暗き月の王、狭間の地より来たり   作:Crimson Wizard

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……間違えて何度か削除して発狂しかけました。一応何度か読み返しましたがおかしな箇所あったら報告お願いします。
私は限界です。一旦ログアウトします……


暗月の王、玉座の間にて死を重ねる

 

まず動き出したのは、一度シルヴィアに苦渋を舐めさせられたシャルティアであった。

アインズに与えられた役割(ロール)こそ遊撃だが、一度シルヴィアに敗北を喫しているシャルティアは当然考えなしで動いた訳では無い。

 

物品破壊(アイテム・デストロイ)ッ!』

 

まず効果の一切分からないシルヴィアの持つ武器へと狙いを定め、アイテムや装備品を破壊する効果を持つスキルを使用する。

……が、神を殺せるまで鍛え上げられた武器に通じる筈もなく防がれる。

 

次いでアウラが、スキルを使用してシルヴィアの行動を封じる。

 

『不動縛鎖!』

 

スキルの効果か、玉座の間の床から木の蔓の様な物体が現れ、シルヴィアに巻き付き拘束する。

これには、シルヴィアよりもスキルを使用したアウラ本人とアインズ達こそ驚いていた。

まずアインズ達の認識として、彼女は事前にアルベドとシャルティアを同時に相手取った上で勝利を収めている。

なので遥かに格上の存在として認識していたものの、乱戦の上玉座の間という閉鎖空間の為、配下の魔獣達を連れて来る事が出来ず、

本領発揮する事が難しいアウラが真っ先にシルヴィアに対する有効打を与える隙を生み出した。

 

当然、その隙を無駄にする守護者達では無い。

 

アウラのスキルが通用した時点で動き出していたのはコキュートス。

今回、シルヴィアに大きなダメージを与えられる単体火力をアインズに期待されている彼が、拘束されたシルヴィアへ魔法を使用する。

 

氷柱(アイス・ピラー)

 

シルヴィアの立つ地面の下から氷の柱が現れるが……

 

「っ!」

 

彼女は落ち着いて右手の武器をルーンの業によりダガーへと変更し、自らを拘束している蔓を切り落として脱出を図る。

そして氷柱を地に転がり紙一重で避けるが、既にそこにはコキュートスが”斬神刀皇”を大上段に構えており、彼女の回避先へ鋭く振り下ろす。

 

……が、彼女は右手に仕込んだダガーの戦技【霧の猛禽】を発動し、その振り下ろしをやり過ごす。

そして飛び上がった勢いのままコキュートスへと左手の大剣を叩き付ける。

 

「ヌグゥ……!」

 

ここで、マーレの傍に着いていたセバスがコキュートスの隙を埋める為に走り出し、突進した勢いのままシルヴィアへと体当たりを試みる。

が、当然シルヴィアは視線を前へと向けたままサイドステップし、追撃をせず様子を見ているセバスへと駆け出す。

そして再び持ち替えた右手の神の遺剣を振るが、セバスは何かしらのスキルを使用してか、彼女の攻撃を無効化する。

 

いきなり二人から囲まれてしまったシルヴィアは、不利な複数戦を避けるべく左手を大いなる彼方の杖へと変更し、魔術『ザミェルの氷嵐』を発動し、

視界を眩ませ、その隙に『ミリアムの消失』を使用して部屋の隅へと移動する。

そしてすぐに右手に持つ神の遺剣の戦技【黄金波】を放ち、彼等の足を止めた瞬間に魔術『ラニの暗月』を放つ。

 

眼前に広がる黄金で周囲の状況を視認出来ないながらも、セバスはコキュートスを庇い、その魔術をその身に受ける。

 

「ぐっ!」

 

「セバス!」

 

シルヴィアでは無く、突進してくる男二人の対処をアインズらと共にしていたデミウルゴスが、被弾したセバスへと声を上げる。

すぐにマーレが回復魔法を飛ばし、セバスを援護……そしてアウラが弓によりシルヴィアへ牽制の為に矢を放つ。

 

シルヴィアは指紋石の大盾を構えて矢を受けながら、祈祷『黄金樹の恵み』を使用する。

持続的な回復(リジェネ)を発動したシルヴィアは、アンスバッハとナタンの相手をしているデミウルゴスへと標的を変える。

今回、アインズさえ殺す事が出来ればこちらの勝利が確定する。……無駄に戦闘を長引かせる意味はない。

 

