暗き月の王、狭間の地より来たり 作:Crimson Wizard
ちなみに他作品全然完結出来てないので続くかは未定です。好評だったら書きます(承認欲求モンスター)
『おい、起きろ。……何時まで寝ている我が王よ』
……ラニの声
脳内に直接響く、聞き馴染んだ伴侶の声で私は目覚める。
「……何処だ?ここは」
私は確か……少し仮眠をとっていた筈だ。冷たい夜の律……それを狭間の地から遠ざける。その実現の為に色々と準備をしていた段階だったのだ。
狭間の地にてやり残した事がないか等の確認、これは私の我儘だったがラニは待ってくれた。
そして律についてや、魂の循環等といった知識をラニに教わっている内に、普段使わない頭を使って疲れてしまったのだ。そして、少し仮眠をとった。
……それが気付いたら何故この様な見知らぬ地に居るのだろうか。まず間違いなく狭間の地ではない、そして影の地にもこの様な森林は無かったはずだ。
『起きたか、我が王よ』
「ラニ?何処にいるの?」
『……軽く説明しておこう。まず、お前が寝ている間に、私の律を侵すモノが現れた。恐らく外なる神どもの仕業だろう。……全く、忌々しい』
「大いなる意志の可能性は?」
『それは無い……因果は既に断ち切った。他ならぬお前の協力もあってな。今更私を追うことはしないだろう。』
まあ、外なる神といえど直接手出しをしてくる可能性は低い。大いなる意志がエルデの獣を、アステールを、二本指を使役していたように、
単に外なる神とは言っても、それは複数存在する。私の知る限りでも、まず腐敗、そして死、更に狂い火の大元である神性が居るはずだ。
それに血鬼達の崇拝していた真実の母とやらも……
『律を侵すと言っても、律には直接干渉出来ないので問題は無い。……たとえ神であろうとな。』
「で、私とラニがここに居る原因は分かる?」
『……私がこの人形の身体故、休息を挟まねばならん事は知っているだろう』
「つまり?」
『私も気が付いたらここに居た』
……結局原因は何一つ解明不可能と。だが、別々の地に飛ばされるよりは断然いい。
「ラニ、周辺には何がある?」
『……何も。ただの平原だ』
「じゃあラニ、準備が整うまで休んでていいよ。ラニを迎える準備が出来たら、私から声を掛けるから。」
『そうか……では、任せたぞ我が王よ。どれ、私の祝福を作り出す術だけ授けてやる。』
気が付くと、新たに使える魔術が増えている。ラニの言う祝福を作り出す術だろう。……これで、この地でも休息がとれる。
「ん、ありがと。」
『ではな、我が王よ。健闘を祈る』
そうして、ラニとの繋がりが消える感覚があった。
「さて……ではまず周辺を散策するとしよう」
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私はツヴァイヘンダーを薙ぎ払い小さな人型の怪物を斬り捨てる
「……数は多いが、弱いな」
あれから、まず会話の通じる相手、そして集落を探して歩き回っているがこの様な亜人擬きとしか遭遇しない
そしてこの亜人擬きよりも三回り以上体格の大きい棍棒を担いだ亜人擬きも居たが、此方も大して強くなかった
狭間の地の怪物共がおかしかったのだろうか。というか、この亜人擬きは何かを喋っているようだが、何を言っているのか全く分からない。
いきなり襲いかかって来たので殺したが、仮にこれがこの地の標準言語だった場合、私は誰ともコミュニケーションを取れないという事になる。
「……困ったな、それに視界が悪過ぎる。ここら一帯を焼き払うか?」
いや、流石にまだやめておくか。
とりあえず、私は【坩堝の諸相・翼】を発現させ、木々の上から集落がないか確認してみる。
「ん?」
少し遠いが、城塞があるな。……都市か?ひとまず、彼処を目指すとしよう。多少魔力の消費が気になるが、このまま飛んでいくか。
「いや……流石に目立ち過ぎるな」
ここは狭間の地とは違う。私の勝手な行動でラニに迷惑を掛ける訳にはいかない。
まず、ラニを呼ぶ為には何処か屋敷でも借りる必要がある。……それには先立つものが必要だ、この地ではこの有り余るルーンも使えまい。
「装備も見直した方がいいか。……これでは目立ち過ぎる。」
私は坩堝装備一式からレダの鎧と誓約騎士一式に変更する。……この鎧はミケラに仕える騎士の装備なのでラニがあまりいい顔をしないのだが。
背に腹はかえられない。まあこれでも目立つ場合は諦めるしかない。……この地の標準的な装備が分からない以上、仕方がない。
私は再び【坩堝の諸相・翼】を発現させ、城塞の近くまで飛行する。ある程度近付くと関門前に人の行列が見えた。……検問所か
生憎だが、身分を証明する物など持っていない。……隠れて通るしかないか
