暗き月の王、狭間の地より来たり 作:Crimson Wizard
さて、あれから女達を引き連れ、数日掛けてエ・ランテルまで連れて帰ったのだが組合の方では彼女達の面倒までは見れないという。
ひとまずは引き取って貰えたが、すぐに何処か別の辺境の村まで飛ばされるらしい。
まあこれ以上は私の知るところではないので、その辺は組合に任せた。
それと、この依頼を達成したという事で昇級の話があったらしいがその為にはあと数件依頼を達成しなくてはならないらしい。
今はまだ字が読めないので、受付嬢におすすめの依頼を持ってきて貰っている。
今日はいい依頼が無かったので、組合を出ようとしていると、
何やら黒いフルプレートアーマーを身に着けた戦士らしき大男と推定魔術師……此方では
私と同じルーキーの様だが、装備もあってかかなり目を引いている。……何やら依頼について話し合っているらしい。
「という訳なので、どうでしょうか?」
「……そうだな。少し興味が湧いたので、話を詳しく聞かせて貰えますか?」
私と同じルーキーの身で共同依頼とは羨ましい。私は未だに低ランクの依頼を受け続けているというのに。
全く……これではラニを迎えるのは何時になる事やら。
「……何ですかお前は。先程からジロジロと。不快です、消えなさい。」
……知らぬ間に随分と見つめてしまっていたらしい。
「お、おいナーベ、やめろ。……申し訳ない。何か私達に用があったのかね?」
喧嘩腰な女を諌めて、フルプレートアーマーの男が話し掛けてくる。
「ああ。話を聞くに、共同依頼を受けるのだろう?生憎冒険者になったばかりで低ランクの依頼しか受けられない身なので少し羨ましくてな。」
「なるほど……貴女も実力には自信があるのですか?」
「まあ……それなりには。」
「ふむ……では一緒に依頼を受けますか?」
「それは……いいのか?まあ足でまといになるつもりは無いが。」
「まあ流石に私の一存では決められませんね。どうでしょう?彼女も一緒に依頼を受けても構いませんか?」
恐らく共同依頼の相手パーティと、依頼主にそう話し掛ける大男。
「えーっと……僕は構わないんですけど。」
「なら私も大丈夫です。では、一緒に依頼を受けるという話でしたら、自己紹介から始めましょうか。」
四人組のリーダーらしき男がそう言うと、先程文句を言ってきた女が睨みつけてくる。
「では私から。漆黒の剣というチームで、一応リーダーをしています。ペテル・モークです。後は左から……
レンジャーのルクルット、
基本このチームでは私とダインで前衛をして、ニニャとルクルットが支援するといったスタイルです。よろしくお願いします。」
冒険者にしてはかなり礼儀正しいな。この青年は。
「では、次は私達ですね。私はモモン。見ての通り戦士です。彼女はナーベ、第三位階まで使える
「第三位階!?見た所まだお若いのに、凄いですね……」
漆黒の剣の、ニニャだったか……彼女が驚きの声を上げる。
「一応、私も彼女と同格の戦士なので、足は引っ張りませんよ。」
「いえ、モモン……さんは私より強いです。」
「ちっ!そんな美女引き連れて……羨ましいぜ!」
「やめろ、ルクルット……ナンパもするなよ?」
「いや、俺はそこの聖騎士みたいなお姉さんに運命を感じてるんだ。」
……私か?というか、私の番か。
「私も自己紹介をしておこう。シルヴィアだ。」
「なあ、シルヴィアちゃん!兜を外してみて!」
「……まあ、一緒に依頼を受ける誼だ、別に構わないが。」
そう言って、私が兜を外すと一人だけ興奮している男がいる。ルクルットだ。
「うおぉおお!やっぱり可愛い!っていうか、綺麗系だな!お願いします!付き合って下さい!」
「……生憎だが、伴侶が居るので断らせてもらう。」
そういうとルクルットはわざとらしく膝から崩れ落ちた。
「ぐおおぉ……人妻、だと……だが、俺は諦めない!むしろそこがいい!」
「おいやめろ!馬鹿が!すいません、シルヴィアさん。こいつ何時もこうなんです。」
……私の容姿など、狭間の地で気にする者などいなかったからな。少し新鮮だ。ラニも容姿については触れないし。
「まあ、気持ちだけ受け取っておこう。」
「……ゴホン!ルクルットさんが愉快な方なのは理解した。同じ依頼を受ける仲だ、私も顔を見せておこう。」
そう言ってモモンも兜を取る。
「……思ったよりおっさんだな。」
「おい、ルクルット……?」
「ああいや、まあそうだな……普通、だな。」
ルクルットのその言葉にモモンは僅かに肩を落としたように見えた。
「ま、まあ。二人ともこの辺の出身では無いと分かると、面倒事に巻き込まれるかもしれないので、普段はこうして顔を隠しているのです。」
「そうだったんですね……あ、ではそろそろバレアレさん。依頼の詳細を教えて頂けますか?」
「あ、はい。……まあ簡単に言えば目的地までの護衛と、薬草の採取です。カルネ村という所なんですけど。」
モモンという男の肩がピクリと動いた気がした。
「まあ辺境の村なのでご存知ないかもしれないんですけど、薬草採取の時は護衛として着いて来て欲しくて……」
「なるほど、理解しました。では私達は何時でも出発出来ますが、皆さんは?」
「自分達も大丈夫です!」
「……私も行けるぞ。」
まだ時間も早いし、依頼も他に受けていない。問題ないか。
「じゃあ、僕は荷物と馬車を持ってくるので門の外で合流出来ますか?」
「分かりました!」
「ええ、問題ありません。」
「私も問題ない。」
「ではバレアレさんが荷物を取ってくるまでに検問を済ませますか。」
……長くなりそうだと、検問所前の行列を見て私は思うのだった。
あせんちゅは今後、武技の習得を
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する
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しない