悪魔とはいえ負傷すれば出血するデミウルゴスは、互いに連携を取りながら向かってくる二人の男に苦戦を強いられていた。

時折アインズから援護が飛んでくる事はあるものの、今回首を取られたら敗北が確定するアインズと、その前衛であるパンドラズ・アクターは

消極的な作戦を取らざるを得なかった。

 

が、このままでは流石にデミウルゴスが危ういと判断したアインズは援護を挟むべく天井近くまで転移する。

 

上位転移(グレーター・テレポーテーション)

 

そしてデミウルゴスを相手に巧みな連携で翻弄する二人の男へ魔法を放つ。

 

魔法三重最強化(トリプレット・マキシマイズ・マジック)現断(リアリティ・スラッシュ)!』

 

「……流石に固いか、シルヴィアが連れて来るだけはある。」

 

アインズの魔法を受け、大きく怯みはしたもののすぐに立て直しデミウルゴスへと追撃を続ける。

 

「……やはり、シルヴィアと同じか。」

 

彼女と一度戦った際、彼女は空を飛び魔法を放つアインズと戦いづらそうにしていた。

だが彼女は空を飛ぶ相手を苦手としているとはいえ魔法を放ったり武器を飛ばしたり、攻撃手段自体は持っている様だった。

彼等は恐らくシルヴィアの様に遠距離での攻撃手段を持っていないのだろう。だからこそ、地に足を着けているデミウルゴスを執拗に攻撃し続けている。

 

「デミウルゴス!彼らは恐らく遠距離の攻撃手段に乏しい!空中で相手しろ!」

 

「っ、なるほど!」

 

アインズの言葉に隙を見て宙へ浮くデミウルゴスだったが、フードの男はその短剣より血刃を放ちデミウルゴスは出血する。

 

「っ、」

 

そして全身を黒い装束に身を包む男も特殊な機構の長弓へと持ち替え、デミウルゴスへと追撃を放つ。

 

「デミウルゴスっ!……マーレ!デミウルゴスを回復しろ!」

 

恐らく既にHPの殆どを削られてしまっているデミウルゴスを庇うべく、アインズは宙に浮いたまま魔法を唱える。

 

骸骨壁(ウォール・オブ・スケルトン)!』

 

自身とパンドラ、アウラ、マーレ、そしてデミウルゴスを内側へ、デミウルゴスの相手をしていた男二人を分断する。

 

「パンドラ、タンクとして彼らを守れ。私はあの男達を始末してくる。」

 

「危険ですッ!モモンガ様!」

 

タンクとして非常に優秀なぶくぶく茶釜の姿を取り、大盾を二つ構えているパンドラが当然引き留めようとする。

 

「いや、見たところあの男二人の武器は弓、そして鎌と短剣だ。私とはかなり相性がいい。頼むぞ……!」

 

「ッご武運を!」

 

そうして空中からシルヴィアの方を見ると、未だコキュートスとセバス、そしてシャルティアを相手に苦戦している様だった。

ヴィクティムは指示があるまでは玉座の近く、デミウルゴス達の方で待機している。

 

先程デミウルゴスを追い詰めていた男達は其方を援護するべく駆け付けている様だった。

 

「させるかっ!お前達!始めるぞ(・・・・)!」

 

守護者達に指示を出し、自身の切り札の準備を始める。

 

The goal of all life is death(あらゆる生ある者の目指すところは死である)

 

アインズの背後に巨大な時計が出現する。

 

何かを感じ取ったのかシルヴィアがこちらを見てセバスやコキュートスを振り切ってこちらへと駆け出している。

 

その手にはまた見たことの無い武器が握られており、詳細は分からないが自身と相性の良くない武器だと本能的に察するアインズ。

そして武器を構えて何かをアインズへ放とうとするシルヴィアだが……

 

「オラァッ!」

 

勢いよく飛んできたシャルティアが後ろからシルヴィアを羽交い締めにしてその動きを封じる。

 

「……っ、」

 

「っハァ、ハァ……ここで死ねッ!」

 

 

5

 

 

アインズの背後にある時計の秒針が進む

 

 

4

 

 

シャルティアを投げ飛ばしてシルヴィアが駆け出し武器を投げつけてくる

 

 

3

 

 

アウラが背後よりアインズへと迫る剣を弓により撃ち落とす

 