私は【見えざる姿】【暗殺の作法】と併用して関門を通り抜けた
関門前の兵士達の言語を聞く限り、話は通じるようだ。……だが、流石に字は読めないか。
私は宿屋らしき建物の看板を見るが、何を書いてあるのか全く分からなかった。これも、ある程度落ち着いたら学ぶ必要があるな。
兎にも角にも、まずは先立つものが必要だ。手っ取り早く稼ぐ手段を考えよう。
「……すまない、先程ここに来たばかりなのだが何か仕事はないだろうか?この辺に斡旋所があったりはしないか?」
私は通りすがりの商人に声を掛ける。
「ん? 他国の騎士様が何の用だい?その鎧にその細剣……戦えるなら冒険者組合へ行きな。それが一番手っ取り早い。」
「そうか、感謝する。」
冒険者組合……組合か。字が読めないのでどの建物なのか全く分からんな。場所まで聞いておくんだった。
「ん?」
やはり私の格好は少し浮いているな。まあ今更だ、仕方がない。それに、剣や弓を背負っている人間が多く出入りする建物を見つけた。
恐らくあれが冒険者組合だろう。
受付は……あそこか。
「すまない、依頼を受けたいのだが……」
受付嬢は私の首辺りを見てため息を吐いた。
「はぁ……冒険者登録はされてますか?」
「ん?登録が必要なのか?」
「登録は隣の受付でやってますので、まず登録からお願いします。」
それはそうか。身元不明の人間に仕事を任せる筈もない。
「登録したいのだが。」
「はい、では此方の書類に記入をお願いします。」
……字が読めないんだった。
「代筆は、いくら掛かる?」
「代筆でしたら……はぁ。いいですよ、今回だけタダで。」
「すまない、助かる。」
「まずお名前は?」
……何と名乗ろう。いや、別に偽名を使う必要もないか?
「シルヴィアだ。」
「はい、シルヴィア……と。次、武器は何を使われますか?」
……ある程度決めておいた方がいいのだろうな。まあ、この装備ならレディソード辺りにしておくか。
「軽大剣……まあ……これだ。」
「んー、直剣、よりは長い……ですけどレイピア程細くも無いですね。まあそのままで良いか。」
……私が言うのもおかしな話だが、この受付嬢かなり適当だな。
「はい。では一応登録完了です。これが
カッパー……まあ一番下のランクなのだろうが。
「一番上のランクは何だ?」
「アダマンタイトです。……まあ気にするだけ無駄ですよ。アダマンタイト級冒険者なんて皆化け物ですから。」
……果たしてそれは受付嬢がしていい発言なのだろうか。
「まあ、詳しいランクなんかはそのうち分かりますよ。
ひとまず、これで一応依頼は受けられますので、もし字が読めなければ私が良さげな依頼を探してきましょうか?」
「ああ、頼む。」
受付嬢は奥に行って何やら用紙を何枚か持って来た。
「まあ、
ゴブリン退治と、……そうだ!ここにランクが定まってない依頼があるんですが、まあ盗賊退治です。腕に覚えがあるなら受けてみますか?」
「……そうだな。ではそれで。」
「はい。では、これで受注完了です。これが盗賊のアジトの地図です。依頼が終わったら返してくださいねー。まあ返さなくてもいいんですけど。」
「ああ。ではすぐ向かうとしよう。」
そうして、組合を出てすぐから誰かに付けられている気配がした。私は誘い出す様に路地裏へと入る。……三人か。
「……何か用か」
「いやぁ……アンタ、この辺の出身じゃねぇだろ?代筆頼んでたしな。……その装備一式置いていきな。大人しく従えば悪い様にはしねぇ。」
……ただの追い剥ぎか。私も追い剥ぎ紛いの行為は数え切れぬ程して来たが、大抵の場合相手は殆ど理性残ってなかったしな。
まあ、例外もあるが。
「貴公ら、今すぐ所持金全てを置いて去れ。従うのならば悪い様にはしない。」
「チッ!もういい!やるぞ!」
先頭の男が剣を抜いて斬りかかって来るが、私は軽く横に逸れて斬撃を躱すとすれ違いざまに男の顎に掌底を入れる。
……まずは一人。
「クソがっ!大人しく死ねっ!」
今度は残った二人同時に斬りかかって来る。私は左側の男の脛に左足で前蹴りを入れると男は堪らず膝を着く。
もう一人の男がそっちに気を取られた隙に男の頭上から拳を叩きつける。男は気絶して倒れ伏した。
私はまだ意識のある膝を着いている男の頭を踏みつけると三人の懐から布袋を取り出す。……そうか、通貨の単位も分からない。
まあ、小遣い程度にはなるだろう。
「さて、盗賊のアジトは……」
私は初の依頼を遂行すべく受付嬢から受け取った地図を開くのだった。
あせんちゅは今後、武技の習得を
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する
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しない