暗き月の王、狭間の地より来たり   作:Crimson Wizard

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まさかの展開です。可哀想なアインズ様(シャルティアも)
……宝物殿については少しガバ入ってるかも?おかしかったら教えて下さい。


暗月の王、純白の悪魔のルーンを手に入れる

 

私はアインズに連れられて入口付近まで転移した後、アインズとメイド達に連れられてそのまま進んでいく。

 

「どうだね?我がナザリックは」

 

「……壮観だな。まさか墳墓の中にこのような空間が広がっているとは、想像もつかなかった。」

 

私の言葉に満足そうに頷くアインズはそのまま歩みを進めていく。

かなりの時間を掛けて着いた先には、体幹の強そうな老執事と、美しい容姿をした悪魔が居た。

 

「ここから先は……そうだな。セバス、お前が案内をしてやってくれ。」

 

「畏まりました。」

 

アインズへ向けて一礼した後、執事は私へと頭を下げ、案内を続けようとする。

 

「……お待ち下さい、アインズ様。」

 

「ん?どうしたアルベドよ。」

 

「この者……いえ、このお方は私にご案内させて頂けませんか?」

 

何故か初対面の女を案内したがるアルベドに、アインズは首を傾げながらもその願いを聞き入れた。

 

「ふむ……?まあいいだろう。私は先に向かっておくので、彼女を食堂まで案内してやってくれ。」

 

「身勝手な願いを受け入れて下さり心より感謝致します、アインズ様。」

 

「良い。ではセバス、私達は先に向かうとしよう。」

 

「はっ!」

 

そうしてアインズ達が去った後、女悪魔は私の方へと振り返ってニコリと笑う。

 

「初めまして。私はナザリック地下大墳墓にて、アインズ様より守護者統括の地位を与えられているアルベドと申します。」

 

「……シルヴィアだ、よろしく頼む。」

 

「では、早速向かいましょうか。」

 

自分から案内役を志願し、最初の挨拶の割には異様に口数が少なく私と目を合わせようともしない。

その上彼女の案内に従い歩き続けるものの全く食堂とやらに到着せず、寧ろ先程から風景が極寒地帯やジャングルなど目的地とは程遠い場所を通っている。

そして……まるで活火山の中のような、溶岩地帯の中へと足を踏み入れるとようやく彼女は口を開いた。

 

「さて、ここまで来れば大丈夫かしらね。来なさい、シャルティア。」

 

女悪魔がそう言うと、私の後ろに漆黒の球体が現れその中から真紅の全身鎧を身に纏ったアンデッド……吸血鬼が現れる。

 

「命令すんな、でありんす。妾はアインズ様のご命令に従っているだけであって、ヌシの命令に従っている訳ではありんせん。」

 

「分かっているわ。で、ちゃんと持って来たんでしょうね?」

 

「当然、妾がアインズ様のご命令を忘れるなんて有り得ないでありんす。」

 

……薄々勘づいてはいたが、まさかここまであからさまだとはな。

 

「さて、ヌシ……抵抗しないのなら楽に殺してやるでありんす。」

 

「ええ、抵抗はしない方が良いわ。その方が私達も助かるしね。」

 

いつの間にか女悪魔……アルベドは漆黒の全身鎧を身に纏い、巨大なハルバードを手にしている。

 

「……まさか私を殺そうとしていたとは、アインズにその様な素振りは無かったのだがな。」

 

「っ下等生物風情が、アインズ様を呼び捨てにするなど!」

 

「……言わせておきなさいシャルティア。どうせ彼女はこの後喋る事すら出来なくなるのだから。」

 

……二対一か。まあ一度死んで外の祝福に転移するのも良いが、そうなると今後私の行動に制限が掛かるな。ここで纏めて消してしまうか。

何せ、先程までの会話を聞く限り私が不死である事を知っている素振りはない。

 

「悪いが、数の不利は覆させて貰うぞ。」

 

私は“霊喚びの鈴“を鳴らし、『写し身の雫の遺灰』を召喚する。……油断しているとはいえ、妨害すらしないとは。

 