 

2

 

 

アインズの眼前まで跳躍したシルヴィアが武器を取り出して叩き付ける……が、横から飛んで来たデミウルゴスの魔法に当たり地に落ちる。

 

 

1

 

 

「……我々の勝利だ、シルヴィアよ。」

 

嘆きの妖精の絶叫(クライ・オブ・ザ・バンシー)!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……死んだか。」

 

守護者達には事前に蘇生アイテムの使用を指示しており、彼らはアインズの合図に合わせてそれらを使用した。

シャルティアはアイテムの使用が間に合っていなかったが、マーレの支援により死亡を逃れた様だ。

 

……だが、まだ油断は出来ない。

 

「流石で御座います、アインズ様。範囲型の魔法で、あの女以外も纏めて始末したのですね。」

 

「……ああ。だが油断するな。何処から蘇るか分からない以上……固まっておいた方がいい。」

 

そうアインズが口にすると、守護者達が自ずとアインズの周囲へと集まり彼を囲うように立つ

 

アインズはスキルによって何体か死の騎士(デス・ナイト)を生み出し、奇襲に備える。守護者達も回復アイテムを使用して自らの傷を癒す。

 

……復活しない?あの女は不死ではなかったのか?

 

 

と、アインズが一度玉座に腰を降ろそうとしたその時……

 

 

「アインズ様ッ!」

 

感知系のスキルを持つアウラが咄嗟に声を上げアインズの前に立った。

 

 

その声に反応した時には、シルヴィアが腰を低くして両手に曲剣を構え凄まじい勢いで此方へ近付いてきていた。

死の騎士(デス・ナイト)達が反応する間も無く一瞬で距離を詰めたシルヴィアだったが、その刃はスライムの構える二つの盾に防がれる。

 

「……我が主には触れさせませんよ、お嬢さん。」

 

「チッ……」

 

舌打ちをしたシルヴィアは左手に持つ杖を大きく地面へと突き刺す。

 

魔術『引力弾』をその場で放ち大きく爆発させる。体格の大きなコキュートスやセバスはその場で耐える。

だがデミウルゴスやアウラは吹き飛ばされてしまい、

その上死の騎士(デス・ナイト)達も特殊技能(スキル)で消滅こそしていないが、一撃食らえば消滅するまで削られた。

魔法防御力の高いマーレやアインズ……そもそも耐久特化のパンドラズ・アクター等には大したダメージにはなっていない。

 

シルヴィアは後方に飛び退き、彼等の固まる玉座へ向けて『ミケラの光』を発動する。

 

「っお前達、避けろ!」

 

一度その攻撃を受けた事のあるアインズはすぐさま近くにいるパンドラとデミウルゴスを伴って範囲外へ転移する。

守護者達も各々回避をしたが、中心に居たシャルティアのみが逃げ遅れてしまう。

 

「ぎゃあああああ!」

 

「シャルティア!」

 

【時間逆行】

 

すぐさまシャルティアはスキルを使用して攻撃を受ける前の状態へと回復する。

 

「……貴様ァ!」

 

「無効化したか……」

 

現状、シルヴィアの味方であった霊体二人は既に死亡して元の世界に送還されてしまっている。

対して、アインズの勢力は未だ一人として掛けることなく余力もある。

シルヴィアはあまり使いたくなかったが既に手段を選んでいる余裕などない為、封印していた切り札を使用する。

 

既に包囲されている現状、無防備に大技を発動する隙など皆無……まずはこの包囲網を突破する。

 

魔術『泥濘の渦』を発動し、自身を取り囲むアインズの配下達に回避を強制させる。

その隙に『ミリアムの消失』を発動し、距離を取る。当然、こちらに隙を与えないようシャルティアが此方へ突進してくる。

 

その間合いが私の射程に入った時、私は瞳の奥に狂い火を生じ、吸血鬼……シャルティアへと掴み掛る。

 

「何を……あ、あ……あぁぁあああああああ!!!!」

 

「シャルティアっ!何をした!?」

 

これで一人。

 

シャルティアは頭を抱えて蹲り、頭を掻き毟りながら声にならない悲鳴を上げている。

……その眼窩からは黄色い狂い火の炎が覗いており、既に戦力とならない事は明らかだ。そのあまりの苦しみ方にアインズ達は動揺し、一歩後退る。

すぐに何かしらの状態異常だと考え、シャルティアを癒すべくマーレが近付くが……

 

