キュンキュン
うるさい。
キュンキュンキュン
うるさいぞ。ヒンフリ。
キューン
うがぁ、寝相をなんとかしろといつも言ってるだろうが!
吾輩は耳元でキュンキュンうるさい声に飛び起きる。
そこにヒンフリの姿はなかった。
当然である。
吾輩は吹雪のせいで家に帰れなかった。
でもなんとか一夜を乗り越えられたようだ。
吹雪も止んでいる。
帰ろう。ヒンフリの待つ家へ。
キュンキュン
その前にこいつをなんとかしないとな。
吾輩の腕を噛み噛みしながら吠えるちっこいワンコロが1匹。
どうやらこの大きな生物の幼体らしい。
吾輩は悩んだ。
一応この子の親は吾輩の命の恩人だ。
だから、少しくらいは面倒を見てやってもいい。
だが、ヒンフリに襲いかからないか心配だ。
……閃いた。
この辺りにセーフハウスを作ろう。
そうすれば毎度ヒンフリの元に帰らずとも縄張り拡大ができる。
ヒンフリの元には定期的に帰れば大丈夫だろう。
ヒンフリの家を縄張りで囲めば安全確保もできる。
そのためにも、この辺りの敵を叩きのめし、全て吾輩の配下に収めよう。
吾輩の王国を築き、ゆくゆくはあの黄金の化け物に復讐を果たすのだ!!
その後、吾輩は即断即決。
このキュンキュン鳴く子犬を『二代目ユキ』と名付け、密かに弟子として育て始めた。
そして、近場の洞窟を拠点に第二ヒンフリ村を作成し、周辺に住むデカい犬や猫を全て下して王国を作り上げた。
後から聞いた話によると、一番弟子である『ユキ』はこの辺り一体を縄張りとしていた主の子供であり、吾輩はその子を育て上げたことでこの国の正統後継者となったらしい。
頭の良さそうな老犬が教えてくれた。
でもそんなことはどうでも良い。
このヒンフリ王国はヒンフリが平和に暮らせるために作った王国。
争いは全て弾圧し、余所者は全て排除する。
吾輩の力にひれ伏すがいい。フハハハハハ。
という感じの遊びを新しくできた森の仲間たちとワイワイやりながら吾輩は白い季節を楽しく過ごしたのであった。
でもやっぱり、ヒンフリに撫でてもらう方がいいなぁ。
そろそろ王国ごっこも飽きたので、弟子に譲ることにした。
ワンワン。
楽しかった。
私は『ユキ』。
先生にもらった私だけの大切な名前。
そして、この地『ヒンフリ王国』女王の名だ。
今日、先生が旅立った。
重要な使命のためだ。
好きだった。
親であり、兄であり、先生であり、大好きな人だった。
私たち雪の一族は魔物ではない。
妖獣と呼ばれる動物の一種だ。
無闇に人を襲うものではない。
森の外からやってくる害意振り撒く厄災の魔物たちと長年戦い続け、この森を守ってきた。
母はここ100年で稀に見る魔物の大規模スタンピードにより、力及ばず討死した。
その時の私はまだ幼く、右も左も分からない子犬同然の存在だった。
それを救い、一人前になるまで守ってくれたのが先生だった。
先生はすごい。
なんでも知っている。
先生はすごい。
どんな強大な敵にも戦い全て打ち倒した。
先生はすごい。
狼も獅子も犬も猫も色々な種族の動物に共感し、彼らに寄り添い、慕われていた。
毎年起こる冬の食料問題。
魔族や魔物のスタンピード。
種族間の小競り合い。
人類との縄張り争い。
全て解決してしまった。
そして、それら全てを終え、この地を平定した後、彼は去っていった。
この森の最深部に住む『黄金の魔女』と呼ばれる禁忌の存在を鎮めるために。
彼は最後にこう残した。
「吾輩は飽きたのでしばらくあの家でゆっくりしてくる。あの家に危険及ばないようにしてくれ。後は好きにしていいぞ」
これはつまり、『この地は平和にした。後は魔女の封印に専念するだけだ。後のことは任せた。愛しき我が弟子ユキよ』ということになる。
先生の背中はいつも勉強になる。
彼の献身に報いるべく、私たちは彼の残した国を紡いでいこう。
これからもずっと。
先生の意思と共に。
だから、封印から抜け出して顔を見せにきてくれる先生にたまに甘えるのは許して欲しい。
ゴロゴロ
■ 著者ニヒツのつぶやき
なんとまだ続くことになった本作。
今度は編集さんから『ラブロマンス』を入れろと要望があった。
犬の…ラブロマンス…?
俺は
恋愛敗者の俺にそれを求めるのか…良い機会なので、ヒンメルとフリーレンにインタビューでもしようか。ハイターはダメそうだが、アイゼン師匠からは既婚だし面白い話が聞けるかもしれない。
編集さんが昔語りを始めたが『隠密魔法』で撤退することにする。
【編集さんより】
9話作成のため、『 お気に入り 』『 評価 』『 感想 』のご支援をお願いいたします。
■ 著者ニヒツ
メイン作品『シュラハトくん見逃して』の登場人物。
フリーレン達にラブロマンスのインタビューをしてみたが、ことごとく参考にならなかった哀れな人。
恋したことありますか?
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私にはわからない…
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もう満足した(続きの話はなくても良いよ)