暗き月の王、狭間の地より来たり   作:Crimson Wizard

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ちょっと執筆中に予定が入ったのでもうこのまま投稿します。


暗月の王、森の賢王と出会う

 

あれから、私と……アインズ・ウール・ゴウンというらしいアンデッドの魔術師は一時的な協力関係を結んだ。

是非ナザリック地下大墳墓というギルド拠点という場所に招待したいと言われたのだが、私達は冒険者として依頼を受けている最中だった為、

今回は見送りとなった。その後何事も無かったかの様に、漆黒の剣の面々のいるキャンプへと戻り、夜が明けるのを待った。

 

「さて……もうそろそろの筈です。」

 

先頭を歩いているペテルがそう言う。確かに言われてみると数キロ先には村がある。

まあここからではハッキリ視認出来ないが、柵の様な物が設置されている。

 

「見えてきましたね……あの村ですか?」

 

アインズ・ウール・ゴウン……モモンと呼ぶ様に言われたのだったな。彼がペテルに対してそう訊ねる。

 

「ええ……どうしました?バレアレさん。」

 

ペテルの声に釣られて馬車の方を見ると、依頼主であるンフィーレアが難しそうな顔をしている。

 

「あんな柵……無かったはずなんですけど。」

 

……また盗賊に乗っ取られていたりはしないだろうな。あの様な面倒な依頼はもう御免だ。

そんな事を思っているといつの間にやら村の門の前にまで到着していた。

 

「ンフィー……?」

 

村を囲うように設置された防護柵の向こうで、水を汲んでいたのであろう少女がンフィーレアを見つめてそう呟く。

 

「エンリ!」

 

門の前では数人の村人が警戒していたが、ンフィーレアを見つけると警戒を解いた。

 

「彼らも積もる話があるでしょうし、私達はこの辺で少し休憩にしますか。」

 

「そうですね。」

 

そうして、門のすぐ傍に陣取って腰を下ろす面々。一方、私とモモン、ナーベと呼ばれた女は座らずに周囲を警戒していた。

まあ私としては特に立っている理由など無いのだが……狭間の地では祝福以外で休む事などそう無かったのでこれは癖だ。

全く消耗していないし聖杯瓶も一度も使用していないので補充する必要も無い。

 

「すみません……お待たせしました。」

 

暫く待っていると、依頼主であるンフィーレアが戻って来た。

 

「いやぁ……まさかあんな可愛い子が幼馴染だなんてな?全く羨ましいぜチクショー!」

 

「い、いや!僕とエンリは別にそういう関係じゃ!」

 

などと茶番劇を繰り広げ始めたので、依頼の内容について確認する。

 

「ンフィーレア、今回の依頼内容はこの村までの護衛と薬草の採取だったな?」

 

「あ、はい。今回は皆さんがいらっしゃるので、少しだけ深く潜ってみたいんですか……いいですか?」

 

……ふむ。まあ出てくるのはあのオーガとかいうデカブツとゴブリン位だろう。あの程度であれば数を揃えたとて、余裕を持って守り切れるはずだ。

 

「私は構わない。」

 

「私も異論はない。」

 

「私達も、大丈夫です。」

 

それぞれのチームのリーダーが許可を出した。まあ私はリーダーも何も元からソロだが。

 

「ありがとうございます!では早速向かいましょう!」

 

「そうですね、流石に馬車は厳しいですよね?」

 

「無論だ。馬車は置いていく。」

 

森の中には当然舗装された道も馬車を牽引するスペースも無い。今回はンフィーレアを囲む様な陣形で移動すれば不意打ちも対処可能だろう。

 

「薬草の群生地の場所は頭に入ってます。着いてきて下さい。」

 

……素直に依頼主を先頭にするとは、このチームは白痴の集まりなのか?仕方なく私は先頭に出る。

 

「こっちです。……この辺ですね。」

 

そう言って、薬草の群生地を見付けたンフィーレアは採取を始めた。……この地の薬草の効果なども調べておけば、今後役に立つ可能性があるな。

聖杯瓶や祈祷以外の回復手段は幾つあっても問題ない。

 

「っおい!なんかデケェのが近付いて来てるぞ!」

 

ルクルットが首を傾げてしゃがみ込み、地面に耳を当てるといきなり大声で叫んだ。……確かに何か近付いて来てるな。

 

「貴公ら、ンフィーレアを守れ。」

 

先頭に立つ私が、レディソードを構えて気配の近付いてくる方向を注視する。すると、何か飛び道具の様な物が飛んで来た。

私はレディソードで受け流し、その正体を見た。

 

「お主、某の初撃を防ぐとは中々やるでござるな。」

 

……ござる?葦の国の出身なのか?