「な、何でそんなことするんですか……や、やめて下さい!」

 

シャルティアに掴み掛かられ、同じ様に狂い火を伝染させられている。

 

「いやぁあああ!!!!」

 

「っ……何だ、あれは……クソっ!一度シャルティアとマーレを殺せ!遠距離から確実にだ!」

 

目の前に広がるそれは、NPC達を自らの子供とまで言うアインズにとって腸が煮えくり返りそうな光景だ。

放置しておくと余計に彼女達を苦しめる結果となる上、こちらの足を引っ張りかねない。

だが、それはこの場で共に戦うことを命令した自分の責任だとアインズは冷静を保とうとする。

不幸中の幸いというべきか、精神が沈静化され不快な気分のままだが幾らか落ち着いて状況を整理する事が出来た。

 

顔を歪めて味方であるはずのマーレとシャルティアを遠距離から攻撃するアウラとデミウルゴスはシルヴィアへの怒りを隠しきれない

 

「……おい待て、シルヴィアは何処だ!?」

 

その言葉に思わず周囲を見渡す守護者達……だが、その気配を察する事が出来ない。

 

「アウラ!」

 

「っはい!」

 

すぐに探知系のスキルを発動しようとするアウラの背後から、滲み出る様にしてシルヴィアが現れる。

その装備は黒き刃の一式となっており、これと魔術等を併用する事により彼女は潜伏していた。

 

「そっ」

 

大声を上げようとしたアウラの胴体に、禍々しい形をした刃を捻り込むシルヴィア。アウラは大量の血を流しながら、その場に崩れ落ちる。

 

「くっ……クソがァァアアア!シルヴィアアアア!俺の可愛い子供達を!許さんぞッ!」

 

精神の沈静化を幾度となく繰り返しながらも治まる事の無い激情に身を任せ、アインズが魔法を放つ

 

魔法最強化(マキシマイズ・マジック)現断(リアリティ・スラッシュ)!』

 

その攻撃をシルヴィアは【猟犬のステップ】により回避し、近くに居たデミウルゴスを標的に定める。

そして冒涜の聖剣より戦技【略奪の炎】を放つが、横に大きく回避するデミウルゴスへ向けて冒涜の聖剣を投擲する。

 

「なっ!?」

 

咄嗟に冒涜の聖剣(それ)を弾き飛ばすデミウルゴスだが、いつの間にか武器を持ち替えていたシルヴィアはそのまま疾走する。

 

「ヴィクティム!使えッ!」

 

アインズのその声に反応して一瞬意識を割かれるシルヴィア……

 

『悪魔の諸相:おぞましき肉体強化!』

 

その隙にデミウルゴスが身体強化を行い、一瞬の隙を晒したシルヴィアへ迎撃の準備を済ませる。

そしてヴィクティムの肉体が赤いオーラを見に纏い、輝き出す。

 

咄嗟に軌道を変えたシルヴィアが疾走し、今にも弾けそうなヴィクティムに攻撃を当てるが……

 

 

 

「っ……」

 

何が起きたか全く認識出来ないまま……シルヴィアは突然倒れ込む。五感が働かず、身体を動かす事も出来ない。

 

「……決着か。彼女を玉座の間の外へ放り出すぞ。」

 

アインズのその言葉にセバスがシルヴィアを背負い、その後ろでアインズが何時でも魔法を放てる様に構えたまま移動を始める。

 

「っおいセバス!放り投げろ!」

 

シルヴィアの指先がピクリと動いたのを見逃さなかったアインズはすぐにセバスへ指示を出す。

 

指示通り玉座の間の外へ向けて彼女を投げ飛ばすセバスだが、放り出された空中で動きを止めたシルヴィアはじっとセバスを見詰めている。

そしてその手に巨大な火球を生じ、そのままセバスへと突進する。

 

 

 

「っ!」

 

『メスメルの火球』

咄嗟にその直撃を避けたセバスだったが、次いで火球が爆発する。

 

 

大きく弾き飛ばされるセバスだったが、直前にスキルで防御力を上げていたことにより一命を取り留めた。

そしてじっとアインズを見詰めるシルヴィアに、言い知れぬ不安を覚えたデミウルゴスが、パンドラズ・アクターと共にアインズの前に立つ。

 