死せる勇者の魂(エインヘリヤル)!?」

 

「いえ……違うわ。恐らく召喚系のアイテムでしょう。とはいえ、他の下僕(シモべ)の仕事を邪魔しては悪いし……使いなさいシャルティア。」

 

その声に、吸血鬼が何処からか取り出した巨大な巻物を掲げると私の視界は白い光に覆われた。

 

 

 

 

 

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……溶岩地帯か。地形以外、特に大きな変化は見られないな。写し身の遺灰は、少し距離があるな。

 

「……溶岩地帯にしたの?確かに人間には厳しい環境だと思うけれど。」

 

「地形なんて関係ないでありんす!」

 

そう言うと吸血鬼は特殊な形状のランスを構えて突進してくる。かなり速いが、ラダーン程では無い。

 

私は戦技【瞬雷】で距離を取り、死王子の杖を掲げ、『古き死の怨霊』を放つ。吸血鬼は被弾等お構い無しにこちらへ向かってくる。

再び距離をとる為、私は広範囲に『暗闇』の祈祷を放ち視界を眩ませる。その隙に『ミリアムの消失』を発動し、後方へと下がる。

 

そして『黄金樹に誓って』を発動しようとした所、アルベドが頭上から巨大なハルバードを叩き付けてくる。

私は咄嗟に身を屈め、その叩き付けを回避する。その隙を埋めるように、今度は吸血鬼が魔法による攻撃を仕掛けて来る。

 

「《魔法最強化(マキシマイズ・マジック)朱の新星(ヴァーミリオン・ノヴァ)》!!」

 

「オラァ!」

 

何とか魔法はローリングで回避するも、ハルバードによる攻撃を避けきれず正面から食らってしまう。

 

「っ……」

 

「畳み掛けるわよ!」

 

『捧闘の盾のタリスマン』の効果によりダメージを抑えることは出来たものの、祈祷(バフ)を使用する隙がない。

タリスマンを付け替えた後、私は再び戦技【瞬雷】を使用してマグマの上まで退避する。

 

「……何故自ら溶岩の上に」

 

移動後直ぐに魔術『ラニの暗月』を発動し、吸血鬼へと向かわせる。するとアルベドが吸血鬼を庇うように前に出る。

 

『ウォールズ・オブ・ジェリコ!』

 

私と二人を分断する様に城壁の様な壁が現れ二人の姿を覆い隠す。確かに魔術は防げたかも知れないが……自ら視界を狭めるのは愚策だろう。

私は隙を逃さぬようソードランスへと武器を持ち替え、戦技【重力回転突き】で城壁ごと叩き壊す。

捨て身の攻撃だったが、奴らはタイミングを逃したのか私は反撃を喰らわなかった。私の戦技がアルベドに突き刺さる。

 

「ぐぁ!」

 

「アルベド!?」

 

血派生にしていた甲斐あってか、全身から大量の血を吹き出し膝を着くアルベドに意識を割かれる吸血鬼だが……無視だ。

当然、弱っているこの女から殺す。

 

私は『グレートソード』に武器を持ち替え、戦技『王騎士の決意』を発動する。

 

「アルベド!早くスキルを!」

 

未だ膝を着いて息を荒らげているアルベドに、渾身の一撃を叩き込む。

 

「グハッ……!」

 

「クソがぁあああ!」

 

遂に倒れ伏したアルベドを見て怒り狂った吸血鬼はその特殊なランスを振りかぶり私へ突き刺そうとしているが……

私は戦技【我慢】を発動し、吸血鬼の攻撃を喰らいながらまだ息のあるアルベドへと止めの一撃を叩き込む。

 

倒れ伏している状態でグレートソードの一撃を受けたアルベドは霧散し、死体すら残らなかった。

私はアルベドのルーンを吸収した感覚を覚えるが、今は吸血鬼の対処で手一杯だ。

 

「っぁああああ!!!!」

 

