暗き月の王、狭間の地より来たり   作:Crimson Wizard

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もう自分でも何書いてるのか分からん。また新作に逃げるか、続編上げるか。どうしよう……


暗月の王VS死の支配者

 

今、この場は漆黒の剣とンフィーレアの野営している場所から数km程離れた平原。

既にある程度依頼主であるンフィーレアや漆黒の剣の面々からの信用を得たシルヴィア……そして

モモンガは見張りのアンデッドを野営地の近くに付け、自分達は何も無い平地へと移動した。

 

そこで彼等は正面から向かい合っていた。モモンガの後ろにはナーベラルも控えている。

 

「さて……では貴公の正体を教えてくれないか。」

 

シルヴィアが静かに口を開く。

 

「……良いだろう。だが、この姿を決して外部の者に漏らすな。私の計画の邪魔になる。」

 

そう言って、モモンガは冒険者の時とはまた違う大仰な口調で魔法で作っていた鎧を解除する。

そこから現れるのは、見るからに価値のある、それこそ国宝にも勝るであろう煌びやかな装備に包まれた骸の姿であった。

 

「これが私の真の姿だ。」

 

この姿を見た者は大抵恐怖に怯えるか、或いは敵意を剥き出しにするかのどちらかなのだが、シルヴィアは違った。

 

「ほう。それが貴公の真の姿か。ふむ、死に生きる者……とはいうが、貴公は外なる死の神の加護でも受けているのか?」

 

モモンガは、思っていたのとは違うシルヴィアの反応に肩透かしを食らったような気分になる。

 

「私はアンデッドだぞ?他に何か無いのか?」

 

「他にか……そうだな、何故肉の無い骨の身体であれ程の身体能力を誇るのだ?

私とて、力に自信があるとはいえ、まるで棒を振る様にあの様な大剣を振るう事は適わない。」

 

モモンガはその純粋な疑問に素直に答えてやる。

 

「私とお前では、文字通りレベルが違うからだ。そうだな……説明が難しいが、存在の格、とでも言うのか?」

 

「アインズ様、この様な者の質問にまともに取り合う必要など無いのでは?必要とあらば私が手を下しますが。」

 

「今は私が喋っている。それにまだ私は冒険者モモンの筈だ。姿を見せたとはいえ、無闇に情報を漏らすな。」

 

モモンガとしては、もうこの忠誠心はその様に創造されたのだから、百歩譲って良いとして……

こうして部外者と会話している時に余計な事を言うのはやめて欲しかった。余計な発言をして敵を作りたくないというのもある。

 

「申し訳ございません!」

 

事前にすぐに自害するというのはやめろと言ってあるので、ナーベラルはこれ以上何かをする事はなかった。

黙り込んだまま、自身が叱責される原因を作った女を睨むばかりだ。

 

「ふむ……存在の格、これでも私は、数多くの力を喰らい糧としてきた筈なのだがな。」

 

「シルヴィアよ、私に仕えないか?私であればお前の望む物を用意し、そして更なる力を与える事も出来る。」

 

モモンガのその言葉に、シルヴィアは僅かに逡巡を見せるが、すぐに被りを振って口を開いた。

 

「私には、既に仕えるべき主がいる。裏切る事は出来ない。」

 

「では、その主とやらの許可があれば良いのか?」

 

モモンガのその発言に、シルヴィアは僅かに苛立ちを見せる。

 

「私の主ごと召抱えるつもりか?ははっ……神を従者にしようとは、恐れ知らずも居たものだ。」

 

モモンガを嘲笑するかの様な言葉に、ナーベラルは魔法を放とうとするが、他ならぬモモンガに片手で制される。

 

「お前は、神に仕えているのか?」

 

「ああ、私の主は新たなる律の神だ。尤も、この地ではその名を知る者など居ないだろうがな。

私を従えたいのであれば、私を殺せる事が前提だ。そもそも私はラニ以外に仕える気などない。無論、ラニが許すのであればそれも吝かではないが。」

 

シルヴィアのその言葉に、モモンガは必死に頭を回転させる。この女の言うことが本当なのであれば、神がバックに付いている可能性がある。

仮に、無理矢理シルヴィアを従えたとして、そのラニとやらの能力が分からない以上、無闇に敵対するのは避けたい。

 

それに、未だこの女の能力は底が見えていない。そしてこの地では貴重な、アンデッドに対して忌避感を持たない人間だ。

ここはある程度友好的に、少なくとも不戦条約の様なものは必要だ。

だが、彼女の能力をある程度知りたいというのも事実、なのでここはある程度腹を割って話そうとモモンガは口を開く。

 

「では、私に仕えてくれという発言は撤回する。一つだけ頼みがあるのだが、聞いて貰えないだろうか?」

 

「……何だ?」

 

「私に戦士として、稽古をつけて欲しい。見ての通り、私は身体能力に任せて剣を振り回しているだけだ。見返りとして、私は魔法を教えよう。」

 

その言葉に、シルヴィアは兜の中で僅かに目を見開いた。

 