次いでシルヴィアは杖を手に取り、魔術『古き死の怨霊』を放ち、その後すぐに後方へと下がって『聖杯瓶』を口にする。

体力と精神力を回復させたシルヴィアは大きく飛び上がり、その背に朱い花を顕現させる。

 

『イージス』

 

パンドラズ・アクターはアインズとデミウルゴスの前へ立ち、その攻撃を受け止めようとする。

 

が、シルヴィアによる未知の技は絶対に受けてはならないと考えているアインズは攻撃の直前に『上位転移(グレーター・テレポーテーション)』を発動、

パンドラとデミウルゴスと共に上空へ避難する。

 

全体飛行(マス・フライ)

 

自力で飛行出来るデミウルゴス以外の守護者達に魔法を掛けたアインズはシルヴィアを睥睨する。

 

「……私達全員が空中から攻撃を行えば、流石のお前も抵抗出来まい。降参しろ、シルヴィアよ。」

 

その言葉を聞いて尚、武器を構えたままのシルヴィアに対して降参する気がない事を悟ったアインズは魔法を放つべく狙いを定める。

少しでも被弾を避けるべくシルヴィアはジグザグに走りながら時折此方に武器を投擲してくる。

 

心臓掌握(グラスプ・ハート)

 

そして、アインズが魔法を放つ。一瞬動きを止めたシルヴィアは口から血を吐きながら大槌を手に取り、アインズへと投擲する。

パンドラズ・アクターが盾を構えてその攻撃を弾き、再び魔法を放とうとするアインズだったが、シルヴィアがここで予想外の行動に出る。

振り返ると大きく距離を取り、アインズ達から離れていく。何かしら狙いがあると感じたアインズ達は飛行したままゆっくりと近づいていく。

 

そしてある程度距離を取るとシルヴィアは杖を構えてアインズ達へ向けて極大のビームを放つ。

幸い、直線上にしか飛んで来なかった為余裕を持って回避出来たが、シルヴィアは続いて大きく飛び上がるとその身を竜王となし、

劈くような咆哮と共に衝撃波を放つとそのまま金色のブレスを放ってくる。

 

「これはっ…!」

 

『プラキドサクスの滅び』

 

竜人であるセバスは驚きを隠せず、震え上がる。己よりも、遥か格上の存在に対する恐怖……

それは竜としての格の違いというべきか、本能的にセバスへ恐怖を感じさせる。

 

アインズは未だ底が見えないシルヴィアの手札を警戒しながら隙を見て魔法を放つも、どれも避けられるかすぐに回復されてしまう。

これ以上消耗戦を続けた所で勝ち目は薄いと感じたアインズは、守護者達に指示を出す。

 

「……私にも、これ以上魔力を無駄遣いする余裕は無い。全員で掛かれ!」

 

アインズの意を汲み取ったパンドラズ・アクターは飛行をやめて地に足を着いたコキュートスの前に立ち、壁となる。

 

そしてシルヴィアを挟むようにセバスとデミウルゴスが反対へと移動し、まずセバスが拳を叩き付ける。

 

「ぐっ……」

 

彼女が先程よりも比較的軽装になった為か、セバスの拳はシルヴィアへ明確なダメージを与える。

 

『悪魔の諸相:鋭利な断爪!』

 

至近距離で四人に囲まれたシルヴィアは左手に指紋石のを装備した上で【鉄壁の盾】を発動し、機を伺う。

そしてコキュートスが再び巨大な太刀で攻撃をする寸前、祈祷『黄金の怒り』を発動して彼らを弾き飛ばす。

 

だが盾を構えていたパンドラズ・アクターは一瞬盾を剥がされて隙を晒すも、瞬時に構え直してシルヴィアへと突進する。

 

「っぐ……」

 

シールドバッシュで体勢を崩されたシルヴィアは防ぎきれないと判断した瞬間に盾を捨て、その手に巨大なグレートソードを顕現する。

 

「ハァア!」

 

そして正面から盾を構えたパンドラズ・アクターへ、【獅子斬り】を叩き込む。

 

「ぐぬぅ…!」

 

盾を剥がされた上にその粘体の身体を地面へ引き伸ばされたパンドラズ・アクターへ更なる追撃を加えようとするシルヴィアだった。

 

だが……

 

『風斬』

 

