暗き月の王、狭間の地より来たり 作:Crimson Wizard
冒険者か、はたまた衛兵の誰かがその『絶望』を口にした。
「……な、なんだアレは、」
皆が同じ感想を持っただろう
彼ら中級までの冒険者やただの衛兵に自身と相手の技量の差を正確に推し量る程の能力を持つ者はいない。
だが、そんな彼らでも……いや、この場にいる誰もが理解していた。
”アレ”は、アダマンタイト級の冒険者達ですら……いや、そもそも人類に太刀打ち出来る相手では無いと。
見た目のおぞましさは無論のこと、その溢れ出る殺気に鳥肌が立ち、生存本能を刺激される。
今すぐこの場から逃げなければ、と誰もがそう考える。……だが、誰一人として行動に移せる者は居なかった。
この場にいる者達は全員、ここから一歩でも動いた瞬間、自らの首と胴体が泣き別れる瞬間を幻視した。
私は「レディソード」をルーンに変換して仕舞うと、「レダの剣」を両手に取る。今回は二刀流だ。
「……では、私から行かせてもらおう。」
手始めに前列の
だが、奴らは悍ましい咆哮を上げると、首の無い肉体のままこちらへと向かってくる。
私はすれ違いざまに一体ずつ盾ごと胴体を貫き、死の騎士達はそのまま塵となり消滅した。
思ったよりも柔らかい……いや、首を落とせば致命傷なのは変わらないのか?アンデッドとはいえ、首を落とされるのはダメージが大きいのか?
まあ、楽に殺せるならば特に問題は無い。が、流石にいきなり二体は不味かったのか、アインズが前に出て鍔迫り合いを始める。
裏で何を指示したのかは知らないが、先程までは襲って来なかった騎兵も纏めてアインズへと襲いかかった。
その様に民衆が動揺し、再び絶望の表情を浮かべるが……
「うぉおおお!」
奴は両の手のグレートソードを振り回し、
私はそのまま弾き飛ばされた死の騎士へと追撃し、その首を叩き落とす。既にダメージが蓄積していたのか、死の騎士は首を落とすだけで消滅した。
「さて、これで後は……騎兵だけかな?」
アインズがそう言うと、冒険者達の士気が高まったのか一人の男が騎兵へと突進する。……が、一瞬にして首を落とされ、地に崩れ落ちる。
「……待て!奴らは恐らく、先程の騎士とはレベルが違う!無駄死にしたくなければ手を出すな!」
そして、遂に奴らが動き出し、半透明となって浮遊しだした。
……クソ、アインズめ。私が飛んでいる相手に魔法以外の攻撃手段が無いことは知っているはずだというのに。
私は仕方なく、「大弓」を手に取り、宙を翔る騎兵へと矢を放つ。
が、無論効果はない。事前に言われていた通り、あの状態の騎兵に物理攻撃は効果が無いらしい。面倒だが黄金の大矢へと矢を変え、再び奴に向けて放つ。
当たると怯み、ダメージは蓄積している様だが先程の死の騎士とは違い、致命傷には至らない。
私は「大弓」を半身に構え、捻りを加えて戦技【貫通射撃】を放つ。それが漸く致命傷となったのか、奴は灰となりながら消えていく。
だが未だ、騎兵は三体もいる。冒険者や衛兵達は既に半数ほどが逃げ出し、残り半数は気絶していたり、怯えた表情のまま固まっている。
「シルヴィア!魔法の使用制限が解除された様だ!私が一箇所に集める!ナーベと共に最大火力を撃ち込んでくれ!」
ふむ。 ……つまり魔法か、事前にナーベとやらは説明されていたらしく、理解している様だ。
そして、アインズは奴らの囮となり三体の騎兵に囲まれた状態となった。
「今だ!私ごと最大火力の魔法を叩き込め!」
ナーベは険しい表情を浮かべてはいるものの、事前に言われた通りに魔法を放とうとする。
ナーベの両の手から白い雷撃が発生し、それを騎兵へと向かって放つ。
「…… 《
まるでのたうつ龍の様な雷が標的へと飛んでいき、順に騎兵達を襲う。
その間に私はタリスマンの構成を整え、霊薬を飲み、聖印を握り締めて騎兵達を前にする。
【ミケラの光】
その場で浮かんで手を掲げる。
アインズを中心に光の爆発が発生し、その場に光の雨が降り注ぐ。私の全ての魔力を注ぎ込み、最大まで威力を高めてある。
爆発の際、アインズの悲鳴が聞こえて来た気もするが……恐らく気のせいだろう。
光の雨が止むと、そこには倒れ伏したアインズしかおらず、どうやら問題なく騎兵達は消滅した様だ。
後ろで物音がした為、そちらを振り向くとナーベが倒れ伏しており、この場で動けるのは私だけとなってしまった。
「うおおぉお!!!」
衛兵や冒険者達が歓声を上げ、すぐにアインズとナーベの元へ駆け寄っている。
さて……ではとりあえず、気絶したフリをしているアインズを叩き起こすとしようか。
あせんちゅは今後、武技の習得を
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する
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しない