我武者羅にランスを振り回す吸血鬼の猛攻をグレートソードで凌ぎ続け、遂に一瞬の隙が出来る。

私はガードカウンターを発動しグレートソードを叩き付けると、吸血鬼は凄い勢いで吹き飛んでいく。

 

その隙に祈祷『黄金樹の回復』にて体力を回復させると、漸く写し身の雫が私の元へ戻ってくる。

 

「……遅過ぎる、全く。」

 

さて、未だ戻って来ない吸血鬼は何処に行った?私が吸血鬼の吹き飛んだ方向を向くと、そこには全身が白くなった吸血鬼が居た。

丁度いいので写し身にその吸血鬼を相手させているが、どうにも表情も何も無い。恐らく傀儡に近いのだろう。

 

本体は、何処に行った……?

 

「……まさか、逃げたのか?」

 

確かに勝てない相手ならば一度退いて増援を呼ぶのも手ではあるだろう。頭に血が昇っている様だったが戦局を見誤りはしないという訳か。

……増援を呼ばれると流石に辛いな。そもそも、この空間自体が一種の異界の様になっている。自力で脱出となると、流石に骨が折れるな。

 

 

 

 

 

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一方その頃モモンガは、未だに食堂へ来ないシルヴィア達を探しに行こうとしていた。

……まさかアルベドの独断専行でそのシルヴィアが襲われ、その挙句返り討ちに遭って殺されている等想像もしていない。

 

と、そこで聞こえるはずの無い声が聞こえてくる。

 

「……モモンガ様」

 

モモンガは振り返りその顔を確認する。自らの手で創り上げ、今や動く黒歴史となってしまった存在がそこに居た。

 

「パンドラズ・アクター?何故ここにいる。お前には宝物殿の守護という役割がある筈だ。」

 

「申し訳ございません……罰は後ほどお受け致します。どうしてもモモンガ様の耳に入れておかねばならない情報があります。」

 

なるほど、緊急の要件という訳か。ならば頭ごなしに叱責せず、部下の話を聞くのも上に立つ者としての役目だ。

 

「緊急の要件だな?」

 

「はい。実は先程階層守護者のシャルティア殿が、モモンガ様のご命令という事でワールドアイテムである山河社稷図を持ち出されました。」

 

「何っ!?」

 

……当然、モモンガはその様な命令を出してはいない。そもそも、本来は守護者相手であっても基本的にパンドラズアクターが通す筈はない。

 

「……私はその様な命令を出した覚えはないぞ。」

 

「はい。存じております。この件は、シャルティア殿を宝物殿へ通してしまった私の失態です。……申し訳ございません。」

 

「それは一旦置いておく。それで、シャルティアは何処へ向かうと言っていた。」

 

「それが大した会話もないまま立ち去られたので、詳しい内容については存じ上げません。……しかし、」

 

意味深な言い回しをするパンドラズアクターに焦燥と不安で苛立ちながらも続きを促す。

 

「恐らくですが、守護者統括であるアルベド殿のご命令かと。」

 

「……一応根拠を聞かせてもらおう。」

 

先程から幾度となく沈静化を繰り返しているモモンガは早くしろと顎をしゃくって合図する。

 

「まず、シャルティア殿のご様子に不審な点は見受けられなかった事、そして、現在このナザリックに侵入者が紛れ込んでいるというお話。」

 

「……おい、待て。侵入者など迷い込んではいないし、それとシャルティアに何の関係がある。」

 

「簡潔に申しますと、本来ナザリックの所属では無いものが現在ナザリックに足を踏み入れている。そして、アルベド殿はそのお方が邪魔だったのです。

モモンガ様がここに居られるという事は、恐らくその方は本来アルベド様の案内のもとこの食堂へと到着している筈です。

しかし、未だその方どころかアルベド殿も姿を現さない。これが異常事態なのは言うまでもありませんが……

恐らくアルベド殿は秘密裏にその方を始末しようと宝物殿より山河社稷図を持ち出す為、シャルティア殿を呼んだのでしょう。

そしてモモンガ様のご命令と称してその方の情報を共有し、私に怪しまれないようシャルティア殿を宝物殿へと寄越した。」

 