弾き飛ばされた筈のコキュートスが遠距離からシルヴィアの両腕を切り落とす。

大きな隙を晒したシルヴィアに対して、コキュートスが追撃を加えんとするが……

 

シルヴィアは両腕のないままコキュートスへと飛び乗り、彼を足場に飛び上がり、そのまま方向転換してデミウルゴスへ踵落としを叩き込む。

 

「ぐっ……必要以上に私ばかり狙いますねぇっ!貴方は!」

 

当然、腕が無い為に身体の回転も不十分であり防御力は貧弱なデミウルゴスにとっても大したダメージにはならなかった。

だが再び、大きく空中へ飛んだ後シルヴィアはその背より朱き花を生じ、デミウルゴスへと追撃を放つ。

 

咄嗟に転移したデミウルゴスは、その攻撃を受けずに済んだ……

シルヴィアは口に聖印を加えており、恐らくあれを触媒にこの術を発動したのだろう

 

「……まるで狂犬ですね。アインズ様っ!ここは殺さずに拘束し、そのまま玉座の外へ放り出しましょう。」

 

「ああ。だが拘束系のスキルや魔法を持つ守護者達は死んでしまった。もう少し弱らせる必要があるな……コキュートス!」

 

「……ハイ、足ヲ斬リ落トシマショウ。」

 

「頼んだぞ!」

 

だが、殺してしまえば 再び回復した状態で復活されてしまう。

 

「……ここで使うべきか。」

 

 

【超位魔法】

 

 

 

天軍降臨(パンテオン)

 

 

 

 

アインズが一度距離を取って使用した魔法は【超位魔法】

……魔法というよりもスキルに近いが、一日の使用回数制限があり戦況を左右する事もある程強力な魔法だ。

 

アインズの周囲に眩い光が立ち上り、光が収まるとそこには神々しい天使がアインズを守るように囲み、主の指示を待っている。

 

門番の智天使(ケルビム・ゲートキーパー)達よ、三体はあの女と戦っている者達の援護を、残りは私を守れ。」

 

アインズへと頭を下げて了承の意を示した天使達は、言われた通りに三体はシルヴィアへと向かった。

 

流石に分が悪いと見たか、ここでシルヴィアが飛び上がって大きくコキュートスへと旋風脚を叩き込む。

咄嗟に手に持つ武器でシルヴィアを攻撃したコキュートスだったが、体力が大きく削れていたシルヴィアはそのまま一度死を迎えてしまう。

 

「申シ訳アリマセン、アインズ様……」

 

「……いや、今のは仕方がない。すぐ固まれ、また復活するはずだ。」

 

天使達を自身と守護者達を囲うように展開させ、アインズは再び周囲を警戒する。

が、まさか上から降ってくるとは流石にアインズ達も考えていなかった。

 

天使達からの伝言(メッセージ)を受け取って上を向いた時には、既に降ってきたシルヴィアがデミウルゴスへと剣を突き刺していた。

 

「アインズさ……!」

 

頭上から刺し貫かれたデミウルゴス……その上から、更に深く突き刺す動作をするシルヴィア。

その瞬間、デミウルゴスの身体を貫くように逆棘がその体内から突き出してくる。

 

「……お前は、何も感じないのか?」

 

既に人間の心を無くし、アンデッドとなった自身ですらおぞましいと感じる攻撃を躊躇なく行うシルヴィアに対してアインズが問う。

 

「……」

 

その問いすらも無視して、シルヴィアは走り出す。

 

アインズの周囲を囲う天使達だが、シルヴィアは彼等に腐敗大壺を投げ付けながら走り回る。

アインズを守る……という命令を受けている天使達はその攻撃を避ける事はせず、スキルによって防御力を高めるに留める……が。

 

「……状態異常か」

 

召喚したモンスターの状態を確認出来るアインズは彼等が未知の状態異常に罹っている事が分かった。

残るは、全身に大火傷を負ったセバスとコキュートス……そしてパンドラズ・アクターにアインズのみ。

 

シルヴィアは、短期決戦を決意して霊薬を口にする。

 

吸血の割れ雫と弾く硬雫を配合した霊薬を飲み干し、そのまま前方へ【黄金波】を放ち、その隙に再び『黄金樹の恵み』を使用したシルヴィア。

彼女は血の逆手剣を構えてまずアインズの前に立つセバスとコキュートスへ目を向ける。

そして確実に出血するであろうセバスへと駆け出した。

 