「その魔法とやらの性能による。使えもしない術など必要無いからな。では一旦、互いに本気で戦うとしよう。」

 

「……は?」

 

「つまりだ、実践の中でその魔法とやらを私に見せてくれ。それが有用なモノであれば、その契約を結ぼう。」

 

……なるほど。つまりPvPという訳か。

 

モモンガは内心でそう独りごちる。現地ではオーバーパワーとはいえ、ユグドラシルでのモモンガのPvP勝率は五割。

ロマンビルドでの勝率として考えると決して低くは無いが、それも事前に対策をした上での話だ。初見での勝率は五割を切る。

 

「……良いだろう。だがある程度条件を付けておこう。まず、殺しは無しだ。契約の意味が無くなる。」

 

「ふむ……私は別に構わないぞ。私は不死なのでな。ただ殺されただけでは死なない。」

 

モモンガはいきなり爆弾発言をかましたシルヴィアに化け物を見る目を向ける。

この女は今なんと言った?不死?俺の聞き間違いか?……いやでも確かに死なないとか言ってたし。

 

「ゴホン!まあとりあえず私は手加減をしなくていいという話だな。理解した。」

 

「アインズ様!せめて守護者の方々を連れて来るべきでは!?」

 

ナーベラルも、流石にこの状況では黙っていられなかった。

いくら下等生物といえど、自身の崇拝する主をして未だ底を見せていないと言わせるこの女の相手には、せめて監視を付けるべきだと。

 

「いや、良いのだナーベラル。私はこの女が嘘を吐く様には思えん。」

 

「……ああ、殺さないという話だろう?私は嘘は吐いても、約束を違えることはしない。」

 

「くっ!畏まりました……。」

 

「ああ、そうだナーベラル。お前が合図を出してくれ。」

 

何故こんな大役を私が……という気持ちは呑み込んで、主の指示に従う。これは光栄な事だ。

 

「……はい。では、準備は宜しいでしょうか?」

 

「ああ。問題ない。」

 

「私もだ。」

 

ナーベラルは手を振り下ろして合図を出す。

 

「始め!」

 

まず初めに、レディソードを片手にシルヴィアが駆け出した。この世界に来てから、間違いなく一番速度を出している。

彼女はレディソードを両手持ちするとそのままモモンガに斬り掛かる。

 

モモンガはその攻撃が届く寸前、魔法を発動する。

 

「《飛行(フライ)》」

 

後ろ向きに飛びながら、そのままシルヴィアから距離をとる。

 

「《魔法遅延化(ディレイマジック) 爆撃地雷(エクスプロードマイン)》!」

 

自身の飛んで来た軌道に時間差の地雷を設置する。

モモンガはそのままスキルである中位アンデッド創造を使用して盾役のデスナイトを召喚する。

 

「……どうした?攻めないのか?」

 

モモンガが軽く挑発をすると、シルヴィアは再び駆け出す。モモンガの設置した魔法の地雷から逸れるような軌道を取って。

 

(ちっ!やはり勘がいい。目に見える魔法では無い筈なのに、上手く避けてくる。)

 

そして、再び浮遊して逃れようとしたモモンガの視界からシルヴィアが消え失せる。

転移されたか、と思った瞬間、背中辺りにじんわりとしたダメージを感じた。

 

「《上位転移(グレーター・テレポーテーション)》!」

 

モモンガは即座に宙へと浮遊し、追撃の有無を確認する。追撃してくる様子は無いが、先程と持っている武器が変わっている。

モモンガは知る由もないが、今の攻撃は【死角の一撃】文字通り相手の死角に潜り込んで攻撃する戦技だ。

 

一方、シルヴィアも考える。やはり打撃武器の方がいい。それに相手は死に生きる者。神聖属性の方がダメージの通りがいいだろう。

 

 

お互い、ある程度距離をとって作戦を練っている。特にモモンガは初見の相手の攻撃はある程度食らってでも行動パターンを見極める。

元々そう言った戦闘スタイルだ。

 

シルヴィアは黒鉄の大槌を右手に持つと、先程とは打って変わって左手には杖を持つ。死王子の杖だ。

 

彼女は【ザミェルの氷嵐】を発動させ視界を眩ませると同時に、モモンガの浮遊している真下に【引力弾】を放つ。

モモンガは引力により下へと引っ張られる。

 

続けてシルヴィアはモモンガの前を陣取っているデスナイトへ向けて【儚い小宇宙】を発動させる。

二度目の爆発でデスナイトは大きく怯んだが、再び立ち上がった。

駄目押しにデスナイトへ向けて【ほうき星】を放つと、デスナイトは霧の様に消失した。

 

(クソっ!デスナイトがやられた。あっちもまだ様子見してるみたいだけど、魔法まで使えるのか……)

 

それにモモンガの知らない魔法。

 

モモンガは宙に浮く自分にどのような攻撃を仕掛けてくるのか様子を見ていると、シルヴィアはいきなり片膝をついて祈りを捧げる動作をする。

モモンガは知らないが、これは【黄金の魔力防護】魔力のカット率を大きく高める祈祷だ。

 