まさか、そんな事が……とても信じたくは無いが、絶対に無いとは断言出来ない。

まずアルベドが自ら案内役を志願した時点で可笑しい。アルベドはシルヴィアの容姿程度の情報しか知らない筈だ。

シルヴィアの情報を共有しているのは現時点ではデミウルゴスとナーベラルのみ。

 

ナーベラルはプレアデスの面々と会話に興じている筈であり、そもそもデミウルゴスは自身に与えられた仕事を他人に共有する事などない。

 

「……セバス、パンドラ、着いて来い。」

 

「「はっ!」」

 

モモンガは緊急事態という事で指輪の力を使い、三人で玉座の間へと向かった。

 

 

 

 

 

 

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「……マスターソース、オープン。」

 

そこにはナザリック所属のNPC達の名前とその状態がズラリと並んでおり、アルベドの項目を見るとその欄は死亡表記になっていた。

一方、シャルティアは瀕死状態ではあるものの、敵対や死亡表記にはなっていない。

 

……どういう事だ?シャルティアに嘘がバレて殺しあったとでも言うのか?というか、シルヴィアはどうなった。

あの二人の本気の戦闘に巻き込まれたのだとすれば既に死んでいる筈だが……そういえばあの女は不死だったな。

 

「……パンドラズアクター、どう思う?」

 

「恐らく、二人がかりで襲撃したものの返り討ちにあったのでは……と。」

 

……そんな馬鹿な事があるのか?シャルティアなんて、俺ですら正面からぶつかれば勝てない。

それにアルベドは防御力とHPは守護者の中でもトップクラスだ。その上鎧にダメージを肩代わりさせるスキルも持っていた筈だ。

 

もしかして俺は、とんでもない怪物に喧嘩を売ったんじゃないだろうか。シャルティアを瀕死にさせ、アルベドを殺す程の相手を……

部下の単独行動とはいえその組織のトップは俺だ。更に言えば、アルベドは自分の意思では無く俺の命令だとシルヴィアにも話している可能性がある。

そして……そのシルヴィアは今もこのナザリックの内部に居る。

 

……不味い、不味いぞっ

 

「パンドラズアクター!今すぐに全階層の守護者達を玉座の間へ召集しろ!指輪も能力も使用を許可する、行け!」

 

「はっ!」

 

「セバス!隠密スキルを持つ下僕と索敵系の傭兵モンスターを召喚してシャルティアを捜索するよう手配しろ!

念の為『伝言(メッセージ)』のスクロールを渡しておけ。プレアデスや非戦闘系のNPCは全員第八階層の桜花聖域へ避難させろ!

護衛としてデミウルゴス配下の魔将達を付ける。アイテムを使って構わん!今すぐ呼べ!」

 

「はっ!」

 

もしシルヴィアが騙し討ちで異空間に隔離された上、二人組に襲われた上で俺に対する敵意を見せないならば、

……いや、ある筈もない可能性に縋るべきでは無いな。逆の立場になって考えろ。

拠点に招待すると言われ、案内の途中でその配下から襲われて……俺は相手を許せるか?

 

クソっ!守護者達に頼り切り、信用しきっていた俺が馬鹿だった。……それはそうだ。彼らは今やただのデータの塊ではない。

自らの意思で動くし不満だって抱く。その可能性は一番最初に考えた筈だった。

 

普段の俺ならばまず間違いなくアルベドの仇を取ろうとしただろう。だが今は、それよりも遥かに余計な事をしたアルベドに強い怒りの感情を覚える。

アルベド一人の勝手な判断のせいで、関係の無いNPC達まで命の危機に陥っている。……最早俺は、NPCを心から信用する事が出来ないかもしれない。

 

……いかん。今はそんな事を考えている場合じゃない。

 

「……アウラが来たら、スキルと魔法でシャルティアの捜索をしなくては。」

 

あせんちゅは今後、武技の習得を

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