拳を構えるセバスに対し、正面に立って逆手剣を強く握り込むシルヴィア……

 

「っ、消えた!?」

 

飛行しながらシルヴィアを見ていたアインズはシルヴィアが突然姿を消す瞬間を目撃する。

 

「ぬぅ……っ!」

 

いつの間にか彼女はセバスの背後におり、セバスは全身から血を吹き出して膝を着いた。

アインズは咄嗟に援護するべく魔法を放とうとするが、それよりもコキュートスが動く方が早かった。

 

不動明王撃(アチャラナータ)・倶利伽羅剣!』

 

追撃しようとセバスへ向かうシルヴィアへ、大上段から特殊なスキルを発動する。が……

 

「何ダトッ!?」

 

シルヴィアは、コキュートスの剣よりも圧倒的に細いその刀身で受け切り、カウンターをコキュートスへと叩き込む。

 

「グヌゥ…!」

 

どちらも弱っている今がチャンスだと、シルヴィアは遺跡の大剣を取り出すとコキュートスへ向けて戦技【崩壊波】を放つ。

地を這い、抉りながら迫り来る衝撃波に吹き飛ばされるコキュートス。

 

時間停止(タイム・ストップ)!』

 

コキュートスとセバスが息絶える寸前に何とか時を止める事に成功したアインズだが……

 

「……このままじゃ絶対に勝てないな。」

 

あまり時間を停止する猶予もない事は分かっているが、有効な手段が思い浮かばない。

戦士化の魔法は……いや駄目だ。技量が違いすぎる。何をされたか分からないまま死ぬのがオチだろう。

アンデッドを召喚した所で、大した時間稼ぎすら出来ない。……そもそも、シルヴィアの弱点が分からない。

 

どの耐性が高く、何に弱い等の情報がなさ過ぎる。戦闘の中で確認したものの一切わからなかった。

……いや、装備変更前であれば一度魔法で確認した。だが装備を変更した後は後ろから援護をするので精一杯だった。

回復は出来ずともある程度のバフは使用可能だし、デバフは寧ろ専門分野だ。

 

だがあまり効果的だとは言い難かった。恐らく事前に彼女も何かバフを使ったのだろう。

得意の『心臓掌握(グラスプ・ハート)』も、ダメージは間違いなく通っているが動きを止めるには至らなかった。

 

っ、あまり迷っている時間もないか。

 

魔法遅延化(ディレイ・マジック)核爆発(ニュークリアブラスト)

 

当然、時間対策済みのセバスとコキュートスは時が止まった瞬間にアインズの元へ下がっている。

 

光輝緑の体(ボディ・オブ・イファルジェントベリル)

 

本来後衛の魔法詠唱者(マジック・キャスター)であるアインズだが、前衛である守護者達を下がらせ、自身がシルヴィアの傍で時間停止を解除する。

 

光輝緑の体(ボディ・オブ・イファルジェントベリル)……発動!』

 

解除した瞬間、アインズを中心に文字通りの核爆発が引き起こされる。

五感が全て機能しなくなったシルヴィアは思わず倒れ込み、飛行するアインズの腕に抱かれ、玉座の間からどんどんと遠ざけられる。

 

玉座の間の外へアインズが出ようとするその瞬間……

 

「捕まえた……!」

 

「何っ!?」

 

咄嗟に引き剥がそうとするが、魔法詠唱者(マジック・キャスター)であるアインズの貧弱な筋力ではビクともしない。

主の危機に、まだ距離のある位置からセバスがスキルを使用する。

発勁と遠当ての複合スキルでアインズからシルヴィアを引き剥がす事に成功したセバス。

だが彼女は地に落ちる寸前、『坩堝の諸相・翼』を顕現し、アインズへと掴み掛り自分諸共地面へと叩き付ける。

 

「クソッ……」

 

そのままルーンの業にて大槌を取り出すと、アインズへ向かってそれを何度も振り下ろす。

三度も振り下ろした頃にはアインズはHPを全て削り切られ、死亡する。

その後、すぐに蘇生アイテムによってその場へ現れる……だが、これで勝敗は喫した。

 

「……我々の敗北か、煮るなり焼くなり好きにするといい。」

 

座り込んで哀愁を漂わせるアインズそう口にする。こうして、この地における過去最大の総力戦は幕を閉じた。

 

あせんちゅは今後、武技の習得を

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