 

「まさか……森の賢王!?」

 

歩く度に軽い地鳴りを起こしながらノシノシと歩いてくるその姿は……

 

「「ハムスター?」」

 

……何故狭間の地にも居なかった愛玩齧歯類がここに居る。かなりデカいが、どこからどう見てもハムスターだ。

 

「お主ら、某の種族を知っているのでござるか!?」

 

「あ、ああ。私の故郷では主に、愛玩用のペットとして飼われていたな。」

 

モモンがそう律儀に答える。

 

「ほほう!もしその種族を知っているのなら、紹介して欲しいのでござるよ!子孫を残さねば生物として失格であるが故に。」

 

ハムスターのその言葉に、モモンが何故か少し落ち込んだ様に見えた。

 

「悪いが、私の知っている種族は手のひらサイズだ。お前の様なサイズのハムスターを見た事は無い。」

 

「そうでござったか……無念。では、気を取り直して命のやり取りをするでござる!」

 

……そうか。敵か、ペットとして飼えれば良かったが、敵なら殺すしかあるまい。せめて苦しませぬ様にと、私はグレートソードを取り出す。

 

「なっ!何でござるかその武器は!?」

 

【グレートソード】

 

『巨大で武骨な鉄塊の剣

凄まじく重く、その重さで敵を薙ぎ払う

 

およそ人の扱える限界を超えた武器であり

それ故に、これは人外をも屠り得る』

 

「貴公を苦しめずして逝かせてやろうという私なりの慈悲だよ。」

 

私はそう言うとグレートソードを構え、巨大なハムスター目掛けて振り下ろす。

 

「何でもするので命だけは勘弁して欲しいのでござるー!」

 

私は既のところで手を止めた。……巨大なハムスターが土下座をしている。

 

「自分から命のやり取りなどと言っておいて、殺されそうになった途端にそれか。……腰抜けめ。」

 

興が削がれた。……殺す価値も無い、いざとなればすぐ寝返るとなれば味方に加える価値もない。

 

「……モモン、貴公にやる。貴公が相手をしても似たような事になっていただろうからな。」

 

「あ、ああ。それで……お前は私の配下になるか、この場でこの女に殺されるか、どちらがいい?」

 

「喜んで配下に加えさせて頂くでござる!……しかし、殿はこの御方よりお強いのでござるか?」

 

「……殿?どうだろうな。まあ少なくとも、お前に敗れる事だけはないと言っておこう。」

 

「殿!流石でござる!一生着いて行くでござる!」

 

……手のひら返しの得意なハムスターらしい。所詮は愛玩動物という事か。

 

「それで、殿のご尊名を教えて欲しいでござる!」

 

「私はモモン。……彼女はシルヴィアだ。」

 

「ほほう。殿のご尊名はとても勇ましい名前でござるな。」

 

(こいつ、適当言ってるだけじゃないか?)

 

モモンガは内心でそう独りごちる。随分と適当なハムスターの様だ。

 

「まあ、私には関係の無い事だ。ンフィーレア、目的の薬草採取は終わったか?」

 

「あ、はい!今回は何時もより深く潜れたので、珍しい薬草も手に入りました!」

 

そう言って、薬草でいっぱいになった袋を見せられる。

 

「そうか、では一度村に戻るとしよう。」

 

そうして私達は一度、カルネ村へ帰還する事となった。

 




没案
【グレートソード】
「それは剣というにはあまりにも大きすぎた
大きく
分厚く
重く
そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった」

あせんちゅは今後、武技の習得を

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