その手には再び先程の杖が握られている。

 

相手が魔力に対して高い耐性を持つことは分かっているが、行動パターンを見極める為シルヴィアは【魔術の三輝剣】を展開する。

そしてそのままモモンガに対して追尾する【流星群】を放つ。

 

モモンガは飛行(フライ)で迫り来る魔力の塊を避けながら、展開されている三つの剣を注視する。

それが自身に放たれた瞬間、再び上位転移(グレーター・テレポーテーション)によってシルヴィアから距離をとる。

 

常に宙に浮いているモモンガに対して、シルヴィアはやり辛さを感じていた。……まずは叩き落とす必要がある。

 

【ラニの暗月】

 

シルヴィアはその身に暗月を呼び、モモンガへと向かわせる。モモンガは再度転移をしようとするが、シルヴィアはラニの暗月を放った直後、

モモンガへ向けて流紋の大槌を投擲する。転移を阻害する為だ。

 

「《光輝緑の体(ボディ・オブ・イファルジェントベリル)》!」

 

大槌がモモンガに直撃するその寸前、モモンガは魔法を発動し大槌によるダメージを無効化する。

シルヴィアもダメージが入る感覚が無かったのか再び様子見の姿勢へと戻った。

 

「《魔法三重最強化(トリプレット・マキシマイズマジック)現断(リアリティ・スラッシュ)》!」

 

今度はモモンガが攻める。彼はビルドの関係上、得意属性である死系統以外の魔法攻撃力は同格の魔法詠唱者に比べて劣る。

そんな彼にとって、この魔法的防御をほぼ無効化する斬撃は、

彼の使う魔法の中でもかなり破壊力が高く、汎用性が高い。それに無属性である為相手の耐性を考える必要がないという利点もある。

 

この斬撃は不可視であり、そして不可避の筈だった。

 

だがモモンガが魔法を発動した瞬間、シルヴィアは即座に適当な中盾を手に取り、戦技を発動する。

 

【無敵】

 

これは文字通り、一秒間だけ無敵になる戦技であり、使い所は極めて難しい。少しでもタイミングがズレると効果は全く無く、ただ攻撃を被弾するのみ。

これをシルヴィアは狭間の地を生き抜いた歴戦の勘により、紙一重で発動に成功した。

 

モモンガの魔法を被弾しなかったのはハッキリ言ってまぐれだが、モモンガからすると自身の最大の攻撃手段を簡単に無効化された様に見える。

 

(どうなっている!?奴が盾を掲げた瞬間、俺の斬撃がすり抜けた。タイミングは完璧だった筈だぞ……)

 

モモンガが固まった瞬間、シルヴィアは死王子の杖を狂い火の聖印に持ち替えると、モモンガに向かってある祈祷を放つ。

 

【重なり合う光輪】

 

この祈祷は聖属性の攻撃である為、アンデッドであるモモンガに対して特攻がある。

一目見てその手の攻撃だと察したモモンガは飛行(フライ)によって回避に徹するが、シルヴィアはこの術を連投する。

 

(くそっ、鬱陶しい!このペースで撃たれ続けると攻撃をするタイミングがない。)

 

モモンガが回避に必死になっている間、シルヴィアは聖印を握り締め、力を溜める。

彼女の手には迸る雷が握り締められており、それを解放する様にモモンガへと投擲する仕草をすると一本の稲妻が走る。

その雷の槍に追従する様に四本の雷槍が生まれ、モモンガへと追尾する。

 

 

先程シルヴィアに放たれた光輪は一定時間その場に残留し続ける為、モモンガは先程通った場所を飛行する事が出来ず上手く回避しきれないでいた。

そこにシルヴィアの放った【騎士の雷槍】が直撃する。

 

「ぐはっ……!」

 

思わず、観戦していたナーベラルが声を上げる。

雷の槍が直撃し、落下しかけたモモンガだったが、何とか空中で踏みとどまる。

 

そこでシルヴィアが口を開いた。

 

「……不毛だ。空中から攻撃され続けると私の攻撃手段も限られて来る。それに貴公。何を気にしてなのかは知らんが範囲攻撃を殆どしなかったな?」

 

幾ら夜といえどもモモンガの使える火力の範囲攻撃となれば間違いなく目撃者が出てくる。

だが、それを言い訳にはしたくない。モモンガは戦っている間、間違いなく本気でシルヴィアの相手をしていた。

 

「いや……魔法詠唱者(マジック・キャスター)の間合いに持ち込んでおいて、君にろくな傷を与える事が出来なかった。私の負けだ。」

 

「……貴公がそう言うのであればそういう事にしておこう。」

 

だが、当然。モモンガはこれが本当の意味での全力ではない。今回は、元々シルヴィアの能力を確認する事が目的だ。

こちらの手札はある程度温存し、それなりの情報は引き出した。

 

情報戦では、モモンガの勝利と言えるだろう。

 

 

 

こうしてモモンガは、自身の持つ魔法に興味を持ったシルヴィアと、一時的に協力関係を結ぶ事に成功した。

 

あせんちゅは今後、武技の